「明日?」
俺は、目を擦りながら桜に聞き返す。
ちなみに、今は3時間目の休み時間だ。
「はい。明日です。」
桜は何が楽しいのか、ニコニコと笑顔を浮かべながら話す。
「何が、明日なんだ?」
俺は、そう言って欠伸をする。
う〜ん・・・中途半端な時間に起こされたからか、まだ眠い・・・。
「はえ?祐一さん、忘れたんですか?」
そう言って、驚きと悲しみの混じったような表情をする。
「う〜ん・・・とは言われてもな・・・。急に起こされて、『明日が楽しみですね♪』と言われても・・・俺には何のことだがさっぱりだぞ?」
俺は、もう一度自分の記憶を辿るが、明日に予定が入ってないのは確かだ・・・。
「祐一さん、酷いです・・・。みんなでお花見に行くって言ったのに・・・・・・。」
そう言って、両手を胸の前で絡め、悲しげな表情で俺を見つめる。
「ちょ、ちょっと待てよ・・・。確か・・・・・・あれって、計画するって言ったきりじゃないのか?」
「ふえ?」
俺は、目を丸くしている桜を見ながら、必死に思い出す。
よし・・・確かに、俺の記憶はあってるぞ。
「はあ〜・・・桜、祐一には内緒で計画してたんでしょ?」
聞き慣れた声が、桜の後ろから聞こえる。
「あっ、みーちゃん♪」
そう言って、美咲に抱きつく桜。
ちなみに、ここ最近知ったのだが、桜は90%以上の確率で美咲に抱きつく。
しかも、すでに癖になってるようで、本人も意識してやっているのではないらしい。
俺はあまり意識してなかったから、そんなことには気がつかなかったがな・・・。
まあ、それは置いといて・・・
「俺に内緒って・・・どういう事だ?」
俺は、桜に抱きつかれている美咲に尋ねる。
「言葉通りよ。私たちが祐一に内緒で、花見の計画をしてたのよ。あっ、もちろん発案者は桜よ。」
「あっ、そうだったね。」
桜は美咲から離れると、ポンッと手を叩く。
「あはは、つい忘れてました。」
そう言って、いつもの笑顔を俺に向ける。
「はあ〜・・・まあ、どうせそんな事だろうとは思ったけどね・・・。」
美咲はそう言うと、溜息を吐く。
なんか、桜の保護者っぽいよな・・・美咲って・・・。
「それは、私が老けてみえる・・・って事かしら?」
そう言って美咲は、今までで最高の笑顔を俺に向ける。
もちろん、目が笑っていない。
癖か・・・また癖なのか・・・。
俺は、自分の癖を呪いつつ、話題転換を試みた。
「花見のことは、雫達も知っているのか?」
俺は、内心ビクビクしながら尋ねる。
「ええ、並木君は知ってるわよ。」
「もちろん、静流ちゃんもね♪」
どうやら、話題転換は成功したらしい。
ちなみに雫は、自分の席で爆睡している。
「祐一さんは、明日大丈夫ですか?」
桜は、不安そうな表情を浮かべながら、俺を見る。
「明日は・・・別に用事は入ってないはずだから大丈夫だぞ。」
俺はそう言って、桜の頭を撫でる。
「はう〜・・・よかったです♪♪」
「そう、よかったわ。それじゃあ、また詳しいことは後で話すわね。」
そう言うと、美咲達は席に戻っていく。
どうやら、4時間目の担当の数学の教師が来たようだ。
「始めるから、席に着けよ〜。」
散らばっていたクラスメートも、渋々席に戻って行く。
「花見か・・・俺も久しぶりだな・・・。」
俺は、グランドに咲く桜の木に視線を移した。
こうして俺は、次の日の花見を楽しみにしつつ、授業を受けていった・・・。
余談だが、計画の最終打ち合わせと称して、放課後に「ミント」(前回、桜に紹介されて行った店)に行き、全て俺の奢りとなった。
美咲・・・忘れてなかったんだな・・・・・・。
まるちぶーと!!
