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追いついた場所は、好都合にも開けた場所で、高い草に覆われた草原だった。そこには、マディのバグ・カーペンタや蛇使いウィープ、そして数名の兵士のような奴等がいる。一行は集団を包囲するように散開した。 クサナギはグラーテを前進させ、カーペンタの前に出た。強化され、蘇ったグラーテを見てマディは驚愕する。そして戦闘の火蓋が切られた。グラーテとカーペンタが激突する! イーリスとセフィロスは、目にも留まらぬ早さで次々と兵士を切りまくる。草むらに隠れていたミオは、単発式のボルトアクション銃に煙幕弾を装填して、敵のど真ん中に撃ち込んで混乱させる。が、おかげで銃を構えていたファルスも狙いをつけることができず、射撃できない。 だが、敵には予想外の伏兵がいた。正面の敵に気を取られているイーリスに、背後から小剣を手にした刺客が斬りかかる!振り向いて反撃しようとするが、その時には既に隠れて消えていた。その隙をついて、ウィープが鞭を振るってイーリスの腕をからめ取った!ウィープに引きずられて地面に転ばされるイーリス。 「ちゃ〜〜〜んす……」 兵士の一人が長銃を構えて、倒れたイーリスの側に寄ってくる。その時、セフィロスが閃光となって槍を突き、ウィープや兵士を一瞬にして葬った。だが、肝心のイーリスを狙う兵士への攻撃はものの見事にはずれてしまった。生き残った兵士はイーリスに、非情の銃弾を撃ち込んだ……。 一方、操兵戦は有利に進んでいた。マディの執念がいくら強いとはいえ、もともと作業用の機体では完全な、まして強化されたグラーテ改の敵ではなかった。次々と繰り出されるカーペンタの三本の作業碗をたやすく回避、反撃の太刀をたたき込む。 そこにアリスがユニホーン・カムナの蒸気兵装、[蒸気弩]を発射した。カムナの両肩に装備された蒸気式の弩弓が一斉に放たれ、飛び出した六本の鋼鉄の杭がカーペンタの装甲に深く突き刺さり、機体に多大な損傷を与えた。 やけを起こしたマディは、カーペンタのその四本足の前足を突き出してグラーテにのしかかって押し倒す。しかしクサナギは特に慌てずに爆砕槍を射出!二股のセラミック槍が激しく回転しながらカーペンタの機体を吹き飛ばし、粉砕した。 アリスは、カムナをカーペンタに近づけた。仮面を確保し、マディを捕まえる為である。だが、四本足の一本につまずいたカムナが体勢を崩し、思わず仮面をつぶしそうになる。その隙をついて、マディは操兵から脱出しそのまま逃走した。 セフィロスは正体不明の敵に苦戦していた。突如背後から現れて攻撃したかと思ったら、今度は全く予想外の場所に出現してセフィロスを幻惑する。まるで二人と戦っているようだ……。しかも、相手は草むらを利用して奇襲をかけ、二の腕や肩など防具のないところを集中して攻撃してくるのだ。 その時、ファルスがその敵の動きを観察したとき、セフィロスが戦っている相手が一人ではなく、二人であることに気がついた。要するに、一人が隠れたとき、別の場所から同じ格好をしたもう一人が飛び出し、あたかも一瞬で移動したように見せかけ、それを交互にくり返していたのだ。 仲間の指摘を受けたセフィロスは攻撃目標を一人に集中し、ようやく片方を倒した。だが、隠れていた敵がセフィロスの前に飛び出して小剣で切りつけた!それが思いがけない強烈な一撃となって、セフィロスは地に伏した。 幸運にも一命を取り留め、そしてこれまた運よく目を覚ましたイーリス。彼女はファルスの声を頼りに、セフィロスを倒して隠れた刺客を捜し出して斬りつけた。そして、怪我を押してそのまま逃走したマディを追いかける。が、イーリスはここで油断した。背中に投げつけられた短剣が突き刺さる。刺客はまだ生きていたのだ。短剣は皮鎧を貫き、イーリスに再び重傷を与える。だが、その刺客も、駆けつけたファルスに止めをさされた。 クサナギはグラーテでマディの前に立ちふさがり、追い詰めた。この男には、まだ聞かねばならないことが沢山あるのだ。ところが、今までに受けた手傷の痛みに意識の混濁したイーリスが、眼前のマディに反射的に斬りかかり、あっというまに三枚にしてしまった。マディは一体今、何が起きたのかわからないまま絶命した。結局、何もわからず終いだったクサナギの心には悔しさと空しさが……。 何か無情感の漂う戦場に、先日ファルスが目撃し、そしてクサナギらも人狩り退治のときに出会っていたあの長衣の男が現れた。その男は、グラーテを威圧するかのように見上げる。その視線は、操手槽の中にいるクサナギをも捕らえているかのようだ。 男は、王朝結社の指導者で、自らをサイラスと名乗った。サイラスは一行の戦いぶりを称えた。そして、一行に王朝結社に加わるよう誘いをかけた。 「君達のその能力を、我らの[皇帝]のために役立ててくれないか……」 クサナギはその言葉を真っ向から否定し、サイラスに向かって叫んだ。 「私の国を滅ぼしたそなた等と、手を組めというのか!」 「あれはマディが勝手にしたこと。私に責任はない。それに、貴様の国が滅んだのは貴様に力がなかったからではないのか?」 「……そうかもしれない。だが、そなた達のように、ただ力を振りかざすだけの正義など、私は認めない!」 激昂するクサナギ。重傷を負ったイーリスは、サイラスに薬はないのか、と訪ねる。サイラスはそれには答えず、ただ「さらばだ」といって去っていってしまう。 サイラスの行く手に、一機の操兵が出現した。両肩に盾を装備したそのダークグレーの機体は、サイラスを抱えあげ、クサナギに向かってこう言った。 「次は必ず決着をつける」 操兵の肩には小さな炎の印が描かれている。この操兵の操手は、あの紅蓮だった。 戦いは終わった。やがて、ゼロやウラノ達が無事な姿で森の中から現れた。戦闘の音を聞いてここまでやってきた、と言う。全員の毛長牛やドウドウ鳥も無事のようだ。かなりの重傷を負ったイーリスとセフィロスもヨクの薬草で治療してもらい、事無きを得た。 ウラノ商会は荷車や商品の半分以上を失い大損害となった。それでも中間の目的地、大都市ライバに行けば何とかなると、ウラノが言う。幸いイランド博士がライバまで送ってくれるという。一行はイランド博士の操兵に荷物を詰め込むと、ヨク達に見送られながら再び旅立っていった……。 |