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斡旋所に着いたクサナギは、係員の案内で二階の応接室に上がった。そこでは先ほどの[怪しげな男]がクサナギを笑顔で出迎えた。 「やぁ、貴方ですか?私の依頼を受けてくださるのは……」 クサナギはその言葉を遮った。 「受けるかどうかはそなたの話を聞いてからだ」 男はクサナギの着席を待ってから話を始めた。 「実はですね……私の依頼とは、[ある方達を守る]という事なんですが……」 その男の依頼は何と、マリン達小妖精の里を守るというものであった。彼の名はゼリス。クサナギ同様渡世人なのだが、ふとした事で小妖精と知り合ったという。そして偶然にも闇商人達の陰謀を知り、何としてでも防がねばと考えた。 だが、自分一人ではどうする事もできないので、その場所から程近いライバで助っ人を得られれば、と考えたのだというのだ。 クサナギはどうするべきか迷った。マリン達の集落を守る事は、もともとそのつもりであったので問題ない。だが、この飄々としたこのゼリスの話はどうも出来過ぎているような気がしてならないのだ。 結局クサナギは他のもの達に相談してから決定する事に決め、ゼリスにその旨を伝えて斡旋所を後にした。 クサナギが竜の牙亭に戻ると、ちょうど静夜がマリンの身体検査をしているところに出くわした。万が一彼女が怪我などをした時に、どう対処したらよいかを知っておくためだ。ミオがクサナギの視線に気付き、この純粋な青年の頭を掴んで後ろを向けさせる。その間にもマリンは静夜になすが儘にされていた。 「……脈拍もあるし、瞳孔もありますねー……それと歯の並びは……大きさと背中の羽以外は普通の人間と変わらないのですねー……」 どうやら静夜はマリンの存在にすっかり馴れてしまったようだ。 静夜のマリンに対する身体検査が終わったところでクサナギは、先の依頼の内容と男を見た時の印象を話して聞かせた。そしてマリンにゼリスという男を知っているかどうか訪ねてみた。が、マリンは「そんな奴知らない」と、答えた。 ここでどうするべきか迷った一行。いっそ、その男を無視して先に行こうかと考えたものの、マリンはどうやってこの街まで来たのか全く憶えていない。したがって、その集落の場所を知っていそうなのはゼリスだけであるという事だ。ここは依頼を受けるしかないのだろうか。 そこで今度は、クサナギとミオ二人でゼリスの話を聞き、その上で決定する事にした。同時に、もしその中で怪しい点があれば、何とかしてその場所を聞き出し、可能なら先回りしてしまおうという事も検討した。そして、その事もあってマリンの存在はゼリスには伏せておく事にした。 一行が依頼を受けてくれる事を確信したゼリスは、クサナギとミオをやはり飄々とした笑顔で出迎えた。そして、二人の求めに応じてより詳しい情報を提供してくれた。それによると相手の戦力は操兵が四機、傭兵が数名。操兵はうち三機がどこにでもいるような標準機らしいのだが、四機目は今まで見た事もないような[赤い操兵]だという事だ。そして、傭兵の中には二人ほど変わったもの達がいて、どうやらその二人は相当の使い手だというのだ。 ミオとクサナギはその傭兵の[一人が巨漢でもう一人が小柄、二人とも変わった仮面を着けている]という特徴に興味を持った。そう、その二人は確か、グノーシスでの吸血鬼騒動の際に出現した、二人の奇面衆そのものだったのだ。 そしてクサナギはその[赤い操兵]にも興味を示した。今まで耳にした特徴、そして操手が少年であるらしくさらに、その操手の言動など、どこかで聞いた覚えがあったのだ。だが、その記憶の中ではそのものが駆る操兵は[黒かった]はずだ。