老人とうぐぅ

 

 

 

 

 

っあー、めっちゃムカつくわ。もうホント、ムカつくっつーの!

やっぱ許せないね、あれはっ!

 

 

 

………えっ? 何がって?

 

いやね、まあ少し前に俺、

いわゆる感動系パソコンエロゲーってのをやったんだけどさー、

不覚にも感動しちまったんだよ、不覚にもーっ!

 

って、そりゃ感動系なんだから感動して当然だろって思うかもしれないけど、

でもさー、その話って何かむちゃくちゃなんだよ、ストーリーが。

何だよアレ。ぜってーおかしいじゃん。

何であんな展開になんだよ。変じゃん。

 

だいたいねえ…、そのエロゲーのヒロインってのが、

出現と同時に、たい焼きの食い逃げをしてやがるんですよ!

何だって、そんな話で感動しなきゃいけないわけですか!

あーあーまったく、ひどい話があったもんだよコンチクショウ!

 

 

 

 

 

と、言いたいこと言って落ち着いたところで…………。

 

 

 

 

 

やっぱさー、アレだね。

今回思ったんだけど、頭が悪いってのは罪だよ、やっぱり。

 

もしさー、これで今回俺の頭がもっと良かったとしたらさー、

こんなくだらないもので感動することもなかったと思うわけよ。

「こんな低レベルの作品で感動なんて出来ませんね」とか言いながら、

中指でメガネをズリ上げていたと思うわけよ。

 

いやー、やっぱりもっと知識を付けて頭良くすることが必要だね。

やっぱ知識がなきゃダメだね。

知識さえあれば、「ファイナルファンタジーはやっぱり3までだね」とか

「ガンダムはファーストガンダムしか認めません」とか

「やっぱ『あばれ はっちゃく』は初代が一番だね」みたいな

知的な会話が出来るじゃん。

理知的なトークが繰り広げられるじゃん。

やっぱいいなあ、知識って。

 

 

でー、やっぱり知識と言えば読書だね読書。

読書さえすりゃあ、俺も明日から知性あふれるインテリゲンチャーってなもんですよ。

ほら昔の偉い人も言ってたじゃん。

「書を捨てよ、町へ出よう」って。……………あれ?

 

 

 

……まあとにかく、読書ですよ読書。

それで早速、俺も図書館へと本を借りに行ってきたわけですよ。

で、そんな俺が手に取った本がヘミングウェイ作「老人と海」

 

もう、こいつぁスゴイね。

だってヘミングウェイって有名じゃん。有名人じゃん。

何せ、俺だってヘミングウェイについてなら色々知ってますもん。

そう、例えば……、

 

知識1:ヘミングウェイはFF4に出てくる「ネミングウェイ」の元ネタ

 

 

 

…………

 

 

 

ゴメン。俺が知ってるのこれだけ。俺頭悪すぎ。

 

 

………しかーし!

こんな俺でも、ちょっと読んでみただけで早速読書のすばらしい効果が出ましたよ。

とりあえず裏表紙の作者の紹介とか見たんだけど、

それだけでヘミングウェイについて、こんなにすばらしい知識を得ましたよ。

そう、その知識とは……、

 

 

知識2:「誰がために鐘は鳴る」はGBソフト「カエルのために鐘は鳴る」の元ネタ

 

知識3:「武器よさらば」なんて本書いてながら猟銃で自殺(ダメじゃん)

 

 

いやー、やっぱすごいね。やっぱ読書ってやつはすごいね。

ちょっと見ただけで俺のヘミングウェイに対する知識量が、

3倍にふくれ上がりましたよ。

いやー、驚いたー。

 

 

 

……って、さてさて。

読書の偉大さに感心したところで、そろそろ本番に移りましょうか。

そう、早速この「老人と海」を読むことにいたしましょう。

 

しかし、何と言ってもヘミングウェイと言えば、泣く子も黙るほどの超有名小説家

っつーことは、コイツの小説はめっちゃ面白いってことでしょうな。

 

だってさー、つまらなかったら有名になるわけないじゃん。

絶対すごいんだって、コイツは。

そりゃあもちろん、ハリウッド映画もビックリの大スペクタクルロマンが繰り広げられ、

全米が震撼すること間違いなしだってーの。

 

よおーし、読むぞー。大スペクタクルロマン感じさせてくれよー。

 

 

………(読書中)

 

………(読書中)

 

………(読書中)

 

………(終わった)

 

 

何じゃこりゃあああーーっ!!

おいっ!こりゃなんだ? 何なんだよこりゃあ!

全然盛り上がんねーじゃん。

めっちゃ地味じゃん。

大スペクタクルロマンなんてどこにもねーじゃん。

大スペクタクルロマンどころかスペクトルマンにすら劣るじゃねーかよ!

まったく、こんなストーリーのどこにハラハラドキドキしたらいーんだよっ!

 

……って、えー、もしかしたらこの話を知らない人がいるかもしれないんで、

「老人と海」のストーリーを簡単に説明するとねぇ……、

 

 

 

(1)老人、海に釣りに行きます。

 

(2)長い時間がんばった末、大きなマグロを釣ります。

 

(3)でも、港に帰る途中でマグロ、サメに食べられちゃいました。

 

(4)おしまい (^_^)

 

 

 

これだけかーっ!!

ホントにたったこれだけだよ。

新手のスタンド使いどころか、キテレツだって出やしねえ!

あーもうダメだわ。どうしようもないダメ小説だわ。

 

だいたいねえ……、

たい焼き食い逃げ女の話で感動するのもどうかと思うけど、

どうして、マグロ食い逃げられ男の話で感動しなきゃなんねーんだよ!