第6話 「2つの桜の木の下で・・・」
「ふあ〜・・・眠い・・・・・・。」
大きく欠伸をした後、俺はこんがりと焼けたトーストを口に入れる。
「祐一、眠そうだな・・・。」
親父は広げられた新聞をたたみ、俺を見る。
「そう思うんだったら、母さんの起こし方をもう少し何とかしてくれ・・・。」
俺は、そう言って非難の目で親父を見る。
「祐一・・・ライオンは自分の子供を谷に突き落とすんだぞ?」
そう言って、コーヒーに口を付ける。
が、明らかに目線を俺からそらしている。
「親父・・・あの起こし方はいつになったら治るんだ?」
俺は鼻歌を口ずさみながら、洗い物をしている上機嫌な母さんを見る。
「・・・まあ、気にするな。」
「気にするわ!!」
俺はすかさずツッコミを入れる。
ちなみに、今のツッコミ速度は一秒をきった。
秋子さんの了承をも越える速度だ。
だが、親父は別段反応せず、相変わらずコーヒーを啜(すす)っている。
そして、新聞を広げ、一言・・・・・・。
「アレが恐いんだよ・・・俺は・・・。」
そう言ったときの親父の手は震えていた。
「・・・すまない、親父・・・。」
俺は、親父の心情を悟って、これ以上の問答を止めた。
しかし、まさかアレを出されてたのか・・・。
親父には悪いことをしたな・・・・・・。
「あらあら。何だか空気が重いわよ?」
元凶である母さんが、手を拭きながらキッチンから戻ってくる。
その顔には、相変わらず笑顔が浮かんでいる。
「何でもないよ。」
「そう?」
「ああ。早く母さんも食べなよ。」
こうして、相沢家の朝が過ぎていく・・・。
「ふふ〜ん♪ふんふん♪ふふふんっ♪・・・」
早朝、キッチンで作業している少女が一人。
髪は肩まであり、耳にかかるのが鬱陶しいのか、サイドをピンで留めている。
ラフな普段着に、ピンクの女の子らしいエプロンを着て、手早く包丁を動かす。
キッチン周辺に、おいしいそうな匂いが充満する。
「ん〜・・・このくらいかな・・・。」
時々味見をしつつ、お弁当箱である重箱に、出来た料理を詰め込んでいく。
「う〜ん・・・静流も作ってくるって言ってたから・・・これくらいでいいかな?」
そう言って、三段の重箱を見る。
「さてっと・・・そろそろ桜を迎えに行かないと・・・。あの子、朝弱いから・・・。」
疲れたような口調とは裏腹に、少女の顔はとても楽しそうだった。
重箱を風呂敷に包むと、少女は自分の部屋に戻り、用意してあった服に着替える。
そして、階下におり、玄関で靴を履いていると、リビングとは反対のドアが開く。
「あら、もう行くの?」
「うん。桜起こしに行かないといけないから。」
少女は笑顔でそう言うと、少女の母親は、「そう。水無月さんによろしくね。」と言って、少女の服の襟を直す。
「あっ、お母さん、ありがとう♪」
「ふふ。行ってらっしゃい、美咲。」
「うん♪♪」
美咲はそう言うと、元気良く、朝の暖かい日差しの中へ駆けだしていった・・・・・・。
「お兄さま、起きてください。」
現在静流は、兄である雫の部屋にいる。
「お兄さま、起きてくださいってば!」
少し声を大きくしながら、起きる気配のない雫の体を揺する。
「お兄さま!・・・はあ〜・・・いつものこととは言え、お兄さまを起こすのは大変です・・・。」
つい愚痴をこぼしてしまう、静流。
一方の雫は、妹のそんな苦労も知らず、相変わらず夢の中だ。
「しかたないですね・・・・・・。」
そう言い、静流は不敵な笑みを浮かべる。
それと同時に、静流の両手は怪しい動きを始める。
「ごめんなさい、お兄さま・・・。」
ちゃんと謝ってから行動する辺りは、非常に丁寧なのだが・・・相手が寝ていては意味がない。
ゆっくりと、静流の手が雫に伸びていく。
・・・・・・1分後。
「はあ、はあ、はあ・・・・・・。」
「おはようございます、お兄さま。」
壁に背を預けて、荒く息を吐いている雫に、三つ指をついて朝の挨拶をする静流。
「はあ〜・・・・・・静流・・・あれはやってはダメだって・・・俺、言わなかったっけ?」
