キャンペーン・リプレイ

第 二十話 「 竜 魔 王  最 後 の 挑 戦 」 平成11年11月3日(水)

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 だが、まだ終わってはいない。三人はリガーブの手から放れた魔剣を追った。以前の王朝結社も、今回のリガーブも、すべてはこの魔剣が元凶だ。逃がすわけにはいかない。
 もはや逃げられないと判断した魔剣は、その身を地面に横たえていた。そして、取り囲む三人に、[念話]のようなもので話しかけてきた。
「(……見事である……汝こそは、我の新たなる主である……)」
 どうやら魔剣は、自分を手にしたリガーブに止めを刺した、セフィロスを次なる主と定めたようだ。そう、魔剣はこうやって、さまざまな人間の手を渡って、そしてその人物を間接的に支配し、最後には狂気に陥らせるのだ。魔剣はさらに続ける。
「(……我を手にしたものは[偉大なる力]を手にすることができよう……)」
「だが、サイラスとリガーブは破れたぞ!」
 と、クサナギが言葉を返す。魔剣は、(もしあれば)感情を荒げる事なく答える。
「(……それは、今までの主が弱かったにすぎない……。だが、汝は違う。汝なら、歴史に名を残すほどの勇者になろう……)」
「言いたいことは、それだけかい?」
 ゼロが冷ややかに言う。そして、同時に三人が剣、槍、太刀を振るって魔剣を破壊しようとした。取り囲まれて逃げることも儘ならない魔剣だが、さすがに素直には破壊されない。三人の攻撃に耐える魔剣にクサナギは、ボルトアクションの引き金を引く、が、銃だけには破壊されたくない、という念が強いのか、その銃は見事に暴発!、クサナギはその衝撃で地面に倒れた……。だが魔剣の抵抗もここまでだった。魔剣は結局耐え切れず、粉々に破壊された。その柄に飾られた[目]のような水晶も含めて。これでもはや、復活することはあるまい。
 やがて、救出作戦を無事に終えたゼノアとその部下達、そしてモ・エギ、阿修羅、ホセが、救出された人々を連れてやってきた。そして、それぞれに状況を確認しあった。
 怪我の治療が終わるや否やゼロは、おもむろに崩壊した遺跡に向かって走っていった。どうやら、リガーブを追って遺跡に入った際に見つけた財宝と思われる箱が無事かどうか気になっていたようだ。そしてモ・エギの手当を受けたクサナギも、礼を言って、再びエルグラーテに乗り込んだ。
「ありがとう、モ・エギ。だが、私にはまだ、やるべきことが残っている……」
 そういってクサナギは、エルグラーテを遺跡に向かって歩かせる。クサナギが何をやろうとしているのか、モ・エギが気になって見ていると、エルグラーテはその遺跡にしゃがみ込み、ゼロとともに遺跡の瓦礫を取り除いていた。どうやらクサナギも、財宝を掘り出すのを手伝っているようだ。モ・エギはそれを見て脱力した。
 やがて、瓦礫の中から三つの長箱が掘り出された。箱はもっとあったはずなのだが、無事だったのはどうやらこれだけだったようだ。早速その箱の内小さいほう二つを開ける。その中には、先の崩壊の衝撃でかなり痛んではいたが、数々の高価そうな装飾品、そして飾り立てられた宝剣が出てきた。
 ゼロはその宝剣に興味を示したが、その剣に[刃]がついておらず、いわゆる儀礼用の剣であったことを知るとその興味を失った。
 そして残ったのは、一番大きな箱。まるで柩みたいな大きさゆえに開けるのをためらってはいたが、やはり気になるので開けてみることにした。ゆっくりと開かれたその中身は、予想に反して人の亡骸ではなかった。そこにあったのは、金と朱で飾られたきらびやかな全身甲冑だった。やはりこの品も、儀礼用だろう。
 一通りの財宝を吟味した一行は、とりあえず拘束しておいたリガーブを訊問した。どういう経緯で剣を入手したのかを問われたリガーブは、やはりサイラス同様今までの覇気を無くし、呟くように答えた。
「……ウィンの谷を追われ、あてもなくさまよっていたオレ様の前に、あの剣が現れた……。地面に突き刺さる剣を抜いたオレ様の脳裏に、剣の声が聞こえた。[力が欲しくないか]と……。その後オレ様は……オレ様はぁ!!」
 再び狂気に襲われ、茫然となるかつての竜魔王に、哀れさを感じずにはいられない。魔剣によって人生を狂わされた人間はこれで二人目だった。もっとも、この男の場合、それ以前から人生を踏み外してはいたが……。
 とりあえず一行はレムの町に戻った。ゼロはゼノアに財宝の売却を依頼した。それをしぶしぶ受けたゼノアは街の古物商を訪れ、必死に交渉するが、ここまで痛んだ財宝に高値は付かず、結局ある程度の値で妥協するしかなかった。
 古物屋から戻ったゼロは、街の詰め所に監禁されている王朝結社の残党のところに寄った。事件の顛末を知らせるためだ。彼らはリガーブの末路を知るやますます喜び、そして先にゼロが描いたサイラスの似顔絵を見て、[悪]に屈せず、今後も戦い続けることを誓った。
 詰め所を出たゼロをゼノアが嗜めた。
「彼らは人々に害をなすテロリストですよ。何でそう焚きつけるようなことをするんです!」
 それを聞いたゼロは、「そうか」と答えて以前ゼノアから貰ったままの手投げ弾を取り出す。それを見たゼノアは呆れてこう言った。
「あの……だからって、そう短絡的にならなくてもいいじゃないですか。それに、ただ殺してしまうだけでは、レオンナールのしようとしていることを無駄にしてしまいますよ……!」
 それを聞いたゼロは、とりあえず爆弾をしまった。
 やがて、ルクサル商会がライバに戻る日がやってきた。どうやらルクサルは、前の事件でクサナギとゼロ、そして阿修羅とホセが知り合った[妖精族]とも商売をすることになったらしい。これで彼らの村も開かれるようになるだろう。
 そして一行は、二つの事件の舞台となったこの地を後にし、ルクサル商会とともにライバの街に帰っていった。
 ちなみに自称[竜魔王]リガーブは、その後ライバに護送され、皮肉にもサイラスの隣の房に監禁されることになった……。