重大発表!

 

 

 

 

 

なあ、みんな、聞いたかよっ!

世の中にはさー、こんなすっげームカつくヤツがいたってんだぜー!

よくもまー、平然とこんなヒドイ事が出来たもんだよなー、まったく。

……って、いやさ、実はこの前テレビのワイドショー見てたらやってたんだけど、

どうも外国に「月の土地は自分の物だ」って主張しているヤツがいるらしいじゃないですか。

いやーこれにはホント驚いちまったね。

しかもさらに話を聞くと、そいつはすでに月の土地の販売まで始めているってゆー話じゃん。

どうよ、皆さん?この話、納得いく?

月の土地を個人が勝手に販売なんて話、許せますか?

で、俺はもちろん、そんなのに納得がいかなくってさー、

「テメーになんの権利があってそんなこと出来んだよっ!」って思いながらテレビ見ていたわけですよ。

そしたらさー、どーも次のような理由らしいんだよねー……。

 

え〜と、なにやら世界には、宇宙とかに関する国際法みたいのがあってさー、

その中には「宇宙空間や星や月は、どの国家も所有してはならない」

って条文があるらしいんだよ。

まあ確かに、特定の国家がそれらを独占するのはよくないってのは納得できるわな。

……しかしだね。

その条文に目を付けたってのがこの男だ。

なんでも

「この条文は、国家が所有することはダメでも、個人や企業が所有するのを禁止していない

って解釈したらしいんだよ。

で、「それならば最初に『所有する』と宣言した俺の物になる」ってことで

所有権を主張しているって話みたいだね。

 

…………この話を聞いた俺としては、ひとまずコイツに一言いいたい。

一休さんか、おまえはっ!

いやーホント、一休さんもビックリの屁理屈……いやいやとんちぶり

まことに感服いたします。

それにしても、強大な力というものは使う人の心によって正義にも悪にもなるとは、

よく言われてるけどさー、「一休さんの力」を悪に用いると、

ここまで悪逆非道な行為が出来るものかと思ったね。

そう。この一休さんのとんちを悪用すれば、例えば次のような事だって可能になるわけだろ……。

 

 

「きさまらーっ!何故、この橋を渡ったーっ!

戦時協定で軍隊がこの橋を渡っての進軍は禁止されていたはずだぞーっ!」

「なーにを言ってるのですかな〜。我が軍は『このはし渡るべからず』と決められていた橋の、

ではなく中央を渡ったのですよ〜。

なんら協定には違反してなーいではありませんか〜」

「バ、バカな。そ、そんな手があったとは……」

「ホッホッホッ。我がとんちの力を持ーってすれば、

条文の抜け穴を発見することなど、造作もないことなのですよ〜」

 

 

うわーっ!ひどいよ、一休さん!

そういや考えてみりゃあ、「ヴェニスの商人」のお話が美談なのも、

裁判官がとんちを良い方向に使ったからであって、

そうでなきゃ、あんなとんち裁判官なんて絶対許せねえ存在じゃねえか。

……そう、とんちってのは正義の為に使ってこそ、始めて許される手段なんだよ。

そしてそれ以外の目的でとんちを用いるのは、悪なんだよ。

わかったかーっ!このとんち野郎ーっ!

 

………しかしどうやら、コイツの悪逆とんちぶりはこれだけに止まらないようですよ。

どうもさらにコイツは自分の主張の正当性をアピールするために

「このことを国連やアメリカやロシアに主張してみたが、どこからも却下されなかった」

なんてことも言っているみたいじゃないですか。

………あのなあ、普通に考えればすぐわかることだけど、

そんなの誰が相手にするかバカモノッ!

だいたい国連やアメリカが、そんなむちゃくちゃなヤツの主張なんていちいち相手にするかっつーのよ!

とんちじゃなく常識で考えろっつーの!

あーホントにもう、とんでもないとんち野郎がいたもんだよ、まったく!