脇腹に手を当てつつ、静流に尋ねる。
「ええ、言いましたよ。」
その答えに、ニッコリと笑顔で答える。
「それなら、やらないでくれ・・・。」
雫はそう言い、もう一度溜息を吐く。
「だって・・・お兄さま起きてくださらないし・・・。」
う〜・・・と可愛く頬を膨らませる。
本人は怒っているつもりなんだが、如何せん・・・容姿がそう見させてくれない。
「分かった、分かったよ・・・俺が悪かったから・・・。でも、今度からは止めてくれよ?」
「はい♪♪」
静流は元気良く答えるが、雫は重いため息を吐く。
これが毎朝繰り返し行われているのだから、雫が溜息を吐くのも頷ける。
「お兄さま、朝食が冷めてしまいますので、すぐに来てくださいね?」
「ああ、分かった。」
その言葉を聞いてから、静流は部屋を出ていこうとしたが、すぐに引き返す。
「んっ?どうした?」
引き返してきた静流に気づき、雫は尋ねる。
「これを忘れてたんです。」
そう笑顔で言って、雫に顔を近づけ・・・
チュッ♪
っとまあ、頬にキスをする。
「ああ、そういえばそうだな・・・。」
雫はそれに驚きもせず、しかも・・・
チュッ♪
ってな感じで、静流の頬にキスを返す。
何で、キス!?と驚かれるかも知れないが・・・・・・。
この二人、親元を離れて二人暮らしをするようになってからは、毎日、「おはようのキス」をしているのである。
ちなみに、この行動が恋愛感情なのか兄妹愛なのかは、本人達のみ知るところである。
そんなこんなで、今日の朝も平和に過ぎていく並木家であった・・・・・・。
「す〜・・・く〜・・・・・・。」
「はあ〜・・・どうして、この子は朝が弱いんだろう・・・。」
大きなベットの横で、美咲は腰に手を置き、溜息を吐く。
ベットの上では、この家の娘・・・水無月桜が、幸せそうな顔をして眠っている。
まるで、白雪姫のごとく眠りにつく桜も、美咲にとっては脳天気にしか見えない。
「桜!いいかげんに起きなさい!」
そう言って、体を揺すってはみるが、これで起きないことぐらいは美咲も承知の上だったりする。
桜は低血圧なのだ。
「・・・・・・・」
どうせ呼んでも起きないので、今度は黙って桜の頬を右手で引っ張る。
ビヨ〜ン♪とでも効果音が聞こえそうなくらい、柔らかい桜の頬を思いっきり引っ張る。
「んにゅ〜・・・す〜・・・く〜・・・。」
少し反応したが、桜が起きる気配がない。
「・・・・・・。」
無言で左手も加え、両頬を思いっきり引っ張る。
「んにゅ〜・・・いーはん、いはいよ〜・・・。」
器用に寝言で、某青髪爆睡猫好き少女のごとく反論する。
「みーちゃん、痛いよ〜」とでも言っているのだろう。
それを聞いて、引っ張っていた両頬を離し、溜息を吐く美咲。
そして、起きない桜に対して、最終手段を決行する。
「あっ、祐一・・・。」
「えっ、祐一さん!?」
『祐一』の言葉が出て、時間にして0,5秒で反応し、飛び起きる。
その様子は、まるで今までが狸寝入りだったかのような速さだ・・・。
「おはよう、桜。」
「えっ?あっ、みーちゃん♪おはよう♪」
そう言って、いつものように抱きつこうとするが、その前に美咲も、いつものように桜の頭をおさえる。
「ほえっ?」
「はあ〜・・・抱きつく前に、さっさと顔を洗ってらっしゃい。」
美咲は、呆れた顔をしながら言う。
「うん、分かったよ。行って来るね♪」
桜はパタパタと洗面所へ駆けていく・・・が、不意に立ち止る。
「ねえ・・・・・・。」
「来てないわよ。」
桜が最後まで言わないうちに・・・スパッっと答える。
「えっ?どうして、分かったの?」
桜は目を丸くして驚いている。
「あのね・・・毎回同じ質問されれば、誰だって分かるわよ・・・。そんなことより、早く顔洗って来なさい。」
美咲が呆れながらそう言うと、桜は「は〜い♪」と言って、洗面所に向かって行った。
こんな事をやっているからなのか分からないが、気分はすでに母親である。
