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はーい、あたし美音!
テンチョの美の追求する姿に心酔する1人。ロマンを追う姿は耽美そのもの! たまに壁に当たる時に浮かべる苦悩の表情は、鼻血もの! ああ、絵になるわあ。一一でも姿だけじゃないんだ、テンチョの魅力は。
テンチョは初めて、あたしが作った女物の服を来てくれた人。嫌がるどころかむしろノリノリで。
あたしは、綺麗な人には色々着せてみたいって思うみたいで、いつも断られていたからテンチョが来てくれた時は、天に昇る気持ちだった。でも1番に嬉しかったのは、あたしのコーディネイト通りにぴったり身体に合って、似合っていたこと!
そう、どんなに頑張っても、似合っていないとあたしにとってはそこで終わるの……その服とは。
「ボクはどんな服でも着こなしてみせる! 覚悟したまえ、美音!」
挑戦されたあたしはガンガン服を作って、そしてテンチョは言葉通りに着こなした。一一そう、女物なのに。
「すごいや……なんでも似合うよ」
張り合っていたわけではないけど、服を作ってテンチョがそれを着こなす度、あたしの中にちょっとした敗北感が生まれ、それがたまったある日、テンチョに呟いてしまった。
「ノンノン。なにか勘違いしていないかね。では特別に教えてあげよう! ……服と一体になるのが基本だよ、美音。身体一一、いや、肌をさらすように服を着ることが一番大事なんだ」
――そっかだからテンチョにはかなわないんだ。
根本が違う。でも云った言葉を実行するのがテンチョのすごいところ。この人にかなうはずないんだ。
なんとなく、男物を着せたい一一そう思った。
テンチョが似合う男の服。そういう服の方が女物より難しそうな気がした。
「テンチョ。また服作ったら、着てくれる……?」
テンチョは笑って、あたしの頭を撫でた。
「いいとも。美音の作る服は着やすくってジャストフィットなところがいいっ」
「よし! では今度普段でも着れる男性服を作ってきてあげよう」
テンチョは一瞬目を丸くして、そして今まで見たことのないような柔らかい笑みを見せた。
「……それは楽しみだ」
テンチョが好き。美の追求者としてこんなにも心強い人はいない。
「……でね、美音。こういう感じの服を着せたいのだけど、どうかな?」
「テンチョの弟くんでしょ? テンチョにも似合うから大丈夫よ」
弟くんもテンチョと同じ趣味なのかな?
でもテンチョの手作りを着られるのはいいね!
美の追求はまだまだ続くのだ!
end
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