〜富豪〜
2の月11番目の日
早速、朝から、富豪に会いに行った。
富豪の家は、新市街にあった。庭に泳げるほどの大きな池がある。家は2階建てにな
っていて、屋根は鮮やかで上品な赤い色に塗られており、壁は白、全ての窓にガラスが
張ってあった。
富豪の部屋までは執事が取り次いだ。大きな音を立てるな、とか、鎧の汚れは富豪に
会うまでに拭き取っておけとか、細かい注意をきつい口調で山ほどされた。
富豪の体はかなり衰弱していたが、言葉などはしっかりしていた。言葉使いは執事に
比べると、びっくりするほど柔らかかったが、言葉の端々から、修羅場をくぐってきた
と思わせる迫力が感じられた。
富豪は我々のことを依頼を受けてきた冒険者だと聞くと、目を少し輝かせた。
料理の話を聞かされた。町から1日ほど離れた小さな村でその富豪は昔、白い鹿の料
理を食べたとのことだった。
仕事が決まった祝いということで飲んでいた昨日の酒場でも、白い鹿の料理の話は、
結構、有名で3人に一人は知っているほどだった。ただ、その村に行かないと食べられ
ない、ということは誰に聞いても一致していた。
病気の富豪をその村につれていくことは出来ないのだから、その村に行って、何とか
その料理を取ってくるしかない。私たちは富豪の家を出てすぐに、その村に向かった。