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宿場街ノウラから南に伸びる街道。その道を今、ノウラに向かって小さな商隊が旅をしている。その中に、これまた運命の糸に導かれた二人の渡世人がいた。 腕は立つがどもり症に悩む旅の銃士メルル。 操兵をこよなく愛する旅の操兵技師ミオ。 ノウラの街から一日ほど離れた森、商隊はここで野宿することになった。用心棒の操兵が膝関節の故障で擱座した為だ。操手に散々文句をつけるミオ。だが、それは筋違いというものだろう。何せこの操兵、バキノ峡谷で見つけた遺跡の側に仮面もろとも放棄されていたあの再生機[ギルダーム]を修理して再利用した機体だ。言わば再生機の再生機。故障が多くても仕方がないのだ。 その夜更け。ミオは一人ギルダームの修理をしていた。そこに見張りの為に起きていたメルルが無言のままお茶を差し入れる。出会ってから最初のうちはミオも驚いたが、今はもう慣れた。だが、つかの間の平和は不意に破られた。音もなく現れた集団に突如襲撃を受けたのだ。それは、とてもこの世のものとは思えぬ光景だった。商隊を襲ったのは、何と死人の群れだった。骨だけのもの……まだ肉が付いているもの……さまざまな死人が商隊の人間を喰い殺していく。メルルが銃で応戦するものの、その腐った肉にめり込んでしまい、あまり効いていないようだ。 ミオの足元にギルダームの仮面が転がってきた。操手が死に際に仮面を託したのだ。ミオは仮面を手にすると、必死の思いでギルダームを起動させた。そしてもう一人の生き残りであるメルルを連れて逃亡を計る。その時、目の前に一機の操兵が出現した。だがこの操兵、様子が変だ。独特の駆動音がしない。感応石にも反応がない。そして何より、仮面にひびが入っているのだ。こんな操兵が動くはずがない。そう、これは死んだ操兵が動き出した[死操兵]だった。死操兵は錆びた剣を振るい、ギルダームを一撃のもと粉砕する。ミオとメルルは飛び出すようにギルダームから脱出した。 まさに絶体絶命。だが、まだ二人は天に見捨てられてはいなかった。二人に迫る死操兵の前に新たな操兵が立ちふさがり、戦いを挑んだのだ。操兵は手にした大鉈で死操兵の装甲を砕く。が、死操兵はどんな深手も瞬時に再生してしまう。悲鳴を上げながらも必死に攻撃する操兵。どうやら操手は女性らしい。やがて、死操兵および死人の群れは森の奥へと立ち去っていった。 商隊の人たちを埋葬して、二人は礼を言おうと操兵に近づいた。だが、操手は何故か操兵から降りようとしない。それにこの操兵、やたら人間じみた動きをする。回りをぐるぐる回って質問してくるミオにうんざりした操兵は二人を摘み上げ、そしてギルダームの残骸を引きずってノウラの街へと走り出した。 ノウラの街の操兵修理工場。前回の戦闘でグラーテの受けた損傷は思っていたよりもひどいものだった。最後に受けた仮面割りによって、仮面に小さな傷が入っていたのだ。仮面と機体が安定せず、仮面同調も狂い始めている。仮面は操兵の命。クサナギは技師長に相談するが、グラーテの仮面はいにしえより伝わる古代の仮面。これを修理するのは工房都市でも無理かも、と言われ落胆、苦悩する。 そんな時、街の入口に一機の操兵が二人の少女を抱えてやって来た。いや、それは操兵ではない。その身に装甲を纏う彼女は、以前の人狩りとの戦いの時に出会った、御仁の美少女モ・エギだった。思わぬ再会を喜ぶゼロとクサナギ。だが、モ・エギが思わず兜を脱いでしまった為に御仁であることが発覚してしまった。御仁は、人間からすれば畏怖される対象。モ・エギは街の衛兵に捕らえられてしまった。 クサナギ、ゼロ、ミオ、メルルの弁護にもかかわらずモ・エギは操兵用の輸送台の上に拘束されてしまった。が、身の振り方は議会が決めるが悪いようにはならないだろう、とのハラグ・ロイゼル卿の言葉にとりあえずは安心する四人。