〜INTRODUCTION〜 丸2日経った今でも、まだ余韻が残っている。音という音が体に染み付き、声という声が頭から離れない。まるで現実と夢の狭間を行き来しているようだ。今回のツアーに行ったのはこれで4度目。同じツアーでここまで多く行ったのは初めてのことだ。それでも、回を重ねる度に、常に進化しつづけている。つくづく、すごい奴らだと思う。 ファンになってから、常日頃思っていることがあった。 どうしたら世間にCHAGEの歌がうまい ということを知らしめることができるだろうか、と。「うまい」という表現ではどこかもどかしい。とにかく声の伸び、そして広がりがハンパではないのだ。テレビなどメディアでの扱いは、ほぼ9割はASKAメインの曲ばかりなので、大抵の人は「ASKAの横にくっついてるおちゃらけの人」というイメージをお持ちであろう。もしもそう思っている方がこれを読んでいらしたら、即刻改めていただきたい。ここで声を大にして言っておこう。 CHAGEの方がうまい! メディアにおけるそれとは違い、ライブでは2人の立場は当然のことだが全くの同等。むしろここぞとばかりに、その驚異的な音域と声量で会場を圧倒し、同時に包みこむ。まさに水を得た魚のごとく、人間サラウンドシステムと化したCHAGEを止めることは誰もできない。 こう書くと、「じゃあASKAが下手なのか?」というアホ意見が飛んでくるかもしれんが、そうではない。いわゆる「ねちっこくてしつこそうな声」は、やはり生で聞かないとその真の力を感じることはできないだろう。初めてライブにいった時のあの驚きは、今でも鮮明に覚えている。体の芯まで響いてくる力強さ。まさに魂の叫びがそこにある。 そもそも2人の声質自体は全く違うので、どっちがどうとは簡単に比較するのはむずかしい。いうなれば、歌に心をのせるのがCHAGE、歌に心を込めるのがASKA、といったところだろうか。言葉のニュアンスだけでは伝わりにくいかもしれないが、この微妙な違いこそが彼らの持ち味であり、最高の魅力なのだ。最近、よくASKAは「互いが互いを消し合って歌っている」と冗談めかして言ったりしているが、それぞれの個性がぶつかりあい、昇華されていく。やはり彼らは2人で1人がベストなのだ。 〜STAGE〜 自分の知る限り、これまでチャゲアスのライブは、CHAGE&ASKAが中心であった。決して置き去りにされているわけではないが、あくまで観客は観客でしかなく、自分らを見て楽しむ者、という位置づけが大きかったように思える。メディアにおいても、観客を軽視しているとも取れるような発言をして、ファンから批判を受けるようなこともしばしあったようだ。例えばサザンのような、曲を止めて一緒になって歌うようなシーン(いわゆる勝手にシンドバットモード)はこれまでほとんどなかった。ところが、今回のツアーは74公演全てが、収容数がおよそ2000人規模の小さなホール会場のみ。自分のような、万単位のアリーナクラスでのライブしか知らないファンにとって、この発表はにわかに信じがたいものだった。「ほんとにそんな近くで見れるの?」という驚きがまずあった。そして、どんなステージになるのか?当日まで、これまでとはまた違う、奇妙な期待感は消えることはなかった。 〜PERFORMANCE〜 今回のホールツアー、得るものが大きかったのは僕らファンよりも、むしろ彼ら本人のほうだったように思う。それは、観客の重要性、そして近さ。バラード系の曲ではいつも通りの優しさと温もりあふれる声で魅了してくれるが、一転アップテンポになると、これまでにはなかったほどに観客を意識していることが、彼らの表情や動きから伝わってきた。特に後半のなだれ込むようなうねりの中で一段とそれは激しくなる。「YAH YAH YAH」での、あの会場の一体感は生涯忘れないだろう。 また、中盤のMCで行われた「質問コーナー」も各地で大好評だった。会場の中からランダムに3人ほど選び、彼ら2人と直接会話を交わすことができる。ホールならではのこの新しい試みは、今後も続くのではないだろうか。いずれも、狭い会場だからこそ、これまでにはなかった発見ができた。そしてそれは、先日のアリーナクラスでの追加公演での進化にそのままつながっていく。 〜EVOLUTION〜 4月26・27日。横浜アリ―ナ追加公演。初日はファンクラブ会員限定のいわば打ち上げ、2日目は、チケットがとれなかったファンのための償い。こういう心憎い気遣いも、その影響が多々あったのだろう。そして、ホールで得られたものは、1万人を超えるアリーナでもパフォーマンスとして確実に昇華されていった。やはり中盤でのMCでは観客との対話を試みた。さすがにこちらの声が届かず、代わりにアカペラ調LOVE SONGを披露してくれたが、これも特別なものになった。