(*)時間の流れが1/2編とずれ、こちらは3話の続きですので、ご了承下さい(_ _)。


「ふあ〜・・・・・・・今何時だ・・・・?」

俺は机から顔を話すと、まだ寝ぼけている目を擦る。

「今は、6時間目が終ったところだぞ?」

雫は後ろ向きに座り直しながら、俺の言葉に反応する。

「サンキュウ、北川。」

「はっ?相沢、何言ってんだ?」

雫は、呆気にとっられたような顔をする。

「えっ?あっ・・・・・・すまん、寝ぼけてた。」

どうやら、寝ぼけて雫と北川を間違えたようだった。

雫と北川・・・・・・どことなく、雰囲気が似てるからな・・・・・・。

北川には悪いが、外見は月とスッポンだがな・・・・。

そう思うと、俺は苦笑した。

「寝ぼけたと思ったら、急に苦笑いなんて、気持ち悪い奴だな。」

そう言って、少し後ずさる。

「何言ってやがる。おまえだって、ホ〇だから一緒だろ?」

「ちが〜〜〜う!!!」

雫は、凄い勢いで俺に詰め寄る。

「相沢、訂正しろ!!」

「まあ、それはいいが・・・・・・・・みんな、見てるぞ?」

「はっ!?」

雫は、みんなの視線に気がつき、慌てて席に座り直す。

「ったく・・・・変なこと言うなよな。」

雫は、声のボリュームを落とす。

「そもそも、最初に言ったのはおまえだろ?」

「ぐっ・・・・・確かに・・・・・。」

そう言って、項垂(うなだ)れる。

しばらくは、このネタ使えそうだな・・・・・。

「並木さん、凄い声でしたね・・・。」

声のした方向を振りむくと、女子の制服がみえた。

「んっ?桜じゃないか?」

「はい、桜ですよ♪♪♪」

愛くるしい笑顔で答える、桜。

「私もいるわよ。」

そう言って、美咲が桜の後ろから顔を出す。

「おまえ達って、身長差あるよな・・・・・。」

ふと思った疑問を口に出す。

「そうだね〜・・・・・みーちゃんの方が7cmも高いんだよ♪」

「7cmか・・・・・。」

そう言って、改めて二人を見る。

う〜ん・・・・・・・やはり、150台と160台の差は大きいな・・・。

「それにしても、珍しいわね・・・・・。並木君があんな声出すなんて・・・・・。」

「うん。5年間同じ学校にいるけど、今まで聞いたこと無かったしね・・・・。」

二人は口々に言うと、雫をじっ・・・、と見る。

辺りを、よく見てみると、桜達だけではなく、他の女子・・・もとい、男共まで見ている。

「雫・・・・おまえ、男にもモテモテだぞ?。」

そう言って、俺が辺りを目線で指し示す。

「誰のせいだ、誰の!!」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」

「はっ!?」

そして雫は、本日二度目の沈黙に入った。

「んっ?・・・・・桜?・・・美咲?。」

俺は呆然と雫と俺を見ている二人の目の前で、手を振ってみた。

「大丈夫か?二人とも・・・・。」

「えっ、ええ・・・・。突然の変貌ぶりに、気を失いかけたわ・・・・・。」

美咲が額の汗を拭う。

「はえ〜・・・・並木さんって、こんな人だったんですね・・・・。」

桜は口調からは想像できないが、しっかり驚いていた。

言っておくが、桜は「こんな人」と言っているが、別に悪意はない。

単純に、自分の思ってたものから外れた、という意味だ。

「そんなに、珍しいのか?」

周りの反応から、雫が普段どんなキャラかは分かるが、とりあえず聞いてみる。

「ええ・・・・。普段は無口で冷静、しかも他の男子ともあまり一緒にいないから・・・・・一匹オオカミって感じかしら・・・・。」

美咲は、思い出すように少し上を向きながら話す。

「それでも、男子からは人気があったから、すごく絵になってたけど・・・・・祐一が来てから、変わったわね・・・・・。」

「はあ〜・・・あまり目立つのは好きじゃないんだよ・・・・・・。」

沈黙を破った雫は、俺を見ながらため息を吐く。

「いいツッコミだったんだが・・・・・・・ハリセンいるか?」

「いるか!!」

そう言って、雫が俺の頭を下敷きで叩く。

「やっぱり、おまえ・・・・・そう言うキャラの方があってるぞ?」

「はあ〜・・・・・俺の負けだ・・・・・。」

そう言って、雫は両手を力無く上げる。

そんな、俺たちのやりとりを見て、桜と美咲が声を揃える。

「「二人とも、お似合いね(ですね)・・・・・・。」」

二人にそう言われ、俺たちはお互いの顔を見あう。

「「・・・・・・・・・・・・・・・はあ〜・・・・・。」」

どうやら、俺の周りには、似たような人間が集まるらしい・・・・・・。

まあ、雫と出会えたのも運命かもな・・・・・・・。

運命・・・・・。

決められたレール・・・・・・。

はずれた線路・・・・・・。

奇跡・・・・・・・・・・・・・。

新たな道・・・・・・・。

8人の少女たち・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・あいつら、元気にやってるだろうか・・・・・・・・・。

俺は、あいつらに何も告げずに来たことを考えたが、石橋2号(以下2号と呼ぶ)が入ってきた為、思考を中断した。

余談だが、俺達4人以外は、2号が入ってくるまで雫の意外な一面から立ち直れなかった・・・・。

 

まるちぶーと!!
第5話 「錯綜する陰謀・・・・・・」(2/2編)

 

「それじゃあ、今日はこれで終わりだ。」

2号がSHRの終わりを告げると、部活に行く者、帰りにどこかへ寄って行こうとする者、デートしようとする者等、それぞれがアフタースクールを楽しむために、散らばっていく。

