ノンフィクション近影


わたしを初めて 抱いた人は わたしのためなら 死ねると言った
わたしは笑って 少しだけ泣いて 木影に座って 髪をほどいた
碧い寝息は 明日を夢見て 花が咲くのも 待てずに舵を取った
空がどれほど高いのか 海の彼方で 月は鯨と泳ぐのか
どこまで独りで飛べるのか
若い力はあふれ出した
あなたが初めて 抱いた人は あなたの背中に 甘えて泣いた?
わたしの背中に羽根などなくて 星は遠くで 瞬くばかり
夜明けの鐘が 愛しくそっと 全てを消せるわけでもないから
空がどれほど高いのか 海の彼方で 月は鯨と泳ぐのか
思い出す嘘もあるけど 新しい朝を 全部あげる
わたしなんか 死ねばいいと想ってた
でもどこかで わたしだけが 生きのびることだけ 信じてきた
空がどれほど高いのか 海の彼方で 誰が泣いていたのかさえ
ここまで私は 流されて 濡れた人魚は愛を見た
消えないにおいと
新しいにおいと
愛したにおいと
愛すべき あなたと



(5月18日)        
戻る。