神に一日など無い。ひたすらエインフェリアに相応しい魂を見つけて刈り取り、不死者の波動を感じてはその存在を滅してアーティファクトを我が物とし、時々定期報告に来る鬼婆・・・もといフレイの機嫌を取るために好みで無いエインフェリアを送るだけ。
「・・・だからか。送るエインフェリアが妙に年寄り系ばっかなのは。」
「黙れ、アリュ−ゼ。例え最高神でも私の判断に文句をつけることは出来ないのだぞ。」
・・・ちっ。こいつが予想以上に自分勝手でなければ、とっくの昔に島流ししていたものを。せっかく美形ハーレムのメンバーで好き放題できると思ったのに。
「ねえ、ヴァルキリー。フレイがそろそろ出てくるんじゃないの?」
「ああ、もうあの鬼婆が来るか。もう評価値一桁になったしなあ。最近手ごろなエインフェリアいないしなぁ。」
そうぼやきながらフレイに要求されている条件を思い出してみる。
「勇敢な剣士、ね・・・」
今のところその条件に適しているのはアリュ−ゼ、ジェイル、グレイ。
「ジェイルはいなくなると華が無くなりそうだから却下。グレイは・・・別に送ってもよさそうなんだけど、ああいう忠実なのはいざという時捨て駒に使えるしなぁ・・・ちっ、アリュ−ゼを送れれば万事解決なのに。」
「神様ってそんなんでいいの?あたしが言うことじゃないけどさ。」
レザードの塔のホムンクルスを「実験に使おう」などといって持ち出したメルティ−ナなら、確かに偉そうな事は言えない。ここいらへん、ゆがんだ精神の女の本性がはっきりと判る。
「よし、とりあえず勇敢の部分だけを取ってジェイクリーナスに逝ってもらおう!」
なんと、ヴァルキリーには珍しく、中年もいいところのあの地味なジェイクをまだ手元に置いていたのだった。実の所、単に送るタイミングが無かっただけなのだが。
「あ、ジェイクリーナスってまだいたんだ。地味だから気付かなかった。」
「え、ジェイクリーナス?誰、それ。」
メルティ−ナもカシェルもかなりひどいことを言っているな。人間というのは本当に残酷な生き物だな。
「てめぇにいわれちゃあお終いだな。」
アリューゼは軽い気持ちで言ったのだが、それでも誇り高き(?)神を怒らせるには十分だったのだ。ヴァルキリーの右手にはしっかりと神剣グランスリヴァイバーが握られていた。
「のわっ!!てめぇどこからそんなものを!?」
「神に不可能は無い。覚悟は決めたか?アリューゼよ。」
「って・・・てめぇはそんな偉そうな事言えるほど神格高くない・・・」
「貴様・・・私の手で直に浄化してやる!!神技!ニーベルンヴァレスティ!!!」
ずばずばずばばばばっっっっ、びしいっばんしゃきぃぃん・・・どしゅっっっずがぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!
「く、くそ・・・この、俺が・・・」
「ふ・・・これが運命。」
どうやらアリューゼはまさに竜の逆鱗に触れてしまったらしい。捨て台詞を残して光と散っていく。
「さて。戦力が一人減ってしまったので新たに戦士を一人選んでおかねばな。」
自分で滅してしまったくせにずいぶん身勝手な言いぐさである。
「なあなあ、せっかくだから女の子がいいな、俺。」
「そうか。ならエイミを・・・」
「え〜〜〜〜あんなのを入れてもなぁ。俺としちゃやっぱかわいい娘がいいってば。ほら、那々美ちゃんとか。」
「ちょっと、魔術師が二人じゃ、バランス悪いじゃない。あんたの大振りな戦い方とうまくバランスとるならむしろ洵の方がいいじゃない。」
「あ、んなこと言っててめぇもいい男を入れたいだけじゃねぇか?」
「うっ・・・い、いいじゃないの。それのどこが悪いのよ!!あんたと大して変わらないわよ。っていうか、下手に軟派じゃないだけあたしの方がましでしょ。」
