あの日の青空のように
私は知っていたから・・・お兄ちゃんが無理しているの。
ずっと自分の事責めてるの、・・・知ってたから。
だから私は、お兄ちゃんのそばにいてあげようって決めたの。
お兄ちゃんが悲しまないように、・・・
「お兄ちゃん朝だよ」
ベッドで寝ているお兄ちゃんに声をかける、最初は慣れなかったけど、
最近はだいぶなれて来たと思う。
お兄ちゃんが起きたのを確認したら下に降りる。
3年前からずっと変わらない日常、
「おはよう」
制服に着替えたお兄ちゃんが降りてきた。
「お兄ちゃん今日は和食だよ」
「そうか」
お兄ちゃんはけだるそうに返事をすると席に座った。
「いただきます」
「今日で最後だね」
「ああそうだな」
「やっぱり行っちゃうんだね」
「一度決めたことだからな」
「そうだよね」
「奈緒、どうかしたのか」
「うん何でもない」
「そうかならいいけど」
「それより早くごはん食べよう」
「そうだな」
ご飯を食べ始める。・・・お兄ちゃんの転校が決まってから
あんまり会話がない気がする。・・・話さなきゃいけない事は
たくさんあるのに。
ご飯を食べ終わって時計を見ると、時計は8時を過ぎていた。
それを見た私たちは慌てて家を出る。
「間に合うか」
「ぎりぎりセーフ、何とか間に合うかも。」
何とか間に合った私は途中でお兄ちゃんと別れて
自分のクラスにむかった。
終業式の間もずっとお兄ちゃんのことを考えていた
あの日の出来事、自分を責め続けるお兄ちゃん。
・・・もうあの頃には戻れないのかな?
気が付いたら終業式は終っていた。
教室に戻り通信簿をもらう。
「橘さん、橘さん」
「真緒、呼ばれてるわよ。」
「え!あ、ありがとう」
親友の夏穂に言われ慌ててもらいにいく。
通信簿をもらい席に戻った、後は冬休みの注意や3学期の始業式
の日程など、先生の簡単な話でホームルームは終った。
ホームルームが終ると夏穂と藍が話し掛けてきた。
「ちょっと、どうしたのよ深刻な顔して」
「いつものまーちゃんらしくないよ」
「うん、ちょっとね」
私は曖昧に答え、外を見る、冬を迎えた空は
今にも雪が降りそうだった。
「相沢先輩のことでしょ」
「え、何で分かるの」
「あんたね、何年親友やってると思うの、4年よ、4年、
そんだけ親友やってれば、それぐらいわかるわよ。」
「何か、あるんでしょ?」
「・・・」
「私達でよければ相談に乗るわよ」
「言いたい事、はっきり言ったほうがすっきりするよ」
「2人とも」
私は、2人にお兄ちゃんの事を話そうと思った。・・・・
「あのね、お兄ちゃんが行っちゃうまえに言いたいことがあるの」
「私、両親が死んだとき、お兄ちゃんがそばにいてくれたから。
『今までよりもっともっとお兄ちゃんになるんだよって』
って言ってくれたとき、私とてもうれしかった」
「だから私お兄ちゃんのそばにいてあげようって決めたの。」
「お兄ちゃんの力に少しでもなりたいって思ったの。」
「あの日、お兄ちゃんが一番辛かったとき」
「私、決めたのお兄ちゃんの力になろうって」
「お兄ちゃんが、由梨ちゃんの事引きずらないように」
「お兄ちゃんが幸せになれるように」
「なのに私・・・」
「うぅ・・・」
なぜか、気が付いたら泣いていた。
「え、あ、ど、どうしよう」
真緒が泣いた事で動揺する藍
「ほら泣かないの、」
夏穂の声に促され話し始める。
「お兄ちゃんの力になれなかった」
「お兄ちゃんが無理してるの知ってたのに。」
「私何にも出来なかった。」
言い終わると、私は夏穂の胸に顔をうずめて泣いた
心配そうに藍が覗き込む
「確かに、あんなことがあったのに、引きずるなって言うほうが無理だけど。」
「でも、先輩言ってたんでしょ、私の事引きずらないでって」
「そうだけど。」
夏穂は、私の両肩をつかみ、じっと私の目を見つめて言った。
「先輩が側にいてくれたとき、まーちゃんどうだったの」
「うれしかったんでしょ、心強かったんでしょ」
「う、うん」
