第4巻

挿絵 みきこさんと姫♪


「1歩前進2歩後退」


  澄んだ空にパーンパーンと花火がなった。今日は
 姫と画材店店主の息子とのお絵かきバトルの日。
  決戦までの3日間、店主が用意した宿に
 宿泊していたここあと姫は、会場となるバイヤード
 央広場にきて言葉を失った。広場入り口には
 でかでかと「第一回バイヤードお絵かきバトル!」と
 書かれた看板が掲げられ、辺りにはどこから
 聞きつけたのか露天商が軒を連ねている。観客は
 数百人をゆうに超えており、芝生の上にゴザを敷いた
 家族連れの姿があちこちに見えた。




   「あのバカちん店長こんなに派手にしちってんもぉ〜
  もぐもぐ(・3・)」
 ここあは半ば呆れた様子だが手にはしっかりとポップコーンが
 握られている。一方姫はというと、すっかり辺りの雰囲気に
 のまれてしまっているようだ。
 「こ、こここここあ〜人が多すぎるにゃ〜・・・」
 確かに多い。おそらく負けるなど微塵も思っていない
 画材店店主が、我が息子の絶好のデビューイベントに
 もってこいとばかりに宣伝しまくったのだろう。
  そうこうしていると、二人のもとへいやらしいあごヒゲを
 たくわえた男が近づいてきた。画材店店主だ。
 「おやおや、逃げ出したかと思ったよククク」
 この男はとことん性格が悪い。いきなりのイヤミにここあが
 すかさず反撃する。
 「素敵なステージをご用意してくださって感激ですわ
  おじさま。姫の絵を世に知らしめるいい
  機会ですものうふふぅ(π3π)」
 おおう言ったれ言たったれ。
 「ちっ、口だけは達者なガキだ。まぁいい・・・
  向こうに控え室があるから開始時間までそこで
  準備してな!」
 そう言うと店主は肩で風を切りながら人ごみの中へと
 消えていった。
 「んじゃ行こっか姫(・3・)」
 「う、うん・・・」
 二人は控え室へと向かった。

  会場の設営はほぼ終わり、司会担当と思われる男が
 マイクテストをおこなっている。
  ここあと姫は会場の片隅に設けられた即席の控え室で
 開始時間を待っていた。ここあは椅子に腰をかけて、
 地面に届いていない足をプラプラさせながらビスケットを
 食べている。一方主役の姫はというと・・・
 「・・・・・・・・・・・・・・・」
 顔を硬直させ、一言も発することなくただただじっと
 している。よく見れば小さな身体をガタガタと小刻みに
 震わしていた。極度に緊張しているようだ。
  その様子に気づいたここあが話し掛ける。
 「およよ?姫どうしたべさ。お腹へったの?
  ビスケット食べる(・ε・)」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 今の姫の耳には何も聞こえていないようすだった。
 時間が迫ってくるのと比例して身体の振るえが大きくなる。
 「んもぉ〜しょうがないなぁ(・3<)」
 見かねたここあは何をしようとゆうのか、姫の顔の前に
 人差し指を差し出すと、ぐるぐると円を描くようにして
 ぶつぶつとつぶやき始めた。
 「姫〜姫〜姫は天才絵描きさんだよ〜天才だよぅ〜
  お客さんはみんな姫の絵が見たくて来たんだよぅ〜
  天才天才〜姫は天才ぐるぐるぐる〜(@3@)/」
 催眠術のつもりかここあよ。そんな子供だましに
 引っかかるわけが・・・・



   「・・・ククク、クックック、あはははははっはっは〜!
  っふ、そうにゃ!姫は天才にゃ!!天才絵描きさんにゃ!
  昔はよく新聞に神童現る!って書かれたもんさー!
  負けるわけがねぃ!姫の独壇場にゃーー!!!!」
 姫よ・・・・。
  そんな二人のもとへ係員がやってきた。どうやら
 時間のようだ。ここあと姫は控え室を後にした。
 「姫は天才にゃーーーー!あはははははははははは!」