それゆえにクサナギはそれが何者かを思い出す事ができずにいた。 二人のそんな思案を他所に、ゼリスは彼なりに必死になって自分の[誠意]を伝えようとしていた。報酬が後金になってしまう事はどうでもよかったが、それを抜いてもやはりこの男の言う事はどこか信用ならないものがあった。それゆえにミオはゼリスの話を[色眼鏡をかけて]聞いていた。 そのころ、竜の牙亭でも一行に馴染んだマリンがアファエルと静夜により詳しい話を聞かせていた。それによると、傭兵の数などはゼリスの話通りなのだが、そのあとに続いた話は非常に気になるものだった。 「連中、変な男から私たちの集落の場所を聞いたみたいなの」 「……変な男……ですかぁ……?」 マリンが逃げる少し前に偶然見たその男の特徴は何と、あのゼリスそのままだったのだ。だがそのゼリスは、一行に[小妖精の集落を守る]という仕事を依頼している。これはいったい、どういう事なのだろうか。 その後クサナギとミオは、漠然としないもののとりあえずゼリスの依頼を受ける事にした。どの道集落の詳しい場所は彼しか知らないのだ。仕事の承諾を聞いたゼリスは、 「そうですか……受けてくれますか!これで小妖精達も救われます!!」 と、どこか白々しく喜んだ。そして、出発は次の日の朝という事に決まり、ゼリスは準備のために自分の宿に戻り、クサナギとミオも竜の牙亭に戻ろうとした。 その時、頭上から二人を呼び止める声がした。モ・エギだった。 「どうしたんですか?何か依頼ですか……?」 クサナギが事情を簡単に説明すると、モ・エギがゼリスについて妙な事を言った。 「あのゴキブリみたいな人、何か[人間じゃない気配]がするんです。そう、以前セレム山近くの妖精族の集落で出会った、[魔族]とかいう[人達]と同じ気配が……」 クサナギはモ・エギにも詳しく事情を話した。ここはモ・エギの力を借りた方が良い、と考えたからだ。事情を聞いたモ・エギはその申し出を承諾した。これで戦力は十分である。 「で、そのマリンさん、てどんな[人]なんでしょうか?」 「……それは実際に会ってみた方がわかるよ」 ミオにそう言われたモ・エギは、路地裏を通って竜の牙亭の裏庭に回った。そしてアファエルの部屋の扉を軽く叩いた。 「ご免くださーい」 その音と声に気付いた静夜が戸を開けた。が、モ・エギの巨大な瞳を見た途端、突如その戸を閉めてしまった。彼女はまだ、モ・エギに馴れたわけではなかったのだ。 「え〜ん開けてくださいよぉ〜……!」 モ・エギが悲しげな声をあげてその戸をカリカリと引っ掻く。それを聞いた静夜は仕方なく、恐る恐るその戸を開いた。 「……静夜、やっぱりモ・エギ様怖いですー……」 モ・エギを見上げて静夜は半泣きになって叫んでいた。モ・エギはそんな静夜が[可愛く]見えた。そう、モ・エギは[自分を見て泣き出す子供を宥める事に快感を覚えていた]のだ。 「こうすれば、[馴れ]ますよ」 悪戯っぽい笑みを浮かべたモ・エギは窓にその手を入れ、静夜を優しく掴み上げた。そして微笑みを浮かべる自分の顔に静夜をゆっくりと近づけた。が、静夜はそのモ・エギの行為に過剰に反応し、混乱してしまった! 「……いやー!助けてー食べられるー……!!」 「わぁっ。食べませんから落ち着いてくださいよぉ……!!」 さすがのモ・エギもここまで混乱されたら焦り、慌てて静夜を宥めた。が、その際彼女を揺さぶってしまい、さらに大声を出してしまった事が災いして余計に混乱を招いた!! 足もとではミオとクサナギがその光景を見ていた。ミオは「よかったじゃん。怖がっている人宥めるの好きだったんでしょ?」と、モ・エギをからかう。クサナギは「静夜、落ち着け……!。モ・エギは人は食わない……!!」とモ・エギと一緒に静夜を宥めていた。 