ぐみむら日記

ボクの名前はコジロー。
親元を離れて、この村にすんでからもうすぐ半年になる。
ようやく村の人たちとも仲良くなってきて、おこずかいも少しはたまってきた。
そろそろ家の家具にもこってみようかな?
ボクは部屋の中を見まわした。
「今あるのは、モノクロデスクにモノクロベッド、モノクロチェアにすいかのつくえ・・・か。
それじゃあモノクロシリーズをコンプリートしよう!」
そうと決めたボクは一生懸命貯めたおこずかいをにぎりしめて家を出た。

「・・・そうだ!たぬきちさんのお店に行く前にポストをチェックしよう」
ボクはそうつぶやいてポストを開けた。
「ふむふむ、トミくんからの手紙があるぞ」
ボクはとりあえず他の手紙をポストに入れたまま、トミくんからの手紙に目を通した。
『コジローくん元気?ぼくは元気だよ。
このまえたぬきちさんのお店でいいものを買っちゃったんだ。
コジローくんも行ってごらんよ』
・・・いいものってなんだ?
もしかしたら、ボクの欲しい家具があるかも!
そう思ったボクははやる気持ちを抑えられず、たぬきちさんのお店に走った。


「ちょっと!コジローちゃん!」
もうすぐたぬきちさんのお店だってとこで、誰かに呼びとめられた。
振り向くと・・・
「なんだ・・・エプロンさんか・・・なんかよう?」
そういうとエプロンさんはムスッとした顔で、
「なんだはないじゃない!あたしはコジローちゃんと話がしたかったのに!」
今にも怒り出しそうなエプロンさん。
こ、これはマズイ・・・
「ご、ごめんなさい・・・
それで?ボクに話って?」
「いや、たいしたことじゃないんだけどね」
たいしたことが無いんだったら急に呼び止めないでよ!・・・といいたいのをボクは必死に堪えた。
「この家具、コジローちゃんほしいって言ってたじゃない?今なら500ベルで売ってあげるわよ」
「え?なに?」
ボクは自分の記憶の糸をたぐった。
そんなこと言ったっけ?
「なによ!アタシが一生懸命コジローちゃんの為に捜してあげたのに!」
今にも怒り出しそうだ。・・・って怒ってんだけどね・・・
このままじゃ、ヤバイな・・・、そう思ったボクはその家具を買うことにした。
「わ、わかったよ・・・ありがとう、買うよ」
「さすがコジローちゃんね♪」
なんとかエプロンさんの機嫌をとったボクはその家具をポケットにねじこみ、たぬきちさんの店へと急いだ。



「いらっしゃいだなも」
たぬきちさんとの挨拶をそこそこにボクは店内を見渡した。
すると、店の隅のほうでキラキラと輝く家具が・・・
「モ、モノクロランプ!た、たぬきちさん、これちょうだい!」
「コジローさん、お目が高いなも。それは1400ベルだなも。
買うなも?」
ボクは首がぬけんばかりに首を縦にふって、持っていたお金をたぬきちさんに差し出した。
「まいど・・・って、これじゃ足りないなも」
「えっ?!」
ビックリしてボクは手元を見た。
1、2、3・・・ほんとだ・・・
ボクは自分が500ベルしか持ってない事に気付いた。
「こ、これを全部売ったら?」
ボクはポケットに入れてあったものを全部出した。
「それでもあと400ほど足りないなも。
お金を持ってない人には売れないなも」
なんとしたことだ・・・
こ・・こんなことって・・・
これどどれも、エプロンさんから家具を買ったのがいけないんだ!
ボクの怒りはエプロンさんに向けられた。
お門違いって言われてもそうしなければやってられなかった。
ボクはたぬきちさんの店を飛び出した。


店を飛び出したもの、どうすればいいかボクは途方にくれた。
こうなったらお手伝いでもしてお金を稼ぐしかないか・・・
なんて考えてると・・・
「ウーッス!コジローじゃないか!」
「ピース・・・」
元気の無いボク。
「一体どうしたんだ?いつものおまえらしくないぞ!」
「う、うん・・・そ、そうだ!なんかお仕事無い?」
ボクはピースにすがりついた。
「なんだよ?どうしちゃったんだよ?」
不思議そうなピース。
でも、ボクはお金が欲しいからって言えなかった。
だってカッコわるいじゃん?
「お仕事したいんだ」
ボクはそれだけをピースに伝えた。
「じゃあ、これをエプロンに届けてきてくれ」
そう言ってピースはボクにビデオを手渡した。
「んじゃ、よろしくたのむぞ!」
ボクは力いっぱい頷いて、エプロンさんの元に走り出した。