「さてっと・・・・・雫。おまえ部活は入ってるのか?」

「いや・・・・何も入ってないが?」

雫は鞄を背負いながら答える。

「それじゃあ、一緒に帰らないか?」

「ああ。別にいい・・・・・・・。」

「相沢。今日、放課後空いてるか?」

雫の言葉を遮った声の方向を見ると、2号が見えた。

「特には無いですが・・・・・・?」

そう言うと、二号は俺にプリントを2,3枚渡す。

「このプリントは何ですか?」

プリントには、校舎の内部図が載っていた。

「朝、校舎を案内して欲しいと言っただろう?だから・・・」

そう言って、プリントを指す。

「そう言えば・・・・・・・。」

俺は、頭の底から記憶を引っ張り出す。

「相沢・・・若年性健忘症か?」

雫が、悪戯な笑みを浮かべながら言う。

「大丈夫だ。おまえのことを覚えているからな・・・。」

「なるほど・・・・・おまえ、うまいな。」

俺は冗談で返したのだが・・・・・・・・感心されてもな・・・・・。

「それで、どうするんだ?」

二号は、呆れた顔をしながら俺に尋ねる。

「もちろん、お願いします。」

俺は深々とお辞儀をする。

何事も、最初が肝心だからな・・・・・。

「よし、分かった・・・・・・・・・・・・・・水無月!!」

教室の入り口で、美咲と喋っていた桜を、二号が呼ぶ。

「桜?なんで、桜が呼ばれるんだ?」

俺は首を傾げた。

今は、俺の校舎の案内について話していたのであり、桜は関係ないはずだった。

「何ですか?」

トレードマークの大きなリボンを揺らしながら、桜が石橋二号に訪ねる。

「相沢に校内を案内してやってくれないか?」

「祐一さんの?もちろん良いですよ♪♪」

桜は満面の笑みで、承諾する。

「何で、桜が頼まれるんだ?」

俺は、一人話しについていけず、混乱していた。

「何言ってるんだ?知らなかったのか?水無月さんが、クラス委員だってこと・・・・。」

「知らん・・・・・・・・・まあ、いいけどな・・・・。」

俺は席を立つと、二号の前・・・・・つまり、俺の横に立っている桜に向き直る。

「それじゃあ、桜。案内頼むぞ?」

そう言って、俺は桜の頭を軽く手のひらで叩く。

「うん、よろしくね♪♪」

「祐一、私も一緒に行っていい?」

声の先では、美咲が二つ鞄を持って立っていた。

「別にいいが・・・・その鞄は誰のだ?」

「これは、桜のよ。一緒に帰ろうかと思ってたんだけど・・・・・。」

そう言うと、左手に持っていた鞄を、桜にわたす。

「二人とも、部活は無いのか?」

雫が訪ねる。

確かに・・・・・部活をやっているのなら、そちらに行った方が良い。

校内は・・・・・・・まあ、雫にでも案内して貰えばいい。

俺が桜を見ると、俺の意図が伝わったのかにこっと桜は微笑む。

「大丈夫ですよ。今日は休みですから♪♪」

「私は明日からだから・・・・。」

「そっか・・・・雫ももちろん行くだろ?」

さすがに、女の二人連れは避けたかった。

雫は、それが分かったのか、二つ返事でOKしてくれた。

「それじゃあ、行きましょう♪♪」

桜の元気な声をかわぎりに、俺たちの学校案内が始まった・・・・・。

 

 