その光景は中にいたアファエルとマリンにも見えた。マリンはモ・エギを見た途端失神しかかったが、捕まえられた静夜の叫びを聞いてますます脅え、騒いだ。 「アファエル、笑ってないで何とかしてよぉ!このままじゃ静夜が[じゃいあんと]に食べられちゃうよ。いいえ、あれはジャイアントなんてもんじゃない……きっと[源初の巨人]が復活したんだわ……この[世界]はお終いよぉ!!」 だが、アファエルは笑みを称えたまま[のほほん]と説明した。 「〜大丈夫ですよぉ。あれはモ・エギさんと言ってぇ、私たちの友達なんですぅ〜」 その説明を受けたマリン、そしてモ・エギの手の中にいた静夜はしばらく後にようやく落ち着いた。そしてクサナギとミオ、そしてアファエルと静夜はようやくそれぞれの情報を確認し合う事ができた。 「でも、まだ情報が足りないなぁ……そうだ、アファエル、ちょっと、ナバールの所に行ってきてくれない?」 「〜どうしてですかぁ〜?」 ミオの突然の申し出にアファエルが思わず聞き返すと、ミオは、 「そんな闇商人の話だったら、盗賊匠合になんらかの情報があるかもしれないから、ちょっと行って調べてくれないかな、と思ってさ……」 「〜わかりましたぁ。それでは、ちょっと行ってきまぁす〜」 アファエルが出かけた後、ミオは今までに得た情報でとりあえず出来る限りの思案に入った。 アファエルはナバール一座に赴き、早速ナバールに面会した。そして例の闇商人についての情報を求めた。ナバールはどうやらその人物に心当たりがあるようで、掌を上にしてアファエルに向けた。 「こっちも[知り合いを売る]ようなものだからな……それなりの[誠意]は見せてもらわないとな」 アファエルはナバールの手の上に金貨を二枚置いた。それに対しナバールは「よかろう」と言ってその闇商人の話をしてくれた。 「そいつの名はラルゼスといって、主に御禁制の動植物を取り扱う闇商人でな……なんでも最近、[見た事もない小動物]とかいうのを売りに来る事になってるんだ。いったい、どんな動物かまではわかってはいないがな」 「私、それが何だか知ってますよぉ!!」 そこで今度はアファエルが掌を上にしてナバールに差し出した。困惑の表情を浮かべてその掌を見つめた道化は、諦めたようにその上に金貨一枚を置き、「負けたよ……」と呟いた。 金貨を受け取ったアファエルが小妖精について説明すると、ナバールは一瞬信じられない、という顔を見せたが、不意にモ・エギの存在を思い出し、大きなものがいるのだから小さなものがいてもおかしくない、と自分を納得させた。が、それでも納得いかないところがあった。 「でもよぉ……それって要するに[小さな人間]だろぉ。だとすると、俺としてはそんなもの買い取るわけにはいかないなぁ……少なくとも俺の目の届く範囲じゃ、人身売買や人狩りは許さねぇ事にしているからな」 それを聞いたアファエルは、ナバールに金貨二枚を手渡してこんな依頼をしてみた。 「……あのぉ〜そこでですねぇ〜もし、その商人さんがここに小妖精を売りに来たら、出来れば足止めしていてもらいたいのですがぁ〜どうでしょうかぁ〜?」 アファエルは万が一、一行が闇商人とすれ違いなどで先を越されて集落を襲撃された場合に備えて[保険]を掛けておく事を考えたのだ。こうする事で、ラルゼス一味を取り逃がした時も、その足止めしておく事が出来るのだ。 ナバールとしてもできればラルゼスの企みを阻止したい。だが、盗賊匠合として動くと、この闇商人と取引のある他の組織との抗争に発展する場合があるので簡単に動くわけにはいかない。しかし一行が動く分には、少なくとも自分達には及ぶ事はないのだ。そして一行が闇雲にラルゼスを殺さず、役人にでも突き出せばただ奴がドジを踏んで捕まっただけとなり、いちいち他の組織も一行に追っ手を差し向ける事はしない筈だった。