〜謁見〜
10の月6番目の日
王城の門はいつも閉められている。城の中に入るには門番に用件を話さなければなら
ない。
当然だが、普通の家と違って城には簡単には登れない城壁という物がある。そこの垣
根を乗り越えて、というわけには行かないのだ。
城門では門番に誰に何の用があるのか、一々聞かれる。普通の国では、前もって連絡
しておかなければ入ることは出来ないのだが、この国は比較的自由なので確認が取れれ
ば入れてもらえるとのことであった。冒険者の店の主人から預かっている、上級騎士の
紹介状があるので、まあ大丈夫だろう。
城に入るのは3度目だ。一介の駆け出し冒険者に過ぎない私としては多い方だろう。
まあ、過去二回は街でごたごたを起こして捕まったからなので、ちゃんとした手続きを
とって入るのは初めてなのだが。
従者に連れられて城の中を歩く。きょろきょろしていては不審がられる。なるべく堂
々としていよう。と思うのだが、好奇心の強い私はいろいろと物を見てしまう。通路の
壁に掛けられた絵は高いのだろうかとか、石張りの床はよく掃除されているなとか。
私の通った通路は来客専用の通路だったようだ。緩やかに曲がった通路を出たり入っ
たりしたので方向感覚がおかしくなる。部外者には内部の事情を悟られないようにして
いるのだろう。連れられて入った上級騎士の私室はお世辞にも通路ほどにはきれいとは
言えない。
残念ながらその気持ちが顔に出てしまったようだ。騎士の依頼を受けることは出来な
かった。何でも、人捜しだったらしいが、相手は隠れるのが得意らしい。顔に気持ちが
出るようではだめだと判断したのだろう。ああ、宿で待っている仲間になんと言い訳を
しようか。
迷ってこんなことを書いていても仕方ない。宿に帰ろう。