 「レディ〜スエ〜ンドジェントルメ〜ン!ただ今より、
  第一回バイヤードお絵かきバトルを開始しまーす!」
 滑舌のよい声が広場に響き渡り、お客さん立ちが
 特設ステージ前に設けられたベンチに集まりだす。
 ファンファーレが鳴り響き、鳩が舞う。
 「それではさっそく出場者に登場してもらいましょー!」
 司会の言葉を合図にステージ両脇のカーテンが開き、
 店主とその息子、ここあと姫がそれぞれ姿を現した・・・と
 同時に突然、姫はステージ中央に踊り出ると、司会の
 持っていたマイクを奪い取り、観客に向かって
 マイクアピールを始めだした。
 「元気ですかー!?」
 お前は猪木か。
 「今日は姫の絵を見に来てくれてべりーさんきゅぅにゃー!
  姫きっと描いちゃうね!みんなの心を癒してしまう
  素敵な絵をね!だからみんな・・・姫の生き様、最後まで
  見届けてくれにゃーーーーおーいえー!!!」
 まだここあの催眠術らしきものが効いているようだ。それを
 聞いていた観客立ちは、最初はあっけにとられていたものの、
 最後にはスタンディングオベーション状態になってしまった。
 うむ、こういう時は目立った者勝ちではある。
 それを見ていたここあが思わず声をあげた。
 「姫かっけぇ〜〜!(>0<)」
 おいおい、君のせいだろう。
 「へっ!目立ちゃいいってもんじゃねぇんだよ!」
 すっかり脇役になってしまった店主がくやしそうな表情で
 つぶやいた。

 「それではルールの説明をしまーす!制限時間は2時間。
  ジャンルは自由で、5人の審査員がそれぞれ20点づつ
  持った、最高100点満点の採点方式でーす!」
 審査員席には名のある美術家や評論家達が顔を並べている。
 「なお、本大会で使用される画材は大会主催者の
  画材店様よりご提供いただいたものでーす!」
 たちまち店主の表情が誇らしげになった。
 「それでは出場者の方、準備はよろしいですか??」
 その言葉を聞いて店主の息子がキャンパスに身構える。
 一方姫は・・・。
 「っふ、白き紙よ。お前を俺色に染めてやるぜ」
 だれだおまえは。キャラ変わってるよ。
 「それではスタートーーーーーーー!!!」
 いよいよ戦いの火蓋が切っておとされたのであった。

  店主の息子の手が軽やかに踊り、白いキャンパスに
 次々に美しい流線を描いてゆく。さすがは画材店の息子
 だけのことはある。
  だが姫も負けてはいない、ここあ催眠術のおかげで
 今や気分はゴッホ、あるいはピカソといったところか、
 軽快な筆さばきを見せて・・・見せているはずなのだが・・・。
  姫はキャンパスを前にただじっとしたまま動こうとしない。
 それどころか、表情は催眠術をかけられる前の
 弱弱しいものに戻っており、よく見れば油汗を流していた。
  姫の異変に気づいたここあはそっと近づいて語りかけた。
 「お?どうしたの姫?時間なくなってまうよ(?3?)」
 姫が震えた声で答える。
 「うぅ、描けないにゃ〜・・・ひ、姫こんないっぱい道具
  使ったこと無いにゃ〜どう描けばよいか解らにゃいにゃ・・」
 なるほど、確かに姫は今まで画材と呼べるものを使った事が
 無い。例えるなら一度に大量のおもちゃを与えられてどれで
 遊ぼうか迷ってしまっている子供のような感じだ。
  それを聞いたここあが当たり前のように答えた。
 「なんだぁそんなことか〜。ここあおしっこにでも行きたく
  なっちゃったのかと思ったよう。んとね姫。姫の頭の
  中に浮かんだものをそのままの色でそのまま描けば
  いいんだよぅ。簡単簡単(^3^)〜♪」
 本当に簡単なアドバイスだなここあよ。しかし姫には
 効果があったようだ。
 「頭ん中をそのまま・・・う、うん、姫やってみるにゃ!」
 そう言うと姫はぎこちないながらもキャンパスに線を
 引き始めた。

