まるちぶーと!!


第1話「彼方の町へ」

 

「祐一〜・・・・・。」

名雪が俺を泣きそうな顔(泣いているのだが・・・・・)で見ている。

「・・・・・・・・・・」

「祐一〜・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

「祐一〜・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

「祐一〜・・・・・。」

「・・・・っだぁ〜。いい加減にはなせ!名雪!」

そう言うが、名雪は、さっきから掴んでいる俺の上着の裾をなかなか離さない。

このままだと上着が伸びてしまう・・・・。

はあ〜、と一つため息をつくと、名雪の目を見る。

涙で潤んでいる大きな瞳。その瞳に、大きなボストンバックをかけた俺の姿がうつっている。

「名雪・・・・。そんな一生会えなくなるわけでもないんだから、そんな悲しい顔するなよ・・・・。」

そういって、涙を手でぬぐってやる。

「だって・・・。」

喋るたびに涙があふれてくる。

事の始まりは昨日の夜のことであった・・・・・・。

夕食途中に、親父から急に電話がかかってきた。内容はまた日本に戻ってくるということだった。

そこまではよかった。両親が嫌いなわけではないし、一緒に暮らせるならそれもいいと思っていた。

なにより、もとから海外への急な転勤さえなければ、この町に住む予定だったらしく、もう家が建っている。

俺の7年前のこともあり、転勤がなくてもここに移り住むことは決めていたようだった。

(後で聞いた話だが、両親は7年前のことを知っていたらしく、毎年あゆの様子を見に来ていたらしい・・・・。)

そんな矢先のことだったから、俺はてっきりここに両親が来ると思っていた。

家はほぼ完成している・・・・・。水瀬家にも近いから、これからはみんなでやっていけると思っていた。

しかし、現実はそんなに都合良く動くわけではない・・・・・・・・。

皮肉にも、転勤先は日本でも、南のほうだという。

ここからは電車で7時間くらいのところだという話だ。

俺はすぐに断ろうと思った。

ここを離れたくなかった・・・・・・。生活が充実していたし、なにより大切な人たちを見つけることができた・・・・。

俺は、そんな毎日が楽しく、そして幸せだった・・・・・。

しかし、結局はそこへ行くことになった・・・・。

普段から留守にしがちだからこそ、家に帰ったときに、子供がいるのといないのとでは

明らかに気持ちが違うらしく、両親も寂しかったらしい・・・・。

その気持ちはよく分かった・・・。自分が小学生の時によく感じていたから・・・・。

それに去年、1回親父が過労で倒れている。そのことも心配の一つだった。

どのみち、高校を卒業した後は家を出るつもりだったから、またしばらく会えなくなるかもしれない・・・・・。

だから最後の親孝行ということで、家族で暮らすことに決めた。

そして、その日のうちに秋子さんと名雪に話しておき、親父にも伝えておいた。

名雪はもちろん駄々をこねたが、秋子さんの説得により渋々納得していた。

また、ちょうど明日両親も帰国してくるらしく、俺もそれにあわせることにした。

ちなみに、例の7人には、悪いが何も言わずに行くことにした。もし話してしまうと、決心が鈍ってしまう。

それに、力ずくでも止められそうだしな・・・・。

佐祐理さん辺りなんか権力の名の下にやりそうだからな・・・・・。

まあ、そんなこんなで、今にいたるわけなのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「祐一〜〜〜〜・・・・・。」