ミオとメルルはロイゼル卿に自分たちの夕べの体験を話した。死人の群れ、という言葉に驚いたロイゼル卿は、とりあえず今夜から警備を強化することを検討する。 一方クサナギは技師長から、グラーテの仮面の額にある涙型のくぼみにまつわる[ファルメス]と[ヴァルパス]の伝説を聞かされる。 今から三千年くらい前、天空より蒼く輝く大きな石が飛来し、それを手に入れた人間は「神様を拾った」と大喜びし[フィールミウムの石]と名づけた。 だがこの神様には体がなく、せっかくの力が振るえないでいた。そこで、遠い海の向こうの大陸から伝わっていた[操兵]を体として与えた。それが[ファルメス]だ。ファルメスの操兵たちはこのゴンドアの為に力を尽くした。だが、それは必ずしも人間に都合のよいことばかりではなかった。そこで人間は、自分たちに都合のよい[神様]を自分たちで造ってしまった。それが[ヴァルパス]だ。ところが、人造の緋いフィールミウムの石を額にはめたヴァルパスの操兵は、人間の身勝手さから生まれた故か、その心には破壊と憎しみしか宿っていなかった。制御の利かなくなったヴァルパスは自分たち以外の目に見えるすべての物を破壊し始めた。 ファルメスの操兵軍団と、ヴァルパスの操兵軍団の戦いが始まった。それは想像を絶するものだった。が、こんな言葉が今に伝わっている。 「ヴァルパスはファルメスを憎み、ファルメスはヴァルパスを哀れんだ」 戦いは、ファルメス側の圧倒的な勝利に終わり、ヴァルパスの中心核[ヴァルパス・バル・ヴィブァーナ]は海のかなたへと逃げていった、と言われている。ファルメスの長[ファルメス・ドラグレイア]は人間たちに愛想を尽かし、ファルメスや残ったヴァルパスの操兵からフィールミウムの石を取り上げ、自身もろとも樹海のどこかにあると言われる聖地[クワスティカ]に引き籠ってしまった。そして人間たちに残された物は、衰退した文明と、神秘の力を失った操兵だけだった。 古代より発掘される操兵の仮面の多くについているくぼみはその名残りである、と言われている。 この話を聞いたロイゼル卿は、このノウラに伝わる伝説を思い出し、聞かせてくれた。今から千年くらい前、クメーラ王朝末期のころ、このノウラの街に[魔導士]が[魔獣]と死人の群れを引き連れて襲撃してきたという。その時、旅の英雄操手とその操兵[ファルメス・エルブレイブ]が素晴らしい戦いぶりで撃退したのだそうだ。そしてその操兵は、額に蒼く輝く小さな石がはめられていた、と言うことだ。街の西の大きな祠には[ファルメス・エルブレイブ]である、と伝えられている操兵が安置されているのだそうだ。 その日、四人はイーリスを加えて親睦を深める為にロイゼル卿のおごりで(おごらせて?)ドンチャン騒ぎをやらかした。その夜、クサナギは不思議な夢を見た。大きな祠−おそらくエルブレイブの−の前にグラーテの仮面が紐のような小さな手足を生やして立ち、クサナギを招いていたのだ。これは一体何を意味しているのか? 次の日、一行は西の祠に行ってみた。そこはまるで倉庫のような大きさで、入口の前には何人かの参拝客、そしてその中にはワールモン伯爵の姿もある。中に入ると、そこには一機の操兵が椅子の形をした台座に鎮座していた。これがエルブレイブなのだろうか?確かに朽ちてはいるが、威厳と風格を感じさせる。 イーリスとゼロが衛兵の制止も聞かず、操兵によじ登っていく。それを尻目にミオはワールモンに何故この操兵を修理しないのかもったいない、と問う。それに対しワールモンは、修理は試みたものの操手槽は開かないわ、仮面は取り外せないわで、どうしようもないのだという。 その後一行は、この街の渡世人斡旋所に赴いた。ミオとメルルの仕事を捜す為である。結局、二人はウラノ商会に雇われることになった。その際、イーリスも独自にウラノと交渉して自分も金貨一枚と銀貨二十枚で雇ってもらった。 