〜我が家〜
9の月14番目の日
昨日の宴会でまだ頭が痛い。私は朝まで飲んで酔いつぶれていたところを家に連れて
こられたそうだ。久しぶりに母に叱られた。今年は例年より豊作だったとかで村には余
裕があるらしい。喜ばしいことだ。
久しぶりの我が家は案外変わっていなかった。草葺きの屋根。ちょっとゆがんだ玄関
のドア。灰色のれんがを積んだ頑丈な作り。祖母の父の代に建てられたというから、も
うかれこれ100年近いのかもしれない。この村では100年近く前の大災害から大き
な災害や戦乱は起きていないと言うから。
私が冒険者になる、と言ったときの母の顔は忘れられない。食い扶持を減らすためと
家計の足しになると思って、たびたび行商人の手伝いなどをしていた。町との往復の繰
り返し。意識して死んだ目をしていた。誰も冒険者に憧れているとは夢にも思っていな
かっただろう。
私の顔を見たらどんな顔をするだろうか、と思っていたが、喜んでくれた。わずかば
かりの成功だが、おみやげも持って帰ることが出来た。この宝石を使えば、もうちょっ
と暮らしも楽になるだろう。私が出ていくちょっと前には、その日食べるので精一杯だ
ったのだから。
9の月15番目の日
今日は村も落ち着いている。収穫の季節はまだ終わっていない。宴会をしている暇な
ど本当はないのだ。まあ、私もそれを分かっていてその時期に帰ってきたということも
あるのであるが。
今日から、家の手伝いをすることにした。今まで、心配をかけた、せめてもの罪滅ぼ
しのつもりだ。何度も叱られてかえって邪魔になっているような気もしたが、まあ、ち
ょっとは親孝行になっているだろう。
9の月16番目の日
今日は、畑作業も手伝った。久しぶりなので、勝手が分からずにとまどったが、だん
だん思い出した。水やり、草取り、子供の頃はとても大変だった。とても懐かしかった。
9の月17番目の日
果物の収穫の手伝いをした。子供の頃はあんなに嫌がっていたのだが、なかなか面白
いものだと思ってしまった。