「深夜に放送してるF1をたまーになんとなーく見てる人」
「F1に興味はあるケド、イマイチ見方が分からくてつまらない人」
「F1って色以外はみんな同じに見える人」
などなど、「F1」と言う言葉やマシンは知ってても
いまひとつ分かりにくいのも事実です。
ここではそんな人達がF1をみる「とっかかり」になれば良いな、と思って
立ち上げたページです。
F1って何?
一言で「F1」と言っていますが、正式名称としては「FIA Formula One World Championship」という名前のモータースポーツ競技の事を指します。冠名となっている「FIA」というのは「Federation Internationale de I'Automobile(国際自動車連盟)」の事です。つまりF1は「FIA主催によるフォーミュラーワン世界選手権」という事になります。FIAはF1の他にもWRC(世界ラリー選手権)も主催していますが、元々は国際運転免許(いわゆる国際ライセンス)の発行の為に発足した組織のようです。主催者ですから、F1のレギュレーション(ルール)を決めるのもFIAの主な役割となっています。会長はマックス・モズレー。
FIAが主催する「自称・地上最速の」フォーミュラーカーによるレースがF1ですが、F1グランプリの興行主(プロモータ)はFOA(Formula One Administration)という組織が行っています。FOAはF1のチケット販売やテレビの放映権・肖像権の管理など、どちらかと言うと「お金と権利」を監督している組織だと思って下さい。会長はバーニ・エクレストン。FIA→主催者、レギュレーション管理
FOA→興行主、お金と利権関係を管理
と言う事で「モズレーとバーニー」、この2人が「F1を陰で操る首領(ドン)」と言えます。
でも最近は若干バーニーの方が五月蠅いカナ(笑)。更にF1に参加するチームや自動車メーカー、グランプリ開催国の現地プロモーター、FIA、FOAなどF1関係者達による「コンコルド協定」という物が存在します。このコンコルド協定にはそれぞれの組織の役割に始まり、テレビ放映権や分配金などの商業的な事、主なレギュレーションやその変更手順などのレース運営的な事などが細かく表記されているそうです。しかしこの協定書は関係者以外には非公開なので、具体的にどのような文言が書かれているのかは不明です。が、一度某オークションに古いコンコルド協定の原書(清書版ではなく草書版だったようです)が出た事があったそうです。
現在のコンコルド協定は1998年に調印された物で2007年末で満了する為、2008年からの新しいコンコルド協定の調印がなされようとしています。2008年から大幅なルール改定案が提案されているのは、この事も影響していると思われます。
ちなみに「コンコルド協定」の名称の由来は、当時FIAの本部がフランスのパリ市内コンコルド広場にあったからだそうです。このコンコルド協定には「F1レースの参加チーム数は12、1チーム2台まで参加可能である」と書かれているそうです。だから基本的には12チーム以上はF1チームになれないし、(レースを出走する)現役F1レーサーと言うのも世界中で24人以上は存在しない、というワケですね。世界中に無数にいるレーサーの頂点がF1レーサーと言われる由縁ですね。
2006年シーズンの参加チーム数は11(1:ルノー、2:マクラーレン、3:フェラーリ、4:トヨタ、5:ウィリアムズ、6:ホンダ、7:レッドブル、8:BMWザウバー、9:スパイカーMF1、10:トロロッソ、11:スーパーアグリ)ですが、2008年からは「プロドライブ」というチームが新規参戦する事が決まっています。で、コレで12チーム、と。F1はこの12チーム24人のレーサー(2007年までは11チーム22人)によって「ドライバーズ選手権」と「コンストラクターズ選手権」が争われます。F1では決勝レースの順位結果で、それぞれにポイントが与えられます。
1位:10ポイントこのポイントをレース毎に加算し、年間シーズン通して最も多くのポイントを獲得したドライバーが誰かを争うのが「ドライバーズ選手権」、チーム所属のドライバーズポイントを総加算してチームとしてのポイントを争うのが「コンストラクターズ選手権」となります。
2位:8ポイント
3位:6ポイント
4位:5ポイント
5位:4ポイント
6位:3ポイント
7位:2ポイント
8位:1ポイント
9位以下:ノーポイント
ドライバーズ選手権の年間チャンピオンが、翌年の「カーナンバー1」を付ける事になり、チームメイトのマシンがカーナンバー2となります。カーナンバー3以降は前年のコンストラクターズ順に与えられますが、「カーナンバー13」は諸外国で不吉な数字として嫌われている為、現在では「13番は欠番扱い」になっています。余談ですが、日本では「4」が「死」を想像させる為、同様に嫌われています。が、このカーナンバー4を付けて走った日本人ドライバーがいます。2005年、BARホンダのセカンドドライバーだった佐藤琢磨です。結果はハンガリーGPで8位入賞した時の1ポイントのみ(前年は26ポイント獲得)で、しかもフェラーリから移籍してきたルーベンス・バリチェロに押し出される形でシーズン終わりと同時にホンダから放出されてしまいましたとさ・・・。
でも翌2006年からは新生スーパーアグリのチーム立ち上げ当初からかかわり、そのひたむきに努力する姿勢と、逆境に屈しない前向きな姿勢が日本人F1ファンの心を掴み、今では日本一愛される現役F1ドライバーと言えるでしょう。
レースの流れ
F1は週末に行われます。早いチームは月曜日にはマシンをサーキットに搬入し、遅くても水曜日にはほとんどの荷物を搬入・整理して週末に備えます。<木曜日>
現地でイベント(スポンサーのプロモーション活動)などをこなしているドライバー達もサーキットに終結し、サーキットの下見(スクーターや徒歩など)をしたりしています。
