既にミトスの存在すら忘れかけて闘技場に入り浸っているロイド達は、今日もいつも通り闘技場のカウンターに来た。が、カウンターの人から思いがけない申し出を受けてしまった。
「ロイド様ですね?実はとある方より挑戦状を承っておりますが、いかがなさいますか?」
「挑戦状?誰から?」
「異世界からの来訪者と名乗っておられましたが。」
凄まじく胡散臭い肩書きだが、ここで受けなきゃ男が廃る!とばかりにロイドは仲間の意見も聞かずあっさり受けてしまった。そんな身勝手な行動に、仲間たちは文句を言わないわけが無い。
「よし、その挑戦受けるぜ!!」
「はぁ!?何勝手に決めてるのさ!!」
「正体不明の挑戦を受けるのは・・・危険です。」
ジーニアスとプレセアにダブルで文句を言われ一瞬だけたじろぐが、主人公ゆえの強引さで勝手に決めてしまう。これぞ主人公特権。決して馬鹿に持たせてはならない権利。
「いーじゃねーか!ここんとこ同じ敵ばっかりで飽きてたんだしよ!!!」
「だったら早くデリス・カーラーンに行けば良いじゃないか!!」
ジーニアスの言う事は最もなのだが、ロイドは未だ遊び足りないらしく文句を聞かない。相手が外見12歳の子供なので、ロイドが余計情けなく見える。受付ロビーの隅っこで4028歳の父が情けなさに項垂れている。
「・・・何か後ろめたい事でもあるのかしら?」
「ロイド・・・私が育ててやれなかったばっかりに・・・」
「ロイドの遊び好きは、育ちとは関係なくてよ。」
正論だが容赦の無いリフィルの言葉に、親バカクラトスはますます落ち込んだ。「一緒に遊んでやれなかったばかりに」とか何とか言い出したが、リフィルどころか誰も彼を気に留めなかった。構っても無駄だからである。
『お待たせしました!闘技場を駆け巡る暴れ馬、闘技場荒らしのロイドチームに、なんと挑戦状が送られてきました!!!無謀にもそれを受け、立ち上がったのはロイド選手、クラトス選手、ジーニアス選手の三人です!!連日闘技場に入り浸ってて、普段の仕事はどうなっているのでしょうか!?』
「まともな解説しろ!!!!」
解説に文句をつけるロイドの後ろで、メンバーとして駆り出されたジーニアスとクラトスは諦めたようにロイドを見守っていた。
「事実だから、反論できないよね。」
「・・・年齢的に私は無職のだらしない大人に見えるんだろうな。」
「でもクラトスさん、実際無職だよね。・・・甲斐性なし?」
姉と同じで容赦の無いジーニアスの言葉に、クラトスはまたも落ち込む。さっきよりも人の目が多かったので流石に隅でいじけてのの字を書いたりはしなかったが。
『それでは、挑戦者の入場です!!!』
アナウンサーの声と同時に、闘技場全体にバッと紙吹雪が舞う。そして一箇所にスポットライトが集まる。
「・・・あのさ、ここってスポットライトなんてあったっけ?」
「作ったんじゃねーの?」
「これのためだけに?」
「面白そうだからとか。いーじゃねーか別に。」
半眼で呆れ顔のジーニアスに、全く疑問を持たないロイドが平然と答える。あんまりといえばあんまりな応対に、ジーニアスはあからさまな白い眼を向ける。更にその横で、ロイドの父が遠い目をしている。「アンナ・・・済まない」とか言って空を眺めている。
スポットライトに当てられ、3人の人影が現れた。それぞれ体格も殆ど同じで、形状は違うものの全員、剣を持っていた。そのうち二人が突然スポットライトを浴びながら剣を構え、それぞれポーズを取っている。
「・・・一体何者だ?」
いかにも間抜けな相手の仕草に、思わずクラトスが零す。馬鹿にしたような口調が含まれていたのだが、相手はそれを気にせず、むしろそれを待っていたと言わんばかりに勢いづいて一歩前に出た。向かって右側に赤いバンダナの男、左側に長い金髪の男が並んで立ち、バンダナ男の方から先に口を開き金髪の男も続いた。
