
第2巻
挿絵 みきこさん♪
「夢みる小猫」
人は誰しも夢をもって生きてるものである。
野球選手になりたい、歌手になりたい、アメリカンドリームで
ぱつきんがウハウハ(?)とまぁ、夢の大きさは様々だけれど
とにかく夢は誰もがもってるものである。
人の夢にケチをつけるわけではないのだだが、この物語の
主人公ここあの夢はあまりにも壮大(なのか?)だった。
松茸になりたいなんて・・・
「♪まったけ〜まったけ〜のこのこき〜のこ〜♪」
怪しげな鼻歌を謡ながらここあは参道を歩いていた。
ここは彼女の住んでいた国、きのこ王国から半日ほど
歩いた場所にあるエナーリ参道。簡単ではあるが舗装もされていて
きのこ王国と他国を結ぶ主要道だ。道の両脇にには雑木林が
広がっていてさまざまな昆虫が生息していて、ときおりここあの
顔の前を虫たちが横切っていく。
「虫いっぱいだぁ〜かぶと虫取れるかなぁ?(・3・)」
当初の旅の目的を忘れているっぽいここあは、小さな頭を
しきりに回転させて辺りの木を丹念に調べはじめた。
「オオクワガタいないかなぁ。いっぱい捕まえたら
高値で売ってお金持ちになっちゃうようふぅ(・3・)」
もはや松茸になりたいという歪んだ夢は頭の中から消え去って
いるようだ。
しばらく昆虫採集に夢中になっていると、ここあの耳の後ろで
普通の人間のものと比べるとあきらかに小さくてか細い声がした。
「ねぇねぇ君、何してるの?」
その声は確かにここあに向けて発せられていた。が・・・
「あ!!かぶと虫発見!!(・0・)」
当のここあは夏の虫捕り少年よろしく昆虫採集に夢中でまったく
気づいていないご様子。声の主はコホンと咳払いをひとつすると
再びここあに語りかけてきた。
「ね、ねぇここで何している?君は旅人?」
「おぁ〜!メスのかぶと虫もいるぅ〜〜(>w<)」
「ね、ねぇったら・・・」
「どしよ〜!オスとメス両方見つけちったわ〜〜い☆
繁殖させて売りまくっていっぱいお金持ち〜(>w<)/」
ここあよ・・・。ついに声の主は堪忍袋の緒が切れたか
ここあの耳元でありったけの声をふりしぼった。
「ちょ、ちょっと聞いてるの!?無視しないでよ!!」
さすがに耳元で叫ばれてはたまらないない。ここあは体を
ビクッっと反応させると声のする方へ振り返った。
そこには体長5cmほどの小さな体で、背中には透明で虹色の
綺麗な羽をはやした人型の生き物が、手を腰にあてプリプリした
表情でフワフワと宙に浮いていた。

「!!!新種の虫!?ここあが見つけたからここあ虫って
名前ついちゃうかも!(・w・)」
確かに虫に見えなくもないがそれはないだろうここあよ。
その生き物は虫と呼ばれたのが気に入らなかったのか
無視されたのがむかついたのかかなりご立腹なようである。
「あたしを無視するなんていい度胸じゃない。」
「無視してたんじゃないよ、虫してたんだよ(・3・)/」
ギャグなのか?天然なのか?ここあの返事にその生き物は
額に浮き出た青筋をさらに濃くさせた。
ここあは初めて見たようだが、この生き物はエルビーと
呼ばれており、この辺りではわりと珍しくない生き物である。
妖精科に属しており、かわいい容姿とは裏腹にいたづら好きで
参道を通る旅人達に<ちょっかいを出しては喜ぶ厄介者だ。
「あんたここでなにしてたの?どこいくの?どこからきたの?
あんた旅人?旅のもくてきは?」
やっとかまってもらえたとばかりにエルビーは次々に質問を
ぶつけてきた。
「えとえと、うちはここあって名前できのこ王国からきて
かぶと虫捕まえてお金持ちに・・・あ、違うや。んと、
立派な松茸になりたくて旅をしてるんだよ(・3・)」
本来の目的を思い出したかここあよ。よかった。
「松茸になる?あんた頭おかしいの?松茸になってどうするの?
