ノン(?)・プレイヤーキャラクター紹介

The successor of truth

”真理の後継者”紫音遙


 ある雪深き町の、ある学園……その高等部の生物学実験室を根城にしている女講師が、窓の雪を眺めて嘆息した。
 「綺麗だけど何だか怖い生物学の先生」とは仮の姿。UGN(注1)のエージェントとして、この街のレネゲイド(注2)事件を解決するうちに、ようやく癒えたと思った昔の傷が。
 ただ一通の手紙によって抉られ、悲しみという鮮血を撒き散らしている。
 感情が激すると無意識にざわめく髪が、獲物を求めるように部屋の隅に延びた。この時の為に飼育している兎達の瞳が恐怖に染まり……
「醍醐さん、貴方は何をしようというの……」
 小動物の哀れな悲鳴を聞きつつ、遙は机上の手紙に再び目を向けるのだった。

(注1)UGN……「ユナイテッド・ガーディアンズ・ネットワーク」、このゲームでPC等が所属する正義の(苦笑)秘密組織。
(注2)レネゲイド……感染すると人を怪物化させるウイルス。プレイヤーキャラクター(以下PC)達はこれの感染者だが、意志の力と他者との「絆」によって自我を保ち、その超常能力で事件を解決する……はずなのだが(笑)。

紫音 遙(しおん はるか)
システム:ダブルクロス2nd
種族:人間性別:女年齢:27歳
瞳の色:赤味がかった黒髪の色:赤肌の色:白
シンドローム1エグザイル(変幻自在の髪)
シンドローム2ハヌマーン(波紋使い(笑))
ワークス(本職)研究者
カヴァー(表の顔)教師

 このキャラは某コンベンションでの「ダブルクロス2nd」セッションにプレイヤーとして参加した時の、れっきとしたPCです。それをなぜ、「ノン・プレイヤーキャラクター(以下NPC)」の方で紹介するかというと…… ←どうも私はこの書出しが多い気がします(笑)

 キャラメイク時に、データはルールブック記載のサンプルキャラクター「紫紺の華」をそのまま使用しました(なので、データ類は書きません)。
 自在に動き、伸縮する髪を使った攻撃が得意な戦闘系キャラです。
 また、他のPC全員が学生な中、唯一社会人(先生)だとのこと。

 GMから渡されたシナリオ・ハンドアウト(各々のPCに与えられる初期設定)によれば、このキャラは、「かつて所属していた遺伝子研究所で、ある天才的な学者の同僚(もしくは後輩)だったが、ある理由から袂を分かっていた。時が経ち、UGNのエージェントになった今になって、その男から危ない研究の誘いを受けてしまう……」という美味しすぎる(笑)設定付き。

瓦版屋:「”問題児”ですね……?」
GM  :「”問題児”ですよ!(笑)」
瓦版屋:「”問題児”やって良いのですね?(邪笑)」
GM  :「良いですよ!私は瓦版屋さんを信じてますから!(笑)」
瓦版屋:「承知しました(GMの期待には応えなきゃネェ……邪笑)」

 GMのお許しも出たことだし、と不穏度120%でキャラメイクを進めます(笑)。
 サンプルキャラの能力値や技能のデータを書き写した後、「生まれ表」や「経験表」を振ってキャラ設定を固めます。
 ROC(ロールオアチョイス、要は自由選択)できるので、もう好き勝手に……

「生まれ表」……生い立ちや家族構成を決めます
「兄弟」兄弟がいる。年齢差などは自由設定。
作成時の思惑
今日のシナリオでは自分以外のPCは全員高校生なのね……よし弟にしよう(即断)。「生きていれば」他のPC達と同年輩って事で(笑)

経験表1「学生(波乱万丈)」……キャラの学生時代の出来事を決めます
「永劫の別れ」大切な人との別れ(自由設定)
作成時の思惑
ここで弟死亡(あっさり)……ドラマだ(爆)。

経験表2「その後」……キャラの卒業後の(社会人としての)出来事を決めます
「無力」自分の無力さを噛みしめる
作成時の思惑(妄想)
弟の死に自分が関わっていたことを知ってしまう。挫折→絶望→トラウマ、うふふふふ……

