キャラクターの視線に関する考察
X 可能性を見つける
このようにして、キャラクターはストーリー漫画において大きな目を獲得した。
その間にも技術は進歩し、そのうちにテレビアニメが始まった。
さきほども言ったように、初期のテレビアニメは予算がとても少なかったせいで、キャラクターの眼の巨大化に一役買った。
さてその間もその後も、技術の進歩は止まらなかった。それを図で表すとこうなる。
(関係はあまりないが、オーディオ機器でも似たような表は作れる。ラジオ→ラジカセ→ウォークマンとか)
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年代 |
| マンガ |
→→→→ |
| テレビアニメ |
→→→ |
| ビデオアニメ |
→→ |
| パソコンゲーム |
→ |
技術的進歩はテレビアニメ、ビデオアニメを出現させ、やがてパソコンが現れた。
(岡田斗司夫というひとは、ビデオデッキの発売以降おたく人口は急速に増加したと書いている。)
パソコンは特に、出現後しばらくして爆発的な普及を見た。
パソコンは実際ワープロにも表計算にも利用できたし、パソコン通信もできた。
しかしパソコンユーザーは遅かれ早かれエロゲーの存在に気づくはずだ。
当初の必要性が何であれ、パソコンでエロゲーをプレイすることができた。
さて雑誌がそうであったように、パソコンのエロゲーも独自の特性を備えていた。
本論で重要なのは二つある。
まず、ゲームだったこと。そして、個人的に使用されることだ。
キャラクターがゲームに進出したのは、すでに漫画やアニメで活躍していたから、というので理由としては十分だろう。
ゲーム制作の際にも、パソコンスペック、開発環境、予算など、漫画制作やアニメ制作と同様もろもろの制約があったのは確かだけど、そうした条件下でおもしろい作品を作るためのテクニック――アニメ絵キャラクター――は、漫画やアニメの分野で十分できあがっていた。
ゲームが完璧にキャラクターを排除していたとしたら、むしろそのほうが不自然だろう。
で、キャラクターは新しいメディアの特性に従って変質した。
パソコンゲームに進出したキャラクターは、大きな目の別な可能性をフルに活用できることに気がついた。
パソコンゲーム以前に存在した、雑誌やアニメは、ゲームのようなプレイヤーとの双方向性を欠いていた。
ヒトは作品内のストーリーに感情移入したり、共感することができるだけだった。
ゲームが双方向性を提供するまで、双方向性を欠いていることは気づかれなかったと言ってもいい。
そして、パソコンゲームは一人用のゲームだった。
オンラインゲームはまだ技術的に難しかったし、パソコンはオンラインであれオフラインであれ個人的に使用するものだ。
パーソナルというだけのことはある。
一人用のゲームである以上、プレイヤーのヒトが、ゲーム中の主人公のポジションに入ったのは当然だった。
さてそんなふうにして、一人用で双方向性がある、パソコンゲームというメディアにキャラクターが進出した。
キャラクターはそれまで、作品中ではヒトに視線を向けないものだったが、ここにいたってある空前の事態が始まった。
キャラクターがヒトを見るようになったのである。
しばしば起こることだけど、ヒトはキャラクターとの関係をまるでヒト同士の関係かのように感じさせられる。
どう見ても、というか見れば見るほど、キャラクターは二次元の存在で、複製された存在で、商品なのだが、キャラクターに惹きつけられる。
それはおそらく、キャラクターと「目が合ってしまう」のが原因だ。
リアル世界でも似たようなことはありそうだ。
眼があってしまうというのは、場合によっては強力な心理的な効果がある。
それはゲームの販売やキャラクターグッズの売り上げにも貢献する。それは確かにそうだが、良いゲームとはそういうもので、プレイヤーもメーカーも何か得するものなのだろう。
キャラクターの大きい目はそうした体験をさせるのに役立つ。大きい目が要求された当初の頃から見れば、キャラクターがヒトを見る今日の事態は予想外のことだ。
アニメ絵キャラクターはなぜ目が大きいか。
ヒトとキャラクターが「目が合ってしまう」というのが、いま目が大きいことの理由だ。
今日、アニメやゲームの作品は、昔に比べ、ストーリーよりもキャラクターが主役だとよく言われている。作品とキャラクターグッズが同列の商品だとも言われている。それが始まったのは、おそらくたぶん、キャラクターがヒトを見るようになった頃と一致している。
ゲームで、キャラクターが作品中でヒト見る可能性が見つかってから、そのスタイルが漫画やアニメにも伝染したのだろう。ヒトとキャラクターが仲良くなればなるほど、ストーリーがそっちのけになった。
実際のところたいていのユーザーにとっては、ストーリーがおもしろいのは悪くないが、それよりもキャラクターが自分を見てくれることの方に快感をおぼえていて、そちらの方が重要になっているのかもしれない。
以上が、アニメ絵キャラクターは眼が大きい理由、そして現在の大きな目に関するの考察である。
キャラクターの視線に関する考察
T 前書き
U リアルと2次元・一考
V 必要性に応える
W 広告が告げたこと
X 可能性を見つける
Y リアルと2次元・再考
Z 後書き
要約 お急ぎの方はこちら
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