百物語への道
さて、そろそろ今年の8月もいよいよ今日で終わりとなってしまったわけですけど、
まあそんな中、最近俺はふと思ったんですけどねえ……、
世間一般では夏の風物詩として広く知られていながらも、
それを実際に実行した人はほとんどいないんじゃないかというものに、
怪談の「百物語」があると思うわけですよ。
そう、ご存知の方も多いと思いますが、その「百物語」というものは、夜中にろうそく百本に火をつけた状態で数人の人間が順番に怪談を話してゆき、一つの話が終わるごとにろうそくの火を一本ずつ吹き消していくわけです。
そして最後の百番目の話が終わり、最後の一本のろうそくの火が消されたとき、その場に恐ろしい何かが起こる。そう言われているあの百物語のことですよ。
これって、やたらと知名度が高い割には、実際にやった人ってほとんどいないんじゃないかと思うわけなんですよね。
でも、ですねえ……。
俺は今回この「百物語」についていろいろと考えてみたんですが、そう、これってさー、
実行する人がいるとかいないとかそれ以前に、
そもそもこれは実行するのが限りなく不可能に近いのではないかと思うわけですよ。
ミッションインポッシブルではないのかと思ってしまうわけなんですよー。
……って、そう、これ無理だって!
考えれば考えるほど不可能って思えてきますっての!
……つーわけで、今日はこの「百物語」がいかに実行困難であるかをここで説明してみることにいたしますけど、そう、まずはですねえ……、これを本当に実行しようとする場合、そのためにはまずこんな困難があるわけじゃないですか。
そう、その困難とはこれです……。
困難:1
怪談が百個も集まるだろうか?
そう、まずは基本的ながらも地味にキツイのがこれですって。
だいたいねえ……、世の人間なんてものは普通さー、
学校の七不思議すら7個全部思いつかないというのが相場じゃないですか。
それを百個だなんて無理に決まっていますって。
もちろんまあ、百物語の場合は一人で百個全部集めるのではなく数人での分業、
例えばもし仮に10人で行うのであれば一人当たり10個のノルマとなるわけですけど、
それにしたってねえ?
やはりキツイのには変わりないと思うわけですよ。
しかもですよ?
各々の参加者が適当に一人10個ずつ集めてくるとした場合ですと、
それならそれでそれには次のような困難も発生してしまうわけなんですよ。
そう、その困難とはこれなのです……。
困難:2
怪談のネタが被らないだろうか?
そう、これがキツイって!
普通適当に怪談百個も集めたりしたら、ネタが被りまくりだっての!
だいたい怪談のバリエーションなんて、大抵が似たようなものじゃないですか。
そうしらどうしてもネタ被りは避けられない事態なんじゃないかと思ってしまうわけですよね。
ですからですねえ……、もう他人が怪談を話しているときにはきっと、
参加者は別の意味で恐怖を感じてしまいますよね。
そう例えば、「そう、これはとある古い旅館で起きた話なんだけどさ……」なんて
感じで話を始めようものならば、もうその古い旅館系の怪談を用意して来た人は、
「やべぇ! 俺とネタが被っちまうのか?」なんて恐怖を感じるわけですよ。
恐れおののくわけですよ。
知らない怪談より知っている怪談に恐怖を感じてしまうわけですよ。
普通逆じゃん!
しかもさらに悪いことに、普通この百物語をやろうとしてメンバーを集めた場合は、
やはりどうしても友達なんかからメンバーを集めることになってしまうわけですよねえ。
するとそれによって、さらにネタ被り率は上昇してしまうわけじゃないですか。
そんなわけですからこの百物語を行う場合は、「友人から聞いた怪談は使わない」というのは最低限のマナーとして認識しておくべきなんでしょうね。
そう、さもないと……、
男 「そう、これは俺の友人の山田から聞いた話なんだけどさ……」
山田「って、おい待てよ! お前その話言うつもりかよ! ふざけんな!」
ってことになってしまうわけですよね。これには気をつけないと。
……さて、そんなわけで今まで紹介してきたように、この百物語の実行に対してはさまざまの困難が存在するわけですが、でもまあここまでは、参加する人の努力と準備によってなんとかなる問題なのかもしれません。
でもですねえ……、この百物語を本当に実行に移すためには、これまでの困難を乗り越えてなお、次のような非常に大変な困難が待ち構えているのですよ。
そう、その困難とはこれなんです……。
困難:3
終わる前に、夜が明けてしまわないだろうか?