 

やっぱダメだね。有名だからってホイホイ飛びついちゃダメですね。

チクショーッ!この程度で俺は負けねえぞー。

ぜーったい、次こそすげー小説を読んでやるぜーーっ!

 

 

 

…………(本選択中)

 

 

 

………というわけで、

今度はヘルマン・ヘッセ作「車輪の下」を借りてきましたー。

 

え〜、まあこれを借りてきた理由ってのは、

 

(1)「老人と海」の次に短い小説がこれだったから

(2)海竜と戦う海洋冒険物と思って借りようとした「リヴァイアサン」が、

実は小説ですらなかったから(勘違いするだろ、ふつー)

 

という、いいかげんな理由だったりするんだけど、

とにかく、面白けりゃいいんだって、面白ければっ!

 

よおーし、それじゃあ読むかー。今度こそ、本当にスゲーんだろーなあ。

 

 

 

………って、えーと、なになに〜。

どうやら前書きを読む限りじゃ、これはヘルマン・ヘッセの自伝小説らしいんですよ。

するってーと、これの主人公=ヘッセと考えてよいわけですな。

えーと、それじゃあストーリーを追っていくと……

 

 

…………(読書中)

 

 

ほうほう、どうやらヘッセは、

ものすごーく入るのが難しい学校を受験するらしいんですよ。

へえ〜、受験の結果は一体どうなるんだろうなあ……。

 

………って、フッフッフッ、読めたぜ。

 

たぶんこの後ヘッセはこの受験に失敗しちまうんだろうね。

だーって、今までしつこいぐらいに、

「こいつは受かるに違いない」って言ってる周りの言葉が出てくるもん。

これで受かったら、なーんも面白くねーだろ。

周りの高まる期待に反して受験には失敗。

今までちやほやしていた大人たちが一斉に手のひらを返す。

そしてその苦悩に立ち向かう主人公。

なるほど、そういうストーリーなわけね。

 

 

…………(読書中)

 

 

あれっ? 受かってんじゃん、ヘッセ。

何だよコイツ。この本書いたのはただの自慢か?

優秀な学校に受かったのを自慢したいだけか?

俺なんて、落ちまくったのに!ムキーッ!

まあいい。本番はこれからだ。

これからのヘッセの苦悩に期待しよう……。

 

 

…………(読書中)

 

 

おっ。今度はか。

何とヘッセのヤツ、分不相応なことに女に惚れやがるんだよ。

まーったく、ヘッセもバカだねー。

こういう子供のころから勉強しかしてなくて、

今まで女とまともに話したことがないようなネクラ(死語)なヤツが、

明朗快活で誰にでも明るく接してくれる女にちょっと声かけられると、

勘違いしちゃうんだよねー。

「あの女、俺に惚れてますよ」とか思っちゃうんだよね。俺みたいになっ!

さあ、ヘッセ!ふられちまえっ! みっともないほどにふられちまえっ!

自分の勘違いぶりに気づきやがれっ!

 

 

…………(読書中)

 

 

おっ!このバカヘッセ、夜中にノコノコと彼女の家まで行ってますよ、クックックッ。

そして………、おっ、どうやら女も家から出てきたようですねぇ、アッハッハ。

さあ、ヘッセ! いよいよ年貢の納めどきだっ!

テメーの恋もここまでだっ!

 

 

…………(読書中)

 

 

え〜と、なになに〜。

女がヘッセに言った言葉がー………、

 

 

 

「わたしにキスしてくださらないこと?」

 

 

 

うわーーっ! なぜだーーーっ!

ねえ自慢?これ自慢?自慢なの、この小説?

テメーめちゃくちゃ、うまく行ってんじゃねーかよ!

恋も本業も大成功って、お前は部長 島耕作かーっ!

 

 

………くっそー。だがまあ、しかたがない。

ここまで読んだ以上、最後まで読んでやるよ。

ああ、おまえのうらやましい自慢話を最後まで聞いてやるさ、ムカつくけどなっ!

 

 

…………(読書中)

 

 

あれっ?ヘッセ死んでるじゃん。川で溺れて死んじゃったじゃん。

おいっ!どうするんだよ主人公が死んじまって。

……って言うか、作者死んじゃダメじゃん!

おい、これ誰が書いてんだよっ!

もしかしてこれ、ダイイングメッセージ?(長すぎ)

おかしいなあ。確かにこれは自伝小説って書いてあったはずなのに………、

 

 

…………(確認中)

 

 

え〜と、なになに〜……、これはヘッセの「自伝小説」だとーっ!

じゃあウソかよっ!

これってみんなヘッセの妄想?

だいたい最後に主人公が死ぬって展開ですら、自伝的小説って言えるんなら、

「ラブひな」だって赤松健の自伝的漫画ってことになっちまうよ!

そんなふざけた話があってたまるかーーっ!

 

 

 

それにしても………、

 

 

 

しかしなあ、ヘッセ。

一つだけ教えてくれ。一つだけ答えてくれ。

 

あの「わたしにキスしてくださらないこと?」って女のセリフ。

あれはあんたの妄想なんだよな?

実際にあった話ってわけじゃないんだよな?

 

たのむっ!そうだと言ってくれっ!

あんなうらやましい展開だけは認められるかーーっ!!

 

 

 

 

……………ふう、まあとにかく。

 

今回小説2冊読んで解ったけど、やっぱ俺には小説向いてねーわ。

自分の立場ってのをわきまえるべきだったよ。

せいぜい俺には、エロゲーの小説版ってのがお似合いだったね。

 

 

 

 

追伸:

でもあの「わたしにキスしてくださらないこと?」ってセリフ。

一度でいいから言われてみたいもんだねぇ。

来世あたりでいいから。

 

 

 

 

 

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