- 朝日新聞社から版元を変えての再度の文庫化。ただし、あとがきと解説以外は内容に違いはないので、ご注意を。
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- 東京郊外に建てられた高層マンション。ある嵐の夜、その20階の一室で一家四人の殺害事件が起こる。しかし彼らは本来そこに住んでいるはずの家族ではなかった。では彼らは一体何者なのか。何故そこに住んでおり、何故殺されたのか?
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- 全編ほとんどが、事件解決後に関係者のインタビューを書き起こしたもの、といった体裁をとっている。そのため事件解決までの臨場感は少ないが、落ちついた文章から重厚感を感じる。裁判所扱いの競売物件や占有屋など、社会問題として非常に勉強になるのだが、やはり事件に関係したそれぞれの家族の描かれ方が興味深い。新聞やニュース等で語られる事件には被害者と加害者しかいないが、こういったドキュメンタリー的手法で語られる事件の裏側には、そこに関わることになった人々とその理由、また、被害者と加害者の人生における背景とそれぞれの立場に至る理由、といったものが描かれていて、その丁寧な描き方が氏らしいところ。
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- しかし、ある二組の家族についての語りはインタビュー形式ではなく、関係者の視点から描かれる。これがまた感情移入してしまうんだな。特に難題を押しつけられることになった宝井家の長男には。…やはり宮部氏は子供を書かせると上手い。
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