ドラえもん談義:「さようなら、ドラえもんのまき」


結構お好きですね・・・ドラえもん(^^)


 ドラえもんに最終回が3つ存在する事は前のページでお話しました。しかしそのうち単行本に収録されているお話は3つめの最終回「さようなら、ドラえもんのまき」のみです。
 と言う事で、ココではCHIBINの知っている「3つの最終回」の内容について、もう少し詳しく書きたいと思います。

<小学四年生誌の昭和46年3月号(タイトル不明)について>

 まず1つめの最終回となった小学四年生誌の昭和46年3月号(タイトル不明)について。ここでは「未来人がタイムマシンで過去に時間旅行に来る」事が描かれています。
 未来からの旅行者が野比家に現れて、のび太の部屋にラクガキしたり、野比家の物を勝手に持ち出したり・・・。しまいには未来の指名手配の殺し屋がピストルを持って野比家に現れる始末。殺し屋はタイムパトロールにやっつけられ、ようやく野比家は静かになります。
 その後のび太とドラえもんとの間で少し口論している所へ、未来からセワシ君がやって来ます。セワシ君によると、未来で「時間旅行きせい法」という法律が施行され、いかなる未来人も時間旅行をする事が禁止されたとの事でした。となれば当然未来から来たドラえもんも帰らなければなりません。

 「そ、そんな!! いやだ! ぼくは帰さないぞ!!」と叫ぶのび太。
 それに対し、ドラえもんは 「男だろ!これからはひとりでやってくんだ。きみならやれる!!」 と励ました。

 やがてのび太の机の引き出しから「引き上げ」の合図が鳴り、のび太と最後の握手をした後、セワシと共に引き出しに消えていくドラえもん。気丈な態度で別れようとするも、やはり我慢出来ずに泣き叫ぶドラえもん。

 「いやだァ。のび太くんとわかれるのいやだあ」
 しかし残されたのび太には、ただ「ドラえもん!!」と叫ぶ事しか出来ません・・・。

 ひとりぼっちになったのび太は、机の引き出しを見つめながら寂しそうに「ドラえもん・・・」ともう1度つぶきます。そしてのび太のモノローグ。「つくえの引き出しは、ただの引き出しにもどりました。でも・・・、ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。」

<小学四年生誌の昭和47年3月号(タイトル不明)について>

2つめの最終回となった小学四年生誌の昭和47年3月号(タイトル不明)では、「のび太の自立を促すドラえもん」の姿が切なく描かれています。
 事の始まりはのび太が友達と「サイクリングに行く」事からになります。自転車に乗れないのび太は、ドラえもんの道具に頼るべくドラえもんの元へ行きます。しかしそこにはセワシ君も一緒にいます。

 「ドラえもん!いつものようになんか出してちょちょっとたすけてよ。」とのび太。
 「じつはね、そろそろドラえもんを・・・。」セワシ君がのび太に話しかけるのですが、
 「まった!ぼくからあとでいう。」ドラえもんがそう言ってセワシ君の言葉を遮ります。

 ここでセワシ君はタイムマシンで一旦帰る事になります。しょんぼりしたドラえもんに、再びのび太はいつものように道具で助けて貰おうとします。しかし今日のドラえもんはいつもと違いました。大声で怒鳴るようにのび太にこう言います。

 「どうにもならないね! どうしてそう人にばかりたよるんだっ! ぐずぐずいってるひまに、練習したらどうだっ!!」

 びっくりして部屋を飛び出すのび太。そんなのび太を影で見ながら「これじゃだめだ」「心を鬼にしよう」と何かを決心するドラえもん。
 しばらくしてドラえもんの好物「どら焼き」を持って、再びやって来るのび太。ここでのび太が言う

 「もし、この世にきみがいなかったらと思うとぞっとするよ。とてもぼくなんか生きていけないな。」

 このセリフで、ドラえもんの押さえていた気持ちが一気に噴出します。

 「と、とてもいえない、みらいの世界へ帰るなんて・・・。」

 大粒の涙を流しながら、やはりのび太が道具に頼りすぎている事、それがひいてはのび太の自立する心を妨げている事を改めて感じます。そしていよいよ「自分が居るとのび太の自立の妨げになるので、のび太自身の為に未来へ帰る」事をより強く決心するのでした。
 そしてドラえもんは未来のセワシ君の元へ相談に行き、「ドラえもんが壊れそうなので、修理の為に未来へ帰らなければならなくなる」という「ウソ」を思いつきます。

