世界の始まり
ここはアレクラスト大陸の一地方。旅の賢者が子供に囲まれて質問責めにあっている。
「・・・それでどうしてそうなっているの?どうして!」
「うーん、わかった。わかった。はじめから話してあげるから静かに聞くんだよ。」
「わかったー!」
「この世界が出来る前にはね、大きな大きな巨人が一人だけ居たんだ。
その巨人はずーっと一人で暮らしていた。
・・うーん、暮らしていたっていうのもちょっと違うな。
巨人は完全な存在だったから、『偉大なる一つ』とも呼ばれているんだ。
だからその巨人は何もせずに過ごせていたんだな。
おなかも減らないから食べ物も食べなかったし、息もする必要がなかった。
巨人の他には何もなかったから何もできなかったっていうのが本当だけどね」
「それじゃ、巨人さんはつまんなくて寂しかったんじゃないの」
「そうなんだ。巨人は何もしないで永遠の時を過ごしているうちに
孤独感が募ってきた。寂しくなった。
何で一人で居るんだろうとその境遇に怒りを感じたんだ。
そして、その思いは一度生まれると、何をしても収まらなくて、
逆にどんどん膨れてきた。
どんどん、どんどん、寂しく、悲しく、そして怒った。
最後には巨人はその思いに耐えきれずに死んでしまうんだ。
巨人が最後に吐いたため息は風になった。
巨人の怒りは火になった。
流した血と涙は水になり、
残して冷えた体は土になった。
全てのものは巨人から生まれた。
巨人の頭からは知識の神ラーダさまが生まれた。
胴体からは大地母神マーファさまが、
聖なる左手からは至高神ファリスさまが、
悪なる右手からは暗黒神ファラリスが、
素早い巨人の左足からは幸運の神チャ・ザさまが
猛き巨人の右足からは戦いの神マイリーさまがそれぞれ生まれた
といわれているんだ。
それから、他にも沢山の神さまがいろんな部分から生まれている。
神さまの他にも、生まれたものはいる。
巨人の怒りの火でも燃え尽きない鱗からは、無数の竜どもが生まれているし、
巨人の全身の毛はやがて一つにまとまって、
大きな幹となり世界樹という樹になったんだ。
わかったかな」
「、、、ふーん、よくわかんないや」