「こ、これ、ピースから・・・」
ボクは全力疾走をしたせいでかなり疲れていたが、なんとか声を出す事が出来た。
「まあ、ありがとね」
こんなボクを見ていうことはそれだけかい!
ボクは声に出さない声でそう叫んだ。
「じゃ、これ。お礼ね。助かったわ、サンキュ」
エプロンさんは一気にそう言うとさっさと行ってしまった。
ボクはなんとか疲れた体を起こして、そのお礼とやらを見た。
服。どう見ても服。
こ、これじゃあ、400ベルにはなんないよお!
ボクは寂しさと疲れのせいかなんだか悲しくなった。
今日中に400ベル貯めなきゃなんないのに・・・
「も、もうダメだ・・・一旦家に帰って休もう・・・」
ボクは重い足を引きずり、家に帰ることにした。

「コジローさん、大丈夫ですか?」
誰かが、僕の名前を呼ぶ・・・
顔を上げると、そこにキャラメルさんが立っていた。
ボクは精一杯の笑顔を浮かべ、「大丈夫」と短く答えた。
「だったら、これを頼まれてくれませんか?」
「はい?」
キャラメルさんの手には服が・・・
「これをエプロンさんに届けて欲しいのですが」
「うん、いいよ」
くたくたのぼろぼろだったのに断れなかった。
馬鹿なボク。

エプロンさんちに着いた時にはボクの精も根も尽き果てていた。
もう日はかなり傾いていた。
ボクは最後の力を振り絞り、ドアをノックした。
・・・・・・・
反応が無い。
まさか家にいないんじゃ・・・
ボクの体には体力のカケラも残っていない。
違う所までエプロンさんを探しに行く気にはならなかった。
「キャラメルさんには悪いけど明日また来よう」
ボクはそうつぶやき、家路についた。


どこをどう歩いたかは記憶に無いけれど、気が付けばボクは自分ちの前にいた。
なんとかドアをこじあけ、ベッドに倒れこむ。
目をつぶっていると今にも深い眠りに落ちていきそうだ・・・
だけどその夢はもろくも崩れ去ってしまった。
誰かがボクの家のドアをドンドン叩いてる音がする。
ボクは外にいる人にも聞こえそうなくらい大きな声で
「どっこいしょ!」
と叫びながら立ち上がった。
僕は疲れてるんだ。
それを外の人にもわからせたかった。
ドアを開けると・・・
「エプロンさん・・・」
「は〜い、コジローちゃん♪」
そうだ、キャラメルさんから頼まれていたものを渡さなきゃ。
「あ、これ、キャラメルさんから」
「ありがとね〜」
そう言ってエプロンさんはその服をポケットにしまった。
「あれ?今着替えないの?」
「な〜に、コジローちゃん。あたしの着替えが見たいの?」
意地悪そうに微笑むエプロンさん。
・・・いつもなにも言わなくても着替えてるくせに・・・この態度はどうだ?
「別にそう言うわけじゃないけど・・・ところでなにか用事があったんじゃないの?」
「そうそう、忘れるとこだったわ。はいこれ、今日のお礼ね」
そう言ってボクにプレゼントの箱を渡す。
「あ、ありがと。開けてもいい?」
「どうぞ♪」
箱の中には・・・
「モ、モノクロランプ?!どうしてこれを?」
ボクはなぜエプロンさんが持ってるのか不思議だった。
「実はコジローちゃんが荷物を届けてくれた後、たぬきちちゃんのお店に行ったのよ。そしたらモノクロランプが置いてあるじゃない?
買おうと思ったらたぬきちちゃんが『それはコジローさんが欲しがってたもよ』って言って・・・
日ごろの感謝を込めてプレゼントしようと思ったわけ。」
ボクはエプロンさんの優しさに涙が出そうだった。
「あ、ありがと!ほんとありがと!」
ボクはそういうと早速ランプを部屋に飾った。
そうか・・・だからさっき行った時留守だったのか・・・
さっきまでのボクの怒りはどこかへとんでってしまったみたいだ。
エプロンさんは天使みたいに優しいなぁ・・・
もう1度エプロンさんにお礼をいう事にした。
「ほんと、ありがとね!」
「感謝してるの?」
「もちろんだよ!疲れも吹っ飛んだぐらいに!」
ボクがそういうと、エプロンさんはにっこり微笑んでポケットからなにかを取り出した。
・・・それって・・・
「じゃあ、この本、トミちゃんに返してきて。
大至急!
・・・前言撤回・・・

ボクはその後大声で泣きながら村中を駆けずり回った。
次の日・・・
ボクは1日をベッドの中で過ごした。
エプロンさんに一生こき使われる夢を見ながら・・・


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