その時、一枚の張り紙が一行の目に留まった。[死人使いラディス。生死問わず金貨5枚]張り紙によるとこの男、自分の研究の為に墓を暴き、最後には自分の娘までも実験台にして死なせてしまったのだという。 さらに、生物学者レイリス、という男が一行に話しかけてきた。彼は一行に[翁獅子]という生き物を知らないか、と聞いてきた。翁獅子とは、獅子の体に蠍のような尻尾と蝙蝠の翼のような突起物、そして人間の老人のような顔をもっているという奇妙な生き物であるという。レイリスは一行に、もし見つけたら自分に知らせてほしい、と告げて去っていった。 宿に戻る前、一行はその足でグラーテとモ・エギのいる修理工場に立ち寄った。議会の結論が出ないのか、モ・エギは未だ拘束されたままでいた。励ますクサナギに彼女は、大丈夫と笑顔で答えた。グラーテも、とりあえずの修理は完了した。が、やはり(仮面も含めて)完全な機能回復には至らなかった。 暇を持て余した一行は、ワールモン伯爵に頼み込んでその夜から警備につくことになった。イーリスとゼロは巡回、メルルは城壁の銃座、ミオは整備士として。クサナギはグラーテで参加するがやはり機体の動きが悪く後方支援、ということになった。 真夜中、とりあえず自分の番が終わったクサナギは、一緒に番をしていた老兵の勧めもあって休憩を取り、一人で祠に向かった。祠の前に来てみると、その正面に重厚な白い外套に身を包み腰に破斬剣を下げた長髪長身の男が立ち、エルブレイブを見上げていた。クサナギの警告に男は 「死人如きに遅れはとらん……。それよりお前はどうなのだ。お前には力があるのか……」 そういって外套を翻し立ち去っていった。 男が見えなくなってから、クサナギはエルブレイブを見上げた。すると、仮面の額が蒼く輝き、エルブレイブから声が聞こえてくる。操兵が話しかけてきたのだ。 「昼間は騒がしかったからな……。君か……グラーテ(兄弟)が言っていた人間とは……」 彼は長い間、新たな[力ある主人]を捜していたのだという。 「我とともに戦う者にはそれにふさわしい力がいる。正義を語ることは多くの者にできるだろう……。だが、それを示すにはやはり力がいる……」 「力が無ければ正義を示すことは出来ないというのか!?」 「その通りだ。力無き正義は無力!力無き者に正義を語る資格はない……」 クサナギはその言葉を真っ向から否定した。 「それは違う!正義は誰でも語ることができる。もし、その者に力が無いなら力ある者が手助けしてやればよい。それでも足りなければ大勢がさらなる力を貸せばよいではないか!それが力を持つ者の役目であろう?」 エルブレイブは少し考え込んだ。そして結論としてクサナギにこう言った……。 「……その通りだ……君は正しい……。だが、時が立ち過ぎた……もはや我自身にそれを実践する力は残されていない……」 その時、鐘を打ち鳴らす音が街中に響いた。死人の軍団がノウラに攻めてきたのだ。その中には四つ手熊などの巨獣の死骸も見られる。クサナギは大急ぎで持ち場に戻った。 城壁から発射された松脂弾の炎が死人の軍団を照らす。それを頼りにガトリングガンが一斉に火を吹く。戦闘が始まった。城門が開き、町の守備隊と傭兵部隊、そして操兵が敵の軍勢に突撃。その中には解放されたモ・エギの姿もあった。 ミオは修理されたギルダームを駆り、操兵用荷車に長槍などで作ったスパイクを取りつけてローラー作戦を展開、それに続いてピジョンに乗ったゼロ、イーリスが走り、死人を斬りまくる。メルルもガトリングガンで街に近づく死人たちをなぎ払う。 グラーテの調子が悪い為、市内の防衛を担当していたクサナギは信じられない光景を見た。町の共同墓地から死人が起き上がってきたのだ。とりあえず墓地の門を塞いでくいとめる。その時、クサナギは墓地から飛び立つ奇妙な飛行物体を目撃した。翁獅子だ。その背には小さな杖を持った老人が乗っている。