 早速、「くるしい、死にそうだあ!!」と苦しんでみせるドラえもん。
 「ドラえもん、こわれちゃいやだ。」泣き叫ぶのび太。
 そしてセワシに「みらいへつれてってなんとかなおしてやって!!」と頼みます。
 「だけどぼくがいっちゃったらこまるんじゃない?」と心配するドラえもん。
 「こまるにきまってらい、でもきみが元気になるためならどんながまんでもするよ。」
 のび太のこの言葉に心打たれ、壊れそうな事はウソだと打ち明けるドラえもん。更にのび太に自分の力で何でもできる強い人になってほしい事、そして自分は未来の世界に帰らなければならない事を告白します。
 「わかった。ほんとにそのとおりだと思う。やってみるよ。ぼくひとりで、自信はないけどがんばるよ。」ドラえもんの告白で、自立する事に目覚めるのび太。
 そして涙ながらにドラえもんとセワシはタイムマシンに乗って未来に帰っていってしまいます・・・。

 ひとりぼっちになったのび太は、一人で自転車の練習を始めます。何度も転び、アザだらけになり、ママには「むりしないでやめたら?」とまで言われる始末。でものび太はドラえもんとの約束を胸に頑張り続けます。
 そんな姿を未来の世界から見守るドラえもんとセワシ君。

 「がんばれ、がんばれ!タイムテレビでおうえんしてるぞ!!」

<小学三年生誌の昭和49年3月号(さようなら、ドラえもんのまき)について>

 3つめの最終回である「さようなら、ドラえもんのまき」(初出時のみ『「みらいの世界へ帰る」のまき』というタイトルだったそうです)は、小学三年生誌の昭和49年3月号に掲載され、今でもてんとう虫コミックスの第6巻にも収録されています。名作と誉れも高いこの作品は、続きのエピソードとなる「帰ってきたドラえもん」とセットで98年春に映画化されています。この「さようなら〜」でものび太の自立を促すドラえもんが描かれていますが、こちらはのび太とドラえもんの友情がより強調された形で表現されています。
 何が原因なのか、いつものようにジャイアンに追いかけられて逃げ帰って来たきたのび太。これまたいつものように「あれ貸してよ。ほら、いつかつかったやつ。けんかに強くなるの。」と道具に頼ろうとします。しかしドラえもんは冷たく「ひとりでできないけんかならするな!」と諭します。今日のドラえもんはいつもと何かが違います。

 気になったのび太が「おいどうしたんだよドラえもん。」と問いかけると
 「こないだから・・・言おう言おうと思ってたが・・・」とポツリポツリと打ち明けるドラえもん。

 そして明日の朝、ドラえもんが未来の世界へ帰ってしまう事をのび太は聞かされます。驚き、パパやママにまで泣きつくのび太。しかしもう決まってしまった事。誰にもどうにも出来ません・・・。
 その夜、のび太はドラえもんと一緒の布団に入りますが、どうにも寝付けません。仕方なく「眠らなくても疲れない薬」を飲み、二人で夜の町を散歩しに行く事にしました。

 「のび太くん……本当にだいじょうぶかい?」
 「できることなら……帰りたくないんだ。きみのことが心配で心配で……。ひとりで宿題やれる? ジャイアンやスネ夫に意地悪されてもやり返してやれる?」
 最後までのび太の事が心配なドラえもん。
 「ばかにすんな! ひとりでちゃんとやれるよ。約束する!」と言うのび太の言葉に、ちょっぴり涙が出てしまったドラえもん。
 涙を見せたくなかったドラえもんは「ちょ、ちょっとそのへんを散歩してくる・・・」そう言ってその場を離れます。

 一人になったのび太は、いつもの空き地のいつのの土管の上に腰掛けます。そこでのび太は「眠ったままフラフラあるくクセがあるジャイアン」の姿を見てしまいます。ハッと目を覚ますジャイアン。
 「おれが寝ぼけてるところをよくも見たな。許せねえ!」とのび太の胸ぐらをつかみかかるジャイアン。
 「わあっ、ドラ・・・」ノドまで出かけた言葉を飲み込むのび太。そうです、先程ドラえもんと約束した事を思いだしたのび太は「けんかならドラえもんぬきでやろう。」そうジャイアンに持ちかけます。しかし道具も何もないのび太は、ジャイアンにただただ殴られるダケ・・・。