「そういえば、桜たちは何部に入ってるんだ?」

校内案内も半分以上終わった頃、3階の教室・・・・高等部1年の教室の廊下を歩きながら、俺は桜たちに聞いた。

「う〜・・・私は・・・・・。」

「私は、陸上部よ。」

何か戸惑っている桜の代わりに、美咲が答える。

「へ〜・・・・運動系だとは思ってたが・・・・陸上部だとはな・・・・・。」

名雪みたいに、引き締まった体型(言っておくが、外から見た感じだからな!!)してるから運動系だとは思っていた。

「それじゃあ、美咲は速いのか?」

陸上部と聞いたら、誰もがする質問をしてみる。

「う〜ん・・・・遅いんじゃないかな・・・?」

口に人差し指を持っていき、少し上を向く。

その姿は、一言でいえば絵になる美人だった。

「どうでもいいが・・・・・・・何故、疑問系なんだ?藤波さんって、確かこの前の大会で、全国大会まで行かなかったか?」

雫が訝しげに聞く。

「全国!?すごいじゃないか!!」

俺は素直に驚いた。

何の競技にしても、全国までいけるのは凄い。

まあ、身近にそう言う人がいないのもあるが・・・・・。

「まあ、この辺では速いだろうけど・・・・・やっぱり、全国レベルではまだまだ遅いわよ。だって・・・・私の憧れてる人はもっと速いのよ♪♪話したことは無いけど・・・・・凄く走ってる姿が綺麗なのよ♪♪♪」

目を輝かせながら、無邪気にはしゃぎまわる美咲。

よほど、その人と陸上が好きなんだろうな・・・・・。

必死に美咲の暴走を止めようとしている雫を見ながら、しみじみ思った。

「桜は知ってるか?美咲の憧れてる人。」

俺は暴走している美咲を置いといて、桜に尋ねる。

聞いたら長くなりそうだし、何より、巻き込まれたくなかった。

雫・・・・・・グッド・ラック♪♪

「みーちゃんの憧れの人?私もお会ったことは無いけど・・・・・名前は聞いたことあったような・・・・・・。」

桜は一生懸命思い出そうとしてるが、俺は、最初から答えを聞くつもりはなかった。

どうせ聞いたって、知らないしな・・・・。

俺は、三人が後をついて来てるのを目の端っこで確認しながら、階段を上ろうと足をかける。

雫が美咲に捕まって、何か話しを聞かされていたのが見えたので、心の中で声援を送っておいた。

「先に行ってるぞ?」

俺は誰にともなくそう言って、階段を上っていく。

ちょうど階段の中腹くらいまで来たときだろうか。

桜が突然大声を出した。

「あっ!!」

「桜、どうかしたのか?」

俺は上ろうとする足を止め、そのまま振り返りながら、桜に尋ねる。

「思い出したの!!憧れの人の名前!!」

何がうれしいのか、体全体を使って喜びを表す。

・・・・・ようは、ピョンピョン跳びはねてるのだが・・・・・。

頭のリボンが、上下に大きく揺れているのが印象的だった。

「そっか、よかったな。」

それだけ言うと、俺は再び上ろうと、体の向きを変えながら、一歩踏みだそうとした・・・・・が、神様は、そう簡単には行かせてくれなかった。

「確か・・・・・水瀬名雪さんって言ってたっけ?」

ズルッ!!