そう、ラルゼスはその程度の男だったのだ。 そう考えたナバールはその依頼を受ける事にした。これで契約が成立した。もし一行が失敗してもナバールが足止めし、一行の戦いやすい場所に誘い出す、という事になったのだ。 だが、結局ゼリスの情報の方はナバールも知らないようで、何の情報も得られなかった。アファエルは先の情報と契約だけで良しとして、とりあえず竜の牙亭に戻った。 帰ってきたアファエルの話を聞いたミオは、彼女の予想外の成果に喜んだ。だが、結局ゼリスの情報が得られなかったのが痛いようで、彼の目的が予想できず、何の対策も立てられないままその晩は次の日に備えて休む事にした。 この晩は、マリンはアファエルが預かる事となった。静夜が麦わら帽子を差し出し、アファエルがそれにガーゼを敷き詰めてマリンの寝具にした。それを見た小さな妖精は、 「わーいこれいい!……ふかふか〜」 といって喜び、その即席寝具に飛び込んだ。それを窓から見ていたモ・エギは一瞬、[自分サイズの麦わら帽子にクサナギを寝かせる光景]を浮かべ、(いいかも……)と心の中で呟いた。が、さすがに実行には移さなかったが。 「じゃあ、クサナギさんお休みなさい……」 モ・エギはそれだけを言うと胸に秘めたる野心(?)を隠したまま帰って行った。が、その際アファエルがクサナギ以外のもの達の耳元でぼそっと呟いた。 「[クサナギだけ]お休みなさい……ククク……」 その言葉にミオも、 「知らぬは当人達ばかり……」 と囁く。どうやらアファエルは、ナバール一座での静夜との会話で少々毒のある言い回しを覚えてしまったようだ。そして一行はそれぞれに床に就いた。その際静夜はミオに、「静夜、寝起きが悪いので朝起こしてくれませんか?」と頼んだ。ミオは何か嫌な予感がしたが、とりあえずはそれを承諾した。 翌日。エルグラーテの準備で早起きしていたクサナギと、もともと街の門の近くに住処があるモ・エギは一足早く約束の場所に着いていた。が、残りの面々は約束の時刻ギリギリになっても現れなかった。 そのころ、ミオとアファエル、マリンは静夜の部屋の前に来ていた。彼女がまだ起きてこないのだ。 「ミオさん、起こしてきてくださいなぁ〜」 「いやぁ……アファエル、お願いー!」 何か嫌な予感のしたミオは、アファエルに静夜を起こす役を押しつけてきた。 「じゃ、マリン。一緒に起こしに行こうねぇ〜」 「いいよー!」 二人は静夜の寝ている部屋の扉をリズミカルに数回ノックするが、彼女は一行に起き出してこない。業を煮やしたアファエルは[盗賊七つ道具]の一つ[鍵開け用針金]を取り出し、強引に鍵を開けた。そして、何故か静夜に気付かれないように忍び足で部屋の中に入っていった。 部屋の中では静夜がお気に入りの寝間着に身を包み、すやすやと眠っていた。アファエルとマリンはゆっくりと彼女の側まで近づこうとするが、その時思わず大きな音を立ててしまった。それに気付いた静夜はゆっくりと上半身を起こし、アファエルの方を見た。 「お〜おはよぉ〜」 だが、静夜はアファエルの[のほほん]としたあいさつを聞いたにもかかわらず、そのまま寝台に倒れ込み、再び寝息を立ててしまった。いくらなんでもここまで寝起きが悪いとは。そんな静夜を見たマリンは彼女の側まで飛んでいき、その顔の側に着地して耳元で「起きてよーっ!」と叫びながら賢明に静夜の顔を揺さぶった。 「〜じゃあ、仕方がないのでまたあとで来ますねぇ〜」 起こす事を諦めたアファエルはそのまま部屋を出ようとした。が、その時一緒に部屋を出ようとしたマリンが寝ぼけた静夜の手に捕まり、そのまま抱きつかれてしまった! 「やーん、離してーっ!!」 