キャンペーン・リプレイ

第 三十二話 「 怨 念 の 古 き 館 」   平成12年12月17日(日)

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「やっぱり地下に行かなきゃいけないのー」
 ミオの嘆きを他所に一行は早速一階の方の地下への入口を開けた。
 地下への入口はやはり陰湿な空気を漂わせていた。底から地下に伸びる梯子に最初に足をかけたのはイーリスだった。暗い地下へと続く梯子を足もとに注意しながら慎重に降りるイーリス。だが、そんな彼女の足を何か冷たい手のようなものが不意に掴んだ!その突然の出来事に驚いたイーリスは思わず足を滑らせ、そのまま底まで落下してしまった!!
 イーリスは地面に激突する瞬間、辛うじて受け身を取って尻もちをついたものの無事に着地する事ができた。それを見た一行も後に続いて梯子を降りた。
 永久ランプで照らし出された地下は以外と広く、それでいて中には金属性の重厚な扉が一つある以外は何もない寂しい部屋だった。一行がその扉を開けようとするが、鍵が掛かっているために開かなかった。クサナギはボルトアクションを扉に向け、その鍵穴目がけて撃ちはなった!その銃弾は鍵の部分を撃ち貫き、その勢いで扉が少しだけ開いた。
 扉の向こうからは吹くはずもないはずの冷たい風が流れてきた。クサナギが次弾装填を済ませたボルトアクションの銃把でゆっくりとその戸を押し開けると、そこに飛び込んできた光景はまさに信じられない地獄絵図だった。
 部屋の中には何十種類もの拷問道具が並び立ち、今まさにそれらすべてに大勢の人達が縛られ、さまざまな拷問、責め苦を受けていた。[鋼鉄の処女]に閉じ込められて振り回されるもの、針のびっしり生えた床に押しつけられるもの、さらには前進に重石を乗せられてそのままおしつぶされるなど、とても人間とは思えない所業が繰り返されていた。そう、[霊]となった彼らは死ぬ事さえ許されないのだ。
「はーっはっはっはっ!!もがけ!苦しめ!お前達は[永遠に]俺の玩具なのだぁ!!!」
 その叫びは部屋の中央から聞こえてきた。見るとそこには全身を板金甲冑で身を包んだ男が手にした刺のついた鞭で人々をさらに痛めつけていた。男の回りでは血飛沫が舞い飛び、その甲冑は真っ赤に染まっていった。そしてその血は一行にも降り掛かってきた!。
 一行がその血飛沫を降り払った瞬間、部屋の奥から吹くはずの無い強風が吹き荒れた。そして目を開けてみると、今まで目の前で繰り広げられていた惨劇はすべて消え去り、そこにはただ、朽ちた拷問道具の残骸と思われるものがただ乱雑に並んでいるだけだった。今のは霊達が見せた幻だったのだろうか……。
 いや、一つだけ[現実に]残ったものがあった。それは部屋の中央に佇んでいる全身甲冑だった。先と違うと言えば、全身がボロボロに錆び付いている事と、その兜が失われて首無しになっている事くらいだろうか……。だが、それにもかかわらず甲冑は腰に下げた錆びた破斬剣を抜き放ち、一行に向けてゆっくりとにじり寄ってきた!その剣はクサナギが[主人の部屋]で遭遇した[お館様]の構えていた剣そのものだった。
「亡霊騎士なんていやだぁ!!」
「どうやって倒せばいいのよ?!あんな敵!!」
 ミオとヴァネッサが叫ぶ中、クサナギとイーリスはそれぞれボルトアクション銃と穂先刃を構え直す。
「落ち着くんだ!今のあいつには甲冑という[形]がある!あれを壊せば[寄り代]を失って何もできなくなるはずだ!!」
 クサナギのその叫びと同時に甲冑が首当てを一行に向け、剣を振り回して一行に襲い掛かってきた!クサナギ、イーリス、ヴァネッサは甲冑を取り囲むように散開、それぞれに迎え討とうとした。が、甲冑の動きはそれよりも早く、一瞬にしてクサナギとの間合を詰め、手にした破斬剣で斬り付けた!クサナギはその鋭い斬撃をかわし切れずにまともに受けてしまった!幸いその刃はそれほど深くは食い込まず、クサナギは軽傷で済んだ。
 相手の素早い攻撃に驚愕しながらもヴァネッサは自分も手にした拳銃の引き金を引いた!。が、敵は甲冑のみのがらんどうな体のために見ためよりも軽やかな動きを見せ、その銃弾を難なく回避してしまった!