午後には一般客にピットが開放され、ピットにあるマシンやドライバー達を間近に見られる「ピットウォーク」なども行われます。<金曜日>
11:00〜12:00 フリー走行1回目(Free Practice 1)
14:00〜15:00 フリー走行2回目(Free Practice 2)2007年以降の金曜日の内容がまだ未定なので、ここでは2006年の金曜日について書きます。
金曜日はフリー走行の日です。フリー走行では「空輸して来たF1マシンを組み上げ直し、最初に走らせる場所」でもあります。この「組み直したマシンをチェックする走行」を「インストレーション・チェック(略してインスト・チェック)」などと呼びます。レギュラードライバーはこのインスト・チェックがメインとなります。
但し金曜日はサードカーを走らせる事が出来ます。サードカーを走らせる事の出来るチーム(前年コンストラクターズ選手権5位以下だったチーム)はサードカーを積極的に走らせ、タイヤ・サスペンション・空力パーツなどのセッティングをいろいろと変えて、データ取りをしています。このデータを基にレギュラードライバーのセッティングを決めて行き、午後にはレギュラードライバーも土曜・日曜に向けたセットアップを見つけていきます。
又、あえてサードカーに新人ドライバーを乗せ、ドライバーの素性を試すチームも多々あります。山本左近も2005年の日本GPでジョーダンチームのサードカーをスポットで走らせ、その功績が評価され、2006年途中からスーパーアグリのレギュラーシートを獲得した例もあります。<土曜日>
11:00〜12:00 フリー走行3回目(Free Practice 3)
14:00〜15:00 公式予選(QualFy)FP3(フリー走行3回目)では、予選に向けたセッティングや、あえて燃料を積んで燃料分重くなったマシンで決勝レースを見込んだセッティングを探します。(マシンを壊さない程度の)ミスが許される最後の走行なので、結構突っ込んだ走りも時折見られます。
予選は3つのセッションに区切られて行われます。基本的には予選の順位結果で決勝スタートの順位が決まります。
<予選セッション 詳細スケジュール><日曜日>14:00〜14:15 Q1(第1ピリオド)
全22台によるタイムアタックです。このセッションの間で出したタイムの下位6台が、決勝での17番手〜22番手になり、ここで予選終了となります。決勝までの間に給油が許されている為、いわゆる「空タン」での全開アタック走行となります。14:22〜14:37 Q2(第2ピリオド)
第1ピリオドを通過した16台によるタイムアタックです。ここでも下位の6台がふるい落とされ、決勝レースの11番手〜16番手スタートが決まります。ここでふるい落とされたマシンも決勝までの間に給油が許されている為、空タン全開アタックしています。14:45〜15:00 Q3(第3ピリオド)
第2ピリオドを通過した10台によるタイムアタックです。第3ピリオドに進出したマシンは決勝レースを見越した分の燃料を搭載してタイムアタックをする事になります。つまり第2ピリオドと比べて極端に遅くなったマシンは「決勝レースに向けて燃料を沢山積んだ」と想像出来ます。
しかし15分間ずーっと全開で走っている事はしません。マシンは少しでも軽い方が速いタイムが出せる為、各マシンはなるべく燃料を消費して(軽くして)から、第3ピリオド中(開始から5分〜10分経過したあたりで)1度ピットに戻ってタイヤを新しくしてから、ホントのタイムアタックに入ります。ちなみにこの「燃料を消費する為の序盤のラップ」を「バーンナウト」もしくは「バーンアウト」(燃焼し尽くす)などと呼ぶ事もあります。
予選アタックを終了したQ3を走行したマシンは、最後にQ3開始直後の燃料搭載量に戻され(Q3走行で消費した燃料分が補充されると考えて下さい)、決勝レースまでその状態で保管されます。
14:00〜 決勝前日の予選結果順位に、各種ペナルティ(タイム加算やエンジン交換に伴うグリッド降格処分など)が加味され、決勝レースのスターティンググリッドが決まります。
基本的にはどこのグランプリでも現地時間の14:00にスタートするのですが、30分程前にF1マシンがガレージを出、ゆーっくりサーキットを1周して(このラップを「レコノサンスラップ」と言います)決められたスターティンググリッドにつきます。そこで一旦エンジンを止め、最終的なタイヤの判断(ウェットレースの場合、ドライタイヤで出るのか、ウェットタイヤで出るのか)をします。この時ドライバーは勿論、ピットクルー、チーム監督もグリッド上に集まっている為、マシンの最終チェックや作戦の確認もやっているみたいです。時にはテレビクルーによる取材なんかもこの時に入っていたりしますね。
スタート15秒前にはクルー達もピットへ戻り、フォーメーションラップ(セーフティーカー先導による隊列走行。元々はスターティンググリッドが見えないレース観戦者にもスタート順が分かるように、という意味で始まったらしいです)を1周行い、再びスターティンググリッドで停車した後、レーススタートとなります。
決勝レースはレギュレーションで「305kmを超えた周回(但しモナコは例外)もしくはスタートから2時間を経過した周回で終了する事」と定められています。概ねサーキット1周5km程を1分30秒程度で走る為、トータルで50〜60周ぐらい、時間にしておよそ1時間30分ぐらいの間、レーサー達は全開で走り続ける事になります。一般車両で高速道路をそれだけの時間走り続けていても多少の疲労感があるのに、常に全開で、しかもあの狭いコックピットで走っているワケですから、いかにF1ドライバーが過酷なアスリートであるかが伺えます。
チームの構成