「いつもこれくらい起きてくれると嬉しいのだけどね・・・。」
そう言って、苦笑する。
美咲はすぐ起きてくれる桜を見ていて、とてもうれしかった。
何故かというと、美咲はなかなか起きない桜に毎朝手こずっていた・・・・・・。
まあ、某青髪爆睡猫好き少女程ではないが・・・。
相沢祐一が転校して来てからも同じだったのだが・・・ある時、ためしに先ほどのようなことを言ってみたら・・・・・・結果がこれである。
それ以来、この手は美咲の最終手段とかしている。
「桜も恋する女の子か・・・。」
美咲は誰もいないベットに腰掛け、上体を後ろに軽く倒し、それを両手で支える。
「桜の恋する相手・・・・・・まあ、十中八句祐一だよね・・・・・・。」
美咲は誰もいない空間に向かって、言葉を続ける。
「私は?・・・私はどうなんだろう・・・?」
別に、友達に好きな人が出来た所で、今までの関係が壊れるわけではない。
まあ、同じ人を好きになれば別だが・・・・・・。
だが、美咲は何だか分からない感情に不安だった。
相沢祐一が嫌いでは無いし、桜のことも好きだ。
ただ、自分の気持ちが分からなくなっている。
美咲は、告白だって何回か受けている。
断ってはいるが・・・だから、恋愛感情も分かってるつもりだった。
だから、この得体の知れない初めての思いに戸惑っているのだ。
その思いを抱いている肝心の相手についても、美咲自身考えがつかなかったりするのだが・・・。
「みーちゃん、顔洗ってきたよ〜♪♪」
桜は、幼い子が母親に報告するように、美咲に報告する。
その言葉に、考えを中断させられる。
「それじゃあ、さっさと着替えて、朝食食べましょう。」
美咲は、元気良く桜に呼びかける。
「うん♪」
こうして、水無月家の朝が慌ただしく過ぎていく・・・・・・。
「すごいな・・・・・・。」
「ああ、俺も5年間ここに住んでいるが・・・ここは知らなかった・・・。」
俺達は、目の前にそびえ立つ桜の樹を見ていた。
いや、見あげていた。
・・・・・・って言うか、大きすぎだ・・・。
「ホントに大きいわね〜。」
「スゴいです〜♪♪」
予(あらかじ)め桜から聞いていたのか、冷静に見あげる美咲。
純粋に驚いている・・・もとい、喜んでいる静流。
「ここは、水無月家の土地なんですが・・・私もあまり訪れない場所なんですよ。」
だから穴場なんですけどね、と笑ってそう付け足し、桜が説明する。
桜の言葉からも分かるように、ココは辺りを塀に囲まれ、さらに街の端に位置している。
さらに、この街は自然に囲まれている為、ココにはあまり人は立ち寄らないらしい・・・。
「まあ、花見なんだから、桜が大きいことは良いことなんだけどな。」
「ああ、その通りだな・・・。それじゃあ、花見を始めるか。」
そして雫がそう言ったのを皮切りに、花見が始まった・・・。
「雫・・・今日は花見だったよな?」
ガバッ!
「みーちゃん、みーちゃん♪♪桜と遊ぼ〜♪♪」
桜が、美咲に抱きつき押し倒した姿が、視界の端で確認される。
同時に、美咲の泣き声が耳に飛び込んでくる。
「ひぐっ・・・ぐすっ・・・桜ちゃんが・・・ぐすっ、桜ちゃんが・・・みーちゃんのこと虐める〜・・・えぐっ・・・。」
「ああ・・・花見のつもりなんだが・・・。」
雫はそう言って、手に持っていた缶の中身を飲み干す。
ガシッ!
「ゆ・う・い・ち・さん♪♪ちゃんと、飲んでますか〜?」
「しっ、静流!?」
俺は、背中に抱きついてきた静流に驚いた。
その顔はほんのり赤く染まっており、手には雫が持っているのと同じ缶を持っていた。
「って、静流!おまえ、また飲んだのか!?」
「ふふふふ・・・。祐一さん、今日の静流は大胆なんですよ〜♪♪」
そう言って、俺の質問は無視し、先ほどよりも強く抱きついてくる。
うう・・・背中に当たる女の子特有の感触が・・・。
「祐一・・・・・・妹のことをよろしく頼むぞ。」
そう言って、雫は正座をすると、深々とお辞儀する。
って、おまえも酔ってたのか!?