 それを見たミオは三人を援護すべく、静夜から借りていた長銃を取り出すとそれを構えて亡霊騎士に向けて引き金を引いた。が、その銃身からは火を吹く事はなく、ただ撃鉄が空しく鳴り響くだけだった。
「静夜さぁ〜ん!!アンタ、弾込めてないのぉ〜?!」
 ミオの嘆きを他所に当の静夜は、部屋の中を見渡してあるものを捜していた。それは、本来甲冑の首の上に取りつけられていたはずの兜の部分だ。彼女はそちらの方こそ[お館様]の本当の[寄り代]ではないかと睨んだのだ。が、この瓦落多だらけの部屋の中で兜一つを見つけるのは容易な事ではなかった。
 相手が予想以上に強い事に気付いたイーリスは、流派の技の一つ[斬]を繰り出した。通常の二倍以上の速度で繰り出された二回攻撃のうち一撃はものの見事に亡霊騎士に命中、その鋼の鎧の一部を砕いた!が、返す刀は今度はものの見事にはずれ、イーリスは思わず刀を落としそうになってしまった。
 イーリスの一撃を受けながらも亡霊騎士はそれでもなおクサナギに向けて剣を振るった!。が、そのイーリスの一撃が効いたのか、亡霊騎士の剣もクサナギには届かずにその場で空を切った。それを見たクサナギはすぐさま相手との間合をはずそうと試みた。この接近戦距離ではボルトアクション銃が思うように取り回せないからだ。が、亡霊騎士がそうはさせまいとそれを妨害、クサナギは間合をはずす事ができなかった。
 銃に弾がない事に動転したミオだが、ここでめげてもいられないので懐からすぐに別の武器を取り出そうとした。もちろん、ここは得意の閃光弾である……しかし……
「何でぇーっ?!」
 取り出されたのは煌々と輝く永久ランプだった。どうやらミオは今まで受けた精神的ショックからいまだ立ち直れないようだ。
 そんな中、クサナギが相手にならないと判断した亡霊騎士は攻撃目標をいま大打撃を与えてくれたイーリスに変更、そのまま破斬剣による強烈な斬撃を繰り出した!イーリスはそれを穂先刃で受け流そうとしたが、そのきらめくような太刀筋に追いつけずに斬撃をまともに受けてしまった!幸いにしてこちらも大した怪我ではなかったが、相手の強さを実感し、一行は思わず戦慄を覚えた。
 間合をはずせなかったクサナギはその姿勢のままボルトアクションを敵に向けてその引き金を引いた。その攻撃は亡霊騎士がイーリスに注意を向けていたおかげで辛うじて命中した。が、弾は鎧の一番固いところに命中したためにそれほど打撃は与えられず、跳弾は音を立てて天井にめり込んだ。
 気が動転したために武器と間違えて永久ランプを取り出したミオだが、これがかえって功を奏した。ミオはそのランプに照らし出された部屋の片隅に何か兜のようなものを発見したのだ!ひょっとしたらあれが、と考えたミオは思わず声に出して、
「あれかぁーっ!!」
 と叫び、その兜らしきもの目がけて全力で走り寄ろうとした、が、その声に気付いた亡霊騎士はそうはさせじと無防備なミオの背中に向けて破斬剣を振り上げた!
