奇人ヤマ君の伝説

 

 

 

 

 

先日ですが、俺ちょっと大学時代の友人数名と酒を飲みに行ったわけなんですけど、

まあその日のことなんですけどね。

それの終わりの方になんですけど、そのときたまたま話題が、

俺の大学時代に所属していたゲームサークルでの友人であった

ヤマ君(仮名)の話になり、そして「今ヤマ君は一体何をしているのかなあ……」

なんてことが話題になったわけなんですよね。

 

 

 

……って、そう。

そのヤマ君というは、我々の間では言わば伝説の人物とも言える方でして、

今までの彼の数多くの偉業というか奇業の多くには、

いまだに語りぐさになっているものがたくさんあったりするのですよ。

 

つーわけで、その偉業の一部をちょっと紹介しますとですねえ……、

 

 

 

 

エピソード1:大学学部決定事件

 

これはそのヤマ君がまだ、大学に入ったばかりのことです。

そのヤマ君は大学において、某学部に在籍していたわけですけど、

ある時サークルの先輩の一人がそのヤマ君に対して、

「ヤマ君はどうして今の学部に入ることに決めたの?」と聞いてみたわけですよ。

 

 

するとその答えはどうですか?

 

 

その時のヤマ君の答えというがなんと、

YES・NO診断テストで決めた」というものだったのですよ。

 

 

……って、それつまり分かりますか?

「YES・NO診断テスト」と言えば、そうあの、

 

知識より経験を重視する方だ →YES

NO

 

みたいな感じで、各質問にYESかNOかで答えることにより次の質問が分岐していき、

そして最終的に、

 

タイプA:あなたは○○な人間です。

 

みたいな感じで答えが出されるあのYES・NO診断テストですよ。

そしてヤマ君は、それで入る学部を決めたということらしいんですよね。

 

それはどうも、ヤマ君が入手した大学受験に関する本やパンフレットの中にたまたま

「あなたにピッタリの学部は何か?」みたいなYES・NO診断テストがあったらしく、

そしてそれをやってみたその結果で実際に受験する学部を決めた

ということらしいんですよ。

 

 

 

……って、つーかね。

 

これはもうビビッたね。もうビビくさらしましたね。

まさかそんないいかげんなので学部決めてる人がいるなんて、

思いもしませんでしたもん。

 

つーか、もしこの話をそのYES・NO診断テストを作った人に聞かせてみたら、

その人が一番驚くんじゃないだろうか、と言うか、

「これでホントに決めちゃダメだろ!」って言うんじゃないかと思いますよ。

 

いや〜、この話には、ホントもう驚かされましたね……。

 

 

 

 

 

エピソード2:想像していた大学生活事件

 

さて、そのエピソード1の話からさらに数ヶ月経った頃の話ですけど、

そのヤマ君がある時俺らに対して、

「なんか大学の学園生活って、入る前に想像してたのと何か違うんですよね〜」

なんて話をしたわけなんですよね。

 

で、それに対して当然俺らは、「じゃあ一体どんな学園生活を想像してたんだよ?」と

聞き返したわけなんですが、では果たしてこの質問にヤマ君はどう回答したのか?

 

……って、まあこの状況で、

 

 

「ラブひな」みたいな生活

「ときメモ」みたいな生活

「トゥ・ハート」みたいな生活

「うる星やつら」みたいな生活

「藍より青し」みたいな生活

 

 

……とまあ、このあたりの回答をするのが、

ダメなオタクの模範解答例(全然模範じゃねえけど)とも言えますが、だがしかし。

 

ここでこのような回答をするようでは、そんなヤツはしょせんは凡夫(カイジ的表現)。

 

 

そう、我らがヤマ君の回答は、こんなレベルを遥かに超越したものだったのですよ。

そう、その時のヤマ君の回答とはこれでした……。

 

 

 

 

ヤマ君「そうですねえ……、例えて言うなら、

『エルフを狩る者たち』みたいな生活」

 

 

 

 

『エルフを狩る者たち』みたいな生活

 

声に出して読みたくない日本語というか、何と言うか。

まあ単純に言って、そんな学園生活あるわけねーだろ!