ホイル焼にでもなる気?」
うむ、松茸になりたいなんて言われたら誰もがそう思うだろう。
が、ここあはいたって真剣である。
「違うよぅ、ここあは松茸になって・・・えーと、とにかく
松茸は高級だからここあは高級になりたいの(・3・)」
高級になってどうするここあよ。
「ふ〜ん・・・で、どうやって松茸になるつもり?」
そうである。勢いで旅立ったはいいが、ここあはどうやって
松茸になるつもりなのだろう。世の中なりたいものになれるほど
甘くはない。核心をついたエルビーの質問にここあが答える。
「だから松茸になる方法を探して旅をしてるんだよ(・3・)」
「・・・ねね、あたしが松茸になる方法教えてあげよっか?」
エルビーは不適な笑みを浮かべて言った。なにか企んでいるのは
まちがいない。
「ほんと!?でもカブト虫捕まえてからね(・3・)r」
まだ探してたのかここあよ。
「かぶと虫なんてどうでもいいのよ!あのね、この先に
分かれ道があってそこを右に進むと大きな街に出るの。
そこへ行けば松茸になれる方法わかるかもしれないよ」
そう言うとエルビーは再び怪しげな笑みを浮かべた。
「ほほほ本当!?ありがと!さっそく行ってみるね!(>w<)
わ〜〜い♪まったけまったけばびゅ〜〜ん!!」
エルビーの言葉が終わるやいなや、ここあは本気の犬くらいの
スピードで駆け出した。
「あ!ちょっ・・・もう見えなくなっちゃった。まぁいいわ
次の街で身ぐるみ剥されるといいわぁ〜おーほっほっほっ!」
そういうキャラだったのかエルビーよ。
かくしてここあは馬鹿正直っぷりをいかんなく発揮し、言われる
ままに次の街目指して走り出したのである。
キャットタウン。主に猫人属が住むマシュドリーム南西の街。
貧富の差が激しく、貴族達が午後のティータイムを
楽しむ一方、少し裏路地に目を向けると貧しい平民達が今日食べる
物を求めて物乞いや窃盗、恐喝をする姿が目に入る。
旅人達はこの街を天国と地獄と称し、立ち寄ることはまず無い。
が、ここに一人、そんな現代のソドムを鼻歌まじりでかっぽする
一人の小さな旅人がいた。
「なっれるっかな〜素敵〜なまったけ〜になっれるっかな〜♪」
天然おきらくばかばかきの子ここあである。
この娘にキャットタウンの貧困問題について訪ねても無駄だろう
だってばかだから。
ここあが街の中をうろついていると、キャットタウン名物
(名物という言い方は不適切か)ロストチルドレンが集まってきた。
ロストチルドレンとは住む家も家族も失った子供達を指す言葉である。
彼らの手にはおよそゴミとしか言えないようなものが握られていた。
まだ仕事に就ける年齢に満たない子供の多くは、それらを売って
わずかな食費にするしか生きるすべがないのである。
「ねぇ、これ買ってよ・・・パンを買いたいんだ・・・」
次々にここあの前に差し出されるのは吸いかけのタバコや
ジュースの空きビン、珍しい形ではあるがただの石ころなど、
なんの役にも立ちそうにない物ばかりだった。
「え、ここあそんなのいらないようぅ(・3・;)」
残念ながら世の中皆平等なんていう言葉は嘘である。不平等は
確実に存在し、これからも消える事は無いだろう。
ここあは無数の手を振り切ると、細い裏路地へ逃げ込んだ。
「ふぃ〜まいったまいった〜<(・3・;)」
額の汗を拭いながらここあは道なりに路地をすすんでいった。
両脇を今にも崩れ落ちそうな古い建物に囲まれたその路地は、
差し込む光もまばらで薄暗くじめじめと蒸し暑い。辺りには
いつから捨てられてあるのだろう、元が何だったのかも解らないほど
腐敗したゴミが散乱し悪臭を放ち、ネズミやゴキブリなどが
駆け回っている。
「くさばっちぃ所だなぁ〜掃除しないのかなぁ(・3・;)」
ここあは鼻をつまみながらゆっくりと、踏んではいけないものを
踏まないように慎重に進んでいった。
と、ふいにここあの耳になにやら泣き声らしき音が聞こえてきた。
その音につられるように近づいていくと、音は次第に鮮明になっていき
それが人の声であることがわかった。
「腹へったにゃー!ぺこぺこにゃー!パンくれにゃー!」
ここあはさらに近づいていく。やがて声の主の姿がはっきりと見えてきた。
路地の片隅にダンボールを敷き、その上にちょこんと座って
しきりに物乞いをする猫人族の少女がいた。
歳はここあと同じくらいだろうか、顔は黒ずみ着ているものはおよそ
服とは呼べないボロボロの布切れだ。おそらくこの少女も
ロストチルドレンだろう。
少女は自分に近づいてくるここあに気がつくと、いっそう声を
張り上げて物乞いをはじめた。
「おまえ旅人かにゃ?なら食い物もってるにゃー!よこせにゃー!
