大人のやるせなさ

 

 

 

 

 

10月23日。それは俺の誕生日です。

いや、別に祝ってくれなんて、そんなことはみじんも考えてないですよ。

だってさー、別にめでたくねーっつーのよ!

そりゃさ、そりゃあ若い頃は結構嬉しかったりもしたもんだよ。

でも歳とってからはどーよ?ただ老いていくだけじゃん。

今でこそまだ「俺も四捨五入すれば30歳になっちまうな〜」なんて言えたもんだが、

それもあと少しで四捨五入しなくても30歳という状況になってしまうわけですよ。

あーもーホント歳なんてとりたくねー。

なんていうか、体の老化以上に精神的に老いていくってのが我慢なんねーんだよ。

っつーのも今までにちょっと友人でそーゆー例を見たことがあるんだよ、

年をとったせいで精神的にも老いちまったってヤツをさー。

 

そう、とりあえずこの場では彼の名をカドカワ(仮)としておこう。

大学時代に語った将来の夢が武論尊というこの男、

若い頃のヤツ、つまり大学生時代のヤツはそりゃあもうかっこよかったさ、バカだけどな。

なにせ若い頃のヤツは無謀なほどのチャレンジャーだったんだよ。

 

まあ俺もよくカドカワとゲームなんかやったんだけど、ある日レースゲームやったときなんかも、

「1位になれなきゃ、2位もビリも同じだぜ!」

と、サイバーフォーミュラーのメインキャラなんかが言いそうなカッコイイセリフをはいて

加速してコーナーに突っ込んだあげくに、

盛大なまでにクラッシュして見事にビリになるようなやつだったんだよ。

 

上の話はあくまで一例だけど、その他にも

バイクで車に突っ込んで、百万円以上の借金を背負ったり、

一時期実家(秋田)に帰ってたんだけど、

「地元の女と結婚しそうになった」とか言って、東京に逃げてきたり、

「フランスに行ってフランス女を抱く」

とか言ってフランス語を勉強していたんだけど、すぐに挫折したり………、

まあとにかく、こんなわけで若かりしころのカドカワってのは、

とてつもないチャレンジャーだったんだよ、思い出してみれば。

それがねえ、変わっちまうもんですよ。年を取ると人間変わっちまうもんですよ。

 

……というのも、そんなチャレンジャーカドカワに最近久しぶりに会ったんで、

ちょっとTVゲームでもして遊ぼうって話になったんだよ。

で、やったゲームは対戦型のクイズゲーム。

序盤から俺は結構リードしてたんだけど、最終コーナーの「ジャンル選択クイズ」になって、

カドカワが俺に追いつき始めた。

……って、説明すると、そのジャンル選択クイズってのはつまり、

昔あったクイズグランプリみたいな形式で(って、知らない人もいるよな、やっぱり)、

問題が社会とか芸能とか雑学とかのジャンル別に分かれていて、

それぞれのジャンル別に10点問題、20点問題、30点問題、50点問題、100点問題があって、

正解すればその分だけ点数が入るけど、はずれたらその分だけマイナス、っていう

一発逆転が大いにあるクイズなんだよ。

で、カドカワはここに来て、高得点問題をバシバシあててきて、どんどん差が詰まってきた。

そして、ついに50点問題を正解して、俺との差が20点まで詰めてきたのだ。

そして次の問題はいよいよ、当たれば100点、はずれればマイナス100点の100点問題だ。

しかもジャンルはカドカワが選んだ、ヤツの得意ジャンル。

こりゃヤバイ!いよいよ逆転か?

って思ったらさ………

問題が出題されたら、あの男、情けない声で………

「ダメだ〜〜、怖くてボタン押せねぇ〜〜〜」

 

………ホントさー、これすげーショックだったんだよ。

あのカドカワが………

「1位になれなきゃ、2位もビリも同じだぜ」と言っていたあのカドカワが………

マイナス100点を恐れて、ビビってボタン押せなくなっちまうなんてさー。

で、結局その問題は俺でもカドカワでもない、一緒にやってたその他の友人Aが正解しちまって、

カドカワは2位止まりでしたよ。

ホントさー、昔俺はカドカワにあこがれを持ってたんだよ。

まあいわゆる

「オレ達にできないことができるッ!そこにシビれる、あこがれるゥ!」

ってな感じでさー。

それが、年取っちまったら、コイツほどのチャレンジャーがここまで思想が保守的になっちまうんだよ。

俺、この時ほど「年は取りたくねーなー」と思ったことはなかったね。

 

でもね………

やっぱりね………

自然の時の流れには俺もかなわないわけで………

やっぱ俺も考え方が年寄りになっちまってんだよ!