おそらくこいつがこの事件の張本人、死人使いラディス……。翁獅子はグラーテを見てニヤリと笑うと南へと飛びさっていった。 そのころ、荷車を転がしながら街の反対側に回ったミオは、あの時の死操兵が裏手の門を破って街に入ろうとしているのを目撃する。ミオはそれを食い止めようとしてギルダームを進ませるが、突如映像盤に死体の顔のどアップ!何とギルダームに沢山の死人が張り着いていたのだ。悲鳴を上げてパニックを起こすミオ!! その拡声器からの悲鳴を聞きつけてクサナギがグラーテで駆けつける。が、その時には死操兵が祠の前に立ち、今にも破壊しようとしていた。どうやら最初から敵の狙いはエルブレイブだった様だ。そうはさせまいとクサナギはグラーテを死操兵に向かわせる。だが、機能が低下し満足に動けないグラーテにとって、死操兵が相手ではかなり荷が重い。逆に相手は、受けた損傷を一瞬にして修復してしまう。グラーテの損傷が増え、クサナギは徐々に追い詰められていく。 ゼロは祠の中に走り、そしてエルブレイブに向かって叫んでいた。 「お前には戦士の誇りは無いのか!英雄の心は残っているんだろ!」 その叫びに答えたのか、エルブレイブの額が蒼く輝き、そして重々しい音を立てて立ち上がり、グラーテの元に駆けつけた。そしてグラーテの側に来た時、エルブレイブの額の輝きが消え……直後にその輝きはクサナギの手の中にあった。 「[フィールミウムの石]だ。君に譲ろう……。それを仮面の額のくぼみにはめ込めばグラーテは蘇る。だが、石が君の元に留まるか否かは君次第だが……。よいか、死操兵は仮面を破壊しない限り何度でも蘇る。我が奴の動きを止める。その間に仮面を破壊するのだ!」 そしてエルブレイブは死操兵に向き直り、背中の剣を引き抜いた。が、その剣はすっかり錆びついていた。 「我が聖剣も、長き時の流れには勝てぬか……」 嘆くエルブレイブにゼロが叫ぶ。 「剣が錆びてても気合いで切るんだ!気合いだーっ!」 「聞いた様なことを言うな。バカ弟子が……」 後ろから聞こえる声に背筋が寒くなるのも構わず、ゼロはエルブレイブを見続ける。 エルブレイブは剣を腰だめに構えた。そして迎え撃たんとする死操兵に向かって突進した。 「正しき答を見出すのに千年もかけた、哀れな英雄の末路を見よ!」 聖剣は狙いたがわず死操兵の胸を貫く。が、死操兵の剣もまた、エルブレイブの頭部を粉砕した。死操兵はグラーテに向かおうとする。が、エルブレイブの剣と機体が邪魔をして思うように動くことができない。 (今しかない!)クサナギは駆動板を踏み込んだ。グラーテは雄叫びのような駆動音を立てて死操兵に向かって行く。そして左手の盾を死操兵に突きつけ、その仮面に向けて爆砕槍を打ち込んだ。射出された長槍が仮面を砕く。だが、死操兵はしぶとく動く。クサナギはグラーテに大太刀を抜かせると、止めの一撃を叩きつけた。 完全に仮面を砕かれた死操兵は、元の残骸となって崩れていった。そしてエルブレイブもまた、その残された力と命を使い果たし、やはり崩れるように倒れた。両者の立っていたところには、錆びた聖剣が墓標のように地面に突き刺さっていた……。 クサナギは、エルブレイブが残したフィールミウムの石をグラーテの仮面にはめ込んだ。蒼く輝く石は仮面の額にある涙滴形のくぼみにぴったりと納まった。そして仮面の傷はすべて消え、グラーテは蘇った。だが、機体の損傷までは直らなかった。 戦いは一行と街の勝利に終わった。だが、根源をつぶさなければ奴等は何度でも攻めてくるだろう。この街の南のほうに朽ちた遺跡があることをワールモンから聞いた一行は、グラーテの感応石を頼りに翁獅子を追った。そして、森を少し進んだところにそれらしき遺跡を発見した。 ともすれば自然の洞窟と間違えてしまいそうな入口をくぐり、一本道の通路を一行はランプを頼りに油断なく進む。