「だったら、今度はまーちゃんが先輩の側に居てあげなきゃ。」
「いい、側にいてあげられることって、とても大事ことだと思うの。」
「楽しいとき、うれしいとき、悲しいときも、」
「側にいてあげられることって、なかなかできるものじゃないわ。」
「私、側に居なきゃ、分からない事ってあると思うんだ」
「真緒は、それがわかったんでしょ」
「うん」
「だったら、それで十分じゃない」
「そうかな。」
「そうよ、自信持ちなさい。」
「わかった?」
「うん。」
「まーちゃん、ファイトだよ」
「先輩に言いたいことあるんでしょ?」
「早く言ったほうがいいわよ、急がないと先輩帰っちゃうかも
知れないわよ。」
「そ、そうだね。」
「2人ともありがとー、今度何かおごるから。」
「チョコレイトパフェじゃないと嫌だからね」
「期待しないでまってるから」
「私ったらなにやってるんだか?」
「ライバルの手助けするなんて。」
「でも、ほっとけないんだよね」
2人に言われて吹っ切れた私は、藍とわかれた後、私はお兄ちゃんの
教室に向かった。
教室の前までダッシュできた私は、
ドアの前で『ふー』とひとつ大きく息を吸うと、思いっきりドアを開けた。
・・・そこには誰もいなかった。
「お兄ちゃん帰っちゃったのかな?」
「いつもなら待っててくれるのに」
お兄ちゃんがいないのが分かるといっきに不安なる。
「家に帰ってからでも遅くないよね」
そう自分に言い聞かせると教室を出た。
帰り道、自然と足は遅くなる。
お兄ちゃんどうしたんだろう?
用事があるときは一声かけてくれるのに。
それとも、私にいえない用事でもあるのかな?
「ただいま」
「あれ家にも帰ってないんだ。」
自分の部屋に戻りカバンを置き、ベッドに横になる。
「言わなきゃいけないのに・・・」
『何してんのよ、祐一に言いたいことがあるんでしょ。』
頭の中で聞き覚えのある声がした。
私は、慌ててあたりを見渡す。
誰もいない。
「由梨ちゃん?・・・」
『そうよ、祐一に言いたいことがあるんでしょう』
「うん」
『だったら急ぎなさいよ、』
「でも」
『自分で決めたんでしょ』
『だったら最後まで諦めないの、いい』
「うん」
「でも由梨ちゃん、・・・」
お兄ちゃんの事恨んでないの?」
『なんで、私が祐一の事恨まなきゃならないのよ?』
「だって、お兄ちゃんが、友達と話してなきゃ由梨ちゃん
死なずにすんだんだよ。」
『別にいいわよ、結局は私の不注意が原因だし』
『それよりも、その事を引きずって祐一が幸せになれないほうがよっぽど嫌よ』
『だから、お願い祐一に教えてあげて。』
『いつまでも過ぎたことを悔やむより、明日の幸せを
考えるべきだって』
『私との約束忘れないでねって』
「でも、私には・・・」
『真緒しかいないんだから』
『今の祐一の力になって上げられる人って』
『だからお願い』
「うんわかった」
『祐一なら私のお墓にいるから。』
「ありがとう由梨ちゃん」
私は、由梨ちゃんに言われて、急いで由梨ちゃんのお墓にむかった。
「ハアーハアー」
雪が降り出し、あたり一面を銀世界に変えてく。
その中を必死に走る私。
「ハーハー」
赤信号でいったん止まり息を整える。
待ってる時間がもどかしい。
信号が変わると同時に走り出す。
もうどれぐらい走ったんだろう。
しばらく走ってると、由梨ちゃんのお墓が見えてきた。
「ハーハー、やっぱりここにいた。」
お兄ちゃんも私に気付いたらしく、
私のほうを振り返った。
「どうしてここだって分かったんだ」
・・・一瞬間の後、私ははっきり答えた。
「由梨ちゃんが教えてくれたの」
不思議そうな顔をするお兄ちゃん。
「由梨ちゃんの事引きずってるの?」
「何でそんな事聞くんだ」
お兄ちゃんは、さっきより強い口調で言ってきた。
「だって、お兄ちゃんが無理してるの知ってたから。」
「自分のこと責めてるの知ってたから。」
「由梨ちゃん言ってたよ、いつまでも過ぎたことを悔やむより、明日の幸せを考えるべきだって。」
