女神に捧げる歌の話
大きな神殿にて。
かの神が決して望まぬ自然ならざる戦いは始まった。
いずこからともなく破壊の女神現れ、大いなるマーファに鎌を振った。
名も知らぬ竜王が三匹、大地母神に味方した。
暗黒神から竜王が五匹、破壊の女神に遣わされた。
竜達は戦い、そして互いに死んでいった。
女神達は直接に向き合った。
破壊の女神は憎しみを以て大地母神を斬った。
大いなる女神は慈愛を以て破壊の心と相対した。
破壊の狂気は子が親を疎ましく思う気持ちに似ていた。
親は見ず知らずの子を諭すことは出来なかった。
全てを腐らせる忌まわしい手を以て、かのカーディスは大地を汚した。
それを良しとせず大いなるマーファはその御身にて防いだ。
大地母神は凍てついた山の上に立ち、祈った。
その御身は忌まわしき力によって、大地に還ろうとしていた。
破壊の神は他を破壊する宿命が故に自らは倒れることがなかった。
幾度と無く傷ついても倒れることの無い破壊の女神は、
大地母神の祈りの意味を知らず、その力を受け入れた。
今度も破壊の女神は倒れなかった。
慈愛の力は破壊の女神の体を石に変えた。
邪悪なる力は石と化した後も大地に浸み出した。
大いなる母神は御身を顧みず大地を守った。
最後の魔力以て御自らの立つ地を北の大陸から混沌なる海によって分け、
かのカーディスが立つ地をさらに切り離した。
大いなる女神は我等の地に眠る。温かく横たわる。
限りない抱擁をもって我等を見守って下さる。
我等が自然に健やかに暮らすことを。
歌は終わり、女性の司祭が話し出す。
「斯くして、大いなるマーファはこの地にて大地に還り
邪悪なるカーディスはかの暗黒の地にて石となりました。
暗黒の地は切り離され、浄化の時を待っています。
そして、今でも、女神達の戦いは続いているのです・・」
帰り際、信者たちは賛美歌の感想を漏らす。
「でも、あの歌、なんか理屈っぽいよな。
何でも、どこかの魔術師さんが作ったっていう話だからなるほどだよ。・・」
・・