「名雪・・・・・・。」

そう言うと俺は、名雪の顔を正面から真剣な顔で見る。

「俺だって本当は行きたくないんだ・・・。ここには、俺にとって大切な人たちがいる・・・・。それは分かってくれるな?」

「うん・・・・・。」

名雪は涙を流しながら、それでも顔は俺をしっかり見て頷く。

「だから、俺は帰ってくる。大切な人たちを放って置いたりなんかしない。」

そう言い、あふれてくる涙をぬぐってやる。

「俺は約束は守る。俺が約束を破ったことがあるか?」

「ううん。・・・・・祐一、遅刻はするけど・・・・・約束はちゃんと守ってくれるから・・・・・。」

そう言うと、名雪が俺に抱きついてくる。

「でも・・・・・でも・・・・私・・・・寂しいよ・・・・・」

泣き声をあげないように、必死に我慢している。俺は、名雪を優しく抱き返すと、その背中をなでてやる。

「大丈夫だ。そんなに長くにはならないさ。親父のことだ・・・・・・・。
1,2ヶ月もすればまた転勤になる。そうしたら戻ってくるから。」

「うん・・・。」

名雪を不安にさせないように、できるだけ優しく喋る。名雪も安心したのか、落ち着いてきた。

「だから・・・・・・・・少しの間、さよならだ。」

そう言うと、名雪がゆっくりと俺から離れる。その顔にはもう涙はなく、代わりにいつもの笑顔があった。

「ごめんね。わがまま言って・・・・。」

「気にするな。」

そう言うと、名雪の頭をなでてやる。しばらくしてそうしていたいが、時間がない。

現在時刻は9時30分。確か電車の時間は10時だったはず。

「俺がいない間、秋子さんのこと頼むぞ。まだ退院したばかりだからな。」

「うん、まかせておいて。」

秋子さんは、あの事故から奇跡的、いや、みんなの願いとあゆのおかげで助かり、先週、無事退院した。

まあ結局、約2ヶ月間入院したのだが・・・・。

おかげで完全に治ったんだが、油断はならない。もう誰も失いたくはないからな・・・。

名雪の頭をなでていた手を止め、カバンをかけなおす。

「祐一も体に気をつけてよ?」

「おう!じゃあ、そろそろ行くな。」

そう言い、ドアに手をかける。

「・・・・・・祐一!」

急に自分の名前を呼ばれ振り返ると、唇に暖かい感触を感じた。

「なっ、名雪?」

急なことに俺は驚いた。

「ふふ・・・・。私からのおまじないだよ♪」

頬を染めながら言う。そして、

「祐一・・・・・・・・・行ってらっしゃい♪」

とびきりの笑顔で言う。そんな名雪に、俺も元気よく返す。

「ああ。行って来る。」

ドアを開けると、太陽の光が差し込んでくる。

外は雪も溶け、陽気な暖かさが本来の景色を鮮やかに映し出す。

サンサンと太陽の光が降り注いでいる、そんなある晴れた春の日の出来事だった・・・・・・・。

 

 

→act2


〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜

アポロジー「ど〜も、アポロジーゆうものです。長いんで、『AP』とさせていただきます。」

名雪「名雪だよ〜♪」

AP 「今回のがSS最初ではないのですが、投稿するのは初めてです、はい。」

名雪「いきなり連載物送るなんて、何考えてるだろうね〜。」

   グサッ!!

AP 「うっ!いきなり心臓に刺さること言うな!!これでも結構気にしてんだから・・・・。」

名雪「だったら、さっさと自分のHP作るんだお〜。」

AP 「だからこの作品は、自分のHP制作開始記念ということで送らせていただいたんだよ!」←(日本語変?)

名雪「あっ、やっとつくるんだ?」

AP 「おう!でもHP作るのに時間がかかりそうだし・・・・。だからその間にSSについて、色々な意見を聞きたいな〜と思ったから投稿を決意したんだ。」

名雪「それにしても、なんでもう一回転校するネタにしたの?」

AP 「本当は転校前が書きたかったんだけど、『Arrived』、『二つの道、一つの選択』等、素晴らしい作品があるだろ?」

名雪「そうだね〜。」

AP 「そんな作品と肩を並べるなど、俺には恐れ多いからな。だから、もう一回転校する話にしたんだ。」

名雪「私たちの出番はあるの?」

AP 「おう!もちろんあるぞ。一応途中途中にいれるつもりだぞ。」

名雪「それならいいんだけど・・・・・。どうでもいいけど、量が少ないよ〜?」

AP 「ぐはぁ!!しょ、しょうがないじゃん!これ以上長くすると、きりが悪くなっちゃうんだよ〜・・・・・」←(泣)

名雪「今回はいいけど、次回からはちゃんとだよ〜?じゃないと謎じゃ・・・・・・。」

AP 「はい、みなさん!!読んでいただき、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします!!」←(汗)

名雪「(チッ!)よろしくだよ〜♪」

 

(現在)2001年5月30日15:55



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