「何だ誰だと訊かれたら!」
「答えてあげるといい感じ!!」
ん?とバンダナ男が首を傾げたが、気にせず後を続ける。
「世界の破壊を防ぐ為!」
「世界の競馬を救う為!!」
またもバンダナ男が不可解な眼を金髪の男に向けるが、追求もせずセリフらしき言葉を続ける。
「愛と勇気と希望を貫く!」
「ラビットチーズな主人公!!」
ラビットチーズって何だよ・・・と今度はあからさまな非難の視線を金髪男に向けるが、それも一瞬の事で今度は名乗りを上げる。
「クレス!!」
「スタン!!」
「・・・・・・」
と、暫く沈黙が降りる。あんな恥ずかしいセリフを吐いておいて堂々と面と向かっていた二人も、後ろを振り返る。どうやら3人目のセリフ(というか名乗り)を待っていたらしい。が・・・
「くかー・・・」
「寝るな!!!!」
思わずバンダナ男―――クレスが叫ぶ。3人目の・・・赤い髪の男は座って寝ていた。きっと前二人のセリフの馬鹿馬鹿しさに寝てしまったのだろう、きっとそうだとロイド以外の二人は妙な確信をしていた。
「おーい、起きろよリッド〜〜・・・ってか俺が人を起こすなんて生まれて初めてだなぁ。」
金髪の男―――スタンが未だ熟睡中の赤い髪の男―――リッドを揺さぶる。しかし唐突に初めての経験に感動し涙する。さっぱり訳が分からない。
「ん〜〜あぁ?何だ、終わったのか?」
熟睡していたように見えたリッドはあっさり眼を覚まし、目の前のスタンに問う。が、それに答えたのはスタンではなくクレスである。
「これからだよ。ていうか名乗る時くらい喋ってくれって言っただろ?」
「いやー、あの演出があまりにもバカみてぇだったからさ。つい。」
「折角僕が頑張って作った台本なのに・・・」
あの馬鹿馬鹿しい台詞回しに台本なんてあったのか、とロイド達も観客達も絶句した。しかも一見好青年らしきバンダナ男が作ったと知ると驚きと呆れとで会場の空気が一杯になる。残念ながらクレスがオヤジギャグ好きだとは知らない。
「しかもスタンは間違えるし。」
「いやー覚えるのって大変なんだよなー。」
「普通なら覚える気も起きねーよ。」
最後のリッドの突っ込みに他の人間達は同時に頷く。しかもジーニアスとクラトスは余計な言葉を付け加える。
「あんなの普通、恥ずかしげも無く言えないよね。いわゆる変態って奴じゃないの?」
「変態とは少し違うな。まあ、変人、というのが一番近い表現だろう。」
「何で?面白いじゃん、あいつら。」
が、素直にあの3人(というか2人)を誉めているロイドに、クラトスは頭を抱え涙した。
「・・・ロイド、頼むからあんな真似はしないでくれ。」
「?」
「って、いちいちバカにするな――――!!!!!」
ロイド達の声は全く抑えられていないので、当然ながらクレス達にも丸聞こえである。
勝手に自分達だけで漫才を始めてしまっている選手達に対し、司会者はどうしようか暫く迷っていたが、やがてヤケクソになって彼らの声を遮るように高らかに宣言する。
『それでは、早速特別試合開始!!!!!』
「って、いきなりかよ!!!」
ロイドが叫ぶと同時に、いち早くノリに乗ったスタンが元気よく剣を向けてくる。
「それじゃ、行くぞ!!!!鳳凰天駆!!!!!」
「む、いかん!避けろ!!!」
素早く頭を切り替えクラトスが戦闘モードに入りロイドとジーニアスに指示する。ロイドは軽やかに、ジーニアスは危なげに攻撃を避けると、スタンの着地の瞬間を狙ってロイドとクラトスが同時に攻撃を仕掛ける。そして態勢を立て直したジーニアスが詠唱に入る。
ロイドとクラトスの剣は確実にスタンを捉えた・・・と思ったがその刃は別の剣に遮られた。
「相手はスタンだけじゃないんだよ。」
クレスが間に入り、不敵な笑いを浮かべて刃を二人に向けた。
