どっちつかずの神さまの話
いかにも雨の降りそうな曇天の日、ある音楽堂にて
「みなさまお待たせいたしました。今日は、ちょっと変わった趣向でございます」
・・・・・
灰色のコウモリの翼を付けた道化が舞台下手からびくびくきょろきょろしながら出てくる
「ついに戦いが始まっちまった。どちらに付こう。黒か白か。白か黒か。
おいらは空飛ぶ鼠の神ラナディー。両方の味方。両方に恩がある」
遠くの方から爆音
「あ〜あ、やってる、やってる。すごい火だ。上へ下への大騒ぎだな。
人間どもに魔神ども、妖精どもに妖魔ども、有りとあらゆる魔獣も居るぞ。
さて、戦況はどちらが有利かな。
っと、やっぱり先に仕掛けたファラリスの方が優勢かな」
今度は近くで爆音
「痛てててて。うわ、竜どもめ、なんてことしやがる。
おいらの家がめちゃくちゃじゃないか。
あれは、ファラリスに従う闇の竜。自由と混沌の竜王たちだな」
「早く加勢に来ないか」
舞台上手から怒鳴り声
「げっ、ファラリス神。どこかで見てるのかな
早く行かないと、まずいかな」
柔らかな光が当たり、道化は元気を回復する
「怪我が治った。家も直った」
「ラナディーよ。法に従って生きるが良いぞ」
舞台下手から優しくそして強い声
「ははー(平身低頭)、ファリス神が治して下さったのか。
ありがたい、ありがたい、ありがたいけど、何で」
「世界に秩序を戻すため、全ての神を守ることにした」
「それは大変なことで。」
「だが、もうそちには力が及ばない。こちらに来て共に戦うが良い」
「ははー、といきたい所なんですがね。加勢しても力になれるかどうか」
上手から爆音
「うわっ。ファラリスの軍勢が押し寄せて来たー。
ファラリス神は、っと。で、でけぇ、魔神の獣に乗ってらっしゃる」
「加勢に来ないとは、お前も敵だ」
「そんな〜、ちょっとくらい待って下さいよ〜」
もう一度、今度は下手から爆音
「ちょ、ちょっと〜 うわ、こっちからはファリスの軍勢が〜。
光っていて綺麗だなぁ。、、なんて言っている場合じゃない〜」
「早く加勢に来んか」
上手から怒鳴り声
「もう、守り切れぬ。仕方がない」
下手から
「ど、ど、ど、ど、どっち。」
爆音(連続)
「うわ〜〜〜」
最後に一番大きな爆音と共に道化が客席の方に飛ばされる
天井を見ると道化が逆さでぶら下がり、そこに明かりが当たっている
「こりゃ、もう逃げるしかねぇや。ほな、さいなら〜」
道化は羽根を羽ばたかせて客席後ろの入り口へ飛んで行く
・・・・・
ロビーにて
「今日の舞台はなかなか面白かったんじゃありませんこと?」
「そうだな。前回に比べれば独創性の面で格段の差だ。」
「そうそう、あの道化役の役者の特徴をうまく引き出していますわ」
「前回の舞台はこのための前置きだったのだな」
「魔法も効果的に使っていましたわね」
「まあ、神々の大戦を彷彿させるには足りんが」
「直接神様達の戦いの様子は描けないということかも知れませんわね」
「とにかく、今回の舞台は合格点だ。雨空のせいで客の入りは悪かったがな」
「この調子で続いて、お客が来ると良いですわね」