比翼の鳥



信じていたはずなのに。
信じて欲しがられてたのに。

いつの間にか「信じる」ってことが一人歩きしてしまったかのように
自分が何を信じていたのか解らなくなってしまった。

私は何を信じようとしていたんだろう?
彼は何を私に求めていたんだろう?




北の大空洞でクラウドが行方不明になって以来、私はずっとクラウドを探してた。
失った支えを取り戻したくて。
もう一度会って確かめたくて。
でも、再び会ったときのクラウドは、以前のクラウドじゃなかった。
「だいじょうぶだよ、ティファ」って言って欲しかったのに。
本当のクラウドを確かめたかったのに。
どちらも叶わないことが解って、膝から力が抜けそうだった。
あの後シド達が病室で二人きりにしてくれた時、
隣の部屋に聞こえないように、声を押し殺して泣いたんだ…。


私ね、本当のことを言ってしまったらクラウドが壊れてしまうんじゃないかと思って、
ずっと誰にも言わずに心の奥に閉じ込めてきた。
怖かったんだ。クラウドが自分を見失ってしまうのが。私の信じてきたものが崩れ落ちてしまうのが。
それって、間違っていたのかな。
虚空を見つめるあなたに訊いてみたけど、もちろん返事はなかった。
そうやってクラウドの何も映さない瞳に見つめられ、泣きながら考えたの。
今度こそ、クラウドと真実を見つけようって。


自分がパーティを離れることがどれほどの痛手かはわかってた。
でもみんな、快く私の決断を受け入れてくれた。
そうしてクラウドの看病を始めてから、もうどれくらい経ったんだろう。
みんなもよくお見舞いに来てくれるけど、全然よくならなくて…。
どうしたらいいのかわからなくなる度、今までみたいにクラウドに頼るわけにはいかないことに気付くの。
あの時信じてあげられなかったくせに、私、クラウドにずっと頼りっきりだったんだね。
今もね、毎日変化のない状態に耐えられなくて時々倒れそうになるけど、
なんとか頑張っていけてるのは、クラウドがいるからなんだよ。
もう少ししたらクラウドが元気になってくれるかもしれないっていう希望と、
二度と会えないかもしれないと思ってたクラウドがここにいるっていう奇跡。
それが今の私を支えているんだよ。
今はこんな状態だけれど、もしあなたが元に戻ったら、きっと真実を見つけられる。
毎日毎日、そう自分に言い聞かせてみるの。


それでもね、変化のない日々はやっぱり辛い。
自分のしてきたことが間違ってたんじゃないか、って考え始めると
今ここにこうしていることも正しいのか自信が持てなくなって来る。
不安は尽きないけれど、でも今度こそあなたを救いたい。
あなたが本当のあなたを見つけるための鍵は、きっと私が握ってる。
あなたがいつも私の支えだったように、私もあなたの支えになりたい。
今度こそ絶対に目を逸らさないから。
本当の自分を取り戻すまでずっとそばにいるから。
あなたと私で信じられる、揺ぎ無い何かを見つけよう。




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クラウド看病中のティファの想い。モノローグ形式は不得手です…。
最初は「彼」、次は「クラウド」って呼んでたのを最後ら辺は「あなた」とかにして
この闘病生活を通じて二人の絆が深まった様をこっそり演出してみたり。
ここのティファって強いなあと思います。ちっとも良くならないクラウドを看病するのは
きつかっただろうし、時には真実を告げなかった自分を責めたりしてたのではないでしょうか。
それでもなんとか気を確かに持っていられたのは、クラウドへの思いがあったから。
この時点のクラウドはティファにとって負担であり支えであったんじゃないかな。
ここで辛さに負けなかったから、やがてかけがえのない支えになったのでしょう。
最後の「揺ぎ無い何か」って、まあ本当のクラウドなんだけど、二人の絆ってのもありじゃないかと。

「比翼の鳥」とは雌雄が翼を1つずつ持ち、2羽が常に一体となって飛ぶ中国の伝説上の鳥です。
2羽じゃないと飛べないので、夫婦仲の良いことにたとえられます(謎笑)。
タイトルをみて「もしかして2部作?」と思ったアナタ、察しがいい。
クラウドサイドのものも書く予定です。



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