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*番外編* 『6月の花嫁』 梅雨も明け、これから夏に向かってどんどん暑くなっていきそうな6月下旬。 ここは街の一角にある結婚式場。 今日は、北川、香里の結婚式だ。 式開始まであと、一時間。 ここは新婦控え室。 「香里〜とーっても、きれいだよ〜!」 「さすが私のお姉ちゃん、妹ながら惚れ惚れするよ!」 「ありがと、名雪、栞」 「これで香里も奥さんかぁ、、、」 「あのお姉ちゃんも人様のモノになってしまうんですねぇ」 「私、香里のことだからてっきり北川君をお婿さんにするかと思ってたよ」 「そうですねぇ、お姉ちゃんならやりかねませんよねぇ、、、」 「素直にお嫁さんに行くとは意外だったよ」 「でも、どっちの姓を名乗るか結構もめたみたいですよ」 「香里譲りそうにないからね、、、」 「北川さん、、、潤お兄さんもさぞかし大変だったと思います」 「そうだねぇ、、、」 「あなた達、今日の主役誰だかわかってる?」 「あっ、香里〜とーっても、きれいだよ〜!」 「う、うん、さすが私のお姉ちゃん、妹ながら惚れ惚れするよ!」 「ったく、あんた達は、、、ふぅ、、、」 やれやれ、といった感じで香里がため息をはいた。 「あなた達だっていつかは通る道なんだから、その時は覚悟してなさいよ」 式開始40分前。 新郎控え室 「よう!北川」 「あ、相沢か、、、」 「どうした?ついに結婚だというのに浮かない顏して?」 「い、いや、その、、、なんていうか、緊張して」 「これから人様の大事な娘を頂くというのに、なに縮こまってんだ!」 「相沢、、、」 「お前も立派な日本男児だろ!新郎らしくシャキっとしてろよ!」 「そ、そうだな、その通りだ、こんな情けない面してちゃだめだよな!」 「そうだ!その意気だ!」 「よし!なんでもきやがれってんだ!」 「ところで北川」 「なんだ?」 「友人代表として一言言わせてもらうが、、、」 「改まって、なんだ?」 「お前さ、、、」 「、、、」 「ね、、、いや、やっぱなんでもない、気にしないでくれ」 「ま、まて!なんだ、そのあからさまに気にしろというセリフは!?」 「いや、本当になんでもないんだ、気にし、、、たきゃしてくれ」 「やっぱなんかあるんじゃないか!!さっきの励ましは何だったんだ!?」 「じゃあ、そういうことだ、俺は会場に戻るからな」 「だから、待てというに」 「さらばだ!はーはっはっは!!」 「なんだったんだ?、、、はー、余計緊張してきた、、、」 控え室に残ったのは励ましだと思いきや、祐一の訳のわからぬ言動に惑わされた北川新郎だけだった。 式開始30分前 控え室前通路にて 「相沢どうだった?北川のやつ緊張してた?」 「ああ、しかし心配は無用だ、しっかりリラックスさせてきたからな」 「さすが相沢だな、北川の親友なだけあるな」 「よせよ、俺は当たり前のことをしただけだぜ」 この場に北川がいたならば、 『この偽善者が!!』 と、言い放っていたに違いないだろう。 「じゃあ、俺達は一足先に会場に行くとしますか」 そして、緊張状態の北川を扉の向こうに残し、男性陣は会場へと足を運んだ。 式開始10分前 再び、新婦控え室 「香里、そろそろだよ」 「わかってるわ、少し一人にしてもらえる」 「うん、わかったよ」 そして、控え室には香里一人になった。 「ふぅ、、、」 ため息をつく香里。 「こんな時なら誰でも緊張するわよね、、、」 すると、コンコン、と扉をたたく音がする。 がちゃ、と扉が開く。 「香里〜、入るぞ〜」 「相沢君、、、もう入ってるわよ、、、」 「おっと!?こいつはびっくりだ!」 「ふふ、よく言うわ、、、で、何か用?」 「いや、さすがの香里でも固くなってるんじゃないかと思って、緊張をほぐしに来てやったんだ」 「大きなお世話よ」 「そうか、なら、取り越し苦労だったな、それじゃあ俺行くから」 祐一はくるりと踵をかえし、扉へ向かう。 「相沢君」 「ん?」 「、、、ありがとね」 「いやいや、お安い御用だ」 祐一は扉のノブに手を掛けたところで香里の方へ振り返った。 「そうそう、打ち掛け似合ってるぞ」 「ありがと」 「北川にはもったいないな、、、ここで花嫁強奪と行くか!?」 「そんなことしたら名雪が泣くわよ」 「そいつは困るな」 「相沢君、、、名雪泣かしたら怒るわよ」 「はは、そん時はお手柔らかに」 「冗談、本気よ」 「わかってる、香里も北川のこと泣かすなよ」 「失礼ね、泣かさないわよ」 「冗談だ、それじゃあな花嫁さん、式楽しみにしてるぜ」 祐一は扉を開けて廊下に出た。 「ありがと、、、」 控え室に香里の声が小さく響いた。 「祐一、香里そうだった?」 「いつも通りの香里だったぞ」 「よかったぁ、香里、緊張してそうだったから、、、祐一がいきなり入って行くからびっくりしたよ」 「新婦様、そろそろ入場準備しますので、こちらへ、、、皆様も会場の方へ」 係の人が来て連絡を促した。 控え室から出てきた香里の顔は未来の希望で満ちあふれているようだった。 そして、式は始まった。 日本だけあって、式は和風だった。 