「へっ!?」

ガンッ!!

バシッ!!

「ほえ?」

桜が俺を3階踊り場から、呆然と見ている・・・・・。

たぶん、何が起こったのか分からないんだろう。

ちなみに、詳しく説明すると、最初の音で踏み外し、次の音で足の脛(すね)を打ち、最後の音で手を階段についた。

つまり、今の俺の格好は、階段に俯(うつぶ)せに張り付いている状態だ。

・・・・・・・・人がいなくて良かった・・・・・。

「えっ、祐一さん!!だっ、大丈夫ですか!?」

桜が、やっと正常に戻ったらしく、俺に駆け寄ってくる。

「なっ、何とか・・・・・・。」

俺は痛む脛を無視しながら、強引に立つ。

「はあ〜・・・・・びっくりしました・・・。」

桜は胸の前に両手を組んで、はあ〜と溜息をつく。

「悪い悪い・・・・・。」

俺はそう言って、まだ不安そうな瞳をしている桜の頭を、軽く叩く。

「さてっと、さっさと行くぞ?」

「うん♪♪」

桜は、元気よく返事するとおれの手を掴む。

「桜?」

「ダメ・・・・ですか?」

見上げる潤んだ瞳+胸の前で組んだ両+可愛い容姿。

そんな桜に、俺は・・・・・・・・・・

「別に良いぞ。」

即答した。

こうして、桜と手を繋ぎながら4階をまわることとなった・・・・・・。

そして俺は、二号から貰った内部図を見ながら、こう思わざるを得なかった・・・・。

4階が特別教室で良かった、と・・・・・・・。

まあ、結局、雫と美咲が追いついてきたため、桜の方から手を離したんだけどな。

 

 

「これで全部まわりましたが・・・・・・・・何か質問はありますか?」

全てを見回り自分のクラスに戻ると、桜が聞いてくる。

「大丈夫だ。・・・・・・・・まあ、迷ったらおまえらにでも聞くさ。」

そう言って雫を見ると・・・・・・・・・・疲れていた。

「美咲・・・・・・・・。」

「みーちゃん・・・・・。」

俺と桜は、同時に美咲を視線で攻める。

「あ、あははは・・・・・・・ごめんなさい。」

どうやら、誤魔化せないことに気づいたらしい。

「しかし、以外だったな・・・・。」

俺は、そう言いながら、椅子に座り直す。

外からは、運動系の部活が練習している声が聞こえる。

「何が以外なんですか?」

桜が首を傾げる。

どうやら、桜は困ったりすると首を傾げるみたいだな・・・・・・。

「さっきの美咲だよ。憧れの人の話であそこまで話せるのは、ある意味凄いぞ。」

その憧れの人が、自分の従姉妹って言うのが問題だがな・・・・・。

「みーちゃん、毎年その人に会う為に、全国大会行ってるんだもんね♪♪」

「水瀬名雪さん・・・・・・凄く格好いいんだよ〜♪♪走ってないときとのギャップがまた良くて・・・・・・・はあ〜・・・・私も水瀬さんみたいな選手になりたいな・・・・。」

