季節を抱きしめて

 

 

 

 

 

今回紹介する「季節を抱きしめて」は、プレステで一時シリーズ展開が行われていた「やるドラ」シリーズの第2弾として出たソフトだったりします。

 

 

……まあ、そもそもその「やるドラ」シリーズってのは、

「見るドラマから、やるドラマへ。」なんて、

ご大層なうたい文句を掲げておきながら、実際にフタを開けてみれば

ただの「デジタルコミック」と何ら変わりがなかったりしたアレなんですが。

 

 

それでまず、本作の特徴を簡単に述べますと、

この「やるドラ」シリーズは「春・夏・秋・冬」を題材に4作が出たわけですけど、

そのストーリーは、夏が舞台の「ダブルキャスト」ホラー

秋が舞台の「サンパギータ」アクション

というふうにそれぞれ別ジャンルの物語が展開されてたりするんですよ。

 

そして本作、春が舞台の「季節を抱きしめて」は恋愛モノのストーリー

ってわけでして、事実このゲームの公式攻略本を見てみると、

ストーリーについては「誰もが一度は体験する青春時代に出会った女性を巡って繰り広げられる恋愛ドラマ」なんて解説が付けられていたりするのです。

 

 

 

 

………しかし実際にやってみれば解ることですが、

こんなストーリーを実際に体験したことある人なんて、

絶対にいないと断言できるのですが。

 

 

 

 

そんなわけで、前フリが長くなってしまいましたが、

その「やるドラ」シリーズの中で随一のクソゲー(唯一ではない)として名高い本作を紹介することにいたしましょうか。

 

 

 

 

まずストーリーは、大学生の主人公が予備校時代から腐れ縁が続いている女性の「トモコ」と一緒に歩いているところから始まります。

 

するとっ! 主人公は何やら、桜の木の下に制服姿の女子高生が倒れているのを発見してしまうわけですよ。

 

 

さあ、ここで早速「やるドラ」の本領発揮!

一体主人公がどうするのかを決めるコマンド選択画面となるわけです。

 

 

さてさて、ここで主人公はどうする?

 

1:女子高生を助ける。

2:女子高生の様子を調べる。

3:警察に電話する。

 

 

 

 

 

ここで俺が選んだ選択肢は………、

 

 

 

 

 

「3:警察に電話する。」 (ピッ!)

 

 

 

 

 

 

季節を抱きしめて −完−

 

 

 

 

 

 

………ってやろうと思ったら、

選択肢の中にその肝心の「警察に電話する」がありません

 

そんなバカなっ! 普通警察に電話だろ、ここはーっ!

 

 

 

そんなわけで仕方なく、その女子高生のにおいを嗅いだり

耳を噛もうとしたりしながら(こんなところだけは選択肢が充実している)、

その女子高生を助け起こすと、

その子は記憶喪失になっていることが分かるのでありました。

 

 

 

 

 

……………ふ〜ん。

 

 

 

 

 

「3:警察に電話する。」 (ピッ!)

 

 

 

 

 

 

季節を抱きしめて −完−

 

 

 

 

 

 

えっ? また無いの、その選択肢……。

 

 

 

 

 

そんなわけでその後主人公は、その記憶喪失の女子高生が、

「高校時代主人公が好きだった女の子のに似ているから」という理由で、

その子の名前を取って「麻由」と名付け、一緒に記憶探しをする事になります。

もちろんプレイヤーの意志とは関係なしに。

 

 

 

そしてそんなことを半ば強制的にやらされていると、

最初に出てきた女友達の「トモコ」(実は主人公に惚れてる)が、

怒りながらやって来て、一言こう言われてしまいました。

 

 

「その子が本当に記憶喪失って言うんなら、さっさと警察か病院に連れて行けばいいじゃない!

 

 

って、俺のせいかよっ!

そんな選択肢、今まで一度も出なかったじゃないかーーっ!

 

 

 

 

……とまあ、こんな感じでストーリーは、

謎の女子高生「麻由」の記憶探しを軸としつつも、

主に麻由とトモコの三角関係がメインに語られていくわけです。

 

そしてストーリーの終盤でついに、

行くあてがないため主人公の家に泊まっていた麻由と、

主人公の落とし物を届けるためにやって来たトモコが、

主人公の家で鉢合わせという最大の修羅場へと発展してしまうのです。

 

 

 

……と言っても、そこは「見るドラマからやるドラマへ」の「やるドラ」。

 

プレイヤーが上手く選択肢を選ぶことによって、

その最大の修羅場を見事回避する事がグッドエンドへの道で、

 

 

 

……なんてことはなく、これを見ないと大半のグッドエンドに行けません

 

 

 

 

……グッドエンドのためには回避不能な麻由とトモコの修羅場。

 

……ただそれを黙って見てるしかない主人公。

 

……そしてそのシーンを半強制的に見せられるはめにプレイヤー

 

 

これはソニーから俺への嫌がらせでしょうか。

 

 

 

 

そしてその後、麻由は雨の中部屋から飛び出し、

トモコはそれを追おうとする主人公を泣きながら止めるという展開になります。

 