身包み置いてけにゃーー!」
ずいぶんと態度のでかい物乞いである。ここあは少女の前までくると
足を止めた。
「およよ?ここでなにしてるの?お腹すいてるの?(・3・)」
ここあは不思議そうにたずねた。
「そうにゃー!腹ぺこにゃー!なんかよこせにゃー!」
「しょうがないな〜んじゃフルーツラムネ分けてあげるね(・3・)」
そう言うとここあはポケットに手を入れて、中からラムネを
取り出して少女の前に差し出した。
「・・・お前ばかにゃ?こんなもんでお腹いっぱいになるわけ
ないにゃ!パンとかラーメンとかもってないのかにゃ!!」
さすがにラーメンは持ってないだろう。せっかくあげた自分の好物に
ケチをつけられてさすがのここあも少々ムカっときたようだ。
「ここあお菓子しかもってねぃもん!(>w<)なによー!
せっかくあげたのにぃ〜いらないならいいもん!(>ε<)/」
そう言うとここあは再びラムネをポケットにしまおうとした。
それを見た少女は慌てて言い返す。
「あわぁー嘘にゃ!ラムネ大好きにゃ!だからくださいにゃー!」
ここあはラムネを少女にあげた。

どれくらい経っただろう、ラムネとはいえ久しぶりに食べ物を口に
することができた猫人の少女は、手についたラムネの残り粉を
ペロペロと舐め続けている。それを横で見ていたここあが不思議そうに
質問してみた。
「ねぇねぇ、ここでなにしてるの?おとん&おかんは??
お家はどこなのぉ?(・3・)」
普通の旅人ならこの少女を一目見ればロストチルドレンだとわかる。
だからこんなわかりきった質問をすることはまず無い。
少女は思いがけない問いかけに、手をなめるのをやめここあの顔を
ギロっと睨んで答えた。
「おまえアホにゃ?家なんてあるわけにゃいにゃ。パパもママも
いにゃいにゃ!姫は捨て猫にゃー!」
「姫?(・3・)」
少女の口から出た姫という単語にここあは反応する。
「姫ってなぁに?君のお名前?(・3・)」
「そうにゃ!姫は姫にゃ!捨て猫姫にゃ!そういうお前は何者にゃ?
ここでなにしてるにゃ??」
今度は姫と名のる少女が聞き返した。
「んと・・・ここあはきの子だよ☆松茸になりたくて旅をしてるの。
ここにくればなれるって聞いたんだけどぉ(・3・)」
(・・・こいつバカにゃ!本物のバカにゃ!!)
何度も言うが、普通の人が松茸になりたいなんて聞いたら姫と
同じ事を思うだろう。だがいたってここあは真剣である。
ここあは言葉を続けた。
「ねぇねぇ姫〜姫は松茸になれる方法しってる〜?(・3・)」
それを聞いた姫は呆れた表情を浮かべて答えた。
「へん!そんなの知ってるわけにゃいな!もし知ってても
教えにゃいにゃ!あっちいけばかー。」
「えーどうしてー??(・3・)」
姫はかすかに表情を曇らせて語り始めた。
「だいたいお前、松茸になってどうするにゃ?なにかするのかにゃ?」
「んと・・・ここあはきの子だから、きのこの王様の松茸に
なりたいの(・3・)」
「・・・将来の夢ってやつかにゃ。へ!うらやましいですにゃ!