F1のチームは、それはそれは沢山の人達のかかわりによって成立しています。チーム運営する人、マシンを組立・整備する人、マシンを運転する人、スポンサー、そして私達チームを応援する人。チームとしては小さいと言われているスーパーアグリでさえ工場や運営に携わる、いわゆる「チーム関係者」は100人程は居るそうです。
と言う事で、ここではそういった「チーム関係者」の主たる人達(特に上の方)の役割をちょこっと説明したいと思います。より具体的になるよう、Honda Racing F1 Teamの2006年の人事で解説をしていきます。<チーム代表:ニック・フライ>
いわゆる「チーム監督」ってヤツです。中日なら落合、サッカーならオシムです(笑)。<エグゼクティブアドバイザー(ホンダ・レーシング・ディベロップメント社長):和田 康裕>
監督と言う響はヒジョーにカッコイイのですが、スーパーアグリの鈴木亜久里代表曰く「チームの雑用係」だそうです(笑)。一応チーム関係者達の全てをとりまとめたり、いろいろな最終判断をする大事な役のハズですが・・・(^^;。直訳すると「助言する幹部」(笑)。2006年からホンダのチームとなった為、この人がいわゆる「ホンダ側でF1に関わる一番エラい人」と言った所ですかね。その人が発言力のあるポジションでチーム内に存在する事、これこそが「BARでなくホンダとしてレースしている表れ」だとCHIBINは勝手に解釈しています(笑)。<シニア・テクニカル・ディレクター(ホンダ・レーシング・ディベロップメント テクニカル・ディレクター):中本 修平>直訳すると「年上の・技術的な・管理者」です。いわゆる「技術監督」で、マシンの設計・開発から始まり、技術的な部分を全て統括する最高責任者でもあります。<スポーティングディレクター:ジル・ド・フェラン>
しかし中本サンのこの1年の仕事っぷりを見ていると「ホンダ側の現場監督」と言ったカンジです(笑)。レース中もニックと肩を並べてセッションしている姿がよく見受けられますので、作戦的な部分にも踏み込んだ発言をしている様子です。又テクニカル・ディレクターにホンダの人がいるあたりに、このチーム内での(自動車メーカーとしての)ホンダの技術影響力も伺えます。
ちなみに2006年ハンガリーGPで、第3期ホンダF1参戦における初優勝の表彰式の時、目頭を押さえながらアップでテレビに映っていたあのオジサンが彼です。調べてみたら、実は2003年まで現役で走っていた元レーサーのジル。他のチームでもドライバー出身者がこの役職に就く傾向が強いようです。きっとレース経験が豊富である程「戦略的な引き出し」が多いからでしょうね。<チーフレースエンジニア:クレイグ・ウィルソン>
と言うのもこの人のお仕事は、いわゆる「現場最高責任者」だからです。あらゆる戦況に対し、臨機応変に的確な判断を下す事が求められるお仕事です。ココに「三国志の諸葛孔明クラス」の人がいるチームは、やっぱり強いです。ドライバー担当のエンジニア(技術者)の事を「レースエンジニア」と呼びます。つまりその親分ってワケです。<シニアレースエンジニア(ルーベンス・バリチェロ担当エンジニア):ジョック・クレア>決勝レースでは2台のF1マシンを走らせる事になるんですが、どこのチームでもそれぞれのマシン(と言うかドライバー)に担当責任者が存在します。ジョックはルーベンスの担当エンジニアです。ってか2005年までは琢磨の担当エンジニアだったので、琢磨と入れ替わりにチームに入ったルーベンスの担当エンジニアに就任した、というのが自然の摂理(笑)。<シニアレースエンジニア(ジェンソン・バトン担当):アンドリュー・ショブリン>こちらはバトン担当のエンジニアリング責任者。ちなみに担当エンジニア達は「マシンを仕上げて終わり」ではなく、レース中もつぶさに担当ドライバーと無線でやりとりを行ったり、無線で送られてくるマシンの状態データ(テレメトリー情報)をチェックしたりして、マシンの状態を常に監視し、マシンに異常が無いかハラハラしながら見ている人でもあります(笑)。<レギュラードライバー(ファーストドライバー):ルーベンス・バリチェロ>ここに来て「このチームで例えるのは失敗だった!」と気付きました(笑)。<レギュラードライバー(セカンドドライバー):ジェンソン・バトン>
一般的には各チームとも「ファーストドライバー(カーナンバーの若番を付けて走るドライバー)が一番速いドライバー」だからです。まぁあえて「何故ルーベンスがファーストドライバーで例えが悪いのか」は割愛しますが(笑)。
ファーストドライバーはチーム内での待遇も良く、新しい部品・良い部品は必ずファーストドライバーから先に使えますし、レース以外の面でも例えばドライバーに与えられる休憩室も、ファーストドライバーの方が広かったりします。セカンドドライバーは速く走る事も大切ですが、ファーストドライバーがより速く走る為の手助け(先行するファーストドライバーを守るように、後を追ってくる他チームのマシンをブロックしながら走る、など)なんかも要求される、ビミョーな立場の人が多いです。そういう事を巧みにこなす「名セカンド」なドライバーもいれば、「セカンド待遇はイヤ」と強調してる割に成績が伸びず、やがてチーム内の立場が悪くなっていくドライバーもいたりします(苦笑)。<テストドライバー(サードドライバー):アンソニー・デビッドソン>