「みーちゃん♪♪みーちゃん♪♪桜とお医者さんごっこしようね〜♪♪」
「ひっぐ・・・えぐっ・・・桜ちゃん、お目々が恐いの〜・・・ひっく・・・。」
「あははは♪♪ほらほら♪服を脱がないと、診察ができないよ〜♪♪♪」
「ひっく・・・みーちゃん、大丈夫だもん!・・・えぐっ・・・お注射うたなくてもいいもん!・・・ひっく・・・。」
美咲を脱がそうと、上着を上に引っ張っている桜。
必死に服を下に引っ張って、泣きながら桜に抵抗している美咲。
ちなみに、二人の近くには缶が6本転がっている・・・っていうか、二人とも、支離滅裂な会話でなんで成り立ってるんだ?
「祐一・・・静流は小さい頃から良い子でな・・・。あれは、俺が7歳の頃だっ・・・・・・。」
「ゆういちさ〜〜ん♪♪♪」
こっちは、雫が何故かオヤジ口調になって、昔話を始める。
さらに、俺の膝の上に乗り抱きついてくる静流。
ちなみに、雫の手には新しい缶が握られている。
「なんで・・・なんで、こうなるんだ〜〜!!!」
何の解決もしないのは分かっていたが、とりあえず叫んでみたかった・・・・・・。
なんでこの状態になったか、俺は冷静に事態を把握しようと、記憶を辿る。
確か、花見開始30分あたりのころだったような・・・・・・。
<花見開始30分経過したころ。>
「あれ?これなんだろう・・・?」
美咲と静流のお弁当を食べながら、のんびりと桜を見ていた時に、桜が声を上げる。
「どうした?」
「うんとね、なんかジュースみたいなのが、置いてあったんだけど・・・。」
桜はそう言うと、俺にそれを渡す。
「う〜ん・・・・・・ロシア語だな・・・。」
そう言って、受け取った缶の周りを見る。
ロシア語で色々書いてあるのが目につく。
ちなみに、俺はロシア語は読めないが、ロシア語だとは分かる。
理由は・・・一時期興味があったので、独自で調べたことがあったからだ。
まっ、こういう場合は原材料とか書いてあるんだろうけどな・・・。
ちなみに、雫は今トイレに行っている。
「たぶん、ジュースか何かだろう・・・。これどこにあったんだ?」
そう聞くと、桜が雫の席を指す。
「たぶん、雫が持ってきたんだろうから・・・ジュースだとは思うが・・・。」
「どうしたんだ?」
俺が最後まで言葉を言い終わらないうちに、これの所持者が現れる。
「雫。これ、おまえが持ってきたのか?」
そう言って、雫に例の缶を見せる。
「ああ。2,3日前にオヤジから送ってきたんだ。」
「そういえば、そんなこともありましたね。」
静流は動かしていた箸を置き、ポンッっと手を叩くと、相づちをうつ。
「たぶんジュースだろうから、今日の為に持ってきたんだよ。」
そう言って、自分で持ってきたクーラーボックスを開けると、中には色とりどりの缶が入っていた。
「さすがだな、雫。」
「せっかくの花見だからな。」
俺達はそう言い合うと、お互いに笑いあう。
「うんじゃ、もう一回乾杯するか♪」
「そうだな。」
そう言って、他の3人にも缶を配る。
「では・・・乾杯!」
俺がそう言うと、他の4人も声を揃える。
「「「「乾杯♪♪」」」」
グビッ・・・
うん・・・麦の味がして、なかなか・・・
プッーー!!
