〜寺院での治療〜
4の月1番目の日
怪我はそのままでは治らない。私は寺院に行った。いつものように行列が出来ていた。
信者の寄付で建てられたという30人ばかり入れる大きな待合室にも入れずに、私は
外で待った。
暖かくなってきたとはいえ、寒くなる日もある。傷持ちの人間が待つには、かなりつ
らい、冷たい風が吹いた。
寺院での治療にはそれなりの寄付が必要だ。だが、その価値はある。普通ならば治る
のに何ヶ月もかかる怪我が、神の奇跡では一瞬にして治すことが出来る。
奇跡を用いることの出来る司祭がいない田舎に行くときのことを考えると、ぞっとす
る。
周りを見ると、私と同類の冒険者らしき者もいるにはいるが2,3人というところだ。
最近は多くの司祭が冒険者と共に活動しているという。そのせいで寺院に来る冒険者は
少ないのかも知れない。
その他の多くはちょっとは生活に余裕のありそうな町の市民だ。蓄えのある人間でな
いとなかなか寺院の寄付は払えない。
野菜とかの作物を持ってきている農民らしき者も見かける。作物を銀貨や宝石に換え
てから寄付を納めるよりも、そのまま持っていった方が価値が高いのだろう。若い頃に
家の手伝いをさぼっていた私には詳しいことは分からないが。