「虎牙破斬!!!」
クレスの剣技がクラトスを襲う。予想以上に重い衝撃に、クラトスは思わず一歩下がる。
「くっ・・・やるな。」
「大丈夫か、クラトス!」
「私は大丈夫だ。それより、そっちは任せたぞ!」
ロイドは態勢を立て直したスタンと向き合っている。お互い剣を交え、一歩も譲らない。一見拮抗しているように思えるが、上から見るとよく分かる。全然拮抗していない。
「ロイド、離れて!!サンダーブレード!!!!」
「おう!!」
ロイドが離れた瞬間にジーニアスの魔術が炸裂する。他に意識が向いていなかったスタンはあっさり黒焦げになる。
スタンがやられたため、スタンを抱えて一旦クレスが退く。クレス達にも分かっていた。ロイドとクラトスがこちらを抑えている間にジーニアスが魔術を使う。それがすんなり成立してしまう理由。
「リッド・・・頼むから戦ってくれ・・・」
クレスは涙を流しながらリッドに懇願する。そう、リッドは一応挑戦者でありながら全く戦っていなかったのだ。ただ一言、めんどいと言って。
「だって別に俺は戦いたいわけじゃねーし。勝っても何も無いんだろ?」
クレスやスタンと違ってあまり剣を極めるという意識の無いリッドは思い切りだれている。元々ただの猟師な上に、やる気なしスキルが常備の彼を動かせる人間はそう多くない。
「天光満つるところに我はあり、黄泉の門開くところに汝あり・・・」
ジーニアスが何やらブツブツ呟いているが、リッドの説得に躍起になっているクレス達は気づかない。
「少しくらい協力してくれてもいいだろ!!」
「いでよ、神の雷・・・インディグネイション!!!!」
「うわあああああっ!!!!!」
リッドの説得に当たっている間に、ジーニアスの詠唱が完成し強力な雷がクレス達を襲う。そして注意がリッドに向いていたため避けられず見事に命中し焦がされたクレスとスタンは、ただ一人だけあっさり直前で逃げ切ったリッドを睨みつける。挑戦者なのに非常に情けない失態である。ここまで来てこんな無様な理由で負けたのでは余計に恥ずかしい。ヤケクソになったクレスはリッドに向かって叫んだ。
「勝ったら肉鍋奢るから!!!!」
「マジ!?」
クレスの一言、否肉鍋の一言であっさりリッドは元気よく立ち上がる。さっきまでのやる気無しが嘘のようだ。急にやる気満々、むしろ殺る気満々という様子で剣を軽く振る。一見適当にやっているように見えるし、今までの彼の言動を見れば信じられないが、戦闘態勢に入った彼の構えに隙は無く、クレスやスタンに引けを取らないくらいである。
厄介な事になったな、とクラトスが舌打ちする。卓越した剣技を誇る3人相手に、こちらは剣士二人に魔術師一人。一対一の形態にされてしまえばこちらが不利になる。
「二人とも、あまり離れるなよ。」
「ああ。とにかく、俺とクラトスで相手を抑えて、ジーニアスの魔法で一掃するぞ。」
「ロイドにしては賢明だね。じゃあしっかり守ってよ。」
いつもいつも嫌な言い方するな・・・とロイドはジーニアスにブツブツ文句言いながらも、剣を構えて守りの態勢に入る。
一方、クレス達はロイド達の対応を予測済み、というように自信たっぷりに眺める。
「やっぱりそう来たか。けど、二人で防ぎきれるかな?」
「く〜っ、燃えるなぁ〜〜!」
「肉鍋〜〜♪」
「・・・・・・・・・。」
一人だけ緊張感無く目だけをギラギラ輝かせるリッドに、クレスとスタンは沈黙する。が、もういい加減慣れてきたかあまり気にせずロイド達に攻撃を仕掛ける。
「行くぞ!!」
「おお!!」
3人の剣士の突進を、ロイドとクラトスが必死に防ぐ。2対3とはいえ、守りに徹するだけなら決してロイド達は不利ではない。クレス達の鋭い剣さばきを凌ぎつつ、ジーニアスの魔法詠唱の時間を稼ぐ。
そして。
「これで終わりだよ、メテオスォーム!!!!」
