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機密文書 

混沌の地遠征隊に捧ぐ



時は、リカルド・ハディス王の治世。

私は覚えている。

パレードの中で不安と重責に飲まれながら、
しかし、しっかりと前を見据えていた彼らの姿を。

彼らは旅立っていった。遠き国へ。未だ帰る者のない伝説の混沌の地へ。

あれから20年近く、彼らの消息は知れない。
ただ一人戻ってきたという司祭の手記が市井にわずかに出回るのみだ。

混沌の地への遠征という無謀な、しかし大望を持った試みは今、多くの人々の記憶から消え去ろうとしている。
しかし、一部の者たちは、この未知なる大地への憧れを密かに募らせているとも聞く。

私はベルダイン宮廷付きの書記官として、この遠征の記録をここに記録し、
混沌の地に対する入植が決して失敗に終わったわけではないことをここに綴ろうと思う。


この小文書を遠き国に眠る偉大なる開拓者たちに捧げる。

   新王国暦519年 ベルダイン書記官 アントン・ジェルマン





目次

.遠征の目的と経緯
.遠征の概要
.遠征に加わった人々
3−1.騎士及び従士
3−2.志願者
3−3.水夫
3−4.復権者
.遠征で発生した事件
.ベルダイン領11人目の子供(イレブンス・チャイルド)の現状





1.遠征の目的と経緯

 目的は混沌の地の調査。また、それによるベルダイン国の国威発揚。
 時の宰相カイリル・ギューゼルバーンがリカルド・ハディス王に進言したことによって本遠征は計画、実行に移されたとされる。


2.遠征の概要

 遠征開始日:
  新王国暦501年5の月12の日

 遠征の船の名:
  「探索」号(カイリル・ギューゼルバーンよりベルダイン国に寄贈)

 遠征隊の人数:
  騎士6名、従士4名、志願者3名、水夫7名、特赦による復権者32名(内男20、女12)の計52名


3.遠征に加わった人々

 遠征に加わった人々を敬意を持ってここに記録する。
 合わせて「帰還者の手記」等から分かっている範囲での消息も記載する。

3−1.騎士及び従士

 プライア・ウルグ
 遠征隊の隊長。残念ながら、彼の地にて岩の肌を持ち火を吐く巨大な混沌なるものに殺害されたという。
 従士はいない。

 エイク・ギューゼルバーン
 遠征隊の副隊長。混沌の地で原住民の一族の一員と認められたという。
 従士は遠征に不参加。

 マティウス(姓は不明)
 禁断の森への退却にて縄による道しるべを提案。ドロス砦までの道のりを確保した。
 従士はナスル。手から酸を吹き出すという混沌なるものに殺害されたという。

 ロドニー・ジェルマン
 プライア・ウルグの死、及び、エイク・ギューゼルバーンが原住民の一員となって以来、遠征隊の精神的支えとなった。
 従士はカレス。復権者の一人である女性と恋仲になったという。

 ケヴィン(姓は不明)
 従士の名は不明

 カマン(姓は不明)
 「探索」号上での反乱によって復権者の一人ラドルにより殺害された。
 従士はアスター・ニコルス。混沌の地についてより古代語魔法を取得したという。

3−2.志願者

 ティードル・ローカム
 マイリーの神官戦士。混沌の地での戦神の信仰のあり方を巡って原住民の間を旅しているという。

 クロタイト・パーソン
 王の声を務めたこともある魔術師、精霊を操ることもできたという。
 「光の夜」に遠征隊を魔法で助けたが、彼自身は還らぬ人となったという。

 マリク・ポスト
 マーファの司祭。遠征隊の中で、唯一アレクラストに帰還している「帰還者」
 アレクラスト全土を冒険し、その間に「帰還者の手記」を書き上げ、東方にてその手記の写本を作ったという。

3−3.水夫
 バウストル・ドロス
 「探索」号の船長。一回目の現地人の襲撃の際に遠征隊を逃がすために犠牲となったという。

 ガルド
 「探索」号の操舵長。混沌に捕まり「墜ちた」という。戦いの中で死亡した。

 クールズ
 混沌の地に上陸する際に海蟲(シーウォーム)に襲われて死亡した。

 ウエイブ
 二度目の原住民との戦いの中で、光の槍に打たれて死亡した。

 名前が分かっていないものが3名存在する。

3−4.復権者

 カリッサ
 その盗賊の腕で、何度も遠征隊の窮地を救った。
 プライア・ウルグと共に岩の肌を持ち火を吐く巨大な混沌なるものに殺害されたという。

 リーパー
 「肉屋」と呼ばれ、混沌の地での食糧確保に重要な役割を果たした。

 ルディア
 「おばさん」とよばれ復権者の間の精神的支柱となった。
 ジェルマンの従士のカレスと恋仲になった女性と思われる。

 ターク、ラドル、メトレ
 嵐の海での反乱で事を起こした者たち。処刑され、海中に没した。

 ビーツ
 規律違反を犯し追放になった。

 ラウゼン、バックス、ネイト
 ドロス砦にて、ラウゼンを中心に彼らを含む4人で反乱を起こした。

 リッグス
 詐欺師と呼ばれていた。
 ラウゼンらを追放した後、彼らの部屋から死体で見つかったという。
 ラウゼンらに殺されたものと見られる。

 その他に名前が分からないものが男女共に10名存在し、その内男4名と女1名は光の夜に死亡している。


4.遠征で発生した事件

【ドレックノール寄港】
 「探索」号は水夫及び物資を調達するためにドレックノールに寄港した。しかしその作業は様々な妨害にあい困難を極め、結局水夫の調達は出来なかったという。
 最後には騎士の一人(エイク・ギューゼルバーン?)が街の盗賊と交戦状態になり、寄港を続けることが困難となり、5の月の末日頃に出航したという。
 調査の結果、この事件の背景にはバウストル船長の工作があったことが分かっている。