 

……しかしだねえ。

多くの人間はこの話を単なるジョークで済ませちゃうかもしれないけど、

これってヘタをすると笑い話じゃすまなくなってしまいますぜ。

そりゃ今はまだ月の土地なんてなんの役にも立ちゃしませんよ。

でもね、想像してみて下さいよ……。

 

そう、来るべき近未来

その頃には地球の資源は採掘されつくしちまうんですよ。

そして困った人類は月の資源の採掘をし始めるんですよ。

そしてそのあげく国家間の利権を巡ってさまざまな紛争が起こるんですよ。

そしてそれは第3次世界大戦にまで発展するんですよ。

もしそんなことになってしまったら……、

重装機兵が戦っちゃうじゃないですか!

 

うわーっ!まもって守護月天!

やっぱ許せねーよ。月の土地を個人所有するなんて許せねーよ。

全ての宇宙戦争の諸悪の根元はここにいやがったんだよ!

 

……みなさーん、聞いてくださーーい。

諸悪の根元はザビ家ではありませーーん。

月の所有者を名乗るこのとんち男でーーす。

 

クッソー、あー全くムカつく話だよなー。

よーし、それじゃあ俺だってやってやるぜ!

おまえがこんなムチャクチャなこと言うなら、

俺だって吉四六(きっちょむ)さんばりのとんちを利かせて、

無茶なこと言ってやるさー。よーく聞きやがれっ!

 

…………

よーし、それではこれから俺がこのインターネットを使って、

全世界同時生中継で重大発表をいたしまーす。

それは…………

 

 

太陽は俺の物!!

 

 

どうです、皆さん?聞きましたか?

そう、太陽は俺の物。

おそらく「太陽を個人で所有してはいけない」なんて法律ないだろうから、

所有権を主張したこの瞬間から太陽は俺の物になったのですよ。

わかったかーっ、皆の衆ーっ!

ワッハッハッハッ。

おそらくアニメやマンガだったら今頃、

 

「東京 23:00」

「ロンドン 14:00」

「ニューヨーク 9:00」

 

みたいに時差を字幕スーパーで表示しながら、パソコンモニターを驚きつつ眺める、

世界中の皆さんの顔が映し出されている頃と思われます。

 

……って、コラコラー、そこのキミっ!そう、キミだよキミ。

俺にことわりもなく太陽の光を浴びるんじゃなーい!

それは俺の物だーーっ!

所有権の侵害ですよー、まったく。

あっそうそう。俺が太陽の所有者となったからには、

これからは太陽使用料ってのを払ってもらいますよー。

あーでも大丈夫、大丈夫。そーんな無茶な料金設定はいたしませんって。

ほら、だって俺っていいひとじゃん。

どちらかってーと俺、最終兵器彼女じゃなくって、いいひとって感じじゃん。

だからさー、料金はサービス価格にしておきますって。

とりあえず料金は、一人一年間あたり、たったの1円!

どうよ。たったの1円で一年間太陽利用し放題ですよ。

いやー安いね〜。俺のいいひとぶりには感心しちゃうよ、まったく。

……でも、この親切料金1円だって俺の年収はすごいことになんだよねー。

なにせ人類は大体40億人ぐらいいるだろ〜。

つーことは、なんと年収40億円!

ウッヒョー、すげえ、すげえぜ!この俺がなんと年収40億円!

それってすげーじゃん。つまり億万長者ってことじゃん。

いやー、この俺が億万長者になるなんて…、億万長者ゲーム以来だぜーっ!

なんかもう嬉しくてしかたがないね、ワッハッハッハッ

 

……あっ、今気づいたんだけどさー、

悪の大ボスがよく笑ってる理由がやっとわかったよ。

ホント、こりゃマジ笑うって。嬉しくてしかたがないってーの。

もう、サイコー!悪の大ボスサイコー!

俺も悪の大ボスになったからには、

豪華なイスに座って、ネコをなでなでしながら、ワインとか飲んでやるぜー!

ウワーッハッハッハーーーッ!

 

 

……………

……………

あ、でもこの太陽使用料ってどうやって徴収したらいいんだ?

……………

旅費……、すげーかかるよね……。

……………

マフィアのところに取り立てに行ったら……、死ぬよね……。

……………

紛争地域の取り立てに……、そもそも行きたくないね……。

……………

……………

ダメじゃ〜〜ん(×_×)

……………

……………

いや、ほら、やっぱさ、太陽や月ってみんなのものだよっ。

それをとんちの力で個人所有しようなんてよくないよね、ホント。

とんち、ダメ!ゼッタイ!

 

 

 

 

 

戻る