 

 

……って、まあ知らない人のためにその「エルフを狩る者たち」という作品が

どんな内容であるのかを簡単に説明しますと、

ある日突然ファンタジー世界へと召喚されてしまった現代高校生たちが、

元の世界へ戻るために女エルフの服を脱がせまくるというギャグファンタジーで、

どうひいき目に見ても、実際の学園生活がこうなることは絶対にありえない

というものだったりします。

 

 

ここでそんなものを何の躊躇もなく出してくる、我らがヤマ君。

よく天才とバカは紙一重と言いますが、そんなのとは関係なく純粋にバカです。

 

 

 

 

……というわけで、さてさて。

このように大きく常識を逸脱した、すなわち逸般人(いっぱんじん)である我らがヤマ君。

 

そんな彼が大学を卒業した今現在はどのような生活をしているのかというのは、

俺たち友人連中の間では共通の関心事だったりするわけですが、

そんな話をしていると友人の一人がこんなことを言ったんですよね。

 

 

 

 

友人「そう言えばヤマ君は一時、占い師になる勉強をしてたらしいですね」

 

俺 「えーっ! それホント?」

 

友人「ええ、本当ですよ。今占い師になってるかどうかは分からないですけど、

勉強していたというのは本当です」

 

俺 「いやいやいや、待て待て。アイツが占い師なんて絶対ダメだ!

アイツにだけは人を占わせちゃいけない!

 

友人「えっ? そこまで強く否定するということは、何かあったんですか?」

 

俺 「ああ、俺は大学時代にヤツに占いをしてもらったことがあったんだが、

それはそれはもうヒドイものだった……」

 

友人「えっ? それは一体どんな占いだったんですか?」

 

俺 「うむ、それはだな……」

 

 

 

 

……とうわけで、俺はその場で以前占ってもらった時の話をすることとなったんだけど、

でー、俺がそのヤマ君に占いをしてもらったというのは、

大学の学園祭準備をサークルメンバーと一緒にしていた時のことなんですけど、

そのときヤマ君は俺らに対し、

「ウチの展示部屋の空いたスペースを使って、占いをやってみたらどうでしょうか?」

なんて話を出してきたんですよね。

 

 

でー、当然俺らとしては、「じゃあその占いは誰がやるの?」って聞いてみたんですけど、

それに対してヤマ君は「ボクがやりますよ、最近占いの勉強をしているんです」なんて、

力強い返事がいただけたんですよね。

 

ですから早速ものは試しにと、ヤツに俺のことを占ってもらうことにしたわけなんですよ。

そのときヤマ君が使ったのは「名前の画数占い」というヤツで、

俺の名前の画数から俺の運勢を調べるというものだったんですよ。

 

 

でー、そしてヤマ君は俺の名前の画数を調べつつ眺めながら、

俺にこう言ってきたんですよね……。

 

 

 

 

 

ヤマ「おお、これは……」

 

俺 「お、ヤマ君。一体どんな結果が出た?」

 

ヤマ「宮川さん……。あなたは今まで結構良い人生を送ってきたのではないですか?」

 

俺 「うん……、まあ確かにそう言われれば、今までそれほど大きな苦労も無かったし、

良い人生だったと言えるんじゃないかな。……でもなんで?」

 

ヤマ「そうでしょう、そうでしょう。占いではまさにそのように出ていますよ」

 

俺 「へえ〜、そんなことまで分かるなんて、結構占いもバカに出来ないものだなあ」

 

ヤマ「そんなわけで、宮川さんの人生は今が絶頂ですよ」

 

俺 「へえ〜、それはそれは結構なことで」

 

ヤマ「でもですねえ……」

 

俺 「うん」

 

ヤマ「もうこれからは、落ちる一方ですね」

 

俺 「……………は?」

 

ヤマ「いやですから、宮川さんの人生は今が一番いいときで、

後はひたすら落ちる一方であるという占い結果が出てるということですよ」

 

俺 「いやいやいや、待て待て。そんなふざけた占い結果はねーだろ!」

 

ヤマ「でもそういう結果が実際に占いで出ているわけですからねえ……」

 

俺 「待てっての! そんなの何かの間違いだって! もう一度よく見てみろよ」

 

ヤマ「わかりました。では、もう一度見てみましょう……」

 

俺 「うんうん」

 

 

 

(占い中)

 

 