年取ってくのが自分でも分かるんだよ!

はーい、それじゃー発表しまーす。俺が年を取って変わっちまったこと、その1。

1、味覚の変化

やっぱさー、甘いものってうまいじゃん。

少なくとも子供の頃は甘い食べ物こそうまい食べ物の象徴だったわけですよ。

それなのに……、

ああそれなのに………

ついに俺、ビールをうまいと思っちまったよ!

だってさー、ビールなんてにがいじゃん。それに比べてジュースは甘いじゃん。

だから今まではジュース最高ーって思ってたんだよ。

ジュースの出る蛇口にあこがれてたんだよ!

それなのに、夏の暑い日の夜、ジュース飲んだんだけどなんかこう…、ぐっと来るものがなくて、

試しにビール飲んでみたんだよね、今まで何かのイベントで必要性が生じた時にしか飲まなかったのに。

そしたらさ………

うめーじゃん!すげー、うめーじゃん!ビールって、うまいじゃん!

ホント、ビールがうまくなる日が来るなんて信じられなかったよ。いやあ、驚きだなあ………。

 

でもさ………

つーことはつまり、もう俺、子供じゃないってことなんだよね。

それがあってからは、もーなし崩しだね。次々と俺の体に変化が訪れたよ。

まず、コーヒーのブラックが飲めるようになった………

次に、サザエの奥の方の黒い部分も食えるようになった………

そして、ふきのとうも食えるようになってきた………

そして、何より俺的にショックだったのが、

母親にいただき物のクッキーとか食べられちゃっても、あんまり腹が立たなくなってきたこと!

ホントこれはショックだったね。昔だったら「ふざけんなよっ!」ぐらい言ってたのに、今だったら、

「ふぅ〜ん」

って感じだもん。もーダメだね。俺、大人決定でーす。

 

でもね………

俺にはこんな味覚の変化なんかよりもっとつらかったことがあるんだよ。

もう、俺の感覚は子供とは違っちまったって、認識せざるをえなかったことがね。

そう、それが俺が年を取って変わっちまったこと、その2。

2、ギャグの好みの変化

あのさー……、俺最近つくづく思うんだけど………

東村山音頭は3丁目だよね、やっぱり。

いや、もちろん俺が子供の頃は、違ったよ。

当然「いっちょめ最高だぜーっ!」って思っていたさ、そりゃね。

だって、いっちょめ派手じゃん。股間から白鳥の頭が出てきて、しかも歌詞が、

 

いっちょめ!いっちょめ!ワーオワオッ!

いっちょめ!いっちょめ!ワーオワオッ!

 

だもん。そりゃ大喜びしたさ。っつーか、そもそもあれは最後のいっちょめがオチなわけだろ。

それまでの4丁目とか3丁目なんかはそれまでのネタフリなわけじゃん、

いっちょめを盛り上げるためのジャブに過ぎないわけじゃん。

でもさー、大人となった俺には、もー3丁目だね。3丁目音頭が輝いて見えるよ。

まず出だしがいいね。

4丁目が「ひがっしむらや〜ま〜♪」って、いかにも音頭らしく明るい感じでの出だしなのに、

3丁目は「ひぃーがしむらやま、さんちょうめー♪」って暗い出だしなのがたまらなくいいだろ。

さらにその後が「ちょいと、ちょっくらちょいと、ちょいと来てね〜♪」

ってむちゃくちゃ適当な歌詞なのがたまらなくいいっ!

いっちょめの歌詞が適当なのは当たり前だけど、

3丁目の一見普通なように見えて、よく聞くと実は適当っていう奥ゆかしさがすげーいいよ。

 

まあ、当然のことながら、俺がこの良さに気づいたのは最近のことだよ。

実は今から5年ぐらい前に、兄に

「東村山音頭は3丁目がいいだろ」

って言われたんだよ。

いや、そんなこと聞く兄もどうかと思うけど、でもとにかく、

その時にはまだこの大人の魅力には気づいてなくって

「何言ってんの?東村山音頭はいっちょめじゃん」

って言ったんだよねー。でもさー、今になって兄の気持ちがわかったよ。

大人になってみて、やっと当時の兄の気持ちが理解できたよ。

今、あえて言わせてもらう!

やっぱ東村山音頭は3丁目だね!

 

でもさ………、

これって俺はもう大人ってことなんだよな。

子供の感性には戻れないってことなんだよな、悲しいけど。

はぁー、ホント年寄りにはなりたくないねぇ。

もう、コロコロコミックのおぼっちゃまくん見ても笑えないんだもんね

………って、ありゃ子供の時に見ても笑えなかったけどな。

 

 

………と、いうわけで、俺はもう大人なのです(泣)

 

 

 

 

 

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