 さて、こうして生まれたキャラ設定は……
 かつて、遙は某大学の遺伝子工学科に通う、ごく普通の大学生だった。彼女の悩みといえば、聡明過ぎる先輩の存在と、教授のゼミを時折邪魔してしまう「やんちゃな弟」ぐらいのものだった。
 しかし”事件”が起きた。教授の研究室で、四散した”弟“を前に自失している彼女が発見されたのだ。
 UGNの調査で遙がレネゲイド能力者であることが確認され、彼女は組織に保護された。精神鑑定と訓練を受けた彼女は自我を取り戻し、UGNエージェントとして行動することになった。
 遙は自分の力の暴走が弟の死の原因ではないかと恐れている。UGNの調査官達は現場の状況や遙の能力から考えてそれは無いと言ってくれたが……当時の教授はすでに亡く、研究室も閉鎖されていた。あの先輩はどうしているだろうか?

瓦版屋:「ちなみに”覚醒(レネゲイド能力が発現したきっかけ)”は”感染”です。”何者か”にウイルスを注入されたのですよ」
GM  :「”何者か”って?」
瓦版屋:「そりゃ信じていた先輩に決まっています(笑)。そして”衝動(PCが暴走した時の発作の出方)”は”殺戮”で」
GM  :「ええっ!何てヤバイものを(汗笑)」
瓦版屋:「大丈夫、生物学の先生やってるから、根城にしている実験準備室で兎を飼育して……」
他プレイヤー:「何が大丈夫だぁー!!」
 となりました(笑)。  さて、こんな”問題児”に付き合わされた気の毒な他のPC達、

 「幼馴染との再会」という主人公役を強要され、獣化して敵を切り裂き鬱憤を晴らす(笑)「不確定な切り札」九紋一馬
 過去のミッションで相棒を殺され、その復讐に燃えるUGNエージェント「白き閃光」坂上光
 敬愛(?)する上司に認められようと、問題児ぞろいの支部で頑張る若きUGN支部長「水晶の瞳」平塚良明
 
 といった面々が真面目にヒロインの苦難やその影のレネゲイド事件(?)に立ち向かう中、あっさりと敵に篭絡されて悪事に荷担する遙(爆)!
 ……いやあ、
「君の弟の死はレネゲイド・ウィルスの暴走によるものだ。この研究が完成すれば、あのような悲劇はもう起こらないハズだ。……協力してくれるね?」
 などと言われたら、ねぇ?(笑)。セッションの合間に、「今回唯一人システム名「ダブルクロス(=裏切り)」を体現したキャラだね」とGMがしみじみ韜晦されてたのが印象的でした(笑)。
 いや、体(PC)は売っても魂(プレイヤーとしての立場)までは売っていませんから、最後にはちゃんと改心して(笑)、ラスボスと化した「かつて(慕っていた)研究室の先輩」を倒しましたよ……でも。
 このゲームでは、PCは「レネゲイド侵食率」なるものを上昇させて強くなるのですが、エンディング直前の処理で侵食率を一定値にまで下げないと、暴走してGMにキャラを取り上げられてしまうのです。
 他のプレイヤーが頑張って「人間らしさ」を取り戻し、個々の格好良いエンディングを迎えていく中、私はある提案をGMに持ちかけて……

 深夜の高速道で、1台の車両が炎上していた。
 偽装されていたその車はUGNの装甲車両で、今回の事件の資料を本部に運ぶ途中だったのだが。
 「長くうねる髪」を操り、車と乗員を引き裂いた犯人――紫音遙は強奪した物品、今回の事件の鍵である「賢者の石」を愛しげに頬擦りした。
「醍醐さん……あなたは自分の優秀さゆえにUGNエージェントの力を過小評価してしてしまった。そして一馬君とあの少女の絆も……でも安心して。あなたの願いは、この石の研究は、この私が継いであげるから……
 流血と炎を背に闇に消えた彼女の行方は、ようとして知れない。

[初出:平成15年3月22日「雪の降る町で……」]