 これ以降の遠征隊の足取りは、主に「帰還者の手記」に基づく。そのため、信憑性に欠ける。

【嵐の海での反乱】
 6の月の初めの日にアレクラスト大陸の西の町を経ってから10日ほど経った日に「探索」号は嵐にあっている。
 この嵐に乗じて復権者の一部が反乱を起こしたらしく、その結果、騎士カマンがこの世を去ったという。

【上陸時の海蟲(シーウォーム)の襲撃】
 「手記」に依れば6の月19の日に混沌の地が見えたとされており、それから陸地に着けるまで2日かかっている。
 これを信じれば、混沌の地までの航路は約20日という事になる。
 上陸の際に舵を暗礁にぶつけて「探索」号は動かなくなり、遠征隊は船を捨てることを余儀なくされたらしい。
 上陸は夜にまで及んだ。夜になって怪物たちの動きが活発になったためか、混沌の地特有の巨大な海蟲(シーウォーム)が現れ、水夫の一人を殺害し、去っていったという。

【原住民の襲撃と禁断の森への退却】
 遠征隊はその後、野営地を見つけ野営を始めたとされる。しかし、すぐにその野営地は原住民に襲われることになったという。
 遠征隊はバウストル船長の犠牲もあり、森に逃げこむことが出来た。森には道に迷う魔法が掛けられていたというが、騎士マティウスの提案により、古代王国の遺跡と思われる砦を発見。後にバウストル船長の名を取り、ドロス砦と名付けられた。

【光の夜】
 遠征隊がドロス砦に落ち着いてしばらくした後、光霊(ウィル・オー・ウィスプ)が無数に発生するという異常事態が起きたという。
 現地の住民が「光の夜」と呼ぶ現象だったらしい。
 この現象のせいで、クロタイト・パーソンを含む6名が犠牲になったという。

【規律違反者の追放と反乱】
 規律違反者が出て、その者が追放になったらしい。どのような規律違反を犯したのかは知られていないが、恐らく直後に逃走したという女と何か関係があるものと思われる。追放された者と義兄弟のちぎりを結んでいた者がおり、ある雨の日、そのものを中心に反乱が起きたという。
 この反乱でエイク・ギューゼルバーンは川に落とされ、一時行方不明になった。後に、原住民に救出されていた事が分かり、最終的に彼は原住民の一員として認められ、原住民を従える立場になっているという。

【二度目の原住民の襲撃】
 反乱が起きている最中に、原住民の襲撃が重なった、という。その戦いの中で水夫の一人が殺害されている。
 この戦いには狂った精霊が現れ、そのため、原住民との戦いは中断されたという。

11人目の子供(イレブンス・チャイルド)の誕生】
 エイク・ギューゼルバーンが原住民の一員と認められたため、遠征隊は原住民と協力して村を築くことが出来るようになった。
 その村の名前は10人の子供たち(テン・チルドレン)にちなんで11人目の子供(イレブンス・チャイルド)と名付けられたという。
 11人目の子供(イレブンス・チャイルド)では騎士も復権者も一致協力して村を築き上げ、徐々にではあるが村としての形を整え、落ち着きを得ていったという。

【混沌の襲撃】
 11人目の子供(イレブンス・チャイルド)が落ち着きを得ようとしかけていたとき、「混沌」の襲撃があったとされる
 「混沌」とは「人間であって人間でないもの」等の記述が「手記」にあるがどうもよく分からないものである。
 この襲撃によって遠征隊は長期間に渡り原住民との連絡を絶たれ苦境に立たされたという。
 この戦いの中で従士の一人が殺された。また、水夫の一人が混沌に墜ち、結果、エイク・ギューゼルバーンに介錯されたという。
 最終的には、原住民の戦士と共に混沌を撃退したのだが、最後に現れた「岩の肌を持ち火を吐く巨大な混沌」に遠征隊の隊長プライア・ウルグと復権者のカリッサが殺害されたという。

 以上23名の犠牲者は11人目の子供(イレブンス・チャイルド)の墓地の「犠牲の大石板」に祀られている。

【帰還者】
 大地母神の司祭であるマリク・ポストは大地母神の力を借りてアレクラストに帰還したという。
 ベルダインに付いた後、遠征隊と関係する者に状況を伝え、託されたものを渡した。
 リカルド・ハディス王にも謁見し、状況を報告した。「探索」号の悲劇によって、遠征隊が帰還する望みがないことを知らされたとき、リカルド王は落胆したが、横に控えていた宰相カイリル・ギューゼルバーンの王にも勝る嘆きは目に余るものがあったという。
 これを機にベルダイン宮廷では、以後十数年、混沌の地遠征に関する話題は語られることは無く、残念ながら記録も散逸している。
 ちなみに、マリク・ポストはその後、冒険者としてアレクラストを旅し、その間に「帰還者の手記」を書き上げている。


5.ベルダイン領11人目の子供(イレブンス・チャイルド)の現状

 以上の情報から鑑みると、ベルダイン領11人目の子供(イレブンス・チャイルド)は原住民の協力を得ることが出来、苦しい状況ながら安定を得つつあるようである。
 また、現在のベルダイン領11人目の子供(イレブンス・チャイルド)における人口は現地人の一員となったエイク・ギューゼルバーンを除き27名になっていると推測される。



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