  人が絵を描いているのを見てるだけというのは意外に
 退屈なようで、ここあはステージの端っこであくびをしながら
 眺めている。
  10分、20分と時間が過ぎてゆく。会場には二人の絵の
 進行を黙って見守る観客の妙な空気と、シュッシュという筆の音
 だけが響く。
  と、退屈の限界に達したのか、ここあはゆっくり立ち上がると
 ステージ脇で進行台本をチェックしていた司会者の所へ
 近づいていった。
 「おじちゃんおじちゃん(・3・)」
 突然声をかけられた司会の男性が驚いた様子で振り返ると、
 ここあが洋服の裾をちょいちょいと引っ張っていた。
 「どうしたんだいお嬢ちゃん?」
 「あのね、ここあ暇で暇でしょうがねぃの。だからここあも
  お絵かきしていい?(・ε・)」
 突然の申し出に司会者があせる。
 「あ、いや・・・これは試合だから・・・その、ダメかな」
 「え〜なんでぇ!?ここあもお絵かきしてぃよぅ〜!
  いいじゃんいいじゃんいいじゃ〜〜ん!(>ε<;)」
 趣旨をまったく理解していないここあに司会者は困り果てた
 様子だ。
 「我々は〜断固としてお絵かきを要求する〜(・3・)」
 我々ってあと誰だここあ。
  がんとして引こうとしないここあに司会者はついに折れ、
 胸のポケットからメモ用紙とエンピツを渡した。
 「じゃ、じゃぁこれあげるから向こうで描いてね、はは・・・」
 「おわぁ〜いやった〜!なに描いてしまおうかなぁ(>w<)」
 念願の遊び道具を手に入れたここあは嬉しそうにステージ端まで
 もどると、エンピツをグーで握って何かを描き始めた。
  こうして急遽大会出場者は3人になったのである(お。

  ステージ横に設置された時計が残り時間を示している。
 「さぁいよいよ残り時間10秒!・・・7・・・4・・・
  3・・・2・・・1・・・終了〜そこまで〜〜!!!」
 司会者の合図とともに姫と店主の息子が筆をおいた。
 「ふぅ〜ここあもなんとか間に合ったよ〜<(・ε・;)」
 君はべつに間に合わなくてもよろしい。
  一方姫は疲れ切った様子で天を仰いでいる。
 「さぁいよいよ採点の方にまいりたいと思います!まずは・・・」
 「はいはいはい!ここあの絵から見てみて〜!(>0<)/」
 司会の言葉が終わらないうちにここあが手を上げた。
 「な、なんでここあが参加してるかにゃ?」
 まぁ・・・そのなんだ・・・気にするな姫。
 「じゃ、じゃぁまずこちらのお譲ちゃんの絵からね、は、はは」
 「じゃーーん!\(>Д<)/」
 ここあが自分の絵(らしきもの)を高々と掲げた。
 「え〜と、こ、これは・・・雪だるまに戦いを挑む
  芋虫かな?きっとそうだね・・・う、うまい!」
 確かに二つの大きな白い物体に何かごちゃごちゃしたものが
 張り付いているその絵は司会者の形容が正しい。
 「ち、違ぇいもん!でっかいケーキにかぶりつく
  ここあだもん!ばかー(>σ<)」
 「は、あはは・・・じゃ、じゃぁ採点の方お願いします・・・」
 0点、0点、0点、0点、−2点、合計ー2点。
 「マイナスがーん!Σ(+ε+;)」
 うむ、どうやら審査員はまともらしい。
 「では気を取り直して〜画材店の息子さんの絵を見てみましょう」
 店主の息子が誇らしげに自分の絵を掲げ、それと同時に観客から
 感嘆の声が溢れる。
  鮮やかなコントラストに彩られたその絵は、一目見て
 バイヤードの街並みだと解る。絵の中の人物は生き生きと
 商売に精を出し、今にも客を呼び込む声が聞こえてきそうだ。
 「う、うまいにゃ〜〜」
 敵ながら見事な描写に姫がため息をついた。
 「それでは採点をお願いします!」
 18点、19点、19点、20点、19点、合計95点
 「おーっと出ましたー!20点満点がでましたー!!」
 少年は自分の点数にさも当然のような表情を浮かべて
 少しの嬉しさも覗かせない。
 「さぁ次はこちらの姫さんの絵です!どーぞ!!」
 姫は顔を真っ赤に紅潮させながら、自分の精一杯の絵を
 少し控えめに掲げた。
  太陽が頭の真上から少しづつ傾き始めていた。

