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封じの神さまの話

山岳地帯にて4人の一行が道を進んでいる

〜〜〜

「本当にこちらに混沌は逃げてきたのか?」

「ああ、間違いない。悟りの兄弟、確かだよな。」

「ええ、確かです。足跡もこっちに向かっているのでしょう?」

「ソウダ。」

「鸚鵡の声にはいつまでたっても慣れないな。」


「混沌を追う必要はあるのだろうか?」

「何を突然に。」

「そこの呪術師によれば、この世は混沌の海に浮かぶ葉っぱのような物なのだろう」

「部族の長老からはそう聞いています」

「混沌から見ればわたしたちの方が異質なわけだ」

「そんな物の見方はないぞ。混沌は我々にとって害になる。
我々は自分が生きることを考えねばならぬ」

「あなたは混沌を認めることは一切出来ないというのか。」

「んー、そういえばあんたは胡蝶の民だったな」

「ええ、」

「ユメニイキルゲンソウノタミダ」

「鸚鵡はだまってな。何の話をしていたのだったか?
ああそうだ、混沌の是非の話だったな」

「ええ、」

「しょうがない。オレたちの部族に伝わる話を聞かせてやろう」

「部族の話?」

「ああ。むかし、神が人間の姿だったころの話だ」

「話は世界の創世直後までさかのぼるのでしょう?」

「ああ、そうだ」

〜〜〜

神は、混沌の中からこの世界を創り出した。
しかし、世界が出来てからすぐ、混沌はこの世界に入り込み始めた。
オレたちから見ればこの世界は広いが、そこの呪術師の言うように、
混沌の大海に比較すればちっぽけなものでしかないのだろう。
だから、いろいろなところから、すぐに混沌は入り込んでくる。

初めのうち、神々は魔法などの力で混沌を押さえ込んでいた。
しかし、混沌の中には普通の魔法ではどうにもならないものもいるんだな。
そんなとき、ウルスは封印という力を見いだしたんだ。
混沌の攻撃からこの世界を守るために、
ウルスは危険な混沌を見つけては封印を繰り返した。

混沌界を含めた世界全体にとって、混沌の方がより本質的だ、というのは事実だ。
そういう混沌の侵入を防ぐためには、彼らを忘却の彼方へ送るしかない場合が多かった。
胡蝶の民はよく知っているだろうが、混沌界は人の心に直接繋がっている。
だから、記憶の欠片が心に残っていれば、いつでも混沌は心を通ってこの世に顕れ出る。
最も危険な混沌は完全に忘却するしか防ぐ方法はない。
それは今でも昔でも変わらないんだ。

ウルスは世界を守るため、封印を続けた。
世界には無数の危機が訪れた。
ウルスは無数の混沌を心の水晶球に捕らえ、
この世界から忘却の彼方へ追い出した。
無数の危機は無数の封印によって忘れ去られた。

封印とは心の底にある混沌界への扉を開いて、
混沌界の奥底の忘却の彼方へ送り込む作業だ。
そして、混沌界への心の扉を開くためには眠ることが必要だ。
だから、ずっと、ウルスはほとんどの時間を眠ったまま過ごしていた。
そのため、神々の間で、ウルス本人も半分忘れ去られた存在となった。
神々の間に論争が起こり、戦いが始まろうとしたときにも、
ウルスは混沌を抱えて眠っていた。

その混沌はやがて封印し終えた。
目覚めたとき、戦いは収拾がつかないところまで進んでいた。
そのとき、やっと一柱の神フェネスが思い出したんだ。
ウルスという封印を扱う神がいたことを。
それで、ウルスはフェネスと一緒に南の大陸まで逃げ出したというわけさ。
もし、戦いの初期にウルスが起きていたなら、
戦いの火種を封印して戦いを終わらせていただろうな。

封印した混沌は忘れ去られる。
だから、オレたちが世界を守るために混沌を封印しても誰も覚えちゃいない。
それはオレたちの部族に課せられた宿命なんだ。
誰にも知られないところで世界を守ることを誇りにもしている。

しかし、だからこそ、オレたちのやっていることに
けちを付けられることは許せねぇんだ。

〜〜〜

「あなたの言いたいことはわかった」

「なら、いいだろ、早く混沌を追うぞ。暗くなってきた」

「だが、混沌を封印していいものかどうか、もっと、迷うことになった」

「何なんだよ。ごちゃごちゃとうるせえ奴だな」

「封印とはそのものの存在をなくすことを意味するのだろう」

「ソノヨウダ」

「だったら、もっと慎重に考えねばならん」

「タシカニ」

「忘れなくては倒せない怪物もいるだろうが、
そうでない怪物は普通に倒した方がよい」

「何故だ」

「知識が無くなります。知識がなければよりよく生きれません」

「それもあるが、忘却の彼方に混沌を押し込めていると
さらなる巨大な混沌を呼び寄せることになりかねない」

「そんなことがある訳無い」

「いや、実際、その気配があるような気がしてならないのだ。
あっ、そっちの方で何か動いたぞ」

「ドコダ、クラクテワカラン」

「そっちの方だ。火トカゲの力を発するものが動いている」

「『・・・粘つく糸と網になりて絡みつけ!』よし、かかりました」

「仕方ない、この混沌は封印を使わず、剣で倒すことにしよう」

〜〜〜

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