 それを阻止せんが為にクサナギは長銃を捨て、亡霊騎士に飛びかかり、そのまま押えつけようとした。が、相手にしがみつく事はできたものの相手の膂力はすさまじく、完全に動きを封じる事ができなかった。
 そこに武器を長刃と回旋棍に切り替えたヴァネッサが亡霊騎士の側面に回り込み、両手の武器による同時攻撃、さらにそれに呼応してイーリスも攻撃を仕掛けた!だが、二人の攻撃はやはりその強靱な防御力に阻まれ、大した打撃を与える事はできなかった。
 結局亡霊騎士の動きは封じられる事なく……その一撃は小柄な少女の体を切り裂くかに思われた。
 が、その剣はいつまで経ってもミオの体に届かなかった。ミオがゆっくりと振り返ってみると、亡霊騎士とミオの間に入った静夜がその刃を背嚢ごと切り裂かれて背中から赤い飛沫を上げている姿が目に入った。
 そう、彼女は身を呈してミオを庇ったのだ。ミオの無事を見て取った静夜は満足そうな笑みを浮かべてその場に倒れた。そして、その体の下からはじんわりと赤い液体が広がっていった。
「しっ……静夜さぁーんっ!!くぉんの〜〜!!!(怒)」
 ミオはその思いを無駄にしないためにもすぐさま兜のもとに走り寄った。そして手にした長銃を棍棒代わりにして兜を殴り付けようとした。が、何もないはずの兜から強烈な憎しみの視線を感じ取り、恐怖のあまり思わず躊躇した。
 一方、兜を発見された亡霊騎士の体は、自棄を起こして自分を転ばすためにしがみついているクサナギを掴むと、イーリスやヴァネッサを巻き込んでそのまま大きく振り回した!その意外な攻撃にイーリスは戸惑いながらも辛うじて回避。だがヴァネッサはかわし切れず、転びはしなかったもののバランスを崩して攻撃機会を失ってしまった!そしてクサナギはそのままミオのいる方向に放り投げられ、彼女のすぐ側まで飛ばされてしまった!!
 亡霊騎士の攻撃をかわしたイーリスは、再び流派の技で攻撃を加え、通常ならば相手を両断できるほどの打撃を与えた!が、それでも亡霊騎士は堪えた様子を見せなかった。
 一度は躊躇したミオだが、今度はその視線に耐えきると、渾身の力を込めて長銃を降り下ろした!が、ここでミオはクサナギが乗り移ったかのようにここぞ、というところで降り下ろす場所を間違えてしまった。
「ふ……怒りに駆られて[スイカ割り]に失敗したか……」
 ミオは照れ隠しに呟いた。
 兜の危機に亡霊騎士の体は、取り囲む二人の剣士を振り切ろうとした。が、ここで立ち直ったヴァネッサがそれを妨害、長刃で切りかかった!そしてその一撃は鎧の継ぎ目に命中、さすがの亡霊騎士も甲冑の部品をまき散らしてその場に崩れ落ちた。
 体を破壊された[お館様]の兜はそれでも怨念に満ちた目をミオに向けた。が、二重三重の怒りを身に纏ったミオ、そしてクサナギを怯ませるだけの力はもはや無く、二人の攻撃になす術もなく兜は破壊され、怨霊は苦悶の表情を浮かべ、そして不気味な煙だけを残してその場から完全に消え去った。
 これですべては終わったようだ。そう思った一行が安堵の息をついた時、最後の異変が起きた。この部屋の床から何十人もの半透明の人々が一斉に湧き出てきたのだ!どうやら彼らは[親方様]の怨霊によってこの地に縛られた霊達のようで、一行が[お館様]を[征伐]した事でようやく解放されたのだ。
 本来ならば笑みを浮かべて一行に頭を下げて立ち去る彼らを自分達も笑顔で見送ってやるのが筋というものだろう。だが、この[亡者の行進]を見て正気でいられる人間は少なく、今の戦闘の後という事もあってイーリスなどもどうにか気絶まではしなかったもののかなり動揺したようだった。