「って、これビールじゃないか!?」
俺は、お約束通りに口から吹き出し、手元の缶の飲み口の匂いを嗅ぐ。
・・・・・・ビールだよ・・・。
「桜、美咲、静流!!」
俺は3人を呼ぶ。
こんな時に女の子の名前しか出ないのは、男の性だな・・・・・・。
まっ、男は雫だからいいけどな。
って、そんなことはいいとして・・・・・・。
「3人ともこれはビー・・・・・・。」
そう言いかけて、俺は固まった・・・。
「あははは。」
「これ、おいしいよ〜♪♪」
「ふふふふ・・・。」
3人の足下に、空き缶が3本転がっていた・・・・・・。
<回想終了>
・・・・・・あの後の記憶がないぞ・・・。
確か・・・桜が静流を押し倒そうとして、避けられてて・・・。
美咲が幼児化したまま、飲み続けて・・・。
静流が、静かに飲み続けていた雫に、クドクドと説教を始めて・・・。
桜が俺にビールを飲ませて・・・・・・。
・・・・・・・・・(考え中)・・・・・・・・。
・・・・・・・・・(考えを整理中)・・・・・・・・・。
・・・・・・・原因判明。
「おまえが原因か!!」
スパンッ!!
「ぐはっ!!」
そう最後の言葉を残し、地面に倒れ伏す雫。
ちなみに、ハリセン(香里特製・・・以前、香里に対北川ツッコミ用に作ってもらった物)だから怪我はない。
・・・・・・たぶん。
現に北川は、このツッコミに毎回耐えてたし・・・・・・まっ、まあ、たまに保健室に担ぎ込まれてたような気もするが・・・・・・。
・・・・・・大丈夫としておこう。
「桜、美咲、静流!!いい加減・・・・・・って、あれ?」
俺は、事態を収拾する為に3人を見ると・・・・・・
「く〜・・・うにゅっ・・・す〜・・・。」
「く〜・・・うんっ・・・す〜・・・。」
「す〜・・・す〜・・・。」
ちなみに、桜は美咲に覆い被さるように(押し倒して、ともいうが・・・。)寝ている。
静流は俺の膝の上で寝ている。
どうやら、3人とも俺が回想している最中に寝てしまったようだ。
「はあ〜・・・まったく・・・・・・。」
ココが人目に付かないところだったのが幸いだな・・・。
俺は、3人(雫はお仕置きとして放置プレイの刑)を静かにシートの上に寝かせると、散らばっている空き缶を片づける。
まあ、空き缶しか転がってないんだけどな・・・・・・。
俺は、缶を片っ端から拾っていき、ゴミ袋の中に入れていく・・・・・・。
余談だが、桜VS美咲の戦いは、どうやら美咲の勝ちで終ったらしい・・・。
だって、服脱がされてなかったし・・・。
べっ、別に、桜が勝って欲しかったとか、そんなこと思ってないからな!!
「結構広いな・・・。」
俺は、少し先に見える桜を目指して歩いていた。
みんなが起きるまで暇だったので、散歩することにしたのだ。
この春の陽気の中だ・・・風邪は大丈夫だろう、っと思い、あいつ等はそのままにして置いた。
表に出してはいないが、俺はこれでも多少酔っている。
さすがに、あいつ等のようにはならないが・・・それでも、桜にかなり飲まされたからな・・・。
「しかし、ホントに暖かいな・・・。」
名雪の所は、春になっても寒かったからな・・・。
まあ、冬よりははるかにマシだがな・・・。
「んっ?誰かいる・・・?」
もう一度よく見てみると、確かに俺の向かっている桜の木の下に、誰かがいる。
スカートをはいているので、女の子だろう・・・。
俺は、とりあえず声をかけてみることにした。
桜の話しを・・・ここが水無月家の土地だったことを思い出したのだ。
知らなくて入ったのなら、問題が起こる前に教えてあげないといけないしな。
俺は小走りで桜の木の下に急いだ・・・・・・。
しかし、綺麗だな・・・。
俺は、少女(近寄ってみたら、結構背が低かったから。)の後ろに立ち、桜を見あげていた。
桜達の寝ている所の桜も綺麗だが・・・ここもなかなか・・・・・・って、そうじゃなくて!
「君、何してるの?」
「・・・・・・・・・・・・。」
返事がない。
只の屍の・・・・・・じゃなくて!!
