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早速一行は行動を開始した。クサナギ、モ・エギは戦える人々とともに谷の入口へと向かう。そしてゼロ、セフィロス、阿修羅はリトの案内で集落を覆う城壁の一角に赴いた。リトが壁の一部の石を押すと城壁の一角が開いて地下に続く通路が出現した。四人は油断なく中に入る。 この通路が連中に発見されてなければすんなりと城内に入れるはず。だが その考えは甘かった。集落の下を城に向かって伸びる通路の途中に二頭の大きな山猫が立ちふさがっていたのだ!。山猫は四人を見るや、猛然と襲いかかってきた!。二頭は息の合った素早い攻撃を繰り出してくる。その動きを見てリトは、この山猫が何者かに調教されたものであることを見抜いた。だが二頭はゼロとセフィロスの前にあっけなく破れ去った。出番がなく、ぶーたれる阿修羅。 同じころ、城門ではクサナギとモ・エギが行動を起こしていた。 「わが名はクサナギ!義によって、このウィンの谷の人々に助太刀する!」 城のテラスからトレンチコートに身を包み、腰に派手なだんびらを差した赤い髪の男リガーブが顔を出す。 「どこの田舎戦士か知らんが、この竜魔王リガーブ様に盾突こうとは愚かな奴よ……。まあ、きさま等如きこのオレ様が自ら戦う必要もあるまい……。こいつ等で十分だ!」 その声と同時に城の影から二機の操兵、アルキュイルとアムイードが出現した。操兵はそれぞれ武器を振るいグラーテ改と御仁姫紅葉に向かって来る。が、クサナギとモ・エギにとってその二機の操兵は敵ではなかった。 一方、地下道を抜けて城内に入った四人は上層にいるであろうリガーブをめざして長い階段を上って行く。 と、その時セフィロスは自分たちの後ろを何者かが通りすぎていく気配を感じ、思わず振り向いた。するとそこには、奇妙な面をつけた集団、あの奇面衆が四人に目もくれずに別の通路に走り去っていくのが見えた。セフィロスはそれを全員に伝えたが、ゼロは振り向かずに階段を上がっていった。その時、ゼロの顔からあらゆる表情が消えていた……。 グラーテ改と紅葉が下っぱ操兵を片付けたころ、四人はリガーブのいる城のテラスにたどり着いた。そこにはリガーブのほかに三人の用心棒が待ち構えていた。一人は拳銃を不敵に構えた男、銃士ズバーン。もう一人は長い槍を天に向けた仁王立ちの男、槍使いホウショウ。そして最後は、鞭を構えた官能的な美女、女戦士リクーナ。その三人は、今まさに巨大操兵ギガスメイアに乗り込もうとしているリガーブを守るように四人の前に立ちふさがった!。 だがここを守る守護者はもう一人、いや、もう一匹いた。四人からはちょうど死角になって見ることができないが、クサナギは城壁に操兵級の大きさをもつ三本の首をもつ大蛇、巨獣[三つ首]が潜んでいるのを発見した。だがクサナギはそれを知らせることができなかった。グラーテの目の前にリガーブの駆るギガスメイアの巨体が迫ってきたのだ!。 そして戦闘が始まった。リガーブはギガスメイアにこれまた巨大な剣を構えさせると、クサナギのグラーテに向かって猛然と襲いかかる!。それと同時にテラスでも戦闘が始まった。 セフィロスは同じ槍使いであるホウショウに戦いを挑んだ。ホウショウはリナラの御前試合では予選どまりだったが、なかなかどうして実力の持ち主だった。思わず苦戦を強いられるセフィロス。 ゼロは銃士バーンに向けて、幻の名銃コスモ・ドラグレイアを抜き構えた。得意の剣の技を使わず相手と同じ、拳銃で勝負しようというのだ。だが、唯でさえ使い慣れていない上に増して使い手を選ぶドラグレイアでは、プロのガンマン相手では分が悪すぎた……。 官能的な雰囲気を漂わせるような革鎧(?)を纏い鞭を巧みに操る女戦士リクーナに向かっていった阿修羅は、とんでもない敵と戦うはめになった。自分の使える宗派に伝わる特殊な手甲を突き出してくる阿修羅に対し、リクーナは悠然と右手を上げる。そしてそれを合図に、巨大な三つの鎌首をもたげた大蛇が阿修羅に襲いかかってきたのだ! 「私の名は、獣使いリクーナ!。どうやら私のかわいい山猫たちはやられてしまったようね……。この仇は取らせてもらうわよ……!」 まさに絶体絶命の阿修羅だった……。 一方、クサナギもリガーブのギガスメイアに思わぬ苦戦を強いられていた。相手はグラーテよりも頭一つ半くらい巨大であり、当然膂力もある。