チームによっては「2人ともエースドライバー待遇(ダブルエース)でチーム内でも競争させているから、セカンドとは呼ばないよ」という所もあります。が、実は「今までファーストドライバーを勤めていたベテランドライバーよりも速そうな若手セカンドドライバーが加入した時、チームとしては若手に期待してるんだケド、そんな事言ったらベテランドライバーがへそを曲げてスネちゃう(笑)ので、そういう言い方でお茶を濁している」事が多々あります(笑)。テストドライバーの主な仕事はその名前からも分かるとおり「マシンを運転してテストする事」です。又、チーム側としては「若手ドライバーの素性を試す場所」としても利用しているので、めまぐるしくドライバーラインナップが入れ替わるチームもあります。逆にトヨタの様にベテランドライバーをテストドライバーに据え「マシンの熟成に重点を置く」所もあります。この他にもまだまだ沢山の人が関わっているんですが、これ以上はややこしくなるので(苦笑)、とりあえず「こういう役職の人達が部下の統率を取ってレースしている」と思って下さい。
テストドライバーの中でも「サードドライバー」と呼ばれる人は、3人目のドライバーとして週末サーキットに来て、サードカーのあるチームではサードカーをドライブさせ、又レギュラードライバーが出走出来ない事態(ドライバーの急病や怪我、チーム側からの更迭など)に備えて待機し、時にはレギュラードライバーに代わってレースするのも仕事です。
又、チームによっては役職を兼任している人なども居ます。小さなチームほどこの傾向は強く、そういったチームの方がむしろ「チーム色」が濃いような印象もあります。
抜けそうで抜けないF1
F1に限らず、モータースポーツの醍醐味と言えば、何と言ってもオーバーテイク(追い抜き)シーンでしょう。でも実際のF1レースを見ていると「追いついているのに、抜けそうで抜けない」というシーンが非常に多いです。
無論ドライバーの腕の差という理由もあります。しかしそれ以外の「見えない(見えにくい)所」に理由が点在しています。
ここではそんな「じれったさを増長させる理由」をいろいろと説明します(笑)。でもこれらを知った上でオーバーテイクシーンを見ると、逆に「よくあの状況で抜いたな」と関心して、そのドライバーやマシンの凄さが分かってくるでしょう。<接近しすぎると「空力バランス」が崩れる>
現代F1マシンのあの速さの理由の1つに「優れた空力パーツ」の効力が挙げられます。<オーバーヒートし易くなる>
良く知られているのは飛行機が飛び立つ原理と逆に「マシンを流れる空気のチカラを、ウィングで下方向のチカラに変え、マシンを路面に押しつけるチカラにする」のがあります。この空気で下に押しつけるチカラを「ダウンフォース」と呼びます。
この他にも「マシンと路面の隙間に高速で空気を取り込む事で、マシンが地面に自然に吸い付けられるチカラが発生」するのも応用しています。テキトーな紙を机の上1cmぐらいの所で浮かせて持ち、紙と机の間に勢いよく息を吹きかけると体感できます。この空気で吸い付けられるチカラを「ベンチュリー効果」と呼びます。
主にこの2つのエアロ効果を利用している為、F1マシンは300km/hで走っても飛ばないワケです。逆に言えばこのエアロ効果が無くなってしまうとF1マシンは接地感を失い、浮遊感タップリのキケンな状態になります。2台のマシンが接近すると、前を走るマシンのすぐ後で空気の流れが乱れる為、後方を走るマシンにはキレイに空気が当たりません。そうなるとエアロ効果も効率が落ち、結果として非常に不安定な状態でコーナーへ侵入して行く事になります。
確かに「前方を走る車のすぐ後を走る事で、自分のマシンへの空気抵抗(コレを「ドラッグ」と呼びます)を減らし、スピードを上げる」のは、レースでは常識です。いわゆる「スリップ・ストリーム」ってヤツです。が、それはあくまで直線部分での話であって、コーナーではやっぱり空力が大きなチカラになっています。鈴鹿サーキットの130Rみたいな高速コーナーで抜くに抜けないのは、まさにソレなんですね。だから2005年日本GP鈴鹿の130Rでアロンソがミハエルをオーバーテイクしたのは、ドリキン・土屋圭市氏曰く「ありえない事」なワケです。前を走る車に長い間くっついていると、ラジエータ(エンジンなどのの熱を冷ます冷却装置)に当たる空気量も減ってしまいます。冷却効果が落ちる為、エンジン出力が落ちたり、オイル関係のトラブルが発生しやすくなり、それが続くと最悪オーバーヒートを起こす事もあります。それもあって「くっつきすぎない」「長い間くっつけない」ワケです。だから狙ったコーナーに近づいたら接近し、バトルしてダメだったら無理せず一旦距離を置き、しきり直すんですね。<コース幅が足りない(狭い)>
そう言えばミハエル・シューマッハは「つかず離れず、前を走る車の車体半分ズレたラインを走行し、ミラー越しに自分の存在をアピールし、ミスを誘う」のがとても上手なドライバーでしたね。最近出来たサーキット(バーレーン、イスタンブール、上海など)はコース幅も広く、コースからはみ出してしまった時の為の安全地帯(エスケイプ・ゾーン、ラン・オフ・エリア)も広い上にアスファルトなので、飛び出しても安全な上、コースに復帰する事が容易です。2007年から開催される富士スピードウェイも、そういった事を踏まえたコース改修がなされています。これらのコースでは比較的ワイドなラインが取れる上、失敗した時のリスクも少ないので、コース上でのオーバーテイクを試みるドライバーも多いです。<レース後半は、コース脇が「ダスティ」なのさっ>
対して昔からあるサーキット(シルバーストーン、ハンガロリンクなど)はコース幅も狭い為、基本的な走行ラインを外して走ると極端に遅くなってしまいます。
鈴鹿サーキットは2輪レースも想定している為にコース脇のほとんどに「砂」が敷き詰められています(2輪ライダーが転倒しても、ダメージを受けにくいように)。こういったサーキットでコースオフしてしまうと、砂でタイヤが空転してスタックしてしまい、マシンダメージが無くてもコースに復帰出来ません。モナコのモンテカルロ市街地コースに至っては、コース脇がガードレールなので、コースオフ=クラッシュを意味します。こうしたコースではドライバーとしても「そこまでのリスクを冒してオーバーテイクする」のをためらいます。ためらうと言うか「極端なハイリスク・ハイリターン」なんですよね。