ジーニアスの放った魔法が放たれ、次々と落ちてくる流星にクレス達はぎょっとして逃げ惑う。が、結局クレス達は瀕死の重傷を負い、立ち上がれなくなる。総ダメージ量の差かリッドだけは立っているものの、剣を支えにして辛うじて立っている状態だ。
「・・・痛ってぇ・・・」
「よしっ、トドメだ!!」
目前の勝利に嬉々としてロイドが切りかかり、油断するな、と言いつつもクラトスも続いて剣を振る。が、ロイド達の剣がリッドを捉えた瞬間、リッドは耳を劈く獣のような咆哮を上げる。
「肉鍋―――――――!!!!!!」
間抜けな叫び声にロイド達の剣が一瞬止まる。が、これが悪かった。咆哮の瞬間、リッドの全身が眩い光を放ち、光が強烈な衝撃破となってロイド達を弾き飛ばす。
「うわっ!!?」
「何っ・・・これは!?」
クラトスの守護方陣に似ているが、威力は桁違いだ。しかも驚きはそれだけではなかった。リッドの全身から放たれた光がリッドの手の中に凝縮しそれは一本の剣の形状になる。そして、それはロイド達を追撃する。
「極光剣―――――!!!!!」
突如現れた光の剣は、ロイドとクラトスは完全に打ちのめされ、力を失って地に伏した。残るは謎の光の剣の範囲外に居たジーニアスのみ。
決着は着いた、誰もがそう思ったその瞬間。
「・・・疲れた・・・」
バタン
「・・・え?」
てっきりやられると思って身構えていたジーニアスは呆気に取られた。リッドはそのまま力尽きて倒れ・・・否、寝てしまっていた。リッドの呑気な寝息がかすかに聞こえる。
呆然とするジーニアスに、司会はてててと近づき、ジーニアスの手を取って高く天に向ける。
『ロイドチームの勝利――――――!!!!!』
闘技場はその後、微妙な歓声とブーイングに包まれた。
「・・・で、結局お前らは何者なんだ?」
「いや、そんな事は聞かないのがお約束だってクラースさんが・・・」
ロイドの尋問に、クレスはひたすらお茶を濁す返答ばかり。まあ本当に聞いてはならない話なのかもしれない。それよりも・・・
「あのさ、この人どうにかしてくれない?」
「・・・姉さん・・・」
スタンの持っている剣には、見た事も無い技術が使われているそうで、スタン自身はあまり得意でないからと使っていなかったが、エルフの血が無くても魔術に似た力を行使できるというシロモノらしい。そんな珍しいものをリフィルが見逃すわけが無く。
「見ろジーニアス!この剣に埋め込まれた謎の物体を!!金属とも言い難く、かといって他に類似するものも無い。敢えて言うならばガラス状か・・・ああじっくり調べたい!!というわけで寄越せ!!貴様らは所詮敗者だ!敗者は勝者にアイテムを引き渡すものだ!!!!」
「でもこれはダメだって――――!!!!」
リフィルはひたすらスタンから剣をもぎ取ろうと必死だ。しかしスタンも必死なので、そうそう奪い取れはしないだろう。
「肉鍋―。」
「・・・そんなに食べたきゃ、自分で作れば良いじゃないか。」
まだ肉鍋に拘るリッドに、クレスは呆れつつツッコミを入れた。
この謎の3人は一晩明けると影も形も見当たらなくなり、リフィルがもの凄く悔しがったとか。
*********************************************** チームバトル上級クリアすると、ゲスト3人が出てきますよね。何故かウッドロウとファラとメルディ。キャラセレクトも甚だ謎。
こんな脈絡も無い3人出すより、主人公3人出せばいいのにとか思ったんですが。D一人にE二人。本当に訳分からない。一番人気でも無いだろうし(酷)
本音を言えばP→クラース、D→リオン、E→リッドが理想だった(お前が趣味に走りすぎ)
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