真夜中学校探検隊


 亜無部小学校校門 午前2時

 先生:と、いうわけでこんな時間に集まってもらったわけだが。
あちゃ:はーーい
こちゃ:幽霊って、あの旧校舎で出るって噂のですか?
 先生:あぁ、そうだ。生徒達が怖がって仕方ないので正体を突き止める事にした。
こちゃ:それでなんで僕たちが一緒に行くんですか?
 先生:教師だけで解決してしまうべき問題ではないからな。
こちゃ:で、なんで僕たちなんです?

 先生:お前達が一番緊張感がなさそうだからだ。あちゃ、恐いかい?
あちゃ:なにが?
 先生:ほらな。こういう反応ができるのはお前らだけだ。
こちゃ:僕は普通に恐いですが。
 先生:コワイと思ったら負けだぞ。幽霊どもの思うつぼだ。
こちゃ:勝ち負けの問題ですか。
    僕はねえちゃんと違って普通の神経の持ち主なんですから、一緒に行っても役に立たないですって。
 先生:幽霊の正体を突き止めるには理論的な思考も重要だ。お前のような理屈っぽい奴が必要なのさ。
こちゃ:はう。まぁ、確かに幽霊は磁場の乱れが起こす幻覚症状と考えるのが通説ですけどね。
 先生:ところで、なんでコイツも一緒なんだ?

 先生はアールの頭をペチペチ叩きながら言う

こちゃ:アールの新機能を試す大チャンスですからね。
 先生:さらに恐怖の機能が追加されたのか。
こちゃ:実用的ですってば。この前のドツボのおじさん達との戦いで故障した部分を直す時にいくつか機能を追加しました。
 先生:幽霊よりよっぽど恐いぞ。
アール:今回ノパワーアップハ実用的カツ、効果的デス。
 先生:何に対して効果的なんだ。
こちゃ:先生気がつきませんか?
 先生:ん?

こちゃ:今回アールの会話機能に漢字を混ぜる事に成功したんです。
 先生:聞いてる分にはわからん。
こちゃ:あ、そうか!
 先生:あ、そうかじゃない。
こちゃ:苦労したのに…。
 先生:まぁ、その程度の新機能で良かったがな。
こちゃ:甘いですよ先生。まだまだこんなもんじゃないです。
アール:カラオケニ「レイマーズ」ノ曲ガハイリマシタ。
 先生:命に関わらなければなんでもいい。
こちゃ:それと…
 先生:まだあるのか。
こちゃ:カラオケの採点が少しシビアになりました(ため息)。
 先生:嫌なら改良するなよ…
     
…それで、お前は何をしょってるんだ?

 背中に掃除機をしょっているあちゃ。

あちゃ:そうじきだよ、知らないの?
 先生:知っとるわい。なんでそんなもんしょってるのかと聞いてるんだ。
あちゃ:これで幽霊をすいこむんだよ。決まってるでしょ。
 先生:決まっとらん。そんなもんで幽霊が吸い込めるわけないだろ。
あちゃ:えー、だってルイージはこれで吸い込んでたよ。
 先生:あれはゲームだっ。
あちゃ:
 先生:100歩譲ってそれで吸い込めるとしても、電源はどうすんだ。
あちゃ:でんげんってなに?
こちゃ:コンセントの事だよ。
あちゃ:はう、ない…。
 先生:ガックリせんでもいいぞ。どのみち使い物にならん。
アール:イザトナッタラ、私ノ「原子力発電ジェネレータ」ヲ使用スレバOKデス。
 先生:なにがOKだ。そんなもの使用禁止だ。
あちゃ:せっかく持ってきたのに…。
こちゃ:まぁ、何かの役に立つかもしれないし、一応持っていこうよ。
 先生:まぁ、いいだろう。何事もなかったら掃除でもして帰るか。
あちゃ:コンセントないよ、なに言ってんのせんせー。
 先生:む、フォローのかいのないやつめ。
アール:イザトナッタラ、私ノ
 先生:もういいっつーの。さぁ、いくぞ。
あちゃ:いこういこう!
アール:ウィィーン
 一行は旧校舎の前にやってきた
 草木も眠る牛みつ時。ただでさえ不気味な真夜中の学校において、廃墟となった旧校舎は一種異様な雰囲気さえかもし出している。