不毛な言い争いを繰り広げる人間二人・・・愚かしいことこの上ない。
「愚かしいのはあなたも同じでしょ、レナス。」
「げ、鬼婆フレイ・・・」
「そういう事は口に出して言うものじゃないわよ。」
心なしかフレイの眉間にしわが寄っている。かなり怒っているようだ。(当然)
「ところでレナス、いったいどういう事なの!?エインフェリアはほとんど送らない、アーティファクトはネコババする・・あなた、自分の役割を忘れたの?」
「アーティファクトを送れとは言われなかったが。」
「ものすごい屁理屈ね。」
「私の役割はエインフェリアを送ることでしょ。ちゃんと送ってるじゃないの。」
「・・・あまり言いたくないんだけど、あなたの送ってきたエインフェリアことごとく戦死しているのよ。ちゃんと鍛えたの?」
「・・・・・・・・・。」
実は、送ったエインフェリアは入れる気がしなかったのでほとんどそのままで、しかも装備はしっかり剥がしてしまっていた。ヴァルキリーにとって神界転送などというものはおよそ『要らないエインフェリアのゴミ捨て場』である。
「今かろうじて生き残っているのは転送されたばかりのロレンタだけよ。」
「なんだ、あのババアまだ生きてたの?いいかげんしぶといわねぇ。」
そこまで嫌いだったのか、メルティーナ。
「誰よ、この偉そうな女は。レナス、あなたちゃんと選んでるの?こんな無礼なエインフェリア拾わないでよね。」
「どう言う意味よ!!いきなり出てきて偉そうに!大体アンタ前から思ってたけどいちいち言うことが腹立つのよ!!ニ級神だかなんだか知らないけど、所詮ナンバー2でしょうが!あんたなんか話にならないわ。オーディンを出しなさい、オーディンを!!」
「黙って聞いてればこの小娘・・・ずいぶん好き勝手言ってくれるわね。あなたの馬鹿にしてるニ級神の力で浄化してあげるわ!!」
「ふん、このメルティーナ様を怒らせて、ただで済むと思わないでよね。」
「ふ・・・よもやあなたの力で神を倒せるとは思ってないでしょうね、メル。」
「レザード!!あんたどっから沸いてきたのよ。」
「私はヴァルキュリアの在る所どこにだって現れますよ。それよりメル、あなただってナンバー2なのだから偉そうな事は言えないでしょう。」
「うるさいわね!!変態はすっこんでなさいよ!!」
「なんだ、あなただってそうなんじゃないの。それでこの私をよく馬鹿にできたものね。」
フレイ・・・どうやら完全にミッドガルドに来た理由を忘れてしまっているらしい。ヴァルキリーにとっては好都合だが。
「あーもう!こんなにむかついたのは初めてだわ!!そこの変態とヒステリーニ級神、そこに並んで歯ぁ食いしばって、気持ち良く死ねぇぇぇぇぇっっっ!ファイナルチェリオ!!!!」
ぶんぶんぶん、ずがあああぁぁぁぁん!!!
かなり派手に破壊したものだが、肝心のレザードとフレイは無傷だった。・・・化け物共め。
「ふ・・・終末の炎さえも防いだこの私にいまさらそんな物が効くわけないでしょう?少し短気過ぎますよ、メル。」
「ぐぎ――――――っっ!!ほんっと嫌な男ねっ!!!!!!!」
「・・?なんか今、非常に不可解な表現を耳にした気がするわ・・・?」
気にしてはならないことである。
「・・・・・・あ―――――――っっっ!そうだわ、レナス!レナスはどこよっ!?」
慌ててフレイは辺りを見渡している。すると先ほどのファイナルチェリオでぼろくそになった二つの物体がある。
「レナス!あなた今回の仕事についてどう思ってるの!?返答次第ではただじゃ・・・あら?」
エキサイトしていたフレイがようやく落ち着いて自分の掴んでいるものをじーっと見ると・・・グレイだった。
「な、なんなのこのデュラハンは!?」
デュラハン?グレイが?首無しゾンビ(?)だと?