その代わりに、朝起きれなくなるのは勘弁だがな・・・・・。

しかし・・・・・・名雪の奴、速かったんだな・・・・。

そういえば、陸上部で部長していることしか知らないよな。

部活動の成績発表とかも、冬だったせいで大会自体無かったしな・・・・・・。

俺は窓の外を見ながら、そんなことを考えていた。

「そういえば、前の大会でね・・・・・・・・・。」

「みーちゃん・・・・それはやりすぎ・・・・・・・・。」

桜と美咲の談笑している声が聞こえる。

なんかこの感じ・・・・前の・・・・名雪達の学校に転校したときに似てるよな・・・・・。

名雪と香里・・・・・・・桜と美咲。

俺と北川・・・・・・・・俺と雫。

あの頃は、まだみんなと知り合いになったばかりで、毎日が新鮮と戸惑いの毎日だった・・・・・・・。

まあ、記憶の事があったが・・・・・・・・それのおかげで、掛け替えのない体験も出来た。

起こるはずのない奇跡が起き、起こるはずの現実が、運命という道をそれていった。

やっぱり、転校してよかった。

何かを亡くす前に、何かの大切さを気づくことが出来て・・・・・。

「ふ〜・・・・・・何か感傷的になってしまったな・・・・・・。」

「なにを黄昏れてるんだか・・・・。」

雫が大きく伸びをしてから、俺にいつも通りの表情を見せる。

「雫か・・・・・・もういいのか?」

なんせ先刻まで、ぐったりしてたからな・・・。

「ああ・・・・なんとかな・・・・。しかし、アレには驚いたぞ?」

「俺もだ・・・・。あの話題は、しばらく厳禁だな・・・・。」

そう言って、俺は立ち上がる。

「さてっと・・・・・雫、今何時だ?」

俺は時計類は持たないので、雫に聞く。

「・・・5時前だな・・・・。」

「もう5時か・・・・・・さっさと帰る・・・・・。」

 

バンッッ!!

 

「お兄さま!!」

 

「お兄さま!?」

俺は驚くと、自分の言葉をかき消した音の出所を見る。

そこには、教室のドアの取っ手に手をかけた、一人の少女が、息を切らせながら立っていた。

「静流(しずる)・・・・・・・。」

「静流?」

その静流と呼ばれた少女は、先刻までの勢いとはうって変わって、静かに雫に近寄っていく。

そして、雫に向かってため息を吐きながら、俺にとって予想外の言葉を言った。

「はあ〜・・・・お兄さま、どこかに行くのなら、何か書き置きしておいてください。私、校舎中探してしまいましたよ・・・・・。」

「悪かったな、静流。」

そう言って、苦笑する。

「もう。お兄さま、今度からは気を付けて下さいね?」

「分かったよ・・・・。今日は、ちょっと校内案内に付き合っててな・・・。」

雫はそう言って、俺の方を見る。

「校内案内?もしかして・・・・・・・・こちらが、噂の転校生の方ですか?」

そう言って、静流と呼ばれた少女がこちらを見る。

しかし、『噂の』って言うのが、とても気になるんだが・・・・・。

「ああ・・・・・って、相沢?どうしたんだ?」

「ああ、悪い・・・。突然の事で話についていけなかったんでな・・・・。」

そう言って、俺は苦笑する。

「こんにちは♪並木雫の妹で、並木静流です。」

そう言って、よろしくお願いしますと深々とお辞儀する。

「こちらこそ、よろしく・・・・・・って、おまえ、妹がいたのか?」

とりあえず、静流にお辞儀を返してから、俺は雫にそう告げる。

ところが、返答は別の所から返ってきた。

「そういえば、祐一さん、今日転校してきたばかりでしたから、知らないんですよね。」

どうやらこの少女と知り合いらしい、桜。

「そうね。すっかり馴染んでたから、忘れてたわ。」

さも、本当に忘れていたかのように言う、美咲。

「美咲・・・・・。」

俺は、背中から聞こえる美咲の声にため息を吐く。

「水無月先輩、藤波先輩、お久しぶりです♪♪」

「うん。静流ちゃん、久しぶりだね♪♪元気だった?」

「はい。元気でしたよ♪♪」

「そうね・・・・静流と最後にあったのが、2月だから・・・・・2ヶ月ぶりくらいかしら?」

「はい。藤波先輩は何しているんですか?」

「並木君と一緒よ。」

「お兄さまと?珍しいですね・・・・お兄さまがお二人と行動するなんて・・・・・。」

「珍しいというか、初めてだけどね。」

美咲は、笑いながら言う。、

「そうだ。・・・・ねえ?まだみんな時間あるかな?」

桜が、何かを思いだしたのか、この後の予定を二人に尋ねる。

「私は、今日は大丈夫ですよ♪」

「私もいいわよ?」

二人は笑顔で即答する。

「並木君と、祐一さんは?」

桜はこちらに向き直ると、同じ質問をする。

「別に、構わないが?」

「俺も、静流が良いというなら、いいぞ。」

俺たちも、即答する。

「それじゃあ、移動しましょう♪♪良いお店を見つけてたの♪♪どうせだから、祐一さんや静流ちゃんにも教えたいし・・・。」

「分かった。それじゃあ、行こうぜ?」

こうして俺達は、桜の見つけたというお店に向かった・・・・・・・・・。

 