マリンは突然の出来事にジタバタと抵抗するが、静夜はその手を離そうとしなかった。よほどこの小さな妖精の抱き心地が良いのだろう。アファエルが静夜の手からマリンを助け出そうとするがなかなかうまくいかない。 そうこうしているうちに待ちくたびれたモ・エギがやってきて、窓から部屋を覗き込んできた。 「あのー、約束の時間もうすぐ何ですけども……」 それを聞いたミオは、マリン救出を試みるアファエルの側で静夜を起こそうと努力した。だが、ミオがいくら静夜の体を揺さぶっても彼女は一行に起き出そうとはしなかった。側ではアファエルが静夜の手の中からマリンを開放していた。 「あーびっくりした……ホントに[寝てる]の?この人……」 マリンが文句を言う中、一行に起き出さない静夜を見たモ・エギがまたまた窓から手を突っ込み、静夜をその手に乗せて外に連れ出した。 「静夜さん、朝ですよぉ」 巨大な手の上でこれまた巨大な指につんつんされた静夜はようやく起き出した。静夜はその目の前の巨大な瞳を見ても今度は恐怖しなかった。どうやらモ・エギの存在に馴れたようだ。いや、それともただ寝ぼけているだけであろうか。 再び部屋に戻された静夜はお気に入りの枕を抱いたまま、部屋の洗面台で顔を洗うとすぐに着替え始めた。だが、まだ寝ぼけているのか、上着のボタンを掛け間違っている事に気付かなかった。 結局静夜は再び寝てしまい、モ・エギの手に乗せられて運ばれていった。 「やあ皆さん……どうやらお揃いのようですねぇ」 何だかんだで入口に着いた一行は、その後やってきたゼリスと合流し、すぐさま目的地に向けて出発した。その際ゼリスには、マリンはもとよりモ・エギの正体も伏せる事にした。彼の本当の目的がわからない以上、なるだけ戦力は伏せておく必要があったからである。ちなみに編成はクサナギがエルグラーテ、ミオ、アファエルがワークマンデ、静夜がモ・エギこと紅葉武雷の手の上、そしてゼリスが自分の馬にそれぞれ搭乗していた。そしてマリンはアファエルの背嚢の中に隠れてもらっている。 出発の直前、ようやく目を覚ました静夜がエルグラーテを見て思わず驚いた。 「……わっ!そっくり……!!」 それを聞いたクサナギは「言うなっ!」と叫び、そして呆れ返った。 「……え〜でも、クサナギ様とエルグラーテ様って、お顔がそっくりですものー……」 それを聞いたエルグラーテの仮面は少し複雑な心境になった。 (……タシカニソウヘイハシュジンニヨクニルトイウガ……) が、次の言葉はクサナギとエルグラーテを脱力させるのに十分であった。 「……お二人とも[ハニ丸様]そっくり……!」 かくして、エルグラーテはまたもや首と肩のジョイントに異常をきたし、そのまましばらくの間[落ち込んだような]姿勢となった。 「いやぁ……それにしても、これだけの精鋭が集まれば、きっと[あいつ等]を追い払えますよ、はっはっはっ……」 一行を見たゼリスが呑気に笑う。が、その言葉に静夜は「精鋭って誰です?」と問い返す。 「それは、私以外の全員ですよ。これだけ[正義の勇士]が集まれば、絶対に[悪人]なんかに負けはしませんよ」 そこにアファエルが口を挟む。 「〜[悪人]には負けないかもしれないけども、[悪者]には負けちゃうかもしれませんねぇ〜」 そのわけのわからない言葉にミオが「わからん……」と呟く。そして静夜がやはりわけのわからない答えを返す。 「……というか、[腹黒い方]には勝てないと思います……」 そんなやり取りをしながらも一行はゼリスの案内で目的地の森へと旅立った。だが、この怪しい依頼人はアファエルの監視の目に気付いていなかった。そう、一見呑気そうに振る舞っていたこの妖精族はそれでもゼリスに対して注意を払い続けていたのだ。 |