鏡の迷宮 小説TOPに戻る

<鏡の迷宮6>

 夢を見ていた。場所は「鏡の迷宮」だった。しばらくすると、入り口からみねこが入ってきたのが見えた。それは映画を見ているような感覚だった。動くことはできるのになぜだか私は何も考えることができない。とりあえず、私は走っていくみねこを追いかけた。そこで突然、みねこの声が頭の中に聞こえてきた。

 お姉ちゃんには悪いことをしたかも。今はわたしのことを探してるのかな。ごめんね。お姉ちゃん。
 たくさんある鏡の中にはわたしがたくさんいた。そして、そのたくさんのわたしの顔はもうボロボロに泣いていることに気づく。そうだ、もうわたしはボロボロ。早く楽になりたいよ。ずっと楽になりたいよ。うん。ここなら人もいない。
 通路の奥でわたしはリュックサックから『果物ナイフ』を取り出した。
 腕を出して、ちょっと前に作った傷が見えるようにした。手首には横に線が入っていた。わたしは『果物ナイフ』で今度は前より強く手首に線を引いた。
 スゥッと楽になる。手首の線からわたしの血がどんどん抜けていく。血が手で押さえても止まらないみたい。少しずつ目の前がぼやけていくのがわかる。ひどく眠くなってきた。立ってられなくなった。何だか急にさみしくなった。
 前にお姉ちゃんが言っていた「しぬ」っていうのはこんなことを言うのかな。お姉ちゃんの話だともう誰にも会えなくなっちゃうことが「しぬ」ってことなのかも。
 もうお姉ちゃんに会えない。
 あの大好きな姉ちゃんをわたしが支えてあげることもできない。「しぬ」というのは、こういうことなんだ。わたし「しぬ」のかな? そ、そんなのはだめだ。わたしは生きなくちゃ。
 でも、もう立てないよ。目も見えないし。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうし……。
 あ……れ? も…う…何も考えられ……な…。
 わ……た…し、しん……じゃう?
「お……ね……ちゃ……た………け……て」
 眠りそうになるわたしに遠くでゴーン、ゴーンと何か鳴っているのが聞こえた。
 

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