 

「ここですよ〜♪♪」

桜はバスガイドのように片手を上げ、お店を指す。

「ここか・・・・・・・。」

「オシャレなお店ですね♪♪」

並木兄妹は、揃ってお店を見あげる。

「桜にしてみれば、結構いい感じの店じゃない。」

何気に酷いことを言ってるように聞こえるのは、俺の気のせいか?

「まあ、確かにいい感じの店だな・・・・・・・・。」

レンガ造りの建物で、外装はかなり綺麗である。

また、ガーデニングもされており、さらにテラスには、外でも食べれるように椅子や机が置いてある。

しばらく、外装を見ていたが、しばらく見てから、視線を店の中に移す。

ふ〜ん・・・・・かなり、可愛く内装されてるな・・・・・。

女の子を主に対象にしてる店なのか・・・・・っていうか、女の子しか来てないな・・・・・・・。

「ここには、一人では来たくないな・・・・・・。」

「同感だな・・・・・。」

そんな俺の肩に腕をのせながら、雫がため息を吐く。

「えっ?どうしてなの?」

「どうしてなんですか?」

桜と静流が、俺たちの方を向きながら首を揃って傾げる。

ちなみに、その時、人の波が止ったのは言うまでもない。

一方の美咲は、俺たちの言った意味について分かったらしく、笑っていた。

「あのな・・・・・・・・・店の中を見てみろ・・・。」

そう言うと、桜達は店の中を見る。

「お客さんがいますけど?」

「お客さんがいるよ?」

ほぼ同時に、同じ事を言う二人。

「はあ〜・・・・苦労してるんだな・・・・。」

俺はシミジミ言いながら、と雫の肩に手を置く。

「ああ、まあな・・・・・・。」

雫もため息を吐く。

「まあ、とりあえず入ろうぜ。」

俺は、これ以上は時間と労力の無駄だと決め、お店の入り口に向かう。

「そうだな・・・・・静流、行くぞ。」

「あっ、お兄さま。」

「くすくす・・・・・・桜、私たちも行くわよ?」

「あっ、待ってよ〜・・・・。」

俺はため息を吐くと、後ろの4人を見てから、お店のドアに手をかけた。

カラン♪カラン♪・・・・

「いらっしゃいませ♪何名様ですか?」

「5人です。」

「分かりました。それでは・・・・・・・一番奥の席へご案内しますね♪」

ウエイトレスの後を付いていき、目的のテーブルにつく。

席についた後、しばらく談笑していると、ウエイトレスが注文を取りに来たので、俺と雫はコーヒーを、桜と静流はオレンジジュースを、美咲はアイスティーを頼んだ。

「そういえば、俺は自己紹介してなかったな?」

俺は話が落ち着いたところで、静流に尋ねる。

「そうでしたね・・・・・。」

「それじゃあ、改めてしたらどうだ?」

雫が、コーヒーを混ぜながら言う。

「そうだな・・・・。俺は、今日転校してきた相沢祐一だ。祐一と呼んでくれればいいからな。それと、改めてよろしく。」

俺はそう言うと、軽く会釈する。

「こちらこそ、よろしくお願いしますね♪え〜と・・・・それでは、「祐一さん」でいいですか?」

「ああ、好きに呼んでくれ。」

「それじゃあ、私も「静流」でいいですよ♪」

そう言って、微笑む。

「了解。」

それにしても、雫の妹だけあって、美人だな・・・。

モデルのように整った体型。身長は・・・・桜より高いから、160ぐらいか。

丁寧な言葉遣いに、綺麗な顔つき。髪は・・・・・・・・胸の所までだろうか。

髪を二つに分け、先を軽く三つ編みにして、先をリボンで止めてある。

確かに、告白でもされたら即OKしそうな可愛らしさだ。

しかし、この兄妹・・・・・・・ホントに美形兄妹だな・・・・・。

「祐一・・・・。」

突然、雫が俺の肩に手を置く。

「どうしたんだ?」

雫がを見ると、前を見て見ろと目で示す。