 だが、この誇り高い女剣士は自分が[恐怖]しているという事実を頑として認めようとはしなかった。
「違う!……私は幽霊に微笑みかけられて不愉快なだけ!……そうよ……そうに決まっている……!!」
 そして今度こそすべての怪異は消えた。地上に戻っても屋敷で起きていた現象はすべて止み、空は美しい夕焼けを見せていた。それはまるで、一行の勝利を讃えるかのようであった。
 そんな中ミオは、自分の代わりに剣を受けて倒れた静夜を介抱した。見ると静夜に背負われていた背嚢は荷物ごと切り裂かれ、衣服には血のようなものがたっぷりと染みている。ミオは半泣きになって静夜を助け起こし、その背に背負った。
 一行が外に出ると、怪しい気配が去ったのを受けてモ・エギが屋敷の側まで来ていた。それを見たミオは慌ててモ・エギの元に駆け寄った。
「モ・エギーッ!静夜さんが……[お姉さん]がぁーっ!!」
 そしてクサナギもモ・エギに向けて叫んだ。
「モ・エギ!何とか治癒してやってくれ!!」
「わかったわ!!」
 二人に急かされたモ・エギはすぐさま静夜を手に乗せ、早速神通力による治療を施そうとした。が……
「……………?」
 モ・エギは一瞬きょとん、とした顔になった。そしてすぐににっこりと笑うと、
「あ〜あ……この服は洗濯した方がいいですよ……」
 と、素っ頓狂な事を言った。そして今の言葉に唖然とするミオとクサナギを他所に背中の背嚢の切れ端をどけた。するとそこには血のようなものがべっとりと染み込んで入るものの、切り傷の類いが一切ない衣服が姿を現した。
「うふふ(笑)……よ〜く眠ってますよ……」
 安らかな静夜の寝顔にモ・エギは思わずうっとりと見惚れた。それを受けたミオが思わず
「じゃあ、真っ赤な[だくだく]は……?!」
 と、問いただすと、
「背嚢と、中に入っていたお薬もだめになってしまいましたね……」
 と、にっこりとミオに微笑み返した。
 その時、モ・エギの足もとにアルバがやってきた。そして一行に、
「皆さん、ご無事でしたか……どうでした屋敷の中は……?!」
 と、事の顛末を聞いてきた。そしてイーリスの
「迷える魂をすべて解放しました。これで怪異は起きないでしょう……」
 との報告を受けると小躍りして喜んだ。
「……よかった!」
 アルバのその姿を見たクサナギは安堵の表情を浮かべ、こんな事を言った。
「これで私も、[本来の仕事]に戻れる……」
 そしてアルバがその言葉の意味を問いかけてくる前にすぐさまエルグラーテに乗り込んだ。おそらくは今度こそオートカノンで屋敷を取り壊そうというのだろう。そのクサナギの行為が果たして[律儀に仕事を遂行]しようとしているのか、それとも[親方様に斬られ損]で終わった事に対する腹癒せなのかは[本人のみぞ知る]のだろう……。
 ともかく、その意図に気付いたアルバは悲鳴を上げた。が、もはやクサナギには届かず、イーリスの静止の言葉とヴァネッサのブラッティマリーによる妨害を振り切るとエルグラーテはオートカノン、ロケット砲、ガトリングガンの残弾すべてを一斉発射!!その攻撃はエルグラーテの仮面の支援もあってか全弾余す事なく命中、屋敷は木端微塵に吹き飛んだ。
 屋敷がバラバラに粉砕され、炎上した直後、濛々と立ち込める煙の中に大勢の人の顔が空に向けて立ち上っていくのが見えた。どうやら地縛霊となっていた最後の霊達だろう。その顔は最初に見た時とは違い、すべてが安らかな表情を浮かべていた。
「アルバさん、これで霊達は完全に解放されましたから……なにぶんですね……何百年もの間居座っていた怨霊達でしたから、それなりの荒療治が……」