  夕焼けが空を茜色に染めている。辺りには観客が残していった
 ゴミなどが散らばり、祭りの後を思わせる。
  ここあと姫は広場の片隅にある噴水の縁に腰を下ろして、
 ただただ染まり行く天を仰いでいた。
  どのくらいそうしていただろう。ここあが静かに口を開いた。
 「姫の絵素敵なのになぁ〜(=ε=)」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・」
 姫は黙って聞いている
 「ここあは姫の絵の方が断然好きだよ。ラムネとどっちが
  いい?って聞かれたら死ぬほど迷っちゃうけど、
  やっぱここあは姫の絵の方が・・・(・3・)」
 「もういいにゃ!!」
 ここあの言葉を遮って、姫が声を張り上げた。
 「こうなるのは最初から解ってたにゃ!姫は捨て猫だもん!
  捨て猫の絵なんかみんな見たいわけにゃいもん!
  捨て猫が絵描きさんなんかになれるわけにゃいんだもん!!」
 広場を清掃していた人々が姫の叫び声に次々と振り返った。
 姫は唇をかみ締めて、流れ落ちてくる涙を必死にこらえようと
 している。
 「姫〜・・・みんなが見たくなくてもここあ姫の絵
  見たいよ〜(・ε・;)」
 「うるさいばかー!どうせここあも姫が絵描きさんに
  なれるなんて思ってにゃいにゃ!!姫が貧乏で哀れだから
  しかたなく連れてきただけじゃにゃいのか!?」
 「・・・・・・・・・・・ち、違うもん・・・ここあ
  ただ姫も一緒に夢を叶えられたら素敵だなって思った
  だけだもん・・・・・・うっう・・・(TεT)」
 そう言うと今度はここあが泣き出してしまった。二人の間に
 冷たい沈黙が流れ続けた。

 太陽が地平線へと姿を消そうとしている。二人の間の沈黙は、
 いつ終わるかわからない夜の闇のように続いていた。
  と、そこへ一人の老婆がおぼつかない足取りで
 近づいてきた。腰は曲がり、杖を持たねば歩くのもやっとだ。
 老婆は二人の前までやってくると静かに尋ねてきた。
 「あんの〜すまないんだけど〜あんたさっき試合に出てた
  子だねぇ?ちょっとその絵を見せてもらえんじゃろか?」
 思いがけない老婆のお願いに、姫が沈黙をやぶる。
 「なんにゃ!ばぁちゃんも姫の絵をバカにしにきたかにゃ!?
  いいにゃ!見ればいいにゃ!とことんけなせばいいにゃ!」
 そういうと姫は持っていた絵を老婆の前に投げ捨てた。
 「あらあら、大切な絵をそんなふうに扱っちゃだめだよ」
 そう言って老婆は絵を拾い上げると、やさしい顔つきで
 しげしげと眺め始めた。




