塊魂(かたまりだましい)
最近、複雑なゲームが多くて疲れません?
なーんてことをついつい思ってしまう自分は、バリバリのファミコン世代ゲーマーだったりするわけだけど、そんなときに出たのがこのゲーム、カタマリごろごろ転がしアクションの「塊魂」。
これに対し「何か斬新で面白そう」というニオイを感じていながらも、「斬新なだけのクソゲー」ということを警戒して今まで買わずにいましたが、このたびせっかく廉価版が出たということで買ってみました。
でー、さっそくプレイしてみたわけですがー……、
こりゃあ、スゲー!!
もうねえ…、ビビッた!
まさかカタマリを転がすことがこれほど楽しかったとは!
「何故このようなゲームが今までなかったんだろう?」と思うほど。
まさに発想の転換、まさにコロンブスの卵、いやコロンブスの塊と言うべきか。
それほどまでにこの斬新な楽しさには、ただただ驚愕するばかり。
と、こう言うと「カタマリを転がすだけで何がそんなに楽しいんだよ?」とか思う人がいるでしょうが、考えるにこのゲームのカタマリ転がし行為がここまでに楽しいのは、だいたい三つの要素があるんじゃないかと思う。
まずは「お掃除の快感」。
そう、全くもって不思議な話だけど、人は掃除をするのをあれだけ面倒くさいと思うにもかかわらず、これがやり始めてみたらついついハマっちゃって隅々まで掃除してしまった、という経験がある人は結構いるんじゃないかと思う。
そう、やっぱり「きれいに掃除する」という行為を人は結構好きだったりするのだ。
そしてこのゲームのカタマリ転がし行為には、粘着ローラーで床をコロコロ掃除するのと同じような快感がある。
カタマリを家の中でちょいと転がせば、散らばっていたキャラメルやらパチンコ玉やら消しゴムやらが、「ポスポスポス」と軽快な音を立てながらカタマリにくっついてゆく。
道を転がせば、空き缶「ポスポス」。
畑を転がせば、ニンジン「ポスポス」。
あーもう、これ自体が本当に気持ちいい!
そして次にあるのが「成長の快感」。
そう、しかもこのカタマリは、こうしたお掃除行為によりだんだん大きく、だんだんデカく成長してゆくのだ。
最初の頃はそれこそ「戦闘力たったの5か……、ゴミめ」と言われんばかりの弱小ぶりで、ミカン一つ巻き込めねーわ、ネズミごときから必死に逃げなきゃならねーわ、の貧弱な状態なのだが、「小さなことからコツコツと」とばかりに小モノをくっつけてカタマリを大きくしていき、こっちがひとたび相手よりデカくなっちまえば、あとはもうリベンジタイム。
ネズミどころかネコまで軽く巻き込んで、さらに今までカタマリの行く手をガツンガツンと阻んできた邪魔な柵やらフェンスやらをベリベリメキメキと引っぺがして巻き込めたときのこの快感!
1ステージわずか10分前後のプレイの間に、小さなカタマリが巨大な大怪球へとへと成長してゆく気持ちよさもこのゲームの大きな魅力と言えるだろう。
そしてこれらを経ておとずれる楽しさこそ「破壊の快感」。
そう、こうしてデカくなったカタマリは、まさに無敵の破壊の権化!
人をも飲み込む巨大なカタマリがゴロリと町を転がれば、逃げまどう人たちも商店街の商品も、みんなまとめて一飲みし、後にはぺんぺん草一本残さない。
この怪獣映画さながらの圧倒的な力による破壊の楽しさも忘れちゃならない要素の一つだろう。
以上3つの要素に分類してみたが、これらのこのゲームにある気持ちよさというのは、
人間が持つ「根元的な快感」というのに根ざしてるんじゃないかと思う。
「ゲームバランス」とか「勝ち負け」とか「リスクとリターン」とか、そういったゲーム的な楽しさを超越したところにある「原始の快感」。それがこのゲームにはあるんじゃなかろうか。
だからこそ、このゲームを長くプレイしていると単調なところを感じる面がありながらも、ついついまたプレイしたくなってしまう。
また実はこのゲーム、ハイスコア狙いのプレイもバランスが良くそれはそれでかなり熱い内容となっているのだが、そんなことを考えずにダラダラと気の向くままカタマリの向くまま、自由にただ転がしてるだけでも十分に楽しかったりするのだ。
まさに「操作しているだけで楽しいゲーム」の代表例と言えるだろう。
しかもこんなに楽しいゲームをプレイするのに必要な操作は、アナログスティック2本だけという単純さ。大人も子供もゲーマーも非ゲーマーも、誰でも遊ぶことの出来る懐の広さもすばらしい。
そしてさらに、カタマリを転がすという「アイディア一発勝負」だけに陥ることなく、奇妙な王様などのキャラ設定、有名人を多数起用しかつ独創的なBGM群、コメントが充実している巻き込んだものコレクション、ハイスコア狙いにも十分耐えうる絶妙なゲームバランスなどなど、老舗ナムコの職人芸が随所に光るのも見事なところだろう。
まあ欠点として挙げられることと言えば、慣れるまではカタマリが思い通りに上手く動いてくれなかったり、障害物の間に挟まって脱出が困難になったりしてイライラすることがたまにあるということだろうか。これも慣れてくればかなり解消されるのだが、「誰でも遊べる操作しているだけで楽しいゲーム」だけに、ここはもう少し初心者でも気持ちよく操作できるようにチューニングしても良かったと思う。
あと若干ボリューム不足気味と言うか、もう少しマップの種類が多く全ステージクリアまでの時間が長ければいいんだけどなあと思うところだけど(ただクリアするだけなら半日もあれば可能)、これについては今ならベスト版の登場で値段も大幅に下がっているため割高感を感じることはないんじゃないだろうか。
というわけで以上、このゲームについて思うところを適当に書いてみたわけだけど、
う〜ん、ちょっとほめすぎ?
いやいや、良いと思ったゲームをほめて何が悪い。
各メーカーが重厚長大なゲームを連発する中、これみたいな軽くて誰でもプレイできるゲームをきちんと出してくれるナムコにはまさに頭が下がる思い……、って言うか本来こっちみたいなゲームこそが主流となるべきなんじゃないでしょうかねえ?