夢なんてのは裕福なやつらの道楽にゃ!姫たちみたいな貧乏人は
今日生きてゆくだけで精一杯にゃ!明日のことなんて考えたって
お腹はいっぱいにはならにゃいにゃー!」
たしかにそうかもしれない。世の中には夢を持つことすらできない、
持っていても叶えることのできない子供達が数多くいる。それは
大人の理不尽な都合のせいだったり、戦争のせいだったり生まれた
環境のせいだったりする。それはここマシュドリームでも同じだった。
しかしそれを聞いていたここあは不思議そうに尋ねた。
「えー?お金なんか無くったって夢はみれるよ〜だって夢は
タダだもん。姫はなりたいものとかないのん?(・3・)」
「ふん、そんなのあるわけ無いにゃ!姫はパンが欲しいだけにゃ!」
即座に否定する姫にここあが続けざまに質問を浴びせる。
「うそだ〜無いわけないよぅ教えてー教えてー(>w<)」
「な、無いったら無いにゃ・・・あってもなれないにゃ・・・」
姫の口調が急に弱々しくなった。さっきまでの勢いは消え、
どこかもの悲しい表情を浮かべている。そんな姫の様子を見ていた
ここあは、姫の足元に何かがあるのを見つけた。
「およ?それなになに?・・・おわぁ姫が描いたの??
上手ぅ〜〜(・0・)」
見ると悪臭を放つ路地の地面にいたずら描き、いや、いたずら描き
と言うにはもったいないほどの絵が描かれていた。
「ち、違うにゃ!これは・・・その・・・えとえと・・・」
姫は慌てて足でその絵を消すと口ごもってしまった。明らかに
姫が描いたことはおバカのここあでもすぐにわかった。
「姫は絵を描くのが好きなんだぁ〜。ここあはお菓子を
食べるのが好きだよ(・3・)/」
お菓子と絵にどんな関係があるんだここあよ。
「・・・姫・・・・になりたいにゃ」
「え?なになに?聞こえないよぅ<(・3・)」
今にも消え去りそうな姫の言葉にここあは耳を傾けた。すると姫は
何かが吹っ切れたように喋り始めた。
「姫は・・・姫は絵描きさんになりたいにゃ!!でも、でも
なれないにゃ!姫は貧乏だから・・・紙とか筆買えないし、
捨て猫だし・・・とにかく絵描きさんなんて無理にゃ!!!」
姫の告白を黙って聞いていたここあが答える。
「貧乏だからとか捨て猫だからとか関係ないよぅ〜。それに
紙なんか無くてもこんな素敵な絵を描いてるじゃ〜ん(・3・)」
姫はうつむいたまま聞いている。
「なりたいと思わなければなれないけど、なろうと思えば
なれちゃうかもしれないよぅ〜(・0・)/」
なんともストレートな表現だろう。例えという言葉を知らないの
だろうか?それを聞いた姫が口を開いた。
「ここあは・・・ここあは本当に松茸になれると思ってる
にょか?」
「思ってるよ〜ってゆかなっちゃうね絶対!(>w<)」
「・・・・・・・・」
いったいどこから来ているのかまったく不明なここあの自信を
聞いた姫は、何かを考え込んでいるようだった。
ここあは言葉を続ける。
「じゃさじゃさ、ここあが松茸になるついでに、姫も
絵描きさんになっちゃおうよ!(・0・)/」
「え!?ついで!?!?どゆことにゃ??」
ここあの突然の提案に姫は困惑している。
「だ〜か〜ら〜、一緒に旅して松茸になる方法と絵描きさんに
なる方法を探すんだよぅ(・3・)」
「一緒にって・・・姫も旅にでるって事にゃ!?」
「そそ!ついでにお菓子もいっぱい食べようよ〜(^3^)」
だからお菓子は関係ない。姫が慌てて答える。
「た、旅なんて無理にゃ!姫この街から出たことないにゃ!」
「じゃぁ姫は一生こんな所で捨て猫やるつもり?(・3・)」
「そ、それは・・・イヤにゃ・・・」
「じゃ決まり!はりきって行ってみよ〜〜!(^0^)」
そう言うと突然ここあは姫の腕をつかんで走り出しす。
薄暗い裏路地に姫の絶叫がこだました。
「ぎゃーーーー!ま、待つにゃーーーいきなりすぎるにゃー!
あ〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜・・・・・・・・・・・・・・」
こうしてここあの旅は新たなパーティをなかば強制的に加え、
さらに過激(?)になっていくのでした。
はてさてこの二人、無事に夢を叶えることがえきるのでしょうか?
3巻に・・・続いちゃう!(>x<)