式の間、香里はリラックスしていたが、北川が緊張しまくりで面白かった。 巫女さんにつがれたお酒を手が震えてこぼしてしまって、香里にしっかりしなさい、と言われていた。 その時、皆の笑いを誘ったことは言う間でもないだろう。 その後のチャペルでも緊張しっぱなしの北川は披露宴でもやってくれた。 仲人に連れられて新郎新婦入場の時も危うく転びそうになり会場に笑いをふりまき、 スピーチの時、香里はスラスラ読んだにも関わらず、北川は噛みまくりだった。どれ くらい噛みまくりかというと、某声優、○志総一郎くらい噛み噛みだった。(○志総 一郎ファンの人スミマセン) 会食の時にあまりにも哀れな北川に声をかけにいってやった。 「よう、北川!相変わらず緊張しっぱなしみたいだな」 「相沢〜、お前のせいだとだというのがわからんか?」 「俺の励ましじゃたらなかったのか?そいつは失礼した」 「、、、今からでもいいからさっきの教えてくれ、頼む!気になってしょうがない!」 「なんだ、さっきのこと気にしてたのか、あれはな、、、『狙ってねこっ毛にしてん のか?』と長年の謎を聞こうとしただけだ」 がつん! 北川がテーブルに頭をぶつけた。 そしてヨロヨロと起き上がり、 「きさま!そんなこと今じゃなくても聞けるだろーが!!」 北川は今にも祐一に飛びかかりそうだった。 「まぁまぁ、おちつけって、、、」 「お前がいうなーーー!!そのおかげで俺がどれだけ恥かいたかしってるだろ!!」 「その辺にしときなさいよ」 意外にも北川の怒りを止めたのは香里だった。 「相沢君、、、まったくあなたって人は、、、でも、簡単に動揺したこの人が悪いんだけどね」 「そうだ、お前が悪い」 「そこで開き直るな!!」 「とにかく、もうドジらないでよね、って言ってももうドジる所なんてないと思うけど」 「ああ、もう大丈夫だ、気分爽快バッチシだ!」 「そうそう、北川、お前って、、、」 「祐一もう止めなよ」 「お!?名雪いつの間に俺の隣に?まさか瞬間移動でもできるのか!?」 「違うよ、遠くから見ててあまりにも祐一が目立ったから止めに来たんだよ」 「そんなに目立ってたか?」 あたりを見回すと何人か祐一を見ていた。 「祐一戻るよ、香里、北川君ごめんね、祐一が変なこと言って」 「いいわよ、過ぎたことだし」 「俺はあんまりよくないんだけど、、、」 「潤!あなたも男ならがたがた言わないの!」 「は、はい!」 「じゃあね、また後でね」 「北川、まだまだ期待してるぞ」 「お前は黙ってろ!!」 そして、席に戻って 「やっぱり、家庭内の主導権は香里が握りそうだな」 「北川君には悪いけど相手が悪いよ」 「まぁ、それは承知してるだろ」 「そうだね」 その後は祐一の期待もむなしく、北川がドジることはなく無事披露宴は終幕を迎えた。 式から帰って、場所は水瀬家 「今日は面白かったな」 「北川君失敗ばっかだったよね」 「まぁ、原因は俺なんだが、、、北川のキャラが色濃く出ててよかっただろ」 「結構、可哀想だったよ」 「んー、ドンマイ俺」 「祐一、、、自分があの立場だったらどう?」 「、、、生き恥、だな」 「もう人に変なことしちゃダメだよ」 「深く心しておきます」 「ホントかなぁ、明日になったら忘れてそう、、、」 「まぁ、それが俺だ」 「確かにおとなしくなったら祐一じゃないよ。でもやり過ぎはよくないからね」 「おう」 「そうだぁ、、、祐一これなーんだ?」 名雪が鞄の中から何やらとりだした。 「ブーケ?」 「ピンポーン、正解でーす」 「、、、お前いつの間にとってたんだ?確か栞が取ってたよな?」 「栞ちゃんがくれたんだよ『私より名雪さんが先ですよ』って」 「そうだったのか、、、」 「、、、で、祐一」 「なんだ?」 「いつにする?」 「何をだ?」 「、、、こ、、、き」 「なんだ?声が小さくて聞こえないぞ、、、」 「けっ、、、ん、、し」 「けんし?犬歯、歯がどうした?」 「じゃなくて、、、結婚、式、、、」 「血痕、死期?」 「、、、祐一のバカッ!!」 名雪は祐一に平手打ちをすると元陸上部部長なだけはあるすさまじい速さで走っていった。 「いてぇ、、、」 祐一は、カーペットにひっくり返り、寝たままつぶやいた。 「さすがにふざけ過ぎたか、、、」 「祐一さん」 「おわっ!?秋子さんいつの間に、、、」 「さっきからいましたよ」 「ぜんぜん気づきませんでしたよ」 「ふふ、それはそうと、祐一さん」 秋子さんが真面目な顔で言ってきた。 「何ですか?」 「大事な事を女の子に言わせるつもりですか?」 「まさか、俺からいいますよ、、、って、秋子さんはかまわないいんですか!?」 「了承(一秒)、私は祐一さんなら何も文句はありませんから」 「はは、ありがとうございます」 「じゃあ、名雪を迎えにいってあげてください」 「そうですね、また拗ねられちゃかないませんしね」 「祐一さん、名雪をおねがいしますね」 「任せて下さい」 笑顔の秋子さんに見送られて俺は名雪の部屋へ向かった。 そして、扉をノックして名雪の部屋に入った。 5分後に二人で秋子さんの元に戻った時、名雪の顔は今までで一番の笑顔だった。 作者のコメント
テスト明け復活SS第一弾!!しかも本編とは違う短編SS。 |