目の良い神さまの話
木のまばらに生えた丘陵地帯
「、、、見つけた。あそこ」
「あいかわらずお前は獲物を見つけるのが早いな。さすが山育ち」
「えへへ。だけど、早くしないと逃げちゃうよ」
「大丈夫。任せとけよ。あんまり焦ると返ってだめだ」
「そうだよ。あとはオレたちが追いかける」
「それで捕まえる」
「今日はごちそうだね」
「そうなると良いな。それもこれからのがんばり次第だ」
「オレたちのな」
「ごめん。僕の足が遅くって。弓も下手だし、足手まといだね」
「いいって。その代わし、その目で今だって役立った。
、、、お前、そんなこと言うなよ」
「うん、悪い、ごめん。あっ獲物が動いたぞ。気付かれたか」
「いや、そうじゃないな。まだ、大丈夫だ。慎重に行くぞ」
「そーっと近づいて、弓を、射る。よしっ、当たった」
「だが、しとめ損ねたか。次を撃って、今度こそ。うっはずした」
「やばい、こっちに向かってくるぞ。奴には余力がある」
「早い!」
「こっちに来たー。うわっ、目が、目が、」
「大丈夫か」
「痛いよー。」
「ちょっと我慢しろ。こいつを仕留めたらすぐ行く」
「大丈夫だ、気をしっかり持て」
・・・
薬師の家にて
「やっと寝付いたか」
「かなり暴れておったな」
「そりゃそうだ。自分の唯一の長所が目だってこと、
こいつ自身が一番良く知ってるんだ」
「で、どうなんだ。治りそうなのか」
「こりゃ、わしの手には負えん」
「か、簡単に言うなよ。なんとかしてくれよ。
こいつ、この目だけが頼りなんだ」
「始源の巨人の瞳は一つだったという話もある」
「そんな関係ないこと、今言われても」
「巨人の中でも最強の物は一つ目であろ。そこからの類推じゃな」
「何でそんな話をするんだ」
「まあ、瞳から生まれた神が一柱しかおらんちゅうのもあるでな。」
「そんな気休めは良いから本当に何とかならないのか。」
「話は聞いておくものじゃ」
「なんか関係があるのか。本当に気休めにしか聞こえん」
「この坊主の目は片目でもよく見えるはずじゃ。
、、神の力が備わっておるでな」
「それ、本当なのか」
「恐らくな。山の方にはそういう能力を持つ部族がいる。
この坊主山から下りてきたんじゃろ」
「だからといって。このままじゃ、こいつ立ち直れねぇぞ。
こんな傷が残ればオレだって弱気になっちまう」
「直す方法は全くないのか」
「高位の司祭に頼めば何とかなるかも知れんが、、」
「本当か」
「そんなに高位の司祭はそうはいないし、
それに、ほとんど会ってもくれんぞ」
「そんなの探してみないとわからないじゃないか。ありがとう。」
「そうだ、こいつにとってはその希望こそが重要かも知れないんだからな」
「感謝されることではないぞ。目は治せないのだからな」
「こいつの傷が癒えたらすぐに探しに行くぞ」
「おう、また燃えてきたぜ」