キャラクターの視線に関する考察

 Y リアルと2次元・再考


 この文章のはじめの頃、こんなことを書いた。
アニメ絵はもうたいていの人が見慣れている。だからいまさら異様さを感じることはない。けれど意識的に写真とかと比べれば一目瞭然である。キャラクターの目の大きさは、冷静に観察してみれば異常だ。
 アニメ絵は現実にヒトに見えているものとかけ離れている。というふうにをこの文章を解釈しても、それが普通だろう。
 でもその少し後に、こんなことも書いた。
 リアル世界で視線には強力な心理的な効果があるのは確かだ。

 具体的にはよくわからないが、リアリティを感じさせられる、という効果だろう。
 一つめの文では「たいていの人が見慣れているからいまさら異様さを感じることはない」とか、「キャラクターの目の大きさは、冷静に観察してみれば異常だ。」とか言っている。

 けど実際のところ、ヒトはわたしも含め、普段はまわりのものを冷静に観察してはいない。

 アニメ絵を普段は冷静に観察してないのと同じで、まわりをいつも冷静に観察してはいない。

 見慣れたものを見るときは、とくにそうだ。

 冷静に観察するのは、推理小説のように、犯罪捜査や鑑定の仕事をしているような、どちらかといえば特殊なケースだろう。そしておそらく、ヒトを冷静に観察するのは、警戒心とか敵意とか、距離をとるとか、むしろあまりよろしくない感じがはじめにありそうである。

 ヒトは普段まわりのものを、写真を見るのとは違うふうに見ているのは明らかだ。

 ここで、とても参考になる例がある。さきほども出したが。

 
(アイフルのCMから引用。動画はこちら http://www.aiful.co.jp/cm/cm.html)  

 アニメ絵には、眼が大きい、口が小さい、あごがとがっている、という特徴がある。
 また、アニメキャラクターには「耳」をつけることもある。ネコ耳とかイヌ耳とか。

 このチワワにもそれ、当てはまってないか。

 そして明らかに、こういうふうに見入っているときには、冷静に観察するのとは別な風に見えている。

 周りのものがさっぱり見えなくなり、相手だけ、おそらく相手の眼がクローズアップされて見えている。
 
 そして、脳内で妄想が繰り広げられる。


 さて、「萌え」という言葉がある。定義はまだ定まっていないけれど、知らなければとりあえず、アニメ絵二次元キャラクターに惹きつけられる、とでも理解しておけばいい。

 で、萌えに関して、無表情一直線のアンタレス氏は、無表情キャラについての考察 第七章で「本当に自分でも良く分かっていない」と断りつつ、こんなことを言っている。
 『一瞬で基本形にフィードバックできるから』
 「要は一目無表情キャラを見ただけで一瞬で妄想が働き、「きっとこの娘は…」という具合にPLAY前から脳内で色々な物語が繰り広げられるのだろう(多分)。」

 わたし自身も、一瞬でキャラに(無表情キャラに)萌えるのはわかる。
 とはいえ「一瞬で基本形にフィードバック」して、脳内で物語が繰り広げられるというのはよくわからないと告白する。


――わたしがあのキャラで萌えているとき、一瞬のうちに脳内でこんな妄想をしていたというのか?――

 「萌え」とは何か、一般人に説明しなければならなくなったとき、こう答えてみるのもいいかもしれない。

 「アイフルのコマーシャルみたいに、キャラのの眼に見入ってしまってすっかり惹きつけられ、一瞬のうちにいろいろな妄想が繰り広げられてしまう状態です」

 だいたいあってる、かも。だとしたら、萌えというのはじつは、意外と範囲が広い。リアル世界でも以前からよく起こっている。



 さて、アニメ絵が嫌いな人はたいていの場合、眼が非現実的に巨大のことを揶揄している。

 そして、リアル世界で、嫌いなヒトとは眼を合わせたくもない、あるいは目つきが悪いと感じるというのも事実だ。

 おそらく、アニメ絵の眼が嫌いなヒトと、好きなヒトには、ある共通点がある。描かれた巨大な眼に何か心理的なリアリティを感じてしまう、ということだ。

 冷静に観察すれば、アニメ絵は、紙とインク、あるいはディスプレイのピクセルでできている。
 リアリティを感じさせるような特別なモノは存在してない。

 そういうモノにリアリティを感じてしまうところ、アニメ絵嫌いと、アニメ絵好きとは、じつは近いのかもしれない。



 むしろヒトには普段、まわりのモノやヒトは、写真ではなく、アニメ絵みたいに見えているのかもしれない。


キャラクターの視線に関する考察

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U リアルと2次元・一考
V 必要性に応える
W 広告が告げたこと
X 可能性を見つける
Y リアルと2次元・再考
Z 後書き

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