そして空霊鬼、土霊といった負の生物の襲撃を退けて怪しげな紋章の刻まれた両開きの扉の前についた。 油断なく扉を開けると、そこには人相書きにあった[死人使いラディス]と翁獅子。翁獅子はゆっくりと、しわがれた声でこう言った……。 「……よく来た……愚かな[冒険者]達よ……」 一行は顔を見合わせた。そんな奴どこにもいない。 賞金の額の少なさにいじけるラディスをよそに、翁獅子は自分の身の上を高らかに語った。彼の名は[マンティコアのライブリオス]。彼は千年前、この世界とは異なる別世界[剣の世界]から主とともに[冒険者]と呼ばれる集団に追われてこの[世界]に来たのだそうだ。そして、この新たな世界で死人の軍団を作り、手近な街に攻め込んだが、[アイアンゴーレム]を操る英雄に阻止され、主であった[魔導士]は倒されてしまった。自分はこの遺跡に逃げ込み、千年間眠り続けた。そしてこのラディスという男がこの地に来た時に目を覚まし、二人でこの地を[魔獣]の世界とすることを誓ったという。 一行は、話の半分も理解できなかった。それどころか一行は翁獅子を珍しい動物として扱う。それらの行為は二人のプライドを傷つけるのに十分だった。そしてとどめとなったのは、クサナギのこの一言だった。 「行くぞ!妖怪獅子爺い!」 メルルの狙撃が先頭の火ぶたを切った。銃を知らない翁獅子はその銃声に驚き、蝙蝠の羽を広げて空中へと飛び立つ。いじけていたラディスは、何やら床の石畳を叩こうとする。が、そうはさせまいとゼロとイーリスがまるで風のように走りより破斬剣と穂先刃がラディスを三枚にする。ラディスは絶命した。 その時、空中を飛び回って銃撃を回避していた翁獅子が急降下、鋭い爪をゼロの背中に突き立てた。その一撃を受け、ゼロは地に伏した。 だが、その翁獅子もクサナギ、メルル、そしてミオのボルトアクションの銃撃を浴びてものの見事に墜落、地面に激突したところをイーリスにとどめをさされ、あえない最後を迎えた。 幸い急所ははずれた為、ゼロは無事であった。イーリスは証拠としてラディスと翁獅子の首を切る。ゼロはラディスの持っていた宝石の付いた短い棒を自分の背負い袋に黙ってしまい込んだ。 街に戻った一行は事件解決の功労者として人々から歓迎された。今夜、街では再び起動してノウラを救った英雄操兵[ファルメス・エルブレイブ]を讃え、街を挙げての宴を催すという。もちろん一行も、主賓として招待された。 ワールモンの薦めもあって、宴の前に一行はこの街自慢の大露天風呂に入った。ここは小さな山沿いから湧き出る温泉を利用した自然のもので、一行の疲れを心地好く癒してくれる。そんな時、のんびりと湯に浸かっていたクサナギはゼロに引っ張られて女湯に連れていかれた。ゼロはクサナギを女湯に放り投げる。だが、クサナギは湯に落ちる前に何かに捕まえられた。それはモ・エギの手だった……。 その夜、宴が始まった。無礼講ということもあり、町中がドンちゃん騒ぎとなった。クサナギはウラノの愚痴を聞かされ、メルル、イーリスは悪酒に酔い潰れて倒れる。ミオは悪酔いした挙句にギルダームを持ち出し、千鳥足で酒樽を担がせる。が、ものの見事にコケてしまい酒を辺り一面にぶちまける。装甲を脱いだモ・エギはゼロの勧めたちゃんぽん酒を飲み干してすっかり出来上がり、ピジョン、ゼロ、クサナギを掴み上げては頬擦りをする。 やがて宴が終わり皆が酔い潰れたころ、一人素面のクサナギは祠の前に来ていた。先の死操兵との戦闘で破壊された機体が再び組上げられ、エルブレイブは堂々とした姿で立っていた。 「操兵ファルメス・エルブレイブ……。そなたの誇りと心、私は確かに受け取った。安らかに眠れ……」 次の日の朝、クサナギを除く四人が二日酔いで寝ているところにモ・エギのさわやかな声が響いた。彼女は、自分の角を奪ったものを捜す為に再び旅立つという。また、どこかで会うこともあるだろう。モ・エギの無事を祈りながら、クサナギはそう思った。 |