あちゃ:これが旧校舎だね。
 先生:そうだ。今は使われていない開かずの校舎だ。
こちゃ:開かずなのにどうして幽霊がいるってわかるんです?
 先生:探検と称して侵入する生徒が多いからな。
アール:トリアエズ破壊シマショウ。
 先生:をい。いきなり終わらせてどうする。
あちゃ:そうだよ、幽霊が死んじゃうでしょ。
 先生:幽霊がなんだかわかってない奴もいるし。
アール:先ガ思イヤラレマスネ。
 先生:お前が言うな。
こちゃ:それでどうするんです?
 先生:うむ。そうだな。幽霊が出んと仕方ないからな。
    噂の幽霊は目撃談によると5年生くらいの女の子らしい。
アール:トイウコトハ、過去ノ生徒ノ可能性ガ大キイデスネ。
 先生:そういう事だ。とりあえず5年生の教室にでも行ってみよう。
  旧校舎といってもよくあるような木造校舎ではない
 鉄筋コンクリートの校舎である。
  今は廃虚と化しているが、なぜか取り壊されることはなかった。実は幽霊の祟りを恐れて、取り壊し作業が進まないのだ。
  静まり返った校舎内、アールの頭についたヘッドライトの光を頼りに一行は5年生の教室を目指す。
あちゃ:真っ暗だねぇ。先生、電気つけないの?
 先生:電気などつくわけないだろ。もう使われていない校舎なんだから。
あちゃ:こんなに暗かったら幽霊が見えないね。
 先生:安心しろ。幽霊ってのは自力で発光できるものなんだ。
アール:ワタシト一緒デスネ。
 先生:お前は発光せんでいい。


 一行は5年生の教室にやってきた。
こちゃ:ここは5年1組ですね…。
あちゃ:うわぁ、暗くてボロボロ…。
 先生:確かに、物の怪の1匹や2匹住んでそうだな。
あちゃ:な、なんか、寒い…。
こちゃ:嫌な感じがする…。確かに寒気が…。
 先生:なんだ…?この底冷えするような寒さは…?
アール:スミマセン。冷房機能ガONニナッテイマシタ。
こちゃ:はう、消しておきなさいっ。
 先生:机などはそのまま置いてあるのか…。26個。
    生徒の数は今とそれほど変わらなかったんだな。

こちゃ:いつからここは閉鎖されたんですか?
 先生:20年ほど前に新校舎に移ったはずだが。
こちゃ:見てください、あれ・・・

 隅っこの机には花瓶に花がいけてあった。もちろん花はカラカラにひからびている。

 先生:ここで間違いないようだな。
あちゃ:どうやったら幽霊出るの?
こちゃ:コワイ話をしている所に現れるっていうよね。
 先生:よし、それじゃあ順番に恐い話をするか。
あちゃ:はい、はーい!ボク凄くコワイの知ってる!
 先生:ん?どんな話だい?
あちゃ:「キョウフのみそ汁」っていう話で…
 先生:却下だ。
あちゃ:はう、題名しか言ってないのに…。
 先生:ちなみに「悪の十字架」や「ねぇ、ちゃんとお風呂入ってる?」なども却下だぞ。
こちゃ:二つ目のは関係ないような…。
アール:デハ、私ガヒトツ恐イ話ヲシマショウ。
 先生:出た
こちゃ:いろんな意味で期待大ですね。
アール:アレハ、私ガ魚屋サンへオ買物ニ行ッタ時ノ話デス…。
 先生:コイツが魚屋に買い物に行く時点で既にコワイ。
アール:ゴ静粛ニ。
 先生:へいへい。
アール:途中ノ公園ニ差シ掛カッタ所デ、子供サンニ声ヲカケラレマシタ。


〜〜〜〜〜〜アールの回想シーン〜〜〜〜〜〜


 子供:
わーいロボットさんだ〜!
アール:コンニチワ、アールトオ呼ビ下サイ。
 子供:うわ〜、すごいなぁ〜。
    あ、背中にボタンがたくさんあるよ!押すとどうなるかな?

 子供は色鮮やかに並ぶ6個のボタンの一番はじに指をかける。

    ポチッ…

 アールの肩のスピーカーから楽しげな音楽が流れてきた。

 子供:うわ〜、すごいなぁ〜、カッコイイ〜!
    となりの青いボタンはなんだろう?
    ポチッ…

 アールの腕ハッチから風船が出現し、勢いよく膨らんだ。
 あっという間に紐付き風船ができあがり、子供に手渡す。


 子供:おぉ〜!どうもありがとう!
    そのとなりの赤いボタンは…

 子供が赤いボタンに手をかけようとした時、母親らしき人が呼ぶ声がした。

 母親:マサ〜、何やってるの?行くわよ〜!
 子供:あ、ママが呼んでる!行かなくっちゃ!またね、ロボットさん!

 子供は元気良く母親のもとへ駆けて行きました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



アール:・・・危ウク、人類ガ滅亡スル所デシタ。

 一同:………


 先生:こわっ!

こちゃ:あわわわわわ…

 先生:そんな物騒なボタンを楽しげな仕掛けに紛れこますなっ!
あちゃ:この赤いボタンがどうかしたの?
 先生:押すんじゃないっ!