俺は頭に?を浮かべながら、雫の指示に従って、前を見てみる。

前・・・・・つまり、正面の桜達を見ることになるんだが・・・・・・

「なんで、桜は不機嫌そうなんだ?」

「不機嫌じゃないもん。」

そう言うと、プイッと横を向く。

そう言うのを、一般に不機嫌と言うんだが・・・・。

「んで、なんで静流は赤くなってるんだ?」

一方静流は、何故か真っ赤になっていた。

「祐一、声に出てたのよ。」

美咲はそう言うと、苦笑する。

「ぐはっ!またか・・・・・・。」

余計なところで出てくるな・・・・・・この癖。

それにしても・・・・・

「それにしても、何で桜が不機嫌なんだ?」

俺は、ソファーに座り直すと腕組みをして考える。

そんな俺を見て、雫と美咲が顔を見合わせため息を吐く。

「どうかしたか?」

「「なんでもないぞ(わよ)。」」

う〜ん・・・・・見事に返されてしまったな・・・・・しかもハモってたし・・・。

そんなことを考えていると、ウエイトレスが商品を持ってきた。

「そういえば、噂って何のこと?」

しばらくしてから、美咲が静流に尋ねる。

相変わらず、桜は不機嫌だったが・・・・。

「えっ?知らないんですか?」

そう言うと、美咲は俺の方を向く。

「俺は知らないぞ?」

そう言うと、静流は飲んでいたオレンジジュースを置く。

「先輩達、今日学食に来たでしょ?」

「ええ・・・・・でもそれがどうしたの?」

「藤波先輩も、水無月先輩も、人気があるのは自覚してますよね?」

「「ううん。」」

見事にハモる、二人。

「えっ?そうなんですか?」

二人の返答が以外だったのか、静流は驚く。

「みーちゃん、私たちって人気があったの?」

「さあ?私に聞かれても・・・・・。」

お互いに不思議そうな顔をする。

「人気があるんだよ、二人とも。」

突然、雫が苦笑しながら二人に向かって言った。

「まあ、二人とも人気があるんだよ。しかも、二人ともあまり男と一緒にいないだろ?だけど、今日は俺と相沢と一緒に学食に行った。しかも、仲良さそうにな・・・・。まあ普通なら、間違いなく何かあると踏むだろ?」

そこまで言うと、コーヒーを飲む。

「それと、お兄さまも人気があるから、余計に目立つんです。それだけでも、十分噂になるのですが・・・・・。」

そう言って、静流は俺の方を向く。

「そこに俺がいた、か・・・・。」

「はい。この時期の転校なだけに、噂の的だったんです。しかも、噂通り格好いいですからね。」

そう言って、俺に微笑む。

俺は、何か気恥ずかしくなったので、視線をずらす。

静流はそれを見て、くすっと笑った・・・・。

ついでに言うと、それを見た桜が、よけいに不機嫌になったのだが・・・・・・・・・何故だ?

「なるほどね・・・・それで、余計に噂が広がったのね。」

美咲は、飲んでいたアイスティーを置く。

「だから、祐一の学校案内してた時に妙に見られてたのね・・・・・。」

美咲は一人納得すると、再びアイスティーに口をつける。

学校案内の時、時々視線を感じる思ったら・・・・・このことだったんだな・・・・・・。

思いっきり無視してたからな・・・・・・・・・・。

「祐一さん、きっと明日から大変だね〜。」

桜の口調はいつも通りなんだが、何故か視線が痛かった。

「はあ〜・・・・・・悪かったよ・・・・。」

訳が分からないが、とりあえず謝っておく。

しかし、俺って、どこ行っても同じ事やってるよな・・・・。

「それじゃあ・・・・・・・・・みんなで花見に行こう♪♪」

「「「はっ?」」」

桜は、ころっと笑顔になる。

どうやら、気持ちの切り替えは速いらしい・・・・って、そうじゃなくて!!