 一方、やっぱりのび太の事が気になったドラえもんは、のび太を探しにあちこちを歩き回ります。しかし探しても探しても見つからず、結局ドラえもんは先に帰る事にしました。ところが待てど待てどのび太は帰ってきません。最後の夜までドラえもんはのび太の事が心配で仕方有りませんでした。

 その頃のび太は・・・まだ空き地でジャイアンとケンカの最中でした。ケンカと言うよりは、ただ一方的に殴られているダケではありましたが・・・。ボロボロになり、もう何度目か分からないダウンをしたのび太にジャイアンは
 「ふう、ふう。これでこりたか。何度やっても同じことだぞ。はあ、はあ、いいかげんにあきらめろ。」肩で息をしながらこう言い放ちます。
 しかし今日からののび太は違います。「ぼくだけの力できみに勝たないと・・・ドラえもんが・・安心して・・・帰れないんだ!」そう言いながら、最後の力を振り絞ってジャイアンの足にしがみついて来ました。
 「知ったことか!」再びのび太にパンチをするジャイアン。

 あまりに遅い帰りに、ただ事でない気配を感じたドラえもんは、再びのび太を探しに出かけます。そして空き地でボロボロになってジャイアンにしがみついているのび太を発見します。

 そしてジャイアンから遂にこのセリフが飛び出します。
 「いてて、やめろってば。悪かったおれの負けだ。許せ」

 逃げ帰るジャイアン。もう自分で立つ事すら出来ないのび太。そこへ駆け寄るドラえもん。のび太はドラえもんにこう告げます。
 「勝ったよ、ぼく。」
 「見たろ、ドラえもん。勝ったんだよ。ぼくひとりで。もう安心して帰れるだろドラえもん。」

 家に帰り、すっかり寝入ってしまったのび太の寝顔を涙ながらに眺めるドラえもん。もうこの寝顔を見るのも今日が最後、そんな思いを心に秘めながら・・・。

 翌日、目覚めたのび太が部屋を見渡しますが、もうそこにはドラえもんは居ません。しかしのび太には分かっています。ひとりぼっちの部屋でこうつぶやきます。

 「ドラえもん きみが帰ったら部屋ががらんとしちゃったよ。でも・・・すぐになれると思う。だから・・・心配するなよドラえもん。」

 いかがでしたか?いずれの最終回も「ドラえもんが未来に帰る」という点では共通です。1つめの最終回では「時間旅行禁止に伴う強制連行」ですが、2つめ、3つめでは「のび太の自立の妨げになってしまった自分(ドラえもん)が居ない方が良い」という判断により未来へ帰っていきます。そもそもの「ドラえもんがやってきた理由」を考えると、こうなってしまった結果を悔やんで未来へ帰るという話の流れは、ある意味自然なのかもしれませんね。
 ところで皆さんご存じのテレビアニメ版。実はコレ、現在の「朝日テレビ版」の前に「日本テレビ版」があったのをご存じでしょうか。昭和48年頃に放映されていたそうですが、その日本テレビ版テレビアニメの放映終了に伴ってドラえもん人気も下降し始め、そして当時連載中だった小学三年生誌でも連載を完全に打ち切るつもりもあって、あの名作「さようなら、ドラえもんのまき」が誕生したと言われています。そういった背景を考えると、真の最終回はこの「さようなら、ドラえもんのまき」なのかもしれませんね。
 しかしドラえもんはその翌月、つまり昭和49年4月号の小学四年生誌から連載が再開される事となりました。このお話「帰ってきたドラえもん」は、「さようなら〜」を受けたお話となっています。そしてそれからは皆さんご存じのとおり、ドラえもんは国民的アイドル(?)にまで上り詰めたワケです。そして現在に至るまで、藤子先生による「ドラえもんの最終回」はそれっきり描かれた事がありません。と言う事で、機会があればこの2作品を是非一緒にご覧頂けるとよろしいと思います。


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