そしてライブ終盤ではこれまで以上のテンションで突き進み、「YAH YAH YAH」で2万4000と4つの拳が振り上げられ、ドラムのリズムにのせた「NとLの〜」の大合唱は、横浜の海まで響き渡った。CHAGE&ASKAのライブは、「CHAGE、ASKA、そして観客全てが一つになるライブ」へと確実に進化を遂げていた。 これまで彼らを支え、突き動かしてきたのは、昨年秋から始まった全国ツアー計74本をやりとげたという、達成感と充実感だろう。いうのはたやすいが、この半年の間で、実に3日に1度はステージに立っていることになる。常人では考えられないことだ。それだけ精力的に動けたのは、まぎれもなく観客の力によるものだろう。そしてそれを全て受けとめた彼らは、最後の曲の前に、信じられない発表をした。 CHAGEはこう切り出した。 「今回のツアーで、中盤あたりから、だんだんと疑問に思いはじめたことがあった。俺達は一体なんで、何のためにライブをやっているんだろう?その答えが出せないままに、ツアーは終わってしまいました。 だけど、お客さんが笑顔になって帰っていく、それだけはわかったので、その答えを見つけるために、また、 秋からツアーをやります!! 一瞬、耳を疑った。これまで、シングル、アルバム発表、さらには互いのソロ活動など、必ずライブとライブの間には別の活動が入り、連続でツアーを行ったことは1度もなかった。その彼らが、ついこないだ全国を回ったばかりの二人が、またすぐにライブをやる。なぜだ?なにがここまで彼らをそうさせるんだ? 半ば混乱した頭の中に、今度はASKAの声が響いてきた。 「えー、、そうなんだよ、各地域のイベンターの方々、それからファンの方々の力があってね、また秋からできることになったんだ。みんなも力を借してほしい。みんなが頼りだ」 「世の中、デジタル、デジタルで進んでる。なんか、MP3とかそういうの?この先、音楽というのはもっと手に入りやすくなっていく。誰もが簡単に音楽を手に入れることができる世の中になってしまう。その分、モノとしての音楽の価値はどんどん下がっていってしまうと思うんだ。 そんな中で、ライブというのは最高のアナログになる、最高の贅沢になると思うんだ。これからもずっと、僕らはライブを続けていく。歌い続けていく。だから、 みんなで、ライブで最高の贅沢をしよう!! 「聞いた風な流行にまぎれて 僕の歌が痩せつづけている」 彼らの言葉を思い出しているうちに、このフレーズがふと頭をよぎった。 人より少し歌が上手であれば簡単にCDを出せてしまう時代。10年以上も前から、彼らは音楽という価値を危惧していたのだろうか。そんなことまで考えさせらてしまう。しかし、音楽の最大の魅力は、生の音、そしてそれを他の人と感じあい、分かちあうことにある。今回のツアーで、それを改めて気づかせて、そして気づいてくれた。ライブは最高の贅沢。なんと素敵な響きだろう。これからもずっと、自分の人生は彼らと共にある、そう確信した、光あふれる2日間だった。 もしこれを読んで少しでも興味を持った方、どのライブビデオでもいい、どのアルバムでもいい。まずは本当の彼らに触れてほしい。そして、願わくば次の秋から始まる新たなツアーに、共に足を運んでほしい。きっと、全く違う人生がそこに待っているはずだから。 2002.4/29 14:13 〜ALL SONGS〜 One Day 「誰にだって訪れるさ どうしたって悪い日は」 もうすぐだ 「走れ 走れ 時は短い 希望の淵を」 明け方の君 「君は 心で 君は 遠くで きれいな人で」 Born the trap 「今日も俺達 歌ってる」 no doubt 「絵の具がきれた場所で たたずんでいた」 砂時計のくびれた場所 「届かない夢が欲しくなった こんなに胸があたたかい」 ふたりなら 「遠い約束 守れたようだ 時間に少し遅れたけど」 告白 「黙って きいてほしい」 Moon Light Blues 「あきれるほどの うぬぼれやさん」 鏡が映したふたりでも 「こんな気持ちで いられる今を 素敵に 思おう」 夢の飛礫 「わたしがあなたに いま できること」 C-46 「いつものことだと どこかになかったかな」 SAY YES 「恋人の 切なさ知った」 パラシュートの部屋で 「薄明かりで 君の顔が染まって見える時 僕は誉められてる気持ちがするよ」 HOTEL 「<愛してる>の台詞なら 誰かが使ってる」 higher ground 「なぜか眠りを許されず 生きることを与えられた」 YAH YAH YAH 「勇気だ愛だと 騒ぎ立てずに その目を開ければいい」 can do now 「祈りのように指を 絡ませてはつぶやく I can do」 NとLの野球帽 「不器用そうな親父の背中を お袋が見ていた」 ロケットの樹の下で 「ここは途中だ 旅のどこかだ」 not at all 「そこに立って はじめて 分かることばかりさ」 NOT AT ALL トップへ |