そうっ! 何よりキツイのがこれっ!
だって怪談百個なんですよ。怪談を百個も話さなければならないわけですよ。
となれば、その時間だってかなりのものが必要になるわけじゃないですか。
果たして夜が明ける前に話し終えることは可能なんでしょうかねえ?
というわけで、早速これについて分析してみることにいたしました。
まあまずは、この百物語をやる上で一番ベストの開催時間であると思われる、
深夜の午前0時に開始して丑三つ時の午前3時までに終了するというケースについて考えてみましょう。
するとその場合、百物語に使える総時間は3時間となり、すなわち180分。
そしてこれから割り出せる怪談一つ当たりに使える時間とは……、
1分48秒
短っ!
Σ(゚ロ゚)
もう無理! これ絶対無理だって!
いくらなんでもそんな短時間で怪談が話せるわけないじゃないですか。
しかもですねえ……、この1分48秒という時間には怪談を話す時間だけでなく、
怪談を始める前に「それじゃあ、次は俺が行くか……」みたいに相談をする時間とか、
怪談が終わった後に「今の話、怖かったな……」って感想を言い合う時間とか、
さらにはその後のろうそくを吹き消す時間なんかも含まれているわけですよ。
もうそうなると、実際に怪談に使える時間となると、1分30秒もないんじゃないでしょうかねえ。
ホントこれじゃ短すぎだって。
……って、まあもちろん、この困難に対しては怪談を開始する時間を早めることによってある程度は解決できる問題だったりします。
そう例えば百物語の開始時刻を午後9時にまで早めれば、
百物語に使うことの出来る時間は6時間、すなわち360分となり、
怪談一つあたりに使うことの出来る時間は「3分36秒」となるわけです。
これでもまだ十分とは言えませんが、まあこれなら急げば何とかなるかもしれません。
しかし……、しかしですねえ……。
この時間を増やすという作戦を採用したとするならば、その場合には次に紹介する困難が、
極めて重大な困難となって立ちはだかることになってしまうのですよ。
そう、その極めて重大な困難とはこれです……。
困難:4
ろうそくが燃え尽きてしまわないだろうか?
そう、これっ! これこそが百物語開催に当たっての最大の敵!
そう、この「話が一つ終わるたびにろうそくを吹き消す」という、百物語最大のウリこそが、
百物語実行に当たっての最大の障害になっているというこの事実!
嗚呼、なんという皮肉なのでしょうか……。
さて、それではこの困難について詳細に分析してみることにしてみましょう。
まずそもそも一般的なろうそくの燃焼時間というのはどの程度なのでしょうか?
早速ネットを使いまして、普通の和ろうそくの燃焼時間を調べてみることにしました。
果たしてその燃焼時間とは……、
燃焼時間:約45分
絶対無理だーーっ!
Σ(゚ロ゚)
よ、よ、よ、45分って!
もうありえない! これで怪談百個なんて絶対ありえないですよ!
……って、まあもちろんのことですが、途中でろうそくを交換するというのなら、
この困難は簡単に解決します。解決いたしますよ?
しかしですねえ……、「あ…、ろうそくそろそろ燃え尽きそうだから交換しようぜ」なんて言いながら怪談を続けるというのは、果たして百物語的にアリなんでしょうか?
そんなことをしてしまって、果たしてそこに百物語の重さが存在するのでしょうか?
それと後この困難の解決方法はもう一つ、
燃焼時間の長い西洋のキャンドルを使用することでも解決できますが、
でもそれはいくらなんでも、ねえ?
つーかぶっちゃけ、そこまで雰囲気を壊してまで百物語をやる価値があるのか?
なんて思ってしまったりするのです。
……というわけで今日は、夏の風物詩として極めて有名な、
あの百物語を実行するに向けての困難を紹介してみましたがいかがだったでしょうか?
今回の分析から考えるに、百物語というのはやらないというより出来ないというのが妥当なんじゃないかなと思わされた次第だったりいたします。
そう……。
昔から百物語をやり終えて最後のろうそくを消したとき、何かが起こると言われています。
……でもまあ確かに、これほどの困難を乗り越えて百物語を完遂させたからには、
何か起こってくれなきゃウソだろ! つーか起これっ!
って、気持ちになるというのも十分理解できるんじゃないかと思ってしまいましたね。