ここでプレイヤーは麻由を追うか、

それともトモコのいる部屋に留まるかを選ぶという、

かなり痛い2者択一をするはめに。

 

 

……まったく、グッドエンドのためには修羅場は不可避くせに、

その責任を取らなければならないシーンでは、

自由に選択肢を選ばせるという理不尽な展開。

 

これがソニーの言う「やるドラ」ってヤツなのでしょうか。

 

 

 

 

 

しかしです………。

実は、ここまでの展開は、まだまだ普通だったりします。

ここまでであれば、まだ普通の恋愛ストーリーと言えたかもしれません。

 

 

 

 

 

では、その後の驚愕のストーリーを追っていきましょう。

 

 

まず、主人公はとりあえず麻由を追うことにしたわけですが、

麻由を捕まえたところで、何の理由も伏線もなく突然麻由の記憶が回復

 

 

 

 

しかし、結局そこで麻由には逃げられてしまい、

そのまま主人公の前に麻由は姿を見せなくなるわけですが、

その後日、最初に麻由を発見した桜の木の下で、麻由の幻影が出現

 

 

 

 

そして、その麻由の幻影は、

「実は私……、<桜の精>だったんです」と告白。

 

 

 

 

そして思い出した記憶と今までのいきさつを話すのですが、

まあ簡単に言えば麻由は新米の桜の精で地上に降りるときに

足を滑らせてしまい記憶を失ったとかそんな話をされるのです。

 

 

 

 

このとき、「そ、そんなバカなーーっ!」

……とでも思えるのならまだ救いがあったんですが、実はこのオチ、

ゲームが始まって最初のシーンで、かなりバレバレだったりします。

 

それでもやはり、「イヤ、いくら何でもそんなふざけた展開にはならないだろ……」とか思いながらプレイを進めていたところで、結局このオチですよ。

 

 

 

 

しかも幻影の麻由がさんざん自分の設定を解説してくれるのですが、

結局その桜の精とやらが何故女子高生の制服を着ていたかについては、

なんの説明もありません

 

 

そして、そんなあまりの展開に俺が驚愕していると………

 

 

 

 

 

 

季節を抱きしめて −完−

 

 

 

 

 

 

終わりやがったーーーーっ!!

 

 

 

 

 

 

ホントこのストーリーには驚かされましたよ。

まさにこれは「やるドラ」って言うより「やられドラ」でした。

 

― 完 ―

 

 

 

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

 

 

 

……ふう、まあこんなところでしょうか。

 

この「季節を抱きしめて」というクソゲーを一般的な観点から

クソぶりを述べた場合、上記のような内容でおそらく間違いないでしょう。

 

あの救いようのないひどいストーリーの欠点を挙げ連ねていけば、

このような記述になることで間違いないことでしょうね。

 

 

 

 

 

しかし………、

しかしです……。

 

 

 

 

 

実を言うとねえ……、

俺は、こんなことを言うためにここへ来たんじゃないんですよ。

 

 

 

 

そう違うんだっ!

違うんだって、俺が真に言いたいことは!

 

世間で今までさんざん言われた、「シナリオがクソ」

 

そんなのは問題じゃない!

そんな問題を論ずるために俺はここに来たんじゃあない!

ハッキリ言って俺に言わせれば、

シナリオなんてのは大した問題ではないんだよ!

その程度のことは微々たる問題でしかないんだよ!

 

 

 

 

それは何故か?

何故なら俺はギャルゲーマーだからだーーっ!

 

 

 

 

そう。ギャルゲーを愛する人物それがギャルゲーマー。

 

そのギャルゲーマーたる俺が、

シナリオがクソとかそんな些細なことで文句言ってらんないんだっての。

だいたいそんなことで文句言ってたら、じゃあシスプリはどうなる!?

つーかそれ以前に、ほとんどのエロゲーはプレイできないじゃないか!

 

 

 

「それじゃあ、ギャルゲーマーにとって大事なのはシナリオじゃなくて何なのか?」と聞く人がいるのであれば答えよう。

 

 

 

それは萌えである。

 

 

 

【萌え】

ある人物やものに対して,深い思い込みを抱くようす。その対象は実在するものだけでなく,アニメーションのキャラクターなど空想上のものにもおよぶ。

(デイリー新語辞典より抜粋)

 

 

 

そう萌え。

その萌えの視点でこの「季節を抱きしめて」見るならば、

そのヒロインの麻由こそは、相当の萌えっ!

 

その殺傷力たるや、

かなりのものであると言えよう(あくまで俺にとっての話だが)。

 

 

 

何と言っても、記憶喪失の女子高生が、

主人公のことを「お兄さん」と呼びながら絶大の信頼を寄せてくるという

話の展開もさることながら、

さらには主人公のアパートにお泊まりまでしてしまう始末!

 

 

 

さらにさらにそれだけでは飽きたらず、

そこで主人公に美味しい手料理をごちそうしたり、

主人公がお風呂に入っていると

「お背中流しましょうか?」と言いながら入ってきたり、

主人公に「私……、迷惑ですか?」眉毛ハの字にしながら問いかけ

それに対し「そんなことない。うれしいよ」と返すと、

いきなり主人公に抱きついてきたりと正に完璧超人ぶりを発揮!