 

ヤマ「おお、これは……」

 

俺 「おっ、やっぱ違ってた?」

 

ヤマ「やっぱりさっきの通りですね。宮川さんは今後落ちる一方です」

 

俺 「ふざけるなーーっ!」

 

ヤマ「まあしょうがないですね。こういう占い結果ですから」

 

俺 「しょうがないで済ますなーっ!」

 

ヤマ「そんなこと言われても、これが結果ですからねえ……」

 

俺 「…………それじゃあさー」

 

ヤマ「はい、何ですか?」

 

俺 「今後落ちる一方とは言っても、その中にもちょっとぐらいは良いことだってあるだろ。

落ちる一方って言うなら、せめてそれが何かを占ってみてくれよ」

 

ヤマ「わかりました。ではそれを占ってみましょう……」

 

俺 「そうそう、全てがダメだなんてそんな占いあるわけねーからな」

 

 

 

(占い中)

 

 

 

ヤマ「おお、これは……」

 

俺 「お、ヤマ君。何か見つかった?」

 

ヤマ「ダメですね。やっぱり何も見つかりません」

 

俺 「ふざけるなーーっ!」

 

ヤマ「まあいいじゃないですか。今後はダメでも今までは良かったんですから」

 

俺 「そんなんで納得できるかっつーの!」

 

ヤマ「そんなこと言ってもこれで納得してもらわないと……」

 

俺 「…………それじゃあさあ」

 

ヤマ「はい、何ですか?」

 

俺 「今後落ちる一方で良いことは無いって言うなら、じゃあせめて、

それをちょっとでも良くするためにはどうすればいいかとか、

ここを改善すれば良くなるとかそういうことを調べてみてくれよ」

 

ヤマ「分かりました。では調べてみてみましょう……」

 

俺 「そうそう、何事も前向きに考えないとね」

 

 

 

(占い中)

 

 

 

ヤマ「おお、これは……」

 

俺 「お、何か方法が分かった?」

 

ヤマ「無理ですね。そんな方法はありません」

 

俺 「って、ふざけんなよっ! そんな占いあるわけねーだろっ!」

 

ヤマ「でもそれが結果ですから……」

 

俺 「つーかさあ……、だいたい占いってのはそーゆーもんじゃねーだろ。

ただ『まるでダメ』とか言えばいいんじゃなくって、それならそれで、

そうならないためにどうすべきなのかとか、そういうアドバイスをするべきだろうがよ。

今後はダメでしかもそれを変えられないなんて占い、

言われたところでこっちはどうしようもないわけでだなあ……」

 

ヤマ「でもですねえ…、名前の画数というのは、もう変えようがないですからね。

実際今更どうしようもないかと……」

 

俺 「だからふざけんなっての!ワケ分かんねーよっ!そんな占い認められるかーっ!」

 

ヤマ「……でも宮川さんは、今まで割と良い人生を送っていたんですよねえ?」

 

俺 「うん、まあそれはそうだけど……」

 

ヤマ「それじゃあ、やっぱり……

 

俺 「って、そんな『やっぱり』があってたまるかーーっ!

 

 

 

 

 

………とまあ、以前ヤマ君の占いでは、こんなことがあったわけなのでした。

 

 

 

ですからですねえ。俺としては、あのヤマ君が占い師になるということには、

絶対賛成できないわけなんですよ。

 

何せ、あんなヒドイことを平気でお客さんに言ってしまうようなヤマ君が占い師になったら、

絶対ロクでもないことになるに決まっていますからね。

 

 

 

しかも更にヒドイのが、ここまで俺を悪く言った占いが、

結果として見れば実は当たっていたとかならともかくとして、

結局俺は現在も幸せな日常を送っており、結局あの占いは、

ヒドイことを言った挙げ句はずれていたわけでして、

そう考えればホントロクでもねえ占いだったんだなあと今更思い知らされたわけですよ。

 

ホント、ヤマ君はロクなことをしやがらねえと思いましたね。

 

 

 

 

……って、まあもっとも、俺が30歳までダメオタクを続けているという状況は、

人生落ちる一方と言えないこともないですが。

 

 

くそう……、ヤマ君のヤツは、やっぱりロクなことをしやがらねえ……。

 

 

 

 

 

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