    ポチッ…

 こちゃ:うわぁぁぁ
  先生:うぎゃぁぁ
 ボンッという音と共に、アールの頭からハトが飛び出した。

 あちゃ:わーっ、すごいすごい!
  先生:はぁ…はぁ…なんだ脅かしおって…
 アール:危険ナノデ、ボタンノ配置ヲ変エテオキマシタ。
  先生:配置がどうとかの問題じゃない…。寿命が縮んだぞ…はぁはぁ。
 アール:ドウデスカ?恐カッタデスカ?
  先生:あぁ、最高だぜ…(親指立てて「グッド」のジェスチャー)

 ???:…楽しそう…何やってるの…?
 こちゃ:ん?ねえちゃんなんか言った?
 あちゃ:ううん、ボクじゃないよ。この子が言った。

 あちゃの指差した先に見事に半透明の少女が浮いていた。

 こちゃ:あわわわ…、で、でた、でた…せ、先生…出ました…
  先生:ん?おおう!お前が噂の幽霊か。
 あちゃ:こんばんわ〜
 ???:…こんばんわ…
  先生:まずは名を名乗ってもらおうか。
 こちゃ:(なんでこんなエラそうなんだこの人)
 ???:私、ホタルっていうの…
 あちゃ:かわいい名前だね〜。ぼくはあちゃで、こっちは弟のこちゃ。そしてこの人はヤン先生だよ。

 ホタル:ふーん…。あちゃはどうして掃除機を持ってるの…?
  先生:当然の疑問だな。
 こちゃ:ですねえ。
 あちゃ:なんでだっけ?
 こちゃ:忘れてるし。
 あちゃ:先生持ってこいって言わなかった?
  先生:言っとらん。人のせいにするな。
 アール:武器ニ改造スルタメデハ?
  先生:違う。ややこしくなること言うんじゃない。
 こちゃ:幽霊を吸い込むとかなんとか…

 ホタル:…幽霊…
 こちゃ:あ、いや、その…
 ホタル:幽霊なんているの…?
 こちゃ:はう
  先生:お前は幽霊だろうが。
 ホタル:私が…幽霊…?
  先生:ああ、まごうことなき幽霊だ。
 こちゃ:先生…はっきり言いすぎですってば…
 あちゃ:え…幽霊って白い布をかぶってるんじゃなかった?
  先生:そんなわかりやすい幽霊がいるか。
 あちゃ:あう…(わけがわからなくなっている)
 ホタル:私は…幽霊…やっぱり死んじゃったんだ… 
 こちゃ:やっぱりって…
 ホタル:私、5年1組だった…楽しかった…みんな大好きだった…
 
  一同:………

 ホタル:授業中に突然頭が痛くなって…気がついたら病院で寝てて…
     お父さんやお母さんが泣いてたけど、私の声は聞こえないみたいで…
     またみんなと勉強したり、遊んだりしたくてここで待ってたんだけど…
 こちゃ:…自縛霊というやつですね。
  先生:うむ。
 アール:得意技ハ自爆デスカ。
  先生:それはオマエだ。
      っていうか「得意技」って、自爆は一回こっきりだろうが。
 アール:ソレガ、実ハソウデモナインデスヨ。
  先生:深くは聞かんが。
 アール:(ガーン)
 ホタル:そう・・・やっぱり私、死んじゃったんだ・・・
  先生:そうだな。死んでしまったようだな。
 こちゃ:先生ってば・・・
 ホタル:もうみんなと遊んだり、勉強したりできないんだ・・・うっ、うっ
 あちゃ:ほたるちゃん・・・
  先生:間違いなくお前は死人だ。そして今は実体のない幽霊だ。
 ホタル:・・・グスン・・・
 こちゃ:先生!やめてください!
  先生:だがな、それが一体何なのだ?
 ホタル:・・・え?
  先生:その姿だと授業は受けられんのか?友達と遊べんのか?
 ホタル:だって・・・
  先生:俺の5年1組には、幽霊より手のかかる生徒がいっぱいいるぞ。
 ホタル:先生・・・
  先生:1人でこんなところにいたら、だめじゃないか。

      

 

  先生:あー、みんな。今日から新しい友達が一緒に勉強することになった。

 天井から逆さまにぬっと現れるホタル

 ホタル:ホタルって言うの。みんな仲良くしてね。

 生徒達:・・・・・・・

  先生:ホタルは病気で死んでしまって、まぁ簡単に言えば幽霊だが、気にしないように。
 あちゃ:よろしく〜!
 
 生徒達:うわぁぁぁぁぁぁぁ
 こちゃ:み、みんな落ち着いて・・・

  先生:まぁ、すぐに慣れるさ。
 ホタル:うふふ・・・

 その後すぐにみんなと仲良しになったホタル。5年1組の生徒として、楽しく毎日を送っているようです。


おわり

ブラウザの「戻る」で戻ってね!