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<4章>

「どうぞ、こちらです。」
空が暗くなってきた頃、優兎は、月村に連れられて古ぼけたお店の前に来た。
「えーっと、月村魔術店?」
優兎は、その店の入り口の看板を読み上げた。
「はい、まぁ雑貨屋ですよ。わたしはここのマスターをしてます。 まぁ、客は少ないですがね。」
「はぁ、そうですか。・・・あのー一つ聞きたいんですが、 なぜ猫の俺と会話できているんですか?」
「何ていうか、君の魂は人間のものだからね。わたしは君の魂と会話 してるんだよ。」
よく理解できない優兎は、ポカーンとしていた。
「ハハハ、まぁわからなくて当然だよ。 さて、これから聞きたいとこももっと多いだろうから中に入ろうか?」
リンゴーン
「いらっしゃいませ〜!!安心の魔法グッズと真心のお店☆ 月村魔術店にようこそー♪」
月村が扉を開けると同時にものすごい元気な女の子が奥から出てきた。
「ハハハ、やあ、美香ちゃん。いい挨拶だ。給料アップしちゃおうかなあ。」
「え、本当ですかぁ!!やったー♪マスター最高!!」
そう言うと、美香は月村に勢いよく抱きついた。
「ちょ、ちょっと美香ちゃん。勘弁してよー。」
「フフフ☆あれ?マスター。この店の猫ちゃんって2匹でしたっけ?」
美香は、すっかり熟睡している鈴と美香の勢いに押されて固まっている 優兎に気がついた。
「いや、元々は鈴だけだったんだけどね。ちょっとさっき拾ったんだ。」 そう言った後、月村は優兎に心の声で
「ごめんね。美香ちゃんは、霊感ゼロだから君のことわかんないんだよ」
と言って、優兎に向かって手のひらを縦にして、「ゴメン」とゼスチャーを送った。
優兎は、首を振った。
「そうなんですかぁ。マスター猫大好きですもんね。 それでその猫ちゃん名前はあるんですか?」
「うーん。まだ決まってないんだよ。美香ちゃん考えてくれる?」
「わかりましたぁ。じゃあ、黒いからクロちゃん!!決定です☆」
早っ!!そして、なんて単純!!(優兎の心の声)
「う、うん。いいねえ。じゃあ、クロちゃんに決定だ。」
「わーい☆クロちゃんよろしくねー。これから鈴ちゃんとクロちゃんと私で店番がんばろうね☆」
優兎は、美香に思いっきり高く抱き上げられた!!そして美香はグルグル 回った。
う、うわ!!た、高いー、おろせー!おろせー!目が回るー・・
「ああ・・これからも店番よろしくね。美香ちゃん。だけど、クロちゃん苦しそう だからそろそろ回るのはやめようか。」
ピタッと止まると、
「はーい。まかせてください。」
と、とびっきりの笑顔を月村に見せた。
それを見た優兎はドキッとしたが、その後目が回って気絶してしまった。
「ああ、クロちゃん大丈夫?どうしようー」
「あ、大丈夫クロちゃんはわたしの部屋で休ませれば元気になるよ。 さて、それじゃあ、わたしは部屋に戻るから何かあったら呼んでくださいね。」
「はい。マスターわかりました。それじゃあ すいません。クロちゃんをよろしくです☆」
そういう会話をした後、軽い食事をすませてから月村は、2匹の猫を抱えて自分の部屋に入った。
2匹の猫をソファーの上に寝かせて、月村は自分のディスクに座った。
「ふぅ、ようやく力の持ち主をみつけ出したのにすでに呪いをかけられているとは・・・ どうやら優兎を襲っていた女の子に魔の力がとりついていたんだな。」
「もう少し早く出会っていればなぁ。いい風の魔法使いとしてかなり戦力に なったのに・・・。」
「そうですよねえ。ご主人様ー。」
「お、鈴起きてたのか?」
鈴は、伸びをしてからソファーを降り、月村のディスクの上まで上ってきた。
「はい。今日はちょっと寝すぎましたよぉ。」
「いや、お前はもうちょっとしっかりして欲しいんだが・・・。 仮にもお前は音の力を持っているんだから。」
「すいませんー。まだ上手く使いこなせないんですよー。」
そう言いながら少し涙目になる鈴。
「まぁ、お前は魔力は多いんだ。トレーニングすれば大丈夫だよ」
「そ、そうですよね。私ご主人の力になれるようがんばりますね。」
パァーっと顔が明るくなる鈴。
「じゃあ、明日から詠唱練習を4倍に増やすか?」
「ええ!!そ、そんなぁー!!無理ですよぉ。鈴死んじゃいますよぉ。」
今度はさっきよりますます涙目になった鈴。
「ハハハ、嘘だよ。さぁ、そろそろ僕は寝るよ。鈴もゆっくり寝なよ。 明日も早いんだからね。」
「もう、ご主人イジワルですねぇ。わかりました。鈴ももう寝ます。おやすみ ですご主人。」
「うん。おやすみ鈴。」
もそもそと鈴はソファーまで戻って再び横になった。
そして、ぐっすりと眠る優兎を見てささやかに微笑み、
「今日は守ってくれてありがとうですぅ。おやすみですぅ。」
こうして、長い一日はなんとか無事に終ったのである。

つづく
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