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- 『機動戦士ガンダム』の基本的な世界は実際の知識に基づいている。もちろんモビルスーツの存在は未だに空想の域を出ないが、その背景には実際の宇宙開発の知識が盛り込まれているのである。アニメといって侮ってはいけない。
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- まずは人類が宇宙で生活の場としているスペースコロニー。これは実際に人類が地球外で生活をするならば、こういうものがいいんじゃないかということで、幾つかのタイプが提唱されているが、『ガンダム』世界で主流のものは開放型コロニーと呼ばれるもの。これはG.
K.
オニールが提唱したもので、本体である円筒の3方向にミラーが展開しており本体内部は6等分されている。1区画ごとに居住区が3面、“光の河”と呼ばれる窓が3面あり、この窓からミラーに反射させた太陽光を取り込むものだ。全長約30km、半径約3kmで、人工重力を発生させるために2分間に1回の割合で回転する。これによって、人は円筒の内側の壁に街を造って生活ができるわけなのだが、結構速い。これで0.9Gが作り出せるらしい。ちなみにコロニー内部で空を見上げると雲間に反対側の街並みが見えるという。そんな光景、見てみたいものだ。タカラから発売されている食玩「王立科学博物館」<第二展示場、黒のフロンティア>にラインナップされているので、興味のある人は見てみてもいいかも。
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- さて、現実世界では地球周回軌道上に国際宇宙ステーション(ISS)が建造中だ。このような巨大な建造物を宇宙空間に止めておくには惑星などの引力を中和できる場所に設置しなければならない。人工衛星は地球上高度約200kmの周回軌道を秒速数kmの猛スピードで飛んでいる。同じように人工衛星の破片や建造中に出たゴミなども秒速数kmという猛スピードで飛んでいるわけで、この速度でぶつかられたら例え相手が小さいビスなんかでもイチコロだ。ということで、この宇宙のゴミ(スペース・デブリ)も問題視されているのだが、それは別のお話(*1)。話を戻すと、人工衛星はこのスピードで生まれる遠心力を利用して地球の引力から逃れている、のだがプラスマイナス0かというとそうではなくて、やはり地球の引力の方が勝っているため、軌道修正をしてやらないと大気圏に落ちて燃え尽きてしまう。そのようなところにコロニーのような人が大勢居住する構造物を建造するのは極めて危険。だから将来的にそういったものを設置する候補地というものが挙げられている。それがラグランジュ点と呼ばれる領域。ラグランジュ点とは地球圏においては、地球、月、太陽の3つの天体と設置する物体(例えば人工衛星とか)の互いの相対位置が変化しない軌道を示す。私は3つの天体の引力が均一にかかる位置だと理解しているんだけど違うのかな?ちなみにラグランジュ点とは、この軌道を計算によって予測したフランスの数学者、ラグランジュの名から付けられたもの。この軌道に物体を置けば、半永久的に安定して止まり続けることができるわけ。ラグランジュ点は地球・月を通る直線上に位置するL1〜L3(準安定点。バランスがあまりよくない、らしい)と地球、月の距離を一辺とした正三角形上に位置するL4、L5(安定点)の5つがある。
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- 『機動戦士ガンダム』の世界を構成する実在理論というのはもちろん他にもたくさんある。立派なサイエンス・フィクションなのでね。その中でも、この2つの理論は『機動戦士ガンダム』だけでなく他の様々な作品でも応用されているものだ(というか、舞台が宇宙であれば避けては通れないものだろう)。その辺りを念頭においてアニメだけでなく、SFというものを楽しんで頂けると嬉しい限りだ。
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