「だからお願いいつまでも自分を責めないで。」
「私でよければいつでも側にいてあげるから。」
「うーうー」
どうしても涙が溢れて来る。
「楽しいときも、悲しいときも、雨の日も、今日みたいな雪の日も」
「ずっと側にいてあげるから。」
「だからお願い、いつまでも自分を責めないで。」
気が付いたらお兄ちゃんの胸で泣いていた
お兄ちゃんは私の涙を優しく拭ってくれる。
「バカだよな、過去に縛られて、こんなちかくに俺の事を想ってってくれてる人がいるって気付かなかったなんて。」
少しの沈黙・・・でも悪くない気がする。
「由梨の言いたかった事ってこう言う事だったのか」
「由梨は、自分の他にも俺の事を、想い、心配してくれてる人がいること
を知っていたのか、だから俺に由梨の事をひきずるなっていったのか。」
「今ごろ気付くなんてな・・・」
いつのまにか雪はやんでいた。
「こうのって遅い速いじゃないから。」
「それに、わたしも由梨ちゃんに言われるまで気付か無かったことだし。」
「そうだな」
お兄ちゃんは私を離すと、由梨ちゃんのお墓に向かって話し掛けた。
「ありがとうな、由梨」
「ふうー」
こっちを向いたお兄ちゃんの顔は笑顔だったので少し安心した。
「そろそろ帰ろうか。」
「そうだな」
帰り道あんまり会話は無かったけど、側にいられるだけで十分だった
「腕くむか?」
お兄ちゃんの言葉に、どうしていいのか分からずただオロオロする私。
「え・あ・でも・・・」
「早くしろよ腕くみたいんだろ?」
「うん」
お兄ちゃんが、そんな事言うとは思わなかった。
お兄ちゃん・・・優しいんだね、
お兄ちゃんと腕を組んだ私は。
なんだか恋人みたいで少しドキドキしてしまった
「なんだか恋人みたいだね」
私が言うと、
「そ、そんな風に見えるか?」
「顔を真っ赤にして否定した」
私でよければ、いつでもそばにいてあげるからね。
雪が止み、夕日が優しく2人を照らしていた。
「ただいま」
「ただいま」
「おかえり」
目の前には由梨ちゃんがいた。
「由梨、どうしてお前がここに?」
「実はね、神様が私にチャンスをくれたの。」
「チャンス?」
私にはチャンスが何なのかなんとなくわかった。
「真緒が祐一に自分の気持ちを伝えられるように手伝えたら
人間界への蘇生を許可するって神様が言ってくれたのよ。」
「ってことは、これからずっと一緒にいられるのか。」
とってもうれしそうなお兄ちゃん。
私はちょっと複雑だったけど。
うれしそうなお兄ちゃんの顔を見てると、
私もうれしかった。
「やる事は他にもあるんだけどね。」
「あ、そっか」
私は由梨ちゃんが言いたいことが分かった、
「私、先いってるね。」
「真緒どこ行くんだよ」
まだよく分かってないお兄ちゃんが私を呼び止めるけど、
それを無視して家の奥はいった。
「私まだ言ってなかったわよね?」
「ふー、やっぱ緊張するわね。」
「はやくしろよ。」
「急かさないでよね、緊張するでしょ」
「私・・・祐一に言ってなかったわよね」
「だからなんだよ。」
「・・・すきだって」
「・・・ふー、ようやく言えた。」
「・・・そんな事だったのか」
「祐一にとってはそんな事でもって、ちょ、ちょっと祐一泣かないでよね」
「男の子でしょ、泣きたいのは私のほうなんだから」
「だって由梨が帰ってくるなんて思わなかったから」
「これからはずっと側にいてくれるんだろ。」
「当たり前でしょ、何のため戻ってきたと思ってるのよ」
「由梨」
「祐一」
「ふー、そろそろ行かない、真緒も待ってることだし」
「そうだな、そろそろ行くか。」
「祐一は自分の部屋にいて」
「真緒の面倒は私が見るから。」
「悪いな、面倒かけて。」
「気にしないで、私にも責任あるから」
気が付いたら自分の部屋で泣いてた、
由梨ちゃんが戻ってきてうれしいはずなのに
お兄ちゃんが由梨ちゃんの事好きなのも知ってるのに。
どうして?・・・
どうして心からお祝いできないの。
・・・もうあの頃には戻れないから?