「あ・・・え〜と、ヴァルキリーならとっくに逃げたぜ。ご丁寧に替え玉を残してな。」
なぜか無傷のカシェルが説明する。
「な・・・いつからよ!!」
「ん〜〜レザードが出てきたあたりかな?」
「なんですってぇぇぇぇぇ!!?レ〜ナ〜ス〜どこに行ったのよ〜〜!!」
「そこ。」
「は?」
カシェルが指差したのは、もう一つのぼろくその物体。確かに、良く見てみると、あの羽根飾りが少しだけ見える。
「・・・グレイを捨て駒にして逃げたんじゃなかったの?」
「ん〜とさぁ、確かにそうなんだけど、なぜか急に金縛りにでもあったみたいに動かなくなっちまってさぁ。」
「どういうことなの?」
「さぁ?」
――――――原因、実はグレイを捨て駒にしたヴァルキリーへの報復で、なんと死んだはずのレミアがヴァルキリーに呪いをかけたのである。まさに自業自得というか、天罰というか、因果応報というか・・・
「で、なんであんたは無事だったのよ?」
「俺?もちろんグレイを盾にしてやり過ごした。」
「あなたもやってることはレナスと変わらないじゃない。」
「別にいーだろ。こういう時のためにグレイがいるんだろ?」
「あんた、元仲間じゃなかったの?それってかなり外道じゃない?」
メルティ―ナにいわれちゃあ・・・
「こいつもレナスの人選ミスかしら?まったく、今までどういう仕事の仕方してたのかしら?」
「ところで、ヴァルキュリア様は何処へ?」
「え?もちろんここに・・・って、あららら!!???」
フレイが掴んでいたものはいつのまにか忽然と消えていた。確かにグレイを捕まえていたはずなのに。そしていつのまにやら足で押さえてたはずのヴァルキリーも消え去っていた。
「どうやら、捨て駒にまだまだ使えそうな鎧の人だけ回収して逃げてしまったようですね。いやはや、素晴らしい人だ。」
「ってことは、あたしら置き去りじゃん!どーすんのよ!?」
「ああっ!レナスを早く捕まえて・・・とにかく、探さなきゃ!」
「おやおや、女神フレイともあろう方が、ヴァルキュリアの居場所もわからないのですか?」
「普段はすぐわかるのよ!でも今は、どうやら気配を消してしまっているようだから・・・」
「なんか違わない、それ?」
「ふ、どうやら私の出番ですね。今ヴァルキュリアはクレルモンフェラン周辺にいる筈です!」
「・・・本当でしょうね?違ってたらあなたも粛正するわよ!」
クレルモンフェラン上空、ヴァルキリーは大ダメージのまま必死に逃げ回っていた。時々街中に入りながら隠れ場所を探していた。
「やばい、早くあの鬼婆から離れないと・・・」
「誰が鬼婆ですって?」
背中に凄まじい殺気を感じて振り向くと、そこには般若そのものの形相のフレイがいた。
「フ、フレイ・・・」
「ふふ、あのレザードとかいう男、かなりいかれた精神だけど、いちおう髪一本程度の役には立つみたいね。」
「それにしてもレザード、あんたよくヴァルキリーの居場所判ったわね。」
「ふ・・・私のヴァルキュリアへの愛は無敵なのですよ。居場所ぐらい判らないわけないでしょう?」
「あ・・・あの男・・・!!」
「さてレナス、今回私が来た理由は本来経過報告と注意だけのつもりだったんだけれど・・・どういう事か、判るでしょ?あなた、評価値が低い状態で散々街やダンジョンに出入りした挙句に、アーティファクトもガメてばかりいたから、もうとっくに評価値0になっちゃってるのよ。一旦逃げたからって油断したわね。」
「う〜ん、恐るべし、評価値システム。」
カシェルが人事のように呟く。
「レナス、前に言ったわよね?次はないって。・・・覚悟は良いわね?」
「ま、待ってフレイ!もう一度だけ見逃して!!お願い!」
「・・・・・・・・。」
フレイが優しい微笑を見せる。が、その笑顔は妙に寒気がした。
「壊れた歯車を修復している時間は無いの。おやすみなさい、レナス・・・」
ヴァルキリーの中の、レナスの時間は終わった。ラグナロクまでの残り僅かな時、アーリィはレナスが散々引っかきまわした状況の尻拭いをしつつ、任務をこなすことになった。
「・・・というわけでアーリィ、非常に申し訳無いのだけれど・・・」
「…判りました。」
「ごめんなさいね。レナスがもっと真面目にしてくれればよかったんだけど。」
「いいんです。妹のフォローをするのも、姉の役割ですから。」
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初のヴァルキリープロファイル・・・のくせにまた変な文を・・・
大抵の人はアーティファクトもガメて、エインフェリアも送らないと思うんですが・・・・・
私はギリギリでやってのけました。その為いつもフレイに怒られてました(笑)
話の中の「評価値システム」については突っ込まないで下さい。
あと、グレイ&レミアファンの人、御免なさい。
アリューゼのファンの人御免なさい
カシェルのファンの人御免なさい
・・・でもメルティーナとレザードに関しては何も言わない(おい)![]()
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