と言う事で、コースによっては「コース上でのオーバーテイクは無理」とまで言われるサーキットもあり、そういったサーキットでのレースは「ピット戦略」が重要になってきます。F1マシンのタイヤは、一般車両のタイヤと比べて、極端に「溶けやすい性質」で出来ています。何せ最長でも305km走りきれるタイヤであれば良いワケですから、その分柔らかいゴムを使用してそのグリップを得たいワケです。
つまりF1マシンは「タイヤを溶かしながら走っている」ので、当然その溶けたゴムによる「タイヤカス」が大量に出ます。レースが進むにつれてこのカスはコース脇に溜まっていきます。レース後半、コースを注意深く見るとマシンが通るライン(いわゆる「レコードライン」)はアスファルトが直に見えていますが、それ以外の場所は黒ずんでいます。これこそが「タイヤカス」です。
溶けたタイヤカスは常温に戻り、コース脇で「ゴムの塊」になって堆積していきます。この状態の路面を走ろうとすると、タイヤとアスファルトの間にこのゴミ(ダスト)が入り込み、タイヤのグリップ力が極端に低下します。乗用車でもアスファルトの上に砂や落ち葉がうっすら堆積した状態の所を通過すると、タイヤがスリップしやすい状態になる、まさにアレです。
と言う事で、レース後半にレコードラインを外れてオーバーテイクしていくのは、マシンが非常に不安定な状態になる上、タイヤにゴミが付着してしまうのでオーバーテイクが成功しても失敗しても「タイヤのグリップ力がその後も低下する」恐れがあります。
ピット戦略
コース上でオーバーテイクが難しい事は、上で説明しました。でも戦略的にオーバーテイクする手だてがあります。それこそが「ピット戦略」です。
レース中、ピットインして行う主な作業は「タイヤ交換」と「エアロ(ウィング)の調整」、そして「ガソリン給油」の3つになります。特に給油については「フューエル・エフェクト(川井ちゃんが「燃料搭載量がラップ・タイムに与える影響」と和訳しています)」と言う専門用語があるぐらい重要な要素となります。もう少し具体的に説明しますと「燃料を積めば積む程、マシンは重くなる」ワケです。重ければ必然的にマシンも遅くなります。逆に燃料搭載量が少なければ軽い分速く走れますが、1回の給油で走れる距離が短くなってしまう為、ピットインの回数が増える事にもなります。
と言う事で、ここでは基本的なピット戦略について説明します。<極端に少ない燃料で予選第3ピリオドを走る>
燃料を少なくして走る事により、予選ではより速く走る事ができる為、決勝グリッドの上位を狙いやすくなります。又、決勝スタート時もやはり他よりも軽い分スタートダッシュが良く、好位置で1コーナーを抜ける事が可能となります。その後の周回も軽さを活かしてブッ飛ばして行けば、競馬で言う「先行逃げ切り」を狙えます。しかし最初のピットインも早めに行わないとガス欠になってしまう上、他のマシンよりも残り周回が多い段階で給油する=給油量が多くなる為、後半が辛くなります。特にピットアウト直後(この周回を「アウトラップ」と言います)が極端に重くなる上、交換したてのタイヤが暖まっていない為、アウトラップから数周が特に辛い事になります。<ピット回数を1回増やしてでも軽い燃料で走る>
結果「相手より少しでも前に出て、後半はその相手を押さえ続ける」という展開になりがちです。「夏休みは前半思いっきり遊んで、宿題は8月後半に慌ててやる」そんなイメージに近いカモ(笑)。燃料搭載量は軽ければ軽い程、マシンは速く走る事が出来ます。更にマシンは重めのマシンより安定している分、タイヤにも優しいく「タイヤのタレ(劣化)」が少ない事となり、短い距離を走るには良い事づくしとなります。<決勝は「ピット・スタート」を選択する>
しかし1回の給油で走れる距離が少ないと言う事は、給油する回数、つまりピットイン回数が増える事となります。ピットレーンはいろいろな人達(各チームの作業者など)が歩いている為、安全の為に制限速度が設けられています。だからサーキットを同じ距離を走るより時間(いわゆる「ロスタイム」)がかかる上、ピットで停止して作業(給油・タイヤ交換など)を行う時間(いわゆる「静止時間」)もかかります。でも給油量は少なくて済む分、静止時間は若干少なめとなります。
こうしてピット回数を意図的に増やす作戦を「マルチ・ストップ」などとも呼ぶワケですが、マルチ・ストップ作戦に出たマシンは「とにかく軽い状態でプッシュしまくり、ピットクルーもコンマ1秒のミスも許されない」という緊張感タップリの展開になります。コレは下位チームやトラブルで予選アタックに失敗したマシンで取られる手法です。ピット・スタートを選択すると、スタート時はピットレーンから制限速度で出走する事になりますが、他のマシンが予選終了〜決勝開始までの間「パルクフェルメ」と呼ばれる車両保管庫で管理されセッティングが変更出来ないのに対し、ピット・スタートを選択したマシンはセッティングの変更や給油が決勝スタートまで自由に行う事が出来ます。<早めにピット・インしてクリーン・ラップを狙う>
そこであえてピット・スタートを選択し、他のマシンより沢山の燃料を搭載してスタートし、1回目のピット・インのタイミングを先延ばしする作戦です。序盤はとにかくタイヤをいたわりつつ(1回目のピット・インまでの走行距離が長くなる為)、とにかく前を走るマシンに離されないように走ります。やがて前を走るマシン達に1回目のピット・インがやってきます。他車が給油を済ませると、周りは重いマシンばかりの中、自分だけは軽い状態のマシンで走る事が出来ます。この時こそピット・スタートしたマシンが本領を発揮する瞬間であり、ココでどれだけマージンを稼いで速く走るかがキモとなります。速ければ速い程、前を走っていた車との差が縮まり(実際は重くなった他車は後を走っている為、他車を引き離している状態)、やがて自分がピット・アウトしてみるとスタート時には前にいたハズのマシンが後にいる、という風になれば作戦成功、となります。
