クラウドのプライド 「やっぱり、だめ?」 「・・・」 黙っていれば、ティファが悲しい顔をすることはクラウドには十分わかっていた。 「ごめんね、困らせちゃって。ただ私はクラウドのことを思って・・・」 「わかってるよ。気持ちはすごく嬉しいんだ。ただ、なんていうか・・・」 目をそらして適当な言葉を探す。 「その、好きとか嫌いとか、そんな単純なことじゃないってことわかって欲しくてさ」 「うそ、嫌いなだけでしょ」 「だから、そんな簡単な言葉で片付けられることじゃないって」 「言い訳はもう聞き飽きたわ。嫌いなんだって認めなさいよ」 「だから違うんだ・・・」 「もういい!」 ティファは横を向いてしまった。 ナナキがクラウドに注意する。 「回りくどいことばっかり言ってないで正直に言いなよ」 クラウドは憎しみを込めた目線を投げつける。 (禍禍しきオレンジ色の物体、こいつがこの世に存在しなければいいのに!) クラウドは憎きオレンジ色のナナキ・・・・・ではなくて皿の上に残ったニンジンを睨んだ。 「へっ、ニンジンが嫌いだなんてマリンでも言わねえぜ」 横からバレットが口を挟む。 「俺はニンジンが嫌いなんじゃない 。ただ・・・その・・・今日は相性が悪いというか・・・、 まあ・・・うん、そんなところだ」 そう、クラウドはニンジンが大嫌いだったのである。 だがニンジンが嫌いだなんて子供っぽい、 とバレットが言ったせいでそれを認めることができないでいるのだ。 クラウドは給食時間中に食べ終えられなかった子供のように、 ずっとハイウインドの食堂のテーブルでニンジンサラダとにらめっこをしていた。 「ごめんね、クラウドがこんなにニンジン嫌いだなんて思わなかったの。 ただ栄養のバランスのこと考えてたらニンジンサラダをつけたほうがいいかなって思って・・・」 うつむいたティファにあわててまくし立てるクラウド。 「ティファは悪くない!悪いのはニンジンなんだ! ティファが俺の健康に気を使ってくれてるのわかってるし、すごく嬉しいよ」 「だから、嫌いならもう残していいから」 「嫌いじゃないって!ただ今はなんとな〜く気分が乗らないだけで・・・」 「もういいかげんにして!そんなこと言ってちっとも減ってないじゃない。 私は早くお皿洗いたいのにクラウドがいつまでもそうしてるから困ってるの!」 「これで何度目だ?堂堂巡りじゃねえか」 「まったく、クラウドさんも頑固やなあ」 遠巻きに眺めていたほかのメンバーは呆れ返っている。 「でもね、オイラなんとなくクラウドはバレットに言われたから意地張ってるっていうより、 嫌いなものを出しちゃったことをティファが気にしたら悪い、 と思って認めないでいるように見えるんだよね」 「・・・私も、ティファは嫌いなものを出してしまったことを後悔して、 クラウドが食べずにすむようにわざと怒っているように感じる・・・」 「カーッ、甘すぎて胸焼けがするぜ!」 「先に寝ようよ!」 ・・・こうして皆それぞれの部屋に入ってしまったため、 クラウドがニンジンを根性で食べたのか、ティファに押し切られて食べずにすんだかは不明である。 ------------------------------------------------------------------------------------ 一見シリアス?と思わせつつ・・・。ころんでしまいました。 ところでこれ、二人がふつーにケンカする話になるはずだったのに ナナキ達から見るとどことなくラブラブな雰囲気らしいものになったようで。 いつか当初の予定通りのものを書きたいです(野望) 戻る