  キャンバスに描かれていたのは二人の旅人。一人は猫の
 耳を生やしぼろぼろの服をきている。もう一人はピンクの
 かわいらしい洋服に身を包み、頭にはおおきなぽんぽんの
 ついたきのこ帽子をかぶっていた。姫とここあだ。
 「あんたどうしてこの絵を描こうと思ったんだい?」
 老婆が問い掛ける。
 「な、なんにゃいきなり・・・ふん、姫はずっと汚い路地裏で
  生活してたにゃ。いつもゴミとかネズミとか見てたにゃ。
  でもここあと旅するようになってから、いろんな綺麗な
  ものとか、素敵なものいっぱい見たにゃ。」
 なかば投げやりな姫の言葉を老婆はうんうんとうなずきながら
 聞いている。
 「姫とっても楽しかったにゃ。もっといろんなもの見ようと
  思ったにゃ・・・でももう旅は終わりにゃ!!
  キャットタウンに戻ってまた捨て猫やるにゃ!姫には
  それがお似合いにゃ!!!」
 それを聞いたここあがギクっと顔をあげた。だが何も
 言おうとはせず、ただ悲しそうな表情で姫を見つめている。
  老婆はしばらく黙ったあと、思いがけない事を口にした。
 「この絵をあたしに売ってもらえんかね〜」
 「!!!」
 姫が反応する
 「なに言ってるかにゃ!そんな絵買ってどうするにゃ!?
  そんなつまんない絵・・・わかった!トイレットペーパに
  するつもりにゃ!」
 「ほっほっほ。つまんないなんてとんでもないよ。愉快で
  楽しい絵じゃないか。見ててウキウキしてくるよぅ」
 そう言って老婆はしわくちゃの顔をニカっとして見せた。
 「嘘にゃ・・・そんなわけにゃいにゃ・・・」
 姫の口調はさっきよりも弱弱しくなっている。
 「嘘じゃないよ。画材店の息子の絵もうまいけど、
  あたしにはちぃとばかり難しくてねぇ。あんたの絵は
  まだまだ荒削りだけど、もっともっと見てみたくなる
  絵だよ。」
 「うん!ここあもそれが言いたかったの!おばぁちゃん
  もっともっと言って言って(>3<)/」
 黙って二人のやりとりを聞いていたここあが目をキラキラ
 させて叫んだ。
 姫の表情から憤慨が消えているような気がした。
 「ほ、本当かにゃ?・・・嘘だったらはらわた引きずり
  だすにょ!?」
 殺人だ姫よ。
 「ほっほっほ、ばばぁは嘘つくのが苦手なんじゃよ子猫ちゃん
  だからこの絵は貰っていくよ」
 老婆はポケットから一握りの金貨をそっと姫に手渡すと、
 絵を大事そうに抱えてふたたびよたよた歩き出した。
 「おまえさんならきっと素敵な絵描きさんになれるよ。
  あきらめずにがんばるんだよぉ」
 老婆はそう言い残して二人の前から立ち去っていった。
 姫は金貨をギュっと握り締めたまま呆然と立ちすくしている。
  と、ここあが突然姫の肩をバシっと叩いて叫んだ。
 「やったね姫!姫の絵売れちったよぅ!すんげぃ〜〜!!
  これで姫も絵描きさんの仲間入りだね!(^3^)」
 「え??姫が絵描きさん???」
 「そうだよう、絵描きさんは絵を売ってご飯食べるんだよぅ。
  姫は絵を売ってお金げっちゅしたからもう立派な
  絵描きさんだよう〜!(^〜^)」
 ここあの言葉に姫が戸惑う。
 「ひ、姫・・・絵描きさんになれたにょか???姫の絵・・
  褒められたにょか???」
 「うんうん(^3^)」
 しばらく沈黙した後、姫が声をあげる。
 「姫、姫絵描きさんになれちった!!ど、どしよ〜〜」
 姫はさっきまでの表情とうって変わって顔中に嬉しさと
 喜びをにじませている。万人に受けなくてもいい。
 だれか一人でも喜んでくれるならそれは素敵な絵では
 ないだろうか。

  夜の広場で抱き合いながらくるくる回り続けている
 姫とここあ。他人が見たらさぞ怪しい光景だろう。だが
 今の二人は周りの目などお構いなしだ。
  と、ここあは突然まじめななると、おどおどしながら
 姫に聞いた。
 「あの・・・姫。さっき言った事・・・旅はもう終わりって・・・
  本当?(?3?;)」
 姫がすかさず答える。
 「なに言ってるにゃここあ!姫は絵描きさんになっちったけど
  まだまだ半人前にゃ!一人前になるまで旅は続けるにゃ!
  こんどは姫がここあの夢が叶うのを見る番にゃー!!!」
 すっかり忘れていた。そう、この度の目的はそもそも
 ここあが松茸になることだったはずだ。それを思い出した
 ここあが元気に叫ぶ。
 「よぉ〜し!この調子でとっとと松茸になってまお!(>w<)」
 「おおうにゃ!」
 二人は意気投合し、ここあの夢に向かって驀進する・・・
 はずだった。はずだったのだが、姫がふと何かに気づいて
 ここあに尋ねた。
 「あれ?ここあ、帽子についてたぽんぽんどこやったにゃ?」
 「ほぇ?<(・3・)>」
 ここあは手を頭にやって、確認してみる。
 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 ここあの表情がみるみる青ざめていく
 きのこ帽子のてっぺんにあるはずの物、あって当然だった物、
 ぽんぽんがそこには無かった。
 「ぽんぽんが・・・・・無い!!!!!!!!Σ(+□+;)」
 ここあはその場で氷つく。
  ぽんぽんの無いきのこ帽子が寂しそうに夜風に
  揺れていた・・・。



        5巻で僕と握手!(>3<)