自分の気持ちに気付いてしまったから?
「由梨ちゃん」
気が付いたら目の前に由梨ちゃんがいた。
「真緒ありがとうね。」
ただ見てる事しか、側にいる事しか出来なかったのに。
夕日が沈み、外は暗闇が支配しようとしていた。
「どういうこと?」
小さな声でつぶやくように聞いた。
「私がこうして生き返れたのも真緒のお陰だもの」
「お礼言うのはどうぜんじゃない?」
生き返れたのは、由梨ちゃんがんばったから
私、何もしてないのに・・・。
「私、何もしてないよ、それに」
「それに・・・、もうあの頃には戻れないんだよ」
「お兄ちゃんの側にいられるだけでよかったあの頃には。」
どうしても涙が止まらネい、そんな私を由梨ちゃんは
優しく、包んでくれる。
「そうね、そうかも知れないわね、」
「でも、戻ることが出来ないなら、また1からはじめればいいのよ」
「無理だよ、あのころとは違うんだよ。」
「・・・3年は長すぎたんだよ」
「いいじゃない変わったって、私は、真緒が祐一の事好だって気持ちを
尊重してあげたいだけなんだから」
「だ・か・ら!真緒、私に遠慮しないの、いい」
「私から祐一を取るぐらいの気持ちじゃないと駄目よ、いい」
由梨ちゃんに言われてすきりした気がする。
「いい、今日から真緒と私はライバルだからね」
「うん、分かった」
「そうと決まったら泣かないの、」
「真緒は笑ってた方が可愛いんだから」
「うん、ありがとう。」
「そんな気にしないでよね、ただ思ったこと言っただけなんだから」
「ふふ」
「ようやく笑った」
「だって、由梨ちゃんが優しいからうれしくて。」
「そりゃ、色々迷惑かけたからこれぐらいしないとね。」
1からはじめよう、あのころにはもう戻れないけど、
明日は今日より輝いてるはずだから
「やっぱりいくのね」
「ああ、1度決めた事だからな」
「でもすぐ戻ってくるんでしょ」
「まー、やる事やったら、すぐ戻ってくるさ」
「ちゃんと、手紙書くのよ、いい」
「うるさいな、心配すんな、ちゃんと書くから」
「・・・待ってるから」
・ ・・・・7月
約束は10時なのに時計は10時30分を指している
「遅かったわね」
皮肉をこめて聞いてみる
「まー、色々あったからな」
色々と何があったのだろうか?
「家に帰ったらゆっくり聞きましょうか」
「たいして面白くないぞ」
「いいのよ面白くなくたって」
「清清しい青空だよな」
ゆっくりと空を見上げる
あの日と同じ青空が続いていた
キャラクター設定
「祐一は、私がいなくちゃ何も出来ないんだから」
佐倉 由梨
身長168
体重48
B・88 W・52 H・87
好きな食べ物 カレーライス
宝物 祐一に貰ったペンダント
祐一や真緒とは、幼稚園からの幼馴染みで
何かと祐一の世話を焼きたがる
真緒の両親が死んだときは、祐一と両親を
必死に説得した、それ以来真緒の事を
妹のように見ている、
「お兄ちゃん、ずっと側にいてあげるからね」
橘 真緒
身長158
体重44
B・83 W・55 H・83
好きな食べ物 コッペパン
宝物 祐一に買ってもらったクマの人形
両親が死んで祐一の家で引き取られて以来、
祐一や由梨の事慕っている
幼いころ交わした祐一との約束をきにしている