 イーリスのフォローにならないフォローを聞いても、アルバの茫然とした表情は変わらなかった。
 やがて、アルバとは打って変わって満足そうな表情でエルグラーテを降りたクサナギの前に、目を覚ました静夜が笑顔で出迎えた。
「クサナギ様……そこに正座してくださいなー……」
 クサナギが首をかしげながらも言われるまま正座するのを確認した静夜は、切られた背嚢の中からまだ無事であった大きな[何か]をどさっとクサナギの頭の上に乗せ、そしてさらに[それ]に火をつけた。
「ぅわちちちちち………!!」
 それは大きな[お灸]だった。
「しばらくそうしていなさいっ!」
 どうやら静夜も今のクサナギの行動に腹を据えかね、それでこのような[お仕置き]をしたのだ。
「[お灸を据える]とは、こういう事を云うのですっ!!」
(注:本当は違います)
 モ・エギはそんなクサナギを哀れに思いつつも、とりあえずはすっかり昇った月を眺めて拘わらないようにした。
 クサナギの仕置きを済ませた静夜は、今度は明後日の方向を向いているミオに笑顔で向き直った。
「ミオちゃん!怪我はないよね、大丈夫だった……わっ、ミオちゃん手が真っ赤だよー、早く治療しなきゃ、えと、ほーたい、包帯……!!」
 切り裂かれた背嚢の中にあるまだ無事そうな包帯を捜している静夜の姿を見て、静夜の自分に対する呼び方と接し方が変わった事に気付いたミオは体の前で両手を振りつつ思わず後ずさりをした。
「こ、こ、これは、静夜さんを背負った時についたもので…、ケ、ケガじゃないから、大丈夫だから……、ねっ」
 多少は落ち着きを取り戻した静夜はミオの言っている事が本当と判り、安心してその場に座り込んでしまった。
「ミオちゃんったらあんまり心配かけないで……、本当に心配したんだよ」
 と、座り込んだまま下から慌てまくっているミオの顔を見て、静夜は急に晴れやかな笑顔を見せた。
「…そういえば、[夢]の中でミオちゃんが静夜の事、[お姉ちゃん]って言うの確かに聞こえたよー……うふふふ……(笑)」
 どうやら静夜は、ミオが思わず[お姉さん]と叫んでいた事を夢現に聞いていたようだ。そしてそのミオの静夜を心配する時の行動は静夜のミオに対する親近感をさらに高める事に繋がったようだった。
 静夜のその[ニコニコ]とした笑顔にミオはギクシャクしながら言い訳をした。が、もはや彼女の耳にはその言葉は聞こえなかった。
「一緒に帰りましょうねー……ミオちゃん……」
「わぁっ!だっこしないで……抱きつかないでくださいっ!!離してくださいぃぃっ!!!!」
「ねぇねぇ、ミオちゃん、もう一度[お姉ちゃん]って言ってよー」
「わ、イヤです!もう二度と言いませんっ。あ、あれは一生の不覚ですってば!!ちょっと、ねえってばー、人のゆう事聞いてぇー!!」
 そんな二人の[仲良しな姿]を見たモ・エギはにっこりと(意味ありげに)微笑んで、
「はいはい、お二人さん、仲良くね……(笑)」
 と言ってクスクスと笑いながら、ミオと静夜をくっつけるように胸元に抱き上げた。
「温泉の時の逆襲か、モ・エギーッ!!」
 そんなミオの恨み言を尻目に、ヴァネッサは大きなため息を一つついた。そして自分も諦めたような表情で再びブラッティマリーに乗り込むと、最初の攻撃で不発に終わったロケット弾をまるで薪でもくべるかのように炎上する屋敷に放り込んだ。そして熱に炙られたロケット弾は次々と爆発、それはまるで成仏した霊の冥福を祈る花火のようだった。
 その爆発を見ながら、一行は唖然としたアルバを連れて悠然とライバの街に帰っていった。
「こ……これでいいのーっ……?!!」
 というヴァネッサの叫びを残して……