 

 

 

しかも麻由の暴挙はそれでもまだ留まることを知らず、

プレステのゲームにもかかわらずパンチラキックを繰り出すわ、

主人公の家に泊まったときにお風呂を勧められたら、

その場で服を脱ぎ出す上に主人公がそれを止めると

「お兄さんなんだから別に恥ずかしくないのに……」って言うわ、

挙げ句の果てに、

お風呂上がりにバスタオルを巻いただけの姿で部屋を歩き回った上に、

その後全裸に男物のワイシャツを羽織った姿を披露するわ

やりたい放題!

 

 

 

もはや完璧超人の域をも超えて、

モスト・デンジャラスの境地にまで達しているんだよ!

 

 

 

そう! この驚異の萌えキャラ「麻由」の存在こそがこのゲームの正体!

ハッキリ言って、この麻由の存在があれば、シナリオなんてものは、

もはやどうでもいいんだよ俺にとってはーっ!

 

 

 

 

 

………と、ここまで俺が熱く語っていると、

そろそろ疑問に思い出す人もいるかもしれない。

 

「じゃあ、『季節を抱きしめて』はクソゲーではないのか?」

 

 

 

 

 

………もし本当にそうであってくれたなら、

俺はクソゲーレビューでこのゲームを採り上げることもなかったんだ。

 

そう……、このゲームは残念ながらクソゲーだ。

 

麻由という絶大な萌えキャラを配していながら、ただ一点の問題で、

俺はこのゲームをクソゲーだと断罪せざるをえなかったんだ。

 

そう、そのただ一つの問題点。

それは………、

 

 

 

 

 

麻由エンディングが存在しないことだーっ!

 

 

 

 

 

そう! なんとこのゲームは、麻由がメインヒロインで、

尚かつ今回の「やるドラ」が恋愛モノと銘打たれていたにもかかわらず、

このゲームには麻由を彼女にするエンディングなるものが存在しない!

 

あ、実は一応、グッドエンディングの中に

「麻由エンディング」なるカテゴリーのものは存在するのだが、

そのエンディングでもやはり麻由は、

主人公の前からいなくなってしまうというオチだったりする。

 

 

つまり結局のところ、俺が望んでいる「麻由と結ばれてめでたしめでたし」

というエンディングはただの一つも存在しないのだ。

いかなる選択肢を選ぼうとも主人公と麻由が一緒にいられることはないのだ。

 

そんなふざけた話があるかーっ!!

 

 

 

クソッ……解るか? 解るかこの虚しさがっ!

 

ハッキリ言ってなあ……、俺はこのゲームを許すことが出来たんだ。

 

どんなに途中でクソシナリオを見せつけられようと、

システムがクソでめちゃめちゃプレイしづらかろうと、

「やるドラ」とかいいながら全然「やるドラ」でなかろうと

俺は許すことが出来たんだ。

 

そのクソシナリオとクソシステムの果てに迎えられる結末が、

麻由とラブラブになれるものであれば俺はこのゲームを許すことが出来たんだ。

 

ただその一点をもって、このゲームを全肯定することが出来たんだ。

 

「ゲームはシナリオよりも萌えキャラ」がポリシーのギャルゲーマーとして、

許すことが出来たんだよ!

 

 

 

しかし………、

だがしかしこのゲームは、俺を裏切りやがったんだ……。

 

 

 

しかもさらにムカつくことに、何故か「トモコ」と結ばれるエンディングだけは、

ちゃっかり存在してたりするんだよなあ、これが。

まったくフザけんなよっ!

 

 

ハッキリ言ってなあ……、

あんな女、俺にとっちゃ、ただの「おじゃまぷよ」でしかないんだよ!

主人公の恋路を邪魔する、ただの邪魔者なんだよ!

おジャ魔女なんだよ!

 

それだってのに、まったく何だっ!

そんなトモコとだけは、結ばれるエンディングがありやがって!

 

 

 

それとも何か?

麻由の正体が「桜の精」ってのに何か問題があるとでも言うのか!?

 

 

言わせてもらえば、昨今のギャルゲーヒロインと言えば、

「超能力者」がいたり、「魔法使い」がいたり、「ロボット」がいたり、「宇宙人」がいたり、「生き霊」がいたり、「死霊」がいたり、「動物霊」がいたり、「人魚」がいたり、「天使」がいたり、「死神」がいたりって感じで、

今更「桜の精」なんて驚くほどのもんじゃねーんだよ!

もうそんなの、余裕でスタンドの射程内なんだよ!

 

あーもう、ホント非道い話だよっ!

 

 

 

 

……というわけで、改めて言わせてくれ。

 

この「季節を抱きしめて」は最低のクソゲーだーーっ!!

 

 

 

 

 

 

………ふう、とりあえず、俺の言いたいことは全て言った。

 

いつか「季節を抱きしめて –完全版-」が出ることを祈りつつ、

今回のレビューを終わりにする。

 

 

 

 

 

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