「なんで、花見なんだ?」

「春だからだよ♪♪」

「どこをどうしたら、花見に行くことになるんだ?」

「う〜〜ん、じゃあ、遊園地に行く?」

「何故、遊園地?」

「もしかして、プ〜ルがよかったの?」

「だから・・・・・・・はあ〜・・・・・。」

「もう。我が儘だよ、祐一さん。」

桜はそう言うと、頬を膨らませる。

俺は、一口コーヒーを飲み落ち着く。

ちなみに他はというと・・・・・・・

「花見なんて、久しぶりです♪♪♪」

「そうだな・・・・・・3年ぶりかな・・・。」

「桜も、たまには良いこと言うじゃない?」

何気に賛成していた・・・・。

「はあ〜・・・・・分かったよ。」

俺は助けが無いと理解し、手を挙げギブアップのポーズをする。

「それじゃあ、休みの日に花見に行こうね♪それと、GWもみんなで遊ぼうね♪♪」

いつの間にか、GWまで遊ぶことになったらしい。

まあ、どうせやることないからいいけどな・・・・・。

「ちなみに、俺に拒否権はあるのか?」

「拒否するんですか〜・・・。」

「ふ〜ん、拒否するんだ・・・。」

「一緒に行きたくないんですか・・・・・。」

潤んだ瞳に悲しげな表情が二つ。

それに加え、射抜くような視線が一つ。

「うっ!・・・・拒否しないから・・・・・桜と静流はそんな瞳で見ないでくれ・・・・・・それと、美咲は睨まないでくれ・・・・・・・。」

こうして転校初日から、いきなり拒否権を失うことになった。

俺の拒否権っていつ使えるんだろ・・・・・・・。

そんなことを考えて、沈んでいた俺に、雫が俺の肩に手を置く。

そして、一言言った。

「これから、大変だな・・・・・・。」

「はあ〜・・・・・・・・・・・どこに行っても、俺はこんな役ばかりだな・・・・。」

俺はそう言って、冷めたコ−ヒーを飲み干した。

 

そんなこんなで、結局、桜達を慰めるのに時間がかかり、遊ぶことについては、後日色々決めると言うことで、今日は解散となった。

帰り道、財布を入れていたポケットが軽くなっていたのは、言うまでもない・・・・・・・・。

 

 


〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜

AP「おっ、終った・・・・・。」

静流「APさん、お疲れさま♪♪」

AP「静流か・・・・やっと出せてよかったよ・・・。」

静流「はい♪♪やっと出れました♪♪」

AP「今回も、長くなってしまった・・・・・(汗)。」

静流「そうですね・・・・。結局どのくらい何ですか?」

AP「後書き含めなければ、27〜28Kbだな・・・・。」

静流「大きくなってしまいましたね・・・・・。」

AP「ああ・・・・・。一応、自分としては15Kb前後で仕上げたいんだが・・・・・無理なんだよな・・(泣)。」

静流「頑張れば、いつかできますよ♪♪」

AP「そうだな・・・読者さんが読みやすいようにがんばるか・・・・。」

静流「でも、そうすると、後書き短い方がいいですよね?」

AP「そうだな・・・・・それじゃあ、みなさん。呼んで頂きありがとうです(^^)/。」

静流「みなさま、次回も楽しみにしてくださいね?」

AP「それと、害獣駆除さん。掲載して頂き、ありがとうございます(_ _)。」

静流「では、失礼します。」

???「・・・・・・・・・・・・・・APさん。」

AP「うおっっ!!・・・・・って、どうしたんだ?」

静流「可愛い娘ですね♪♪APさんの、お知り合いの方ですか?」

AP「まあな・・・・・・。それで、どうしたんだ?」

???「次回・・・・・・・出れそう?」

AP「分からん・・・(汗)。もしかしたら、7話かも・・・・(汗)。」

???「そうですか・・・・・・・お体には・・・気を付けて下さいね?」

AP「ああ、ありがとうな♪」(←???の頭を撫でる)

???「・・・・・(ポッ)。」

静流「ホントに可愛いですね〜♪♪」

AP「おっと、長くなってしまった・・(大汗)。それでは、読んで頂き、ありがとうございました(_ _)。」

静流「それでは、失礼しますね♪」

???「・・・・・・・・・・・・またね♪」

 


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