神聖王国設定

 神聖王国は国王を中心とした王国である。しかし、その国王の権
力は形式的なものでしかない。5大神の神殿の神殿長が権力を持ち、
国を動かしているというのが実状である。
 特に5年前に起こった帝国討伐戦役で全国王が討ち死にして以来、
王位空白をいい事に各神殿が勢力を伸ばしてきたという背景がある。
昔から神殿の権力は強かったのだが、近年はそれが特に顕著になっ
ているということだ。神殿間での権力争いも表面化してきた。
 各神殿は、神聖王国の5方位を領地として持っている。北をマイ
リー神殿が、北東をチャザ神殿が、南東をファリス神殿が、南西を
ラーダ神殿が、そして北西をマーファ神殿がそれぞれ統治している。
この領地は神殿が完全な統治権を持っており、国王であっても内政
に干渉することはできない。そのため、統治には神殿の個性がはっ
きりと現れている。たとえば、北東のチャザ領では商売が奨励され
ており、国境に面した自由都市国家連合の南方諸国との貿易が盛ん
であるし、北のマイリー領や南東のファリス領は国境を接する帝国
およびブラガリアと小競り合いを繰り返している。
 神聖王国の軍隊とも言うべき神聖騎士団を構成するのも、主に各
神殿に所属する神官戦士たちである。外国との戦争や魔物の討伐を
行うのはファリス・マイリー、都市の防衛・警備を行うのはマーファ、
街道警備はチャザ、都市の警察活動はラーダと、神聖騎士団の主要
な仕事は各神殿が分担しておこなっている。どこの神殿に所属して
いない騎士は、国王直属である数十人の近衛騎士団だけにすぎない。
 この王国において神殿の勢力が大きいことには理由がある。神聖
王国領の中央には、聖地とされている丘があるのである。一説には、
神話の時代に光の神々がファーランドに降り立った地とも言われて
いる。この聖地の丘の頂上に立つ神殿を囲むように5大神の神殿が
立てられたのが神聖王国の起源であり、ファーランド中から集まっ
た巡礼の信者が住み着いて現在の神聖王国王都になったとされてい
る。このように、王国の成立に果たした5神殿の寄与が大きいため、
この国では他国に例を見ないほど宗教と政治が密接に絡んでいるの
である。
 丘の頂上に建つ大神殿が神聖王国の王城の役割を果たしており、
国王はこの大神殿で政務をとりおこなう。丘は全周を城壁で取り囲
まれていて、南にある城門から入るか、城壁に面して建つ5大神の
神殿から入ることでしか、この大神殿に行くことはできない。なお、
街はこの丘を囲む城壁の周りに広がっており、さらに街を囲むよう
にもう一つの城壁が築かれている。この外側の城壁には5つの門が
ついており、それぞれを5大神の神殿が管理している。門からは5方
向の領地に向かって街道が延びており、上空から眺めると星の形を
している。このため、王都は”スターフォール”という名で呼ばれ
ている。
 現在、神聖王国は前国王の娘である、女王ネティシャ・グランティ
アによって統治されている。女性ということで当初は心配論も聞か
れたが、新女王が提案する数々の政治改革案のおかげで戦争で疲弊
した神聖王国の経済にも徐々に復興の兆しが現れており、今では国
民の大多数に支持されている。だが、神殿の特権を認めないという
女王の方針に対し、反発を覚える貴族や聖職者も少なくない。また、
神聖王国がかつての国力を取り戻すのを良く思っていない諸外国も
ある。女王が公式の場に姿を現さないのは、こうした反対勢力から
身を守るためだとも言われている。
(一般には明らかにされていないが、ネティシャはまだ弱冠12歳で
ある。だが、すでに留学先のクローネで最高学位を取得しており、
神学、歴史学、商学、政治学、経済学の知識においては並の学者以
上の知識をもっている。)
 昨日、女王の企画で新年会と共に行われた自由都市国家連合南方
諸国の代表との会談で、神聖王国とファルヴァノア・クローネ・ラ
ターニャとの間で正式に国交が回復された。神聖王国は5年前の戦
役以来国内で混乱が続いていたため、この5年間他国との国交を持っ
ていなかった。この国交正常化により、神聖王国の経済はより一層
回復に向かうと期待されている。