「あの・・・・・・。」
「・・・・・・桜を・・・。」
「えっ?」
春風に消えてしまいそうなぐらい小さな声を、少女は紡ぎ出す。
「・・・・・・桜を・・・・・・見ているんです・・・。」
俺の方を見ず、桜の木を見上げながら答える。
「俺は、相沢祐一。水無月学園、高等部3年だ。怪しいもんじゃないぜ?」
俺は、警戒しているのかも・・・っと思ったので、自己紹介してみた。
だが、少女から返ってきた言葉は、意外な言葉だった。
「・・・・・・知ってます。」
「えっ!?知ってる!?」
俺の声に驚いたのか、単純に気まぐれなのか分からないが、少女はこちらに振り向いた・・・。
髪はポニーテールにしていて、髪の先は肩より少し下の所まである。
身長は小さく、150cm前後くらいだろう・・・。
顔立ちは、子供っぽく・・・っていうか、下手すれば中学生に見える。
まあ、童顔というやつだ。
運動をしているのか、引き締まったスラリとした長い足が見える。
しかし、一番驚いたのは、先ほどまでの会話からでは想像がつかないほど、瞳が輝いていたことだった・・・。
そして・・・・・・
「こんにちは、相沢さん♪♪ボクは水無月学園、高等部一年の瀬璃迂 悠緋(せりう ゆうひ)だよ♪♪」
「・・・・・・。」
俺は、先ほどまでの会話とは、うって変わったような口調に呆気にとられながら、目の前の少女・・・悠緋を見ていた。
「どうしたの?大丈夫?」
悠緋は、心配そうな顔で俺を見る。
「あっ、ああ・・・大丈夫だ・・・。ちょっと混乱してただけだ。」
そう言って、微笑む。
たぶん、先ほどまでの会話は、俺をからかっていたんだろう・・・。
俺は、違和感を覚えながらも、そう納得することにした。
「えっと・・・祐一先輩・・・でいいかな?」
「ああ、別に構わないぞ?よろしくな、えっと・・・。」
「ボクのことは、悠緋でいいよ。」
そう言って、元気な笑顔で答える。
「分かった。よろしくな、悠緋。」
俺達は、握手を交わす。
「桜を見てたのか?」
俺は、先ほどの会話を思い出して、尋ねてみる。
「うん♪ココの桜って綺麗でしょ?人の敷地なんだけど・・・やっぱり間近で見たかったから、こっそり入ってきたんだ。」
そう言って、舌を少し出しながら可愛く笑う。
「なるほど・・・。まあ、確かに綺麗だよな・・・・・・。その気持ちは分かるぞ。」
「えへへ・・・。」
そう言って、悠緋の頭をクシャクシャっと撫でる。
「そういえば・・・祐一先輩はどうしてココにいるの?」
髪の毛を整え直しながら、俺に尋ねる。
「ああ、それは・・・・・・。」
「あっ!!」
俺が答えようとした瞬間、悠緋が声をあげる。
「どうしたんだ?」
オロオロしだした悠緋に、俺は慌てずに尋ねてみる。
「部活のこと、すっかり忘れてたよ・・・・・・。」
そこまで言い終わると、悠緋は「またね!」と言って、走りだす。
「気を付けていけよ!!」
そう言ったと時には、すでに50mくらい先にいた。
「ありがとう!。またね♪」
そう言って、手を振りながら走っていく。
「瀬璃迂悠緋、か・・・・・・。」
俺は手を振り返しながら、走り去っていく悠緋の後ろ姿をしばらく見ていた。
「おい・・・・・・なんで、こうなってるんだ?」
俺は、目の前で繰り広げられている事に、頭が痛くなってきた。
「みーちゃん♪♪桜と、おままごとしよっか〜♪♪」
「あっ、私はお母さん役が良いな〜♪♪」
「みーちゃんはね、みーちゃんはね・・・う〜んとね・・・。」
ちなみに、雫は相変わらず倒れていた。
「雫!何で、桜達が復活してるんだ!?」
俺は、倒れている雫を起こし、乱暴に問いかける。
「桜?ああ・・・知ってるか?静流のやつ・・・俺が10歳の頃に・・・・・・。」
「死んでろっ!!」
スパンッ!!
「あうっ・・・。」
俺は、復活し(させ)た雫を、わずか10秒近くで再び沈黙させる。
ちなみに、今回は手加減なしだ。
「あっ、祐一ちゃんだ〜♪♪」
「祐一ちゃん!?」
俺が、聞き慣れない言葉に驚いて振り向くと、桜が飛び込んでくる。
ガバッ!
