キャンペーン・リプレイ

第 八 話 「 偽 り の 亡 霊 退 治 」  平成10年8月9日(日)

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 イランド博士の操兵に乗って、一行は大都市ライバに着いた。この人工約五万の大都市は鉱山からの資源、そして古代遺跡から発掘された品々や技術によって栄える工業都市だ。しかもこの都市は仮面の製造や修復こそ出来ないものの、発掘された部品や持ち込まれるスクラップを再利用して、独自の操兵を組み上げることが可能なのだ。ちなみに、再生機として有名なギルダームやレストアールは、この都市で製造された操兵だった。
 一行が都市の正面の門を通るとき、やたら操兵が多いことが気になった。門の衛兵に話を聞くと、まだ正式な日程は決まってはいないが、近々操兵による武闘大会が開催されるとのことらしい。街の西側では、それ専用の巨大な闘技場が、突貫作業で建設されているという。
 思いを馳せながらも「ボロボロの」ウラノ商会の皆さんと別れた一行は、旅人街の一角にある宿屋[竜の牙亭]の入口をくぐった。
 旅の疲れを癒すべくそれぞれ飲み食いに勤しむ一行。ゼロが食べまくり、イーリスがミオやファルスに無理やり酒を飲ませる中、クサナギとセフィロスは宿の主人の愚痴を聞かされていた。
「最近、王朝結社とかいう奴等がこの街でのさばっとる……。何でも、大昔の王国の王様の末裔とかいうのが[皇帝]と名乗っとるとか……。血筋の証拠に、伝説の操兵の仮面とやらを持っているらしくての。だが、あいつ等ときたら、人民のためにこの都市国家郡を再び統一するんだとか大きいことを言っとるが、実際やっとることは役所とかに爆弾を仕掛けて暴れる悪行じゃ。結局迷惑しとるのは、爆発に巻き込まれたわしら市民……。だが、今の混乱した世の中で、連中に惹かれる若者も多くての、儂の息子のラッシュも奴等の仲間になっちまった……。軍隊に入るんだといって、操兵の操縦を教わりにいったときに誘われたんじゃ……」
 主人の愚痴は何時果てるともなく続いた。その中でアリスは、この宿の主人に自分を踊り子として雇ってくれないか、と売り込んだところ、この街で芸人の商売をするためには、この街の芸人たちの顔役である[ナバール一座]の許可をもらわなければならないことを聞き、早速一座のいる裏通りに向かった。
 ナバール一座を訪れたアリスは、道化師の格好をした座長にこの街での仕事の許可を求めた。アリスを気に入った座長は、仕事を許可するとともに客引きもある程度してくれるという。だが、アリスは知らなかった。このナバール一座が、実は盗賊組合の隠れ蓑であることを……。
 翌日の朝早く。ウラノが何かふっきれたような笑顔で竜の牙亭にやってきた。大打撃を受けた商会だが、この街でのツテを頼って何とか「故郷に引き返す分だけ」の費用を工面したという。彼らは故郷に帰り、そこで商隊を建て直してもう一度出直すという。一行にさわやかな笑顔で手を振り、去っていくウラノ商会を、何かやりきれない気持ちで見送る一行だった……。
 気を取り直した一行は、新たな職を求めて斡旋所に顔を出した。だが、自分に見合った仕事は中々見つからない。何せ、この街には今、操兵武闘大会の噂のおかげで剣士や銃士、操兵乗りなどの腕自慢が沢山いて、用心棒などの荒事の仕事は今のところ全部埋まっているのだ。結局、クサナギとゼロ、ファルスとセフィロスの四人は機械部品発掘の力仕事、イーリスのみは女剣士である利点を生かして高級酒場[剣の刃亭]での用心棒と、それぞれ何とか仕事を見つけることができた。
 そのころ、ミオは一人、街中の操兵工房を訪ねて回っていた。修行を兼ねての仕事探しだったが、工房都市の手形を持つミオはどこの工房でも歓迎された。その中でミオが目を付けたのは、駆動音だけで機体の故障箇所を的確に見つけることができ、どんな損傷でも完全に直してしまうという[操兵鍛冶の神様]ジュウコー親方なる人物だった。
 一方、一足先に仕事を見つけていたアリスが一人宿で暇にしている所に、イランド博士がミオを訪ねてやってきた。ミオの不在を告げられると、博士はアリスに一通の手紙を託して立ち去った。その手紙は、グラーテ、カムナに装備されている蒸気兵装の連射機構の改造案図面だった。
 仕事を見つけた一行は、ミオと合流して買い物のために商店街へと赴いた。このライバは工業が盛んな街ということもあり、どの店も品揃えが豊富だ。クサナギとミオは部品屋でグラーテのための赤外線視覚装置、ファルスは武器屋で仕上がったばかりの高品質の破斬剣、イーリスは鎧屋で軽くて丈夫な鎧、とそれぞれに買い物を済ませる。
 その中でゼロは、銃砲店において一丁の拳銃に出会った。[コスモ・ドラグレーア]今は無き銃工房コスモ社によって三十年前に数丁だけ製造された幻のパーカッションリボルバー。今となっては旧式であるはずのこの銃のその威力は現在の銃でさえ及ばないという。ただ問題は、この銃は扱いが難しく使い手を選んでしまうこと、そして現在専用の弾丸が手に入らないこと。本来の弾には、この銃に彫られているものと同じ、龍の兜をかぶった女神の横顔のレリーフがついているという。それでも最新の銃に匹敵する威力をもつこの銃をゼロは金貨十三枚という大枚をはたいて購入した。