1回目のピット・インが遅いと言う事は、逆に言えば残りの給油量も少なく済む為、後半に行くにつれて楽になります。が、とにかくスタート時は最後尾で1コーナーを回る事は必至ですので、前半は離されず後半に追い上げられるというよほどの自信があるか、逆によっぽど自信が無くって一発逆転に賭けているギャンブラー(笑)しかやらないのが現状です。前には周回遅れの遅いマシン集団、後からは今にも追い抜かんばかりの勢いで迫り来るライバルマシンが迫っている状態で時折見られるパターンです。<省エネ走法で先行するマシンより少しでもピット・インを遅らせる>
周回遅れのマシンには「ブルーフラッグ」と呼ばれる旗が振られ、この旗を振られたマシンは基本的には「後から来ている速いマシンに追い越されなければならない」というルールなんですが、周回遅れ同士で順位争いしている状態だと「速いマシンを追い抜かせるついでに、競っているマシンにも抜かれてしまう」事を懸念して、結果、速いマシンが追い抜きさせてもらえない状況が発生したりします。又、無理に周回遅れを抜こうとラインを外してミスでもしようモンなら、後から来るライバルマシンに追い抜かれてしまう為、前も後もどうする事も出来ない状況になるばかりか、更に後から来る別の速いマシンにもおいつかれてしまい、どんどん状況が悪化していきます。
そこで「だったら燃料が多少残っていてもピット・インしてしまい、その集団をやりすごした頃にピット・アウトしてしまおう」というのがこの作戦の狙い。こうする事により、早めにピット・インしたマシンは上手く行けば他のマシンに邪魔されないクリーンな場所で周回する事が出来(この状況を「クリーン・ラップ」と呼びます)、かつライバルマシンは周回遅れの集団の処理でタイムロスをする為、効率良く走る事が出来ます。
ただ、ごくまれに「パスしようと思っていた周回遅れのマシンも、同一周回でピット・イン」「ピット・アウトしてみたら、別の遅いマシンの集団に捕まってしまった」などという事があり、こうなると見ている側も思わず「アチャー」って叫んじゃいます(笑)。皇帝・ミハエル・シューマッハの得意技(?)でもあったこの作戦は、見た目以上に難しい作戦。
コース上で抜きにくいサーキットで、どうしても前を走るマシンが抜けない(でも前を走るマシンより速く走る自信がある)状態の時、前を走る相手をゆさぶる事で少しでも相手にタイヤや燃料を消費させます。こらえきれず相手が先にピット・インしたら、前を遮る者がいないこの数周を、とにかく全開フルアタックしてコンマ1秒でも速いラップタイムをきざんでいきます。先程まで競っていた相手はアウト・ラップで燃料重め&暖まりきってないタイヤの為に、ラップタイムがそれまでに比べ1〜2秒程遅くなります。更に自分は相手より少ない燃料を搭載してピット・アウトしても、次のピット・イン(もしくはゴール)まで走れる事になるので、ピット作業時間(給油時間)も相手より若干少ない時間で済ませる事が出来ます。結果としてほんの数秒ですが相手よりも速い周回を重ねる事が出来、ピット・アウトしてみると先程まで競っていた相手の直前に出る事が出来る、というワケです。
ちなみにミハエルがこの作戦で強かった理由は、相手のアウト・ラップ中のフライング・ラップが速かった事もありますが、自分のアウト・ラップもおもいっきり速く走る能力が高く、相手を寄せ付けない・抜かせない(普通はタイヤが暖まっていないアウト・ラップで抜かれてしまう)のも彼ならではの「技」でした。
知ってると楽しめるルール(2006年版)
これまでにもいろいろとルールを説明して来ましたが、このほかにもいろいろなルールが存在します。
と言う事で、ここでは「知って特する、レース観戦が面白くなるルール」や「知っててどうする?トリビア的ルール」まで紹介していきます。尚、ここに挙げられている条文は2006年のレギュレーションです。<10条「ライセンス」より抜粋:選手権に参加するドライバー、コンペティター、およびオフィシャルは、FIAのスーパーライセンスを取得していなければならない。>
F1は免許証があれば誰にでも運転出来るという物ではありません。むしろ運転免許なんかなくったって、この条項にあるとおり「FIAのスーパーラーセンス」さえあれば運転出来るワケです。<17条「選手権イベント」より:イベントは、参加車両が12台に満たない場合には中止することができる。>
この「スーパーライセンス」の発行条件は明らかにはなっていませんが、「他カテゴリーで優秀な成績を収めている・十分な経験を積んでいる」というのが重要視されているのは間違いなさそうです。又、スーパーライセンスはレーシングドライバーにのみ求められるライセンスなので、プライベートテストなどでF1マシンを走らせる時には不要です。だからテストドライバーとしてF1を走行させた距離が長いドライバーも、優先的にライセンス発行されるようです。
ちなみに2006年の開幕戦でスーパーアグリからF1デビューを果たした井出有治は、度重なるレース中の接触事故が危険でありF1レーサーとして経験不足と判断され、シーズン途中でスーパーラーセンスを剥奪されるという昨今まれに見る厳しい処分が下されました。
条文にもあるとおり、スーパーライセンスはレーシングドライバーの他、コンペティター、つまりチームにも必要だそうです。