「ぐはっ!」
危うく体勢を崩しかけたが、何とか持ちこたえる。
「あっ、先輩ズルい!!私も・・・。」
静流が恐いことをさらりと言うのが聞こえた。
「ちょっ、ちょっと待て・・・・・・。」
ガシッ!
「げほっ!」
後ろから、静流に思いっきり飛びつかれる。
前から桜、後ろから静流・・・・・・端から見れば、かなりうれしい状況なのだろうが・・・・・・今の二人は何をするか分からない!!
俺は、二人を引きはがそうとすると・・・・・・
ガシッ!
「みーちゃん♪♪飛び込んでおいで♪♪」
「へっ?」
桜が、俺の右腕を両腕で掴む。
「先輩、早く〜♪♪」
「えっ?」
左腕も静流に掴まれる。
「みーちゃん、行きま〜す♪♪♪」
美咲の可愛らしい声が耳に届く。
「はっ?」
俺の数メートル前に、美咲がこちらを向いて手を振っている。
「これって・・・・・・。」
二人の意図に気づいたときには、時すでに遅く・・・・・・
「わ〜〜い♪♪」
ガバッ!
「うおっ!!」
ガンッ!
そして、視界がブラックアウトしていった・・・・・・・・・。
翌日、3人が揃って二日酔いになったのは言うまでもない・・・。
ちなみに、雫は無事だったらしく、花見終了の時にはすでに復活していた。
復活した時に、「どこかの川の近くで、祖父母に助けられた夢を見た。」と言っていたのが、記憶に残っている・・・・・・。
何にしても、今日が休みで良かった・・・・・・。
俺は、二度とあいつ等に酒を飲ませないことを、自分の頭のたんこぶに深く誓い、ベットに入った。
「学校か・・・。そういえば、悠緋は間に合ったのか・・・?」
夢の世界に旅立つまでの間、俺は瀬璃迂悠緋のことを考えた・・・・・・。
次の日、相沢祐一は、瀬璃迂悠緋に感じた違和感の正体を知ることとなる。
そして、もう一人の瀬璃迂に会うことになる・・・・・・。
もう一人の瀬璃迂・・・瀬璃迂悠那(ゆうな)に・・・・・・。
〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜
AP「終わり〜♪」
悠緋「お疲れさま♪♪」
AP「悠緋も、ご苦労だったな。」
悠緋「出番少なかったから、大丈夫だよ♪」
AP「そう言われると、辛いんだが・・・(汗)。」
悠緋「ボクは平気だよ?」
AP「いや、そうじゃないんだが・・・まっ、いいか・・・。」
悠緋「?????」
AP「しかし、今回も長くなってしまった・・・(汗)。」
悠緋「27Kbだもんね・・・。目標は15Kbなんでしょ?」
AP「うぐぅ・・・そうなんだよね・・・(TT)。」
悠緋「次回は15Kbになりそう?」
AP「次回か・・・おまえ達が出てくるからな・・・。たぶん無理だろうな・・・(^^;)。」
悠緋「ボクも頑張るから、APさんもがんばってね♪♪」
AP「おうっ!!」
悠緋「それにしても・・・・・・今回後半部分・・・。」
AP「・・・・・・(ギクッ)・・・・・・(汗)」
悠緋「見事に暴走したね♪」
サクッ!!
AP「グッサアアアアア・・・・・・!!」
悠緋「しかも、何気に最後の部分省略してたしね♪」
ドコッ!!
AP「こんな会社、〇めてやる!!」
悠緋「その台詞はパクリだからダメだよ〜!!(><)。」
AP「大丈夫!!伏せ字して置いたし!!」(←何故か威張る。)
悠緋「はあ〜・・・。それでは、みなさん。また、次回会いましょうね♪♪」
AP「あっ、終ってしまう!(汗)。それでは、みなさん。また、お付き合い下さいね♪♪」
悠緋「バイバ〜〜イ♪♪(次回私たちが主役だよ〜♪♪)」
AP「それでは〜♪♪(はあ〜・・・次回も長くなっちゃう・・・(TT)。)」