が、その分動きは鈍く、リガーブ自身の操縦も大したことはないので決して強敵ではない。が、今日のクサナギとグラーテ改はまるでついてなかった。操縦を誤って太刀をあらぬ方向に降り、操縦把から足を滑らせて機体をぐらつかせるなど、ほとんど自分で危機を作っていた。 モ・エギはギガスメイアをクサナギとグラーテ改に任せて、テラスで戦う阿修羅を襲う三つ首を何とかしようと城に向かう。だが城の周りを覆う高い木々に阻まれてなかなかたどり着けない。 そして、いくつかの戦いに徐々に決着が付き始めていた。数回の技の応酬の末、セフィロスはホウショウを下した。銃では勝負にならなかったゼロも破斬剣を抜き素早い足裁きでズバーンに駆け寄り、一刀の元に斬り伏せた。そして町の中では谷の人々が傭兵軍団を完全に追い詰めていた。 が、三つ首とそれを操る獣使いリクーナは強敵だった。大蛇の巨大な首の一つが阿修羅の体に巻きつき、革鎧を破壊して彼女を締め上げる!。そして残りの首がゼロとセフィロスに襲いかかる!。 それらの攻撃を交わしながらセフィロスが三つ首の首の一つに猛然と立ち向かう!。ゼロも続いて剣を構える。その時、リトがゼロを呼び止めた。 「……これを使いなされ……」 リトはゼロに三発の古ぼけた銃の弾を差し出した。その銃弾には、龍の女神の刻印が施されていた。それを見たゼロは驚きを隠せなかった。銃本体よりも幻とされている、コスモ・ドラグレイアの専用弾体…… 「……弾だけが数発、残されておったのじゃよ。お主の銃がそうだ、とは思わなかったがの……」 ゼロはそれを一発だけ受け取ると、ドラグレイアの薬室を開いてそれを装填した。三つ首のほうを見ると、阿修羅が大蛇の首から何とか脱出し、リクーナに戦いを挑んでいた。セフィロスも首の一つを相手に負傷しながらも奮戦している。 ゼロはゆっくりと三つ首に銃口を向け、確実に狙いを定めるとその引き金を引いた!。ドラグレイアは龍の咆哮二も似た轟音とともに火を吹いた。その強烈な反動で思わず後ろに吹っ飛び尻もちを付くゼロ。だが龍の女神の祝福を受けた銃弾は狙いたがわず三つ首を貫いた!。うなり声を上げて苦しむ三つ首。威力はかなり高いようだ。 操兵戦のほうは相変わらずクサナギが苦戦していた。何とか数回太刀を浴びせたものの、分厚い装甲に阻まれていまいち効果を上げられず、逆にギガスメイアの剣をまともに受けて増加装甲のほとんどをもぎ取られた。 クサナギは爆砕槍の準備をした。これならば巨大操兵の重装甲を貫き、あわよくば伝達系の一部を破壊してその動きを止めることができる。クサナギはグラーテ改に回避運動を取らせると、左腕部の盾に装備された二股の槍をギガスメイアに向けて突き出し、祈るように発射幹を引いた!。槍は蒸気の力で旋回しながらいきよいよく飛び出し、敵操兵の装甲を砕く!。が、それほど劇的な威力とはいえなかった。だが、クサナギの執念が届いたのか、ギガスメイアは伝達装置を完全に破壊されてその機能を停止した。慌てふためくリガーブ。 ドラグレイアの一撃でかなりの打撃を受けたものの、三つ首はいまだ動いていた。立ち直ったゼロがセフィロスとともに三つ首の巨大な鎌首に斬りかかる。が、三つ首はその高い耐久力でこらえる。ようやくたどり着いたモ・エギが後ろから三つ首を大鉈で斬りつけるが致命傷にはならない。逆に三つ首の巨大な牙がセフィロスを切り裂く! 阿修羅は激戦の末にリクーナを倒した。リクーナは阿修羅に向けて鞭を振るって応戦したが、やはり獣使い。自身での戦いは不得手のようだ。故に阿修羅にとってそれほど強敵ではなかった。獣使いを倒した阿修羅は三つ首を見た。大蛇は主人を失ってなお攻撃を続けていた。どうやら、巨獣としての本能のみで動いているのだろう。 阿修羅は[気]を用いた金縛りの術を三つ首に向けて放とうとして、精神集中を始めた。だが、それには少し時間がかかりそうだ。 その時、空中からヤラ姫の声が聞こえた。 「みんな、目を閉じて!」 天空より飛来した白い凧。その背に乗ったヤラ姫が手にした長銃の引き金を引く。銃身から飛び出した銃弾は三つ首の頭の一つに命中すると、強烈な光をはなった。光弾(ひかりだま)だ。 閃光で視界を封じられた三つ首をモ・エギが後ろから押えつける。その隙に阿修羅が準備していた金縛りの術をかけ、三つ首の動きを完全に封じ込めた。そしてゼロの剣とセフィロスの槍が止めを刺した。 |