普通自動車運転免許に免許更新があるように、実はスーパーライセンスにも更新が必要となります。年1回、FIAが指定する自動車連盟で行う事になります。日本だと実はJAFでやってくれるそうです。JAFってロードサービスの他にもスーパーライセンスの更新も出来るだなんて、CHIBINも折角JAFの会員になってる事ですから、スーパーライセンス更新の際には是非とも利用したいと思います(苦笑)。2005年、アメリカGPフリー走行で、ミシュランタイヤを装着したマシンが次々とタイヤ・トラブルに見舞われました。やがて原因がタイヤにある事が判明し、ミシュラン社が「決勝レース距離を走行する事を保証出来ない」という異例の判断を下しました。この時エントリーしていた20台のうち14台がミシュランタイヤを装着しており、ルール上、マシンの設計上、安全なブリジストン社のタイヤを装着する事も出来ませんでした。<59条「運転」より:ドライバーは、1人で援助なしに運転しなければならない。>
結果、ミシュランタイヤを装着していたほとんどのマシンが予選では最終コーナーを減速して走行し(最終コーナーでのバーストが相次いだ為)、予選は終了。予選後ミシュラン(MS)陣営は「タイヤメーカーが安全を保証出来ない限り、このままでは決勝レースを出走出来ない」という声明を発表し、レース主催者側に「安全の為に、全てのマシンが最終コーナーを減速して走る(もしくは減速用シケインを増設する)案」を提案しました。しかしブリジストン(BS)陣営の立場になって考えてみれば「最終コーナーを全開で走るセットアップをしてきている為、予選と決勝でコースレイアウトが変わるのは逆にBS勢に不利である」とFIAは判断し、MS陣営からの妥協案は却下されました。
結局MS勢は決勝レースを走る事が出来なくなり、その時にこの条項の発動がささやかれました。
しかしレースを中止する事は興行主達にとって最もしたくない事態。又、MS勢もレースをボイコットすれば莫大な罰金が請求されます。そこでMS勢は「とりあえずスタート前に一旦グリッドに着き(20台がグリッドに着いたので、レースはここで成立)フォーメーションラップだけ行い、そのままガレージへ入って即リタイア」という行動を取りました。結果、F1始まって以来の「実質6台による決勝レース」が展開されました。
無論レースは単調な物となり、トップチームのフェラーリによる1・2独走と、ジョーダンとミナルディによる「遅いマシンによる激しい3位争い」、そして何より「観客による総ブーイング」や「興奮した観客によるゴミ(ペットボトル)の投げ込み行為」まで行われました。援助って言ってもオジサンが若い女性にお金で援助してるようなアレ(笑)ではなく、要するに「ドライバー1人でマシンを動かせ」という事です。<74条「タイヤの種類」より抜粋:すべてのドライ天候タイヤは、各タイヤの接地表面の全周に渡って、ホイール軸に対して垂直なミゾをもたなくてはならない。>
代表的な例が「エンスト」です。F1マシンはとにかく余計な物が排除されています。だから一般車両の様なエンジンスターターも付いていません。何故なら一旦スタートしてしまえば、F1マシンはエンジンを止める事なく走り続け、ピット作業もこなすからです。ところが何らかのアクシデントでレース中エンジンが止まってしまうと、ドライバーはどうあがいてもエンジンを再始動する事が出来ません。再始動するにはピットにあるエンジンスターターを用いる事になる為、つまりは「援助を受ける」事になります。よって失格、となるワケです。
皆さんも自動車を運転する際には「エンジンスターターのありがたみ」を思い出してもらえれば幸いです。
そう言えばレース中にコースオフしたミハエルがコースマーシャルに「押せ!押せ!」ってジェスチャーして、マーシャルも言われるがまま押してコース(レース)に復帰していくシーンをたまに見かけたんですが、アレってこの条文に引っかからないんですかね(^^;。昔のF1を知っている人が現代F1を見てまず気付くのが「タイヤがスリックタイヤ(溝無しタイヤ)じゃない」という事です。スリックタイヤは溝が無い為に路面との接地面積が広く、タイヤそのものの「グリップ力」も非常に高いです。グリップ力が高いので、コーナーでもふんばりがきき、速い速度で旋回する事が可能でした。<75条「タイヤの量」より抜粋:イベント期間中、同一ドライバーが使用できるタイヤは、ドライウェザー用のものは7セット、ウエットウェザー用のものが4セット、エクストリームウェザー用のものが3セットまでとする。>
ところが相次ぐ大事故を境に、「速くなりすぎたF1は危険である」という風潮になりました。そこで「タイヤのグリップ力が落ちれば、コーナーでの旋回速度も落ちる」という事になり、現在では溝付きタイヤ(グルーブドタイヤ)の装着が義務づけられる事となりました。
ちなみにこの溝の本数や幅はミリ単位で他の条文に細かく指定されています。
又77条に「ドライバーは1スペック以上のドライウェザー用タイヤを使用してはならない」ともあります。「柔らかめ(暖まりが早くグリップ力が高い分、寿命が短い)」「堅め(寿命が長い分、暖まりにくくグリップ力も若干悪い)」とか良く言うアレです。ドライバーはタイヤメーカーがGP毎に用意したさまざまなスペックのタイヤの中から、1種類のスペックをチョイスしてレースを戦う事になります。2005年には「レース中の速度低減化」と「コスト削減」の為に「予選と決勝レースを1セットのドライウェザー用のタイヤで走らなければならない(ウェット時を除く)」と言う条文もありました。しかし1セットではレース終盤にタイヤの状態が極端に劣化してしまうマシンが続出し、中にはトップ走行中のキミ・ライコネンがタイヤにダメージを負ったまま周回を重ねた結果、サスペンションアームにストレスが溜まり、むかえた最終ラップの1コーナーへの侵入ブレーキング時、フロントに荷重が移った事によりサスペンションアームがその負荷に耐えきれず「アーム破壊」という大事故が発生しました。幸いにしてドライバーに怪我は無かったのですが、タイヤ交換禁止ルールが危険であると最も避難されたレース結果でした。<79条「重量測定」6項より抜粋:レース終了後、順位認定された各車両は、重量測定を受ける。ドライバーが車両の重量測定前に車両から離れた場合は、後で車両重量にドライバー自身の重量を加算することができるよう、テクニカルゲートにて自身の重量測定を依頼しなければならない。>
ちなみにドライウェザー用というのが「晴れ用ドライタイヤ」、ウエットウェザー用が「ちょい濡れ用セミウェットタイヤ」、エクストリームウェザー用が「ずぶ濡れ用深溝ヘビーウェットタイヤ」と言うと分かりやすいと思います。レース終了後、ドライバー達がマシンを降りた後に体重計に乗る姿が時折テレビに撮されます。アレはレギュレーションで決められている事なんです。<94条「一般安全規定」より:車両をコース上に放置するドライバーは、ギアをニュートラルに入れるか、またはクラッチを切り、車両にステアリングホイールを装着しておかなければならない。>
マシンは軽ければ軽い程、速く走れます。でもマシン毎に重量が違いすぎると、マシンの差が出すぎてしまいます。そこで「マシンの最低重量」という基準を設け、重量についてはイコールコンディションになるようにしています。レース後にドライバーの重量を測定するのは、レース後のドライバーも含めた重量がこの最低重量を下回ってないかどうかを調べる為に行われます。
別にレース後にドライバーが「どれくらい汗かいたのかなー、痩せたかなー」って測ってるワケじゃありません(笑)。これもレース中に良く見られるシーン。F1マシンは乗降口が狭い為、ステアリングホイール(ハンドル)を外さないと乗降できません。リタイアしてマシンを離れる際もステアリングを外してから降りるんですが、その後律儀に外したステアリングをはめ直すんですよね。テレビで見ていて「そんな事してたら他のマシンにひかれそうで危ないから、とっととコース外に出ろよ!」とか思った(笑)んですが、コレもレギュレーションに記載されている事なんですね。<117条「予選後のパルクフェルメ」より抜粋:各車両は、予選走行中始めてピットレーンを出た時から、決勝レース開始の直前に行われるフォーメーションラップ・スタート時のグリーンライト点灯まで、パルクフェルメにあるものとみなされる。>
ちなみにステアリングを付けてマシンを離れる理由は「その後コースマーシャルがマシンを撤去する際に必要だから」です。「パルクフェルメ」と言うのは「車両保管庫」の事です。つまり予選を走っている最中も、基本的には「車両保管庫にある状態である」そうです。コレは何を言いたいのかと言うと、「パルクフェルメにある=FIAが車両を管理してる状態だよ」という事みたいです。<147条「レース」より:レース結果に影響を及ぼすチームオーダーは禁止される。>
ちなみに予選終了後から決勝スタート時までは、ホントの「パルクフェルメ」に全てのF1マシンが格納されます(但し予選でマシンが壊れるなどして修理する為ピットスタートを選んだマシンは除きます)。パルクフェルメに納められたマシンは、全てに置いてFIAの管理下に置かれ、チーム側はセッティングを変更したり再給油をしたりタイヤを交換したりと言った事が出来ません。但しタイヤの空気圧の調整、エンジンオイル交換、メインバッテリーの交換程度の「軽作業」は許可されています。F1に限らず、最近のモータースポーツではピットとドライバーが無線で常に会話している事は皆さんもご存じでしょう。そこで昔はピットから無線で「後から来る同じチームのドライバーを前に行かせろ」などと指示(チームオーダー)をしている事が多々ありました。コレはチーム側が同じチーム内の速いマシンを先行させたい場合もありますが、中にはチームがドライバーズ選手権のポイントを考慮してこういう指示をしていた場合もありました。この他にも「付則」と言う物があり、「付則3:表彰式セレモニー」にもなかなか面白い文言が書かれていますので、少し紹介したいと思います。特にポディウム(表彰台)やトロフィーには細かな指定があるのに驚きます。又、ユニラテラルルーム(TV用会見室)の温度指定や、飲物・タオルの準備まで明文化されているあたりにヨーロッパ人特有の「契約社会っぷり」が伺えます。
ところが時には「前を走るセカンドドライバーが直後を走るファーストドライバーを最終ラップの最終コーナーで抜かせる」などという「チーム側によるあからさまな順位操作」が目立ち始めました。そう言った「チーム側による意図的なレース操作は、スポーツとしてのF1をダメにする恐れがある」とされ、レギュレーションに明記される事となりました。
でも今でもチームメイト同士のマシンの順位が入れ替わるのを見る度に「実はチームオーダー出てんじゃねぇの?」と勘ぐってしまうCHIBINは、人を信じる純粋な心を忘れてしまったようです・・・。
- ポディウムおよび踏み段は緑色あるいは紺青色のカーペットで覆われていること。
- シャンパンシャワーが開始される時に音楽が奏されること。これは授与者が表彰台から降りるまで開始されるべきではない。
(たまーに「音楽かかるの遅いなー」って感じる時があるのは、表彰台から降りるのを待って演奏が始まる為だったんですね。)- トロフィーの高さは:
a)優勝者およびコンストラクターのトロフィー:50cm以上65cm以下
b)2位および3位のドライバーのトロフィー:35cm以上45cm以下- トロフィーの重量は1本最大で5kgを超えてはならない。
(大相撲の優勝杯みたいなのは「レギュレーション違反」と言うワケですね(笑)。)- ユニラテラルルームは(中略)適切な(気温が25℃を上回る場合はエアコンでの)換気がなされること。
- パルクフェルメには3本のボトルに入った水が置かれなければならない。
ユニラテラルルームに3本(実際コレはスポーツドリンクを水で薄めた物らしいです)。
ユニラテラルルームでは3枚のタオルが利用可能でなければならない